2010年5月 4日 (火)

なんばグランド花月 GW特別興行

これまた何回目かのなんばグランド花月。最近大阪での行動パターンが固定化してきている感じがするが、面白いのだから仕方がない。

ゴールデンウイークということもあり実に豪華なラインナップで、ネット予約はぴあASPになってから多少チケットが取りやすくなったものの、この日は早々に完売。しかし何度か予約サイトをチェックしていたら数日前になって運よくチケットを入手することができた。

この日の出演者は下記の通り。

笑い飯

この回はなぜか前座がなく、いきなり笑い飯だ。ライブで見たのは初めて。前半のローテンションな展開から、後半シフトチェンジしてつっ走る独特なスタイルは、テレビの短い尺では面白さが伝わらない。

Wヤング

数奇な運命を乗り越えてきた大ベテラン、平川幸男率いるWヤングを見るのは確か2回目。平川はいよいよ来年70になるというが、全くそうは見えない。まだまだ現役で活躍してほしい。

中川家

中川家を見るのは、はじめてここに来たとき以来。地上波ではできない危険なネタが最高に面白い。

ザ・ぼんち

生で初めてみた。漫才ブームで大ブレイクした当時、自分は小学生。「恋のぼんちシート」も買った。そのスターが、今も現役で活躍しているのを見るとチカラがわいてくる。

オール阪神・巨人

この2人も生で見るのは初めてだ。彼らがブレイクしたのは漫才ブームよりももっと前。巨人師匠は最近やせ、阪神師匠は最近太ったが、漫才は全く衰えを見せず、アップテンポで素晴らしい。

桂文珍

2回目だが、前回とほぼ同じようなネタ。しかしそれでも面白いのは、あくまで言葉ではなく「間」で笑わせるからだ。

吉本新喜劇

この日の座長は辻本茂雄。辻本自体は別の座長公演で見たことがあるが、座長を務める公演は初めて見た。当たり役の「茂造じいさん」も、である。

↓これ

201005041232000

これで現役4座長はすべて見たことになる。周りを立てながらまとめていく内場勝則・川端泰史、自分が先頭で走って空気感を作る小藪千豊に比べ、辻本座長は舞台のすべてを支配するタイプだ。若手座員だけでなく、ベテランにも容赦なくアドリブで振っていく。そういえば島田珠代も初めて見たが、ちょっとカワイイと思った。

なんばグランド花月のウェブサイト

http://www.yoshimoto.co.jp/ngk/

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年2月27日 (土)

コッラ・ヴォーチェ ウィンターコンサート J.シュトラウス「こうもり」

このへんの中の人から、オペラ練習グループの発表会に出るので来いと言われて早稲田にやってきた。会場はキリスト教系の財団が管理する早稲田奉仕園だ。

出演は「コッラ・ヴォーチェ」というグループで、演目はヨハン・シュトラウスによるオペレッタの金字塔「こうもり」。オペラにあまりなじみがない自分なので、オペレッタというとだいぶ昔に「メリー・ウィドウ」を見たぐらいだ。「こうもり」の序曲はそんな自分でもよく知っているメジャーな曲だ。特に、映画「帝都物語」のエンディングで流れていたのが印象的だった。

練習グループといっても、なかなかの実力だ。自分は素人だが、こういう力のある人たちが市井に息づいているのだから、日本の文化レベルは決して低くない。もっと発表の場が多ければ、世の中面白くなると思う。youtubeやUSTREAMといったネットサービスでさまざまな才能が世に出てくるようになったが、やはり感動の波及はライブがもっとも強力だ。

今回の舞台となったのは奉仕園内のホールで、恐らく礼拝や結婚式にも使う会場なのだと思う。アメリカでは、教会でミュージカルの公演が行われることもあると聞く。日本も公民館など公共施設が多いが、それらが十分に活用されていないように感じている。これらを生かし、さまざまな「場」をつくっていくことが、地域の活性化につながるはずだ。そのためには、もっとそうした空間を「使おうとする」努力をしなければいけないのかもしれない。俺もなんかやろうっと。とりあえずUSTREAMでこのブログのライブ版とか近々できたらな、と考えています。

201002271452000

早稲田奉仕園

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年11月29日 (日)

ブルーマン 東京公演 千秋楽

ブルーマン東京公演がちょうど2年間ロングランし、千秋楽を迎えた。その最終公演に参加。初日と千秋楽、両方を観られたのはブルーマンファン冥利に尽きる。

112901

通算何回観たんだろう。エントリーは上げていないが、6~7回といったところか。2年間も公演していたわりには、少ないかもしれない。理由を無理に探せば、ステージには全く不満がないものの、やはりブルーマンはアスター・プレイスのあの劇場で観るもの、という考えが頭のどこかにあるせいかもしれない。

別に俺は何もかも「本場」で観ることにこだわるわけではない。ミュージカルにしたって、作品によっては日本の公演のほうがブロードウェーやウエストエンドを超えているものもあると思う。しかし、ブルーマンに限って言えば、やはりこの公演のために建てられたインボイス劇場は広すぎる。ブルーマンの技と笑いは、オフ・ブロードウェーの狭く、怪しげな空間で極大化するのだ。それは、昨年末、東京公演続行中にもかかわらずニューヨークで観たときに確信した。

とはいえ、ブルーマンを電車で観に行ける。その幸せを十二分に感じられた2年間だった。

入場時には記念のポストカードと大入り袋が配られた。売店を覗くと、舞台でブルーマンが「制作する」アート作品を販売していた。一点8000円。うーん、今の逼迫した財政状況を考えると…でも買っちまった。

いつもと同じように、いや、観客のノリがいつもよりちょっとだけいい雰囲気の中、公演が進む。そして最後のカーテンコールには、「ありがとう また会う日まで」というメッセージが表示され、計713公演、47万人を動員したブルーマン東京公演は幕を閉じた。

終演後のロビーも、いつも以上の大賑わい。それでもなんとか写真を撮る。名残惜しかったが、感傷的になるのも嫌なので、この写真を撮ってからすぐ足早に会場を後にした。

112902

けやき坂のイルミネーションを眺めながら六本木駅に向かいつつ、もう来週からブルーマンはこの街にいないのだ、と思うと、やはりちょっと感傷的になってしまった。

アジア地域でのロングランを実現したことで、今後ワールドツアーなども企画されるだろうし、日本でまたブルーマンを観られる日はそう遠くないかもしれない。それまでは、がんばってお金を貯めて、アメリカに会いに行くとしよう。

サンキュー、ブルーマン。また会おう!

112903

玄関に飾ってみました

ブルーマン東京公演ホームページ
http://blueman.jp/main.html

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2009年11月14日 (土)

侍戦隊シンケンジャーショー「スーパーシンケンジャー見参! 真侍技之幕(特別公演)」

200911140913001

まさか2週連続で東京ドームシティ・シアターGロッソに来ることになろうとは。しかしこの日はシンケンジャーショーの特別公演、つまり番組撮影を終了した、変身前の役者たちが登場する「素顔の戦士たち」出演公演の初日である。これは見逃せない。

なぜ見逃せないかというと、俳優が出演ということは、当然シンケンイエロー・花織ことはを演じるアイドリング11号、森田涼花(すうちゃん)が出るということだからだ。ちなみに「すうちゃん」は「すーちゃん」と書くと、AKB48チーム研究生から新生チームBへ昇格予定の佐藤すみれになってしまうので要注意。だがすーちゃんはすーちゃんでこれまた大いに気に入っており、選抜メンバー以外では一番好きなほどだ。もうわけわかんない。

素顔の戦士公演を見るのは、2004年の「特捜戦隊デカレンジャーショー」以来だ。

Gロッソに到着すると、以前来たときと同様、シンケンレッドがお出迎え。殿、お疲れ様です!

200911140916001

観覧したのは特別公演初日の1回目。客席はさぞかしアイドリング!!!ファンで占められていることだろうと思ったらそんなことはなく、普通に家族連れが中心だった。むしろ、シンケンレッド・松坂桃李やシンケンブルー・相葉弘樹目当ての腐女子のみなさんのほうが目立った。アイドルヲタはこういうときの結束が弱い。我ながら駄目だなあと思う。いや、もっと別の次元で反省すべきだろうというご批判もあろうが、もうこの年になるとどうでもよくなってくる。

オープニングと同時に、いきなり素顔の5人がどーんと出てくると、客席は大盛り上がりだ。シンケンジャーのモチーフが時代劇ということもあり、まさに大衆演劇のような感覚だ。これはこれで楽しい。

ショーとしては、派手なアクションがぎっしりと詰め込まれた高密度なショーで、これは春にGロッソのオープン時に見た第一シーズンのショーと同様だ。しかし今回は役者が出演する関係もあり、さらに密度が高まっていたように思う。ほとんどストーリーはそっちのけで、アクションと役者の素顔をこれでもかと見せる舞台だ。上演時間の30分は、本当にまたたく間である。

素顔の戦士たち公演の場合、変身をどう表現するかがポイントになるが、昨年までの野外ステージと異なり、様々な演出が可能になった。中でも、今回はシンケンジャーならではの小道具を使った演出があり、これには思わず膝を打った。

すうちゃんは最初は下手側から出てくるが、あとは比較的上手側にいることが多かったように思う。すうちゃん目当ての人は上手側に座るのがいいだろう。

ショー終了後にはかんたんなカーテンコールらしきものも。初日ということもあり、役者がひとことずつ感想を述べた。やはり人気は戦隊史上もっともクールなレッドと、戦隊史上もっとも暑苦しいブルーだ。特にブルーの相葉弘樹はテニスの王子様ミュージカルに出演していたこともあり、そっち系の人にも人気だ。ブルーそのままのいっぱいいっぱいな様子であいさつし、観客を沸かせていた。また番組でも、この舞台でもずっとクールさを顔に貼り付けていたレッドも、このときだけは笑顔であいさつ。そうすると本当に普通のおにいさんだが、締めのひとことだけは「最後は丈瑠で」と殿様の顔に戻り、きっちり舞台をまとめていた。

Gロッソができて初めての素顔の戦士公演だが、以前のように早朝から並ばなくてよくなったのは本当に助かる。が、そのかわりチケットは発売とともに即日完売で、うっかりしていると買い逃してしまう。現在、12月までの週末に特別公演が予定されているが、ぜひ1、2月にも実施してほしいものだ。そのときは、今回は声だけの出演となったシンケンゴールドや腑破十臓も登場してくれるとありがたい。さすがに伊吹吾郎は出てくれないだろうが。

200911140913000

シアターGロッソのウェブサイト
http://www.tokyo-dome.co.jp/g-rosso/

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月17日 (土)

「マクロス クロスオーバーライブ」ミンメイ降臨

2009年は、「超時空要塞マクロス」の設定ではマクロスが進宙式を行った年である。これを記念して、マクロスシリーズの「超時空要塞マクロス」「マクロス7」「マクロスF」の劇中曲を歌うアーティストが結集したクロスオーバーライブが幕張メッセで開催された。

200910171633000

マクロスFのライブ人気はとどまるところを知らず、チケットは入手困難だったが、職場の暗黒卿が首尾よく獲得してくれた。

今回の目玉は、何といっても初代マクロスヒロイン、リン・ミンメイを演じた、茨城県の生んだ銀河系最大のスーパーアイドル、飯島真理の参戦である。郷土に錦を飾る意味もあって、彼女は早々に茨城県民文化センターでコンサートを行っており、当時中学生だった自分も観に行きたかったが叶わなかった。あの夢がついに実現するのだ。いやがおうにも気合が入ってくる。

予定より少し遅れて開演。まずは「マクロスF」で銀河の妖精シェリル・ノームの歌を担当するMay'nが登場だ。私の歌を聴けええええええええええええっ!「ノーザンクロス」「射手座」で大盛り上がりのあと、11月公開の劇場版に登場する新曲「Pink Monsoon 」を披露。そして代役からチャンスをつかみ、スターの座を駆け上がっていく超時空シンデレラ、ランカ・リー=中島愛にバトンタッチ。まずは劇場版用の「そうだよ」から入り、「アナタノオト」でどくんどくん盛り上がってから「あの曲、歌っちゃうよ?」と「星間飛行」に突入。「キラッ☆」を連発し、会場はガリア4の第33海兵部隊状態に。

さらにMay'n再登場、「トライアングラー」のシェリル&ランカバージョン、そして2人がデュエットしたオープニング曲「ライオン」で会場の熱気は最高潮である。

その興奮冷めやらぬ間に、ステージに一人、飯島真理が登場した。

そりゃもう40代後半に差し掛かってるわけだから年齢は隠せないが、チャーミングな丸顔と透明感のある歌声は健在だ。

オリジナル曲3曲ほどを歌い、舞台袖に下がる。ミンメイの歌は歌わないのか?しかし、それもやむをえないのかもしれない。飯島はミンメイ役のイメージが強すぎることで悩み、マクロスと決別していた時期もある。渡米、結婚、離婚を経て、今では今回のライブに参加したように、マクロス関連の仕事にも顔を出すようになったとはいえ、当時の歌をそのまま歌うのは潔しとはしないのか。しかし俺はそれでもいい、と思った。このマクロスの祭典に、飯島が顔を見せる。それだけで歴史的なことだ、と、厳粛な気持ちで受け止めていた。

しかし、衣装を変えて再登場した飯島真理は、独自のアレンジを加えた「私の彼はパイロット」を歌ってくれた。原型をとどめていないほどのアレンジだが、問題ない。飯島の声で「私の彼はパイロット」を聞ける。そんな日がまた来るとは思わなかったから、嬉しかった。そしてピアノの弾き語りで、「0-G Love」アレンジバージョンを歌う。劇場版「愛・おぼえていますか」で、エンジンブロックに閉じ込められた一条輝との3日間を描く場面(シャワーシーンあり)での使われ方が印象的な一曲である。「シルバームーン・レッドムーン」と並ぶ、隠れた名曲だ。もうこうなってくると高揚感が押えきれない。続いてのナンバーは「シンデレラ」。飯島自身の作詞・作曲で、劇場版でゼントラーディに捕らわれたミンメイが口ずさむ曲だ。これはほぼオリジナル通り。さらに「ランナー」。テレビシリーズのエンディング曲で、通常はオープニングと同じ藤原誠が歌っているが、最終回の時に、ミンメイバージョンで放送された。これには中学3年生当時、テレビの前でビックリした記憶がある。そのミンメイバージョンのランナーを生歌で聞けるなんて!

「この曲は、私の中に潜むミンメイにささげたいと思います」と告げ、ピアノが耳に覚えのある旋律を奏で始めた。そう、「愛・おぼえていますか」だ。

「みんなも一緒に歌ってください」と聴衆に手を差し出す。その姿が、劇場版でミンメイがこの曲を歌うシーンの前奏で、左手を大きく差し出す姿にオーバーラップする。

この瞬間、確かにリン・ミンメイがそこにいた。

「不思議だ、この歌……ずっと昔に聴いたような気がする……」(ブリタイ)

俺の遺伝子に存在する、カールチューンが呼び覚まされていく。25年の時を越えて、俺にも文化がよみがえったのだ。

気付いたら周りの人も、俺も、大声で一緒に歌っていた。まるで、ミンメイの歌に感化されてマクロスの援護に回った7018アドクラス艦隊に所属するゼントラーディ人のようではないか。

「愛・おぼえていますか」、そしてマクロスシリーズ全体を貫くテーマを、全身で感じ取ることができた一瞬だった。

この感動に恍惚としていたところ、サプライズゲストとして、「超時空要塞マクロスⅡ LOVERS AGAIN」のイシュタル役、笠原弘子が登場。1曲だけ歌ってMCもなく引っ込んでいく。やはり外伝扱い(≒黒歴史)の「Ⅱ」は、笠原のキャリアとして触れられたくないのか。

ライブ後半は、「マクロス7」に登場するロックバンド「FIRE BOMBER」の熱気バサラ、ミレーヌ・ジーナスの歌を担当する福山芳樹とチエ・カジウラが盛り上げる。「7」は断片的にしか見ていなかったので、曲はほとんど知らなかったのだが、いずれ劣らぬ名曲ぞろいで、聴いていて楽しかった。さらにはスペシャルゲストとしてバサラとミレーヌの「声」を担当していた神奈延年(当時の名前は林延年)と櫻井智(同・桜井智)が登場。生櫻井智を見たのは初めてだ。「レモンエンジェル」のイベントに行こうと思ったことがあったが、結局実現しなかった。その夢も実現してしまった。すでに38歳、出産も経験しているというのに、あの可愛さとスタイルの良さは一体何なのだ。やはりアイドルって偉大だ。

アンコール1曲目はシェリル・ノーム&FIRE BOMBE。もともと「7」の歌で、「F」の中でも流れている「突撃ラブハート」だ。そして2曲目がリン・ミンメイ&ランカ・リーによる「天使の絵の具」。飯島真理の作詞・作曲のこの曲は、「愛・おぼえていますか」のエンディング曲であるのは言うまでもないが、俺にとっては高校1年のとき、文化祭のためにクラスで作った映画のエンディングでも勝手に使っていた曲である。カールチューンだけでなく、当時の記憶が鮮明に蘇ってきて、また別の感動が全身に満ちてきた。

最後は、マクロス・イヤーである今年を記念して「超時空アンセム」として飯島真理、FIRE BOMBER、May'n、中島愛が歌って発売した「息をしてる 感じている」(作詞作曲:飯島真理)を全員で。

3時間以上の長いライブだったが、非常に充実した体験となった。「マクロス」世代、「7」世代、「F」世代と、3つの時間軸の合同ライブのため、部分的にノれないパートがある人も多かったと思うが、それはいたしかたのないところだ。特に、「F」世代の人にとって、ミンメイは物語の中でもリアルでも教科書の中の人に過ぎない。それを演じた飯島真理が出てきて、マクロスと無縁のオリジナル曲や、大きくアレンジしたマクロスの曲を歌うのは、我慢ができなかったかもしれない。それは否定しない。

しかし、まさに1982年から84年にかけて、リアルタイムで「超時空要塞マクロス」を見ていた人間にとって、リン・ミンメイの存在は特別すぎるものだ。そして、もし飯島真理が演じていなければミンメイはこれほどの存在感を発揮しなかっただろうし、マクロスの人気もそれほどまでには至らなかった可能性が高い。飯島が存在したからこそ、マクロスのシリーズ化もなし得たのだ。そして、マクロスは宇宙船やロボットが飛び回るSFアニメと、アイドルの世界とを融合させ、新しいエンターテインメントを作り出した。当時、その未体験の感覚に自分たちは熱狂していたが、今となってはそれはアニメの世界ではごくアタリマエの話である。グローバルに広がる日本のコンテンツ産業を大きく方向付けた「マクロス」。その中心にいるのがミンメイなのだ。リン・ミンメイとはまさしく「プロトカルチャー」である。

幕張からの帰りの電車で携帯を見ていると、「愛・おぼえていますか」を作曲した加藤和彦の死を伝えるニュースが流れていた。藤原誠、羽田健太郎、長谷有洋、鈴置洋孝らに続き、また初代マクロスに大きくかかわった一人がこの世を去った。

時間は確実に流れている。しかし、その中で決して変わることなく、受け継がれていくものがある。それが何かを、「マクロス」は教えてくれる。そして今回のライブはその証明となった。今後も折に触れて、こうした企画を実現してほしいものだ。

200910181225001

4000円という超時空価格のパンフレットと、会場で空から降ってきた星。

「マクロス」公式WEBサイト(大きい音出ます)
http://macross.jp/pc/index.html

| | コメント (8) | トラックバック (0)

2009年9月 6日 (日)

ミラノ・スカラ座withバレンボイム「アイーダ」

10月の「アイーダ」東京公演に向け、世間はアイーダ流行りである。東京国際フォーラムでは宝塚版アイーダ「王家に捧ぐ歌」をアレンジした公演を、沢木順や光枝明彦ら四季OBを迎えて上演しているし、来日中のミラノ・スカラ座による、本家本元のオペラ「アイーダ」もある。オペラ「アイーダ」は、数年前に来日公演があった際、観ようと思っていたが実現しなかった。なのでここでぜひ観ておこう、とNHKホールへ。

芸術を解しない自分は、オペラは数えるほどしか観ていない。この前観たのはいつだろう。たぶん2000年の「ウィーン国立歌劇場」で当代髄一のコロラトゥーラ・ソプラノであるエディタ・グルベローヴァが出演した「シャモニーのリンダ」だ。それもNHKホールだった。そして、自分が初めてオペラを観たのもこのNHKホール。1997年11月のことだ。ベルリン国立歌劇場の「ワルキューレ」。あれは一生忘れない思い出だ。そのとき、指揮をしていたダニエル・バレンボイムが、きょうこのアイーダでも指揮を振る。

オペラに限らずクラッシックに限らず、音楽全般において頭にドが3つぐらいつく素人なので、その出来についてここに述べるのは無理である。でも、久しぶりに味わうオペラ会場の空気、フルオーケストラの重厚な音楽とホールの隅々まで響き渡る澄んだ歌声、そして冗談みたいに豪華で立派な舞台装置にはすっかり酔いしれた。またオペラにも通いたいものだ。予定されていたアムネリス役の人が喉を痛めたそうで、この日は代役が舞台に立った。もちろん実力は十分であり、遜色はなかったが、アイーダ、アムネリスが典型的なオペラ歌手体型であるのに対し、このアムネリス役の人が小柄だったせいもあってか、やや2人に迫力負けしている感はあった。あくまで素人目ですが。

さて、このヴェルディの「アイーダ」と、ディズニー版「アイーダ」とは、具体的にどこがどう違うのか。当然自分の興味はそこに向く。現在、ミュージカル「アイーダ」にはヴェルディのオペラを下敷きにしているというクレジットはないが、もちろん事実はそうだ。オペラ「アイーダ」のあらすじを以前読んで、登場人物や大まかな物語はほぼ一緒だが、きっとその関係性とか、描き方が違うのだろうな、と想像していた。

だが、予想に反して、この2つの「アイーダ」はかなり「同じもの」という印象だった。アイーダ、アムネリス、ラダメスの関係はオペラでもきれいなトライアングルを構成しており、下手をすると安っぽい芝居になってしまいそうなほど、純粋すぎる3人の想いが正面からぶつかり合い、観客の心を打つ。

ミュージカルでは、そこに若干の趣向を凝らし、アイーダ、アムネリスという2人の王女が、王女という立場をどう捉えるか、という命題に挑むことになり、その文脈で二人の間に友情めいたものが芽生える。結果、ラダメスの比重が少し下がるが、彼にはゾーザーというラダメスの父を登場させ、親子の対立というまた違った軸を与えることでその存在にアクセントを加え、作品全体におけるアイーダ、アムネリス、ラダメスの存在感のバランスを保っている。

「のまネコ」は「モナー」からインスパイアされて作られた別物らしいが、オペラ「アイーダ」とミュージカル「アイーダ」は、物語の面から言えば、同じものである。そしてミュージカルのいくつかの曲や演出は、直接的にオペラへのオマージュとなっていることも分かった。

そして、同じである以上、改めてミュージカル「アイーダ」においても、主役3人のバランスがいかに大事かということを再確認した。東京公演のスターティングメンバーはどうなるのか。心配なのはアムネリスである。五東由衣も悪くはないけど、華やかで力強い意思を秘めた新アムネリスの誕生を待望したい。もっともアイーダやラダメスもいつまでも濱田めぐみと阿久津陽一郎に頼るわけにはいかないだろう。渡辺正ラダメスといった冗談キャストは脇に置くとして、新キャストがどこまで伸びてくるかも東京公演の楽しみのひとつだ。

何だかますます観たくなってきたぞ。もともと「観れば観るほど」タイプの作品でもあり、キャストによってはまた海劇場に足しげく通ってしまいそうだ。

「ミラノ・スカラ座」来日公演ホームページ
http://www.nbs.or.jp/09scala/index.html

| | コメント (6) | トラックバック (1)

2009年4月29日 (水)

東京ドームシティ「侍戦隊シンケンジャー シアターGロッソに見参!」

4月25日、東京ドームシティにヒーローショー準専用劇場「シアターGロッソ」がオープンした。これまでヒーローショーに使用していた野外劇場「スカイシアター」は閉鎖し、新たにジオポリス1階に建設したものだ。

そのこけら落とし公演は「侍戦隊シンケンジャーショー」の第一弾。シンケンジャーはこの数年のスーパー戦隊シリーズでは「特捜戦隊デカレンジャー」以来の面白さである。時代劇や歌舞伎をモチーフにしており、武器は刀、登場の際には陣幕が張られ、街で悪者が暴れていると鳴子が鳴って知らせてくれる。変身には筆で文字を書くと「モヂカラ」が発生してスーパースーツを蒸着できる。そして、殿を支え、家臣たちを指導する家老役として、なんと伊吹剛が出演しているのだ。

レッドが殿様、それ以外の4人は家来、という明確な身分差があるという設定も斬新だ。またレッドが熱血漢でなくクールガイで、ブルーは殿への忠誠心が過剰すぎて、うざいというかめんどくさい男というこれまでにないキャラクターだ。一方、敵役は三途の川に浮かぶ船を根城とした「外道衆」。人のうらみつらみが三途の川に流れ込むことから、現世で破壊活動を行って三途の川を氾濫させ、その勢いで人間世界を支配しようとたくらんでいる。

ヒロインは久しぶりのダブルヒロインで、そのうちの一人、シンケンイエローにアイドリング!!!11号の森田 涼花(すうちゃん)。これだけで十分観る価値がある。

そのショーが、新設の専用劇場で開幕するというので、これは面白そうだと早々にチケットを確保した。以前、デカレンジャーショーを観たときは、早朝から並んで当日券を買い求めなくてはいけなかったが、この劇場のオープンに伴い、チケットはネットで事前購入できるようになった。席も選ぶことができ、なかなか便利である。

そんなわけで久しぶりにやってきましたジオポリス。入るとすぐに劇場入り口だ。

Grosso01

10時30分のショーを予約していたが、会場に到着したのは9時40分。当日券の残席状況が窓口でリアルタイム表示されており、この段階でまだ残席があった。

Grosso02

この春のキャンペーンで「東京ドームシティ市長」に就任したつるの剛士の胸像とシアター入り口。

Grosso03

シンケンレッドもお出迎えだ。殿自ら庶民にあいさつとは、人の上に立つ者の鏡である。

Grosso08

劇場のとなりにトイレはある(ジオポリス敷地内)が、劇場内にはない。なのでトイレに行くときはいったん出て再入場、という形になるので半券を忘れないようにしよう。

トイレの向かいにはコインロッカーがある。いちばん小さいもので300円。

Grosso05

シアターに入ると、キャパ765席のなかなか立派な劇場だ。傾斜がかなりあるので後方からでも見やすい。ただ、縦長の劇場なので後方の席からステージまでは相当な距離がある。雰囲気は京都劇場の1階席に近いだろうか?

ショー上演中は撮影禁止だが(デカレンジャーショー時代はOKだった)、上演前なら差し支えなさそうなので内部の模様をカメラに収めてきた。客席最後部、中央からの眺め。ステージは相当遠い。

Grosso06

自分が座ったL列下手側からの眺め。ここでも結構距離を感じる。

Grosso07

座席はだいぶシンプルなもので、30分ほどのショーを観るにはなんとか堪えられる、という程度。カップホルダーがあるのはちょっと便利かもしれない。

Grosso04

座席のサイズだが、幅も前後の間隔もやや小さめ。ざっと寸法を測ってきたが、座席の幅は42.5cm、前後の間隔は85cmだった。

さて、オンタイムにショーはスタート。オリジナルキャラクター、さくら姫が登場。シンケンレッドの幼なじみという設定だ。彼女がシンケンジャーとともに外道衆に対し果敢に戦いを挑むというストーリーである。

オープニングは外道衆のまがまがしい酒盛りのシーンで、かなり不気味だ。しかしすぐにアクションシーンの連続。何しろ上演時間が30分しかないので展開は早い。

スカイシアターのヒーローショーの売りといえば、キャラクターたちの「上下移動」である。舞台上に大きな奈落を作り、その下にスタントシーンに使うクッションを用意する。その奈落を目指し、ヒーローや悪役たちがセットのかなり高い位置からぽんぽんと飛び降りるのだ。これが実に小気味いい。

新劇場でも、その醍醐味は忠実に再現されている。ステージの天井が非常に高く(「ミス・サイゴン」のホーチミン像も入りそうだ)、セットはスカイシアターにあったものと同じぐらいのサイズで作られていた。

さらに、スカイシアターでは上から下への移動、つまり飛び降りるという動作しかなかったのに対し、新劇場では下から上への移動も実現した。ワイヤーアクションによる宙吊りの演出である。これは今までのショーの魅力を踏襲し、さらにそれを発展させたという好事例と評価できるだろう。

また、これまでは野外なのでできなかった映像を用いた演出もふんだんに盛り込まれる。まだ練れていない印象はあったが、今後公演を重ねていけば、リアルと映像をうまくミックスさせた新しい演出も生まれてくるのではないか。

ストーリーは単純だったが、クライマックスでシンケンレッドとさくら姫が子供のころの思い出を語りあるシーンなど、思わず涙が出そうになった。最後は会場の小さなお友達に「夢を持て。真剣に生きろ」と諭すが、大きなお友達には耳の痛い話ばかりである。

今後シンケンジャーショーは何バージョンか作られていくだろうが、冬になったらまた俳優登場の「素顔の戦士たち」を上演してくれるだろうか?してほしいなあ。会場は相当数のアイドリング!!!ファン様たちで占められるだろうが。

さて。

自分がチケットを買ったのは3月中の話である。単純にこのヒーローショー劇場建設というのが面白そうだ、と思って予約したわけだが、つい先日、NHKホールで行われたAKB48のコンサートで、AKBがここを第二劇場として使用することが発表された。何とまあ、俺の嗅覚の鋭さにはあきれるばかりである。

しかし、いったいここをどう使うというのだろう。確かにキャパ700以上というのは魅力的だ。しかし、土日はヒーローショーで埋まっているわけだから、基本は平日公演に使うということだ。平日にキャパのでかいハコを使い、週末は今までの小さい劇場を使うというのか。ちょっとちぐはぐな感じがする。

土日の夜、という目はある。ヒーローショーは夕方で終わってしまうからだ。ただ、それだとセットの撤収と現状復帰はできないだろう。セットはそのままで、ステージの前のほうのスペースだけ使うのか。それはできるかもしれない。

座席が狭いので、2時間も座っているのはつらいだろうが、これは現在の劇場と比べたらずっと快適なのだから我慢はできる。いや、この劇場だとスタンディングOKになるのかもしれない。それはそれで、もう若くないこっちにはつらいんだが。

ステージとの距離を感じさせてしまう構造なので、この劇場で観る場合には前方、座席表で言うとK列までに座らないともったいないだろう。座席は今のように当日の抽選で決めるのか。それともネットで事前に座席予約ができるようになるのか。

AKBの発表には企画倒れになることも多いので、どうなることやらではあるが、より詳細な情報が出てくるのを気長に待つとしよう。

シアターGロッソのWEBサイト
http://www.tokyo-dome.co.jp/g-rosso/

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年5月 5日 (月)

なんばグランド花月を見学

午前中の時間がばかっと空いたので、吉本興業の本拠地、年中無休のなんばグランド花月へ初めて行ってみることに。GWということで連日4回公演を実施中だ。

200805050734000

チケットはネットでも買えるが、直前に思い立ったのでもちろん売り切れ。当日券を狙い一回目9時45分開演のところ、7時30分ぐらいにやってきた。しかしまだシャッターが閉まっていて並ぶことができない。仕方ないので近くの金竜ラーメンで朝ごはん。

200805050743000

最近大阪での3食は朝→ラーメン、昼→お好み焼き、夜→ホルモン焼き、が定番になりつつある。

8時5分前ぐらいにまた行ってみるとシャッターが開いていて、「この看板から列をつくれ」という表示のところに並ぶ。一番乗りだ。8時10分ほどに2番目の方が並び、8時30分には20人ぐらいになる。9時の発売時点では40人ぐらい並んでいただろうか。この日、指定の当日券は1枚もなく、立ち見席を購入した。立ち見でも入れるだけでラッキーだ。

立ち見エリアは1階のいちばん後ろ。そんなに広くない劇場なのでそれなりによく見えるのだが、このエリアにかなりの人数が押し込まれるので、いちど場所を確保してしまうとトイレに行くこともままならない。数人で来ればなんとかなるのだろうが、一人で立ち見はちょっと厳しい。8時から並んで開演の9時45分まで、そしてそのあと終演の12時15分までずっと立っているのは体力的にも重労働だ。立ち見の最前列の人たちはみな床に座り込んで観ているが、そのポジションを確保すれば多少楽だったかもしれない。

とにもかくにも9時半になるともう前説がはじまり、場内がだんだん寄席の雰囲気になってくる。2時間半に及ぶ公演は、若手・ベテランの演芸が7,8組続き、10分の休憩をはさんで50分ほどの吉本新喜劇、という構成だ。

この日の出演者は、有名どころでは桂文珍、大木こだま・ひびき、中川家。文珍の話芸、特に客席と呼吸を合わせるその技術は国宝級だ。大木こだまは「お笑いスター誕生」でまだ「大木こだま・ひかり」だったころから見ていたが(当時自分は小学生)、最近「チッチキチー」のネタでついに全国区となった。生で観るとあのダミ声の迫力はすさまじい。中川家は大好きなコンビなので観られて嬉しかった。テレビでは控えめにしか披露したことのない北朝鮮ネタを大々的に披露。文珍も反日ネタを入れるなど、きわどいネタを聞くことができるのもライブならではの魅力だ。

お笑いスター誕生といえば、「Wコミック」を見られたことも貴重な体験だ。Wコミックは、田口れんじが相方を変えながら続けているコンビだが、お笑いスター誕生放送中にも相方を変えていた記憶がある。田口れんじ、と言ってわからない人も「いちにのさーんのしのにのご」の指芸をする人、といえばあるいは思い当たるかもしれない。あの地味な芸一本で30年近いキャリアを築いているのだからある意味偉大だ。

また、海原やすよ・ともこも楽しかった。海原一門というと、やはりお笑いスター誕生に出ていた海原さおり・しおりを思い出すが、彼女らと同様、大阪女性のかわいらしさと毒とを共存させる漫才は好感度が高い。ところで、この2人は海原一門の始祖であるお浜・小浜の孫ではあるが、師匠は中田ボタンであり正確には海原一門ではないのだそうだ。これは知らなかった。

そして大いに楽しみにしていた吉本新喜劇。最近は関東在住の自分もCATVで日常的に観ることができるようになった新喜劇をライブで観ることは念願だった。

この日の座長は小籔千豊。辻本茂雄や前座長の石田靖らの豪快なキャラクターとは異なり、ひょろりとした長身と細かい芸、緻密に計算した笑いで舞台の空気を創り出す、独特な雰囲気の芸人だ。若い座長が自分のセンスと、伝統的な新喜劇のメソッドを融合させて生み出すその世界は古くて新しい。大阪の人だけでなく、全国のファンが愛してやまないのもうなずける。

演目は「こやせん」で、「ごくせん」のパロディー。学園ものということで、無理のある制服姿が続出。前田真希ちゃんは先生役ということでセーラー服を着てくれなかったのが残念だ。

ベテランのギャグでは井上竜夫の「おじゃましまんにゃわ」を堪能。あと、何の芸もなく正式な新喜劇の団員でもないらしいがMr.オクレの異様な存在感に圧倒された。

新喜劇は座長によってだいぶ方向性が異なるという。ぜひまた足を運びたいものだ。

なんばグランド花月のWEBサイト
http://www.yoshimoto.co.jp/ngk/

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007年12月16日 (日)

ブルーマン東京公演 2回目

体調が次第に悪化しているものの、ブルーマンだけは欠かせない。

終演後のロビーパフォーマンスもぶじに継続しているようだ。ずすさまじい人だかりで、写真を撮るのは容易ではない。

グッズ売り場では相変わらず心をひかれるものがないが、話のネタに「ぶるーまんじゅう」を購入。

味はといえば、マイナーな観光地の土産物売り場にあるような、いたって普通のおまんじゅうである。

あんが青色だったり、赤や黄色のペンキ(状のもの)が吹き出してきたり、ということは特になかった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年12月 1日 (土)

ブルーマン東京公演 開幕

待ちに待った「ブルーマングループ IN 東京」が12月1日、新設の「六本木インボイス劇場」で開幕した。運良く抽選による先行発売で初日のチケットを確保できたので、意気揚々と六本木へ向かう。

「私とブルーマン」という題で作文を書き始めると止まらなくなってしまうが、1996年末、自分は初めてニューヨークで何本かの舞台を観た。その中で最も衝撃的だったのがこのブルーマンだ。顔面を真っ青に塗り、言葉を一切話さない3人のブルーマンによる、抱腹絶倒の舞台。そして最高にクールな音楽。まざまざと見せつけられたオフ・ブロードウェーの実力は、自分をエンタテインメントの世界にさらに深くのめりこませるのに十分だった。その後、しばらく間を置いて2005年、そして昨年末にもまた同じ場所で観た。すでにブルーマンは米国各地、そしてヨーロッパでも上演されているが、自分はニューヨークのAstor Place Theatre以外で彼らを目撃したことはない。

さてインボイス劇場は、六本木ヒルズ方面から行くなら、けやき坂を下った突き当たりにある。六本木駅からも麻布十番駅からもそれなりに時間がかかるので、出かけるときは十分に余裕を見たほうがいいだろう。

Bm1

また、劇場までは階段を4階分も登らなくてはいけない。エレベーターもあるが、基本的にバリアフリー対応と思われるので、ここは元気に階段でどうぞ。

階段を上るとそこに劇場がある。なんとなく、かつての赤坂ACTシアター(もとは四季の赤坂ミュージカル劇場)を思い出させる。その最後の公演が、アルゼンチンのパフォーマンス集団「De La Guarda」による「Villa Villa(ビーシャ・ビーシャ)」だった。ブルーマンとともに、オフ・ブロードウェイのアバンギャルドなパフォーマンスとして人気を博した作品である。まさかブルーマンよりはずっと後発の「Villa Villa」が先に東京に来てしまうとは思いもよらなかった。ブルーマン誕生のいきさつに、日本人プロデューサー出口最一氏(元劇団四季)がかかわっていることもあり、かなり前から日本公演の噂は絶えなかったが、なかなか実現しなかったのである。

つい話がそれてしまうが、劇場の中に入ってもやはりACTシアターっぽいつくりだ。そこそこの広さのあるロビーは、薄暗く、小ぎれいではあるもののどこか怪しさが感じられてなかなかいい雰囲気だ。天井には、もともと公演のタイトルにもなっていた「TUBE」もうねうねと張りめぐらされている。

Bm2

グッズ売り場を覗くと、あまり魅力的な品揃えではなかった。またパンフレットというか、ブローシャーも1500円で売っているが、これはAstor Place Theatreで売っている、写真と、わずかな文章を配したものと基本的に同じ。和訳がその文章の下に付いているだけだ。

客席に入ると、オール1階席の横に広いタイプの劇場で、なかなか観やすい構造だ。ただ、やはりたった3人のパフォーマンスを観るには、少し広すぎるように感じる。ブルーマンには、自由劇場ぐらいの大きさの空間がふさわしい。そうだ貸してやれ、自由劇場。

というわけでいよいよ開演。ここから先は、だいぶネタバレします。ブルーマンは「意外性」がひとつのカギなので、できれば何の情報も持たず観ることをお勧めします。ですから、今後この東京公演や、NYなど海外でブルーマンを観る予定のある人は、読まないほうがいいでしょう。また、NYで観て、今回の東京公演はいったいどうなるんだろう、とドキドキしている人も、そのドキドキ感は劇場までお持ちになったほうがいいと思います。

そして観るかどうか迷っている人へ。世界トップレベルの破壊力を誇る極上エンタテインメント、それがブルーマンです。そのハイクオリティーを維持したまま、ブルーマングループが日本に乗り込んできて繰り広げる今回の東京公演。見逃す手はありません。自信を持って皆さんにお勧めします。口で説明するのは難しいですが、ぜひ、体験してください!

というわけで、限られた人だけ(もう東京公演観ちゃった人など)続きをどうぞ。

続きを読む "ブルーマン東京公演 開幕"

| | コメント (0) | トラックバック (0)