東京ディズニーランド 帰ってきたキャプテンEO
7月1日、東京ディズニーランドで「キャプテンEO」が復活した。1987年から1996年までの間上演されていた、マイケル・ジャクソン主演の立体映像。1年間の限定公開というが、復活を心から喜びたい。
自分が初めて東京ディズニーランドに行ったのは、大学卒業間近の1991年2月のこと。大学の県人会メンバーで行くことになった。自分が真っ先に興味を持ったのが1989年オープンの「スター・ツアーズ」とこの「キャプテンEO」だった。よくいる映画好きの学生としては、製作総指揮ジョージ・ルーカス、監督フランシス・コッポラと聞けば観たいと思うのが当然だ。
その日、2つのアトラクションにいたく感動し、それから就職までの2カ月で5回ほどパークに行った。就職してからも、ふらりとパークを訪れてはキャプテンEOを楽しんだ。シアター形式のアトラクションだから、一人で行ってもぜんぜんOKである。まあ今はシアターでなくても一人で乗ってるけど。
96年のクローズは本当にさびしく、終了間際には1日に4回も観たりした。もう二度と観られないと思っていたので、復活が発表されたときは本当にうれしかった。初日は平日だったし、先週末は出張だったので、やや出遅れた感はあるが、14年ぶりの再会を果たすことができた。
この作品の魅力を構成する要素は数多い。まずマイケル・ジャクソンの存在。さほどファンとも言えない自分だが、そのカリスマ性に満ちた歌声と動きは、文字通りスクリーンを飛び出して観客に何かを訴えかけてくる。
そして3D映像。1985年のつくば万博で数々の立体映像が披露され、すでに偏光メガネ方式の3Dは手法として一般的だった。当時立体映像はビックリ仕掛けであり、立体であることが目的だった。だがキャプテンEOは、3Dはあくまで演出手法のひとつであり、最終的にはコンテンツとしての完成度で勝負していた。そこに感動したのだが、実はその問題意識はすでにつくば万博で感じていた。つくば博で偏向メガネ方式の立体映像は、鉄鋼館、住友館、日立グループ館などが採用していたが(富士通パビリオンは赤青方式だった)、鉄鋼館は刀を客席に向けたりして怖がらせていたのに対し、住友館は美しい映像と坂本龍一の音楽が融合した、作品として質の高いものだった。当然自分の印象は住友館のほうが強い。単に立体だけではダメなのだな、と高校生ながらに感じていた。
次に明確な世界観と単純なストーリー。「歌とダンスで世界を変える」という、ノウテンキな設定にものすごいお金と人が動く。これぞエンターテインメントではないか。
さらにジョージ・ルーカスの存在。前半の宇宙船チェイスのシーンはまさしくエピソード4のデス・スター攻防戦で、最初に見たときスター・ツアーズと合せて「ああ、ルーカスは初めからこういうことがしたかったのだな」と思った記憶がある。
最後にフランシス・コッポラの存在。巨匠であることは間違いないが、馬鹿映画の巨匠でもある。「ゴッドファーザー」「地獄の黙示録」で得た富と名声を一発で吹き飛ばしてしまった馬鹿映画「ワン・フロム・ザ・ハート」。キャプテンEOの中にはその雰囲気を感じ取ることができるのだ。コッポラといったらゴッドファーザーしか知らない人は、ぜひキャプテンEOでアナザー・パート・オブ・コッポラを知ってほしい。
と、語り出せばキリがない。要するにそれだけこの作品には深い思いがある。
さて、復活したキャプテンEOだが、エントランスのメイキング映像も含め、当時と同じものを楽しむことができる。設備はミクロアドベンチャーの仕掛けを使っているため、当時にはなかったハード的な演出が追加された。逆に、なくなった演出もあるが、まあ気になるほどのことはない。
8時半オープンの日で、自分は8時から並んで45分ごろ入場、一直線にキャプテンEOに向かい、発行されたファストパスが11時~12時。そのままスタンバイ列に並ぶと、70分待ちと言われたが30分ほどで入場できた。理由はなぞ。朝のFP回収率は読みにくいのか、このアトラクションでまだ十分な経験則が得られていないのか。いずれにしても暑かったので待ち時間が短かったのはよかった。
冒頭のシーンで、昔は必ず岩に手をのばす子供がいたものだが(いや、大人も手をだしていた)、いまどきの子供はそういうことはしないらしい。3Dなど珍しくもないからだろうか。最近の美しい3D映画しか知らない世代は、「何だこの暗くて見づらい映像は!」という印象を持つだろう。CGを使わない「特撮」やクレイアニメーションは、かえって新鮮に感じるかもしれないが。
しかし、この映像の正しい楽しみ方は、80年代後半から90年代前半に心をタイムスリップさせて、当時の気持ちで鑑賞することだろう。
こんな説明書きもされていた。
やはり楽しいキャプテンEO。この1年で何回見られるだろうか?そういえば、「スター・ツアーズ2」はいつ完成するのだろう。日本上陸は?こちらも楽しみだ。
キャプテンEO アトラクションのホームページhttp://www.tokyodisneyresort.co.jp/tdl/tl/atr_captain.html
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