四季「ソング&ダンス 55ステップス」アリエル花代のありえないキュートさ
「ソング&ダンス 55ステップス」福岡公演が19日から始まった。ヴォーカルパートは開けてびっくりの豪華な顔ぶれ。男性陣に金森 勝、高井 治、福井晶一、女性陣に井上智恵、鈴木ほのか、木村花代ときたもんだ。豪華というより、キャスティングしたの俺だろ、というぐらい個人的に好きな役者が並んでいる。こりゃあ行かないわけにはいかない。福岡が俺を呼んでいる。数日前に預金残高を見て愕然としたほど財政はひっ迫しているが、AKB武道館コンサートのDVDボックス購入を先送りして費用を捻出し、2月の「ミス・サイゴン」以来久しぶりの福岡へ。
この日、福岡は意外なほど寒かった。現地の人の話では、その前の週まで今年は冬が本当に来るのか疑いたくなるほどの陽気だったという。そして劇場に着くころには雨が降ってきた。
福岡シティ劇場に入り、エスカレーターを上がる。まずはこの日の顔ぶれを再確認して悦に入ってやろう、と思いキャストボードの前へ。
今年の正月、この公演に一瞬だけ登場した木村花代が、ポジションを「娘役パート」に変えて復活だ。このトリオはいい。鉄板過ぎる。ぜひなんらかの作品で共演してほしい組み合わせだ。
そして男性陣に視線を移すと……
Σ( ゚ Д ゚ )
(つд⊂)ゴシゴシ
゚ ゚ ( Д )
何と福井晶一が渡辺正に変わっている。福井がいなくなるだけでも大打撃なのに、よりにもよってこの男だ。いったい何があったのだ。「雨男」「雨女」のように、渡辺正運が極端にいい(悪い?)人がいるのだろうか。
……俺か?
俺が連れてきちまったのか?
だとしたら福岡のみなさんごめんなさい。せめて一緒に東京に連れて帰ります。いや、それをしたら海劇場で泣く人がいるからだめだ。
というわけで、本日のキャストはこう。
| ヴォーカルパート | 金森 勝、高井 治、渡辺 正、井上智恵、鈴木ほのか、 木村花代 |
| ダンスパート | 鎌滝健太、斎藤准一郎、君島龍矢、徳永義満、萩原隆匡、 花島佑介、朱 涛、新庄真一、前田順弘、 加藤久美子、駅田郁美、徳江みさほ、須田綾乃、 柴田厚子、井上佳奈、小菅 舞、原田麦子、今 彩乃、泉 春花 |
どーんとモチベーションが下がった状態で開演。舞台上の花代様のお姿を見ているうちに、なんとかテンションも上がってきた。
男性陣では、金森勝(キム スンラ)が初見だ。あれだけ舞台の上で見ている役者さんだが、素顔を見るのは初めてのような気がする。いつもライオンや猫や、隈取り状態だったからね。どことなく矢島健一を思わせる風貌だ。作品に強烈なアクセントを加える独特の高い声には、荒川務の甘い響きとは正反対の鋭さがある。「エビータ」のナンバー「飛躍に向かって」を聞きながら、金森チェはアリだなあ、と感じた。もともと「ジーザス・クライスト=スーパースター」のユダと共通点の多い役である。ユダをあれほど印象深く演じた彼のチェを見てみたいと思うのは自然な話だ。
そして何といっても木村花代の娘役。「ソング&ダンス」では、いつもこのパートが物足りないと感じていたから(趣味の問題だけど)、これは嬉しい。
「ライオンキング」の「シャドーランド」をソウフルフルに歌い上げたかと思えば、なつかしや「マンマ・ミーア!」の「I have a dream」を娘度200%で熱唱。贔屓目だけど、まだまだソフィ役いけるじゃないか!そのあと「Slipping Through my fingers」でほのか様とのデュエットも実現。うーん美人親子だ。声の相性もいい。ぜひ次のマンマ・ミーア!はこのコンビで。
そしてとてつもなく楽しみにしていた「リトル・マーメイド」の「Part of your world」。ちょっとセクシーめの緑のドレスで登場し、深海から地上の世界を夢見る、人魚アリエルの思いを情感たっぷりに歌う花代さまのキュートなこと!この大好きな曲を彼女が歌うだけで幸せいっぱいだが、期待どおりのパフォーマンスだ。ずっと繰り返し聞いていたかったほどである。
ディズニーのアニメーションとしては、「リトル・マーメイド」は「美女と野獣」に負けず劣らず好きである。ヒロインだけに限って言うなら、理屈っぽいベルよりだんぜんノウテンキなアリエルだ。こうなると、ぜひミュージカル版「リトル・マーメイド」での花代アリエルを見たいと思うのが人情だが、正直なところあの作品は凡作だ。日本に輸入されることはないだろう。
二幕はちょっと出番が少なくて残念だったが、「名も知らぬ人」はさすがに歌いこんでいるだけあって聞きごたえ十分。あと、「メモリー」でちょこっとだけ登場する花代シラバブは貴重だ。
さて問題の渡辺正。何度かこのブログでも言及しているように、別にこの役者は嫌いじゃない。むしろ、使い方次第で実に味のあるいい存在感を発揮できる逸材だと思う。しかしその起用法が、いつもファンに喧嘩を売るような形で登場するので、どうも悪いイメージがついてしまう。そういう意味ではこの男も被害者である。
彼の「ソング&ダンス」は名古屋で見ているが、今回パートが変わったことで「キャッツ」ラム・タム・タガーのナンバーを歌った。これが実に珍妙でおかしかった。何というか、忘年会の余興でハッスルしてる課長さんみたいなのだ。見ている側も、ノッてあげたいけどいかんともしがたい感じで、微妙な反応になってしまう。つい、島本和彦の出世作「炎の転校生」(1984年)で、全校集会でマイケル・ジャクソンのものまねをして生徒の不興を買った技北先生を思い出した。
これ↓
まあ、前回見たときもさほど悪い印象はなかったし、それなりに彼の持ち味は出せていると思う。だが「名も知らぬ人」はその前にアレキサンダーズ・ラグライムバンドでダンスを披露した鎌滝健太にそのまま歌わせろよ、って感じだったし、福井晶一の「スーパースター」は余計に金を払ってでも聞きたかったのが本音である。
それにしても今回の劇団四季のやり方にはほとほとあきれ果てた。やっていいことと悪いことがある。開幕の1~2週いい役者をそろえる、というのは今に始まったことではないが、たった2.5日で看板役者を引っ込めてしまうとは。全国公演のチケット売り出しに合わせたタチの悪いプロモーションと見られても仕方がない。その気はなかったとしても、李下に冠を正さず、と言うではないか。いったい四季の羞恥心はどこを向いているのか。
ところで、バトンの金メダリスト泉春花は、このまま全国に突入するのか?終了後、燃え尽きて退団したりしないでほしい。ぜひまたほかの作品での活躍を見たいものだ。つうてもバトンが生かせる役とほかにないしなあ。史上初の女ヘロデ?ないない。
「ソング&ダンス 55ステップス」ホームページ
http://www.shiki.gr.jp/applause/songdance55/index.html
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