何度目の帝劇か? レ・ミゼラブル2017
ジャン・バルジャン | 吉原光夫 |
ジャベール | 岸 祐二 |
エポニーヌ | 松原凜子 |
ファンテーヌ | 知念里奈 |
コゼット | 生田絵梨花 |
マリウス | 海宝直人 |
テナルディエ | 橋本じゅん |
テナルディエの妻 | 鈴木ほのか |
アンジョルラス | 上原理生 |
前シーズンは結局持っていた日すべて行けず、チケットを無駄にしてしまったのでだいぶお久しぶりなレ・ミゼラブル。
今回のキャスト発表では衝撃を受けた。コゼットに生田絵梨花、テナルディエの妻に鈴木ほのか、そしてテナルディエに橋本じゅん!キャストを聞いてテンションが上がったのは何年ぶりだろう。福井晶一や吉原光夫の起用はもちろん嬉しかったが、ある意味それは順当といえば順当だった。むしろ堀内敬子と安達祐実がコゼットとして舞台に立った2000年キャストの衝撃に近い。
というわけでこの3人がそろう日に帝劇に足を運んだ。
まず生田コゼット。アイドルの起用には拒絶反応を示す人も多いだろうが、自分は言うまでもなくアイドル大好きなのでウェルカムだ。
それに、以前もこのブログで書いたけど、コゼットなんて可愛けりゃいいのである。異論は認める。
だってフルのソロナンバーもないし、芝居もだいたいバルジャンがカバーしてくれるから、さほど高い演技力も必要としない。一方、マリウスが一瞬で人生見失うレベルでベタ惚れするわけだから、可愛くないと説得力がない。だから可愛さがいちばん重要なのだ。まあ最初に観たコゼットが斉藤由貴だったという刷り込み効果もあるとは思うが。
どちらかというとこの舞台でのコゼットは振り回され役なので、ぽわーんとした表情の子のほうが合っていると思う。そういう意味では、生田のきりっとした表情はコゼット顔ではないかもしれない。
けど、とにかく可愛い。可愛さのレベルを測る尺度として、コゼット登場前にどれだけ目立てるか、というのがある。ご存知のように、レ・ミゼラブルではメインキャストもアンサンブルをこなしており、コゼットはコゼットとして出てくる前に、工場労働者や娼婦の役を演じている。ここで「あーいるいる」と気づかれてしまうレベルだったらそれはいいコゼット。もちろん芝居的にはそれじゃ駄目なんだけど、その隠しきれないぐらいの可愛さがあってこそ、マリウスを瞬殺できるのだ。
生田はもうどの場面でも「アイドル通ります!」ってオーラが出ていて、ラオウがヒリヒリしておるレベル。そうそうこれだよ!と序盤からニヤニヤしながら観ていた。
演技もメリハリの利いた表情で、吉原の濃いめのバルジャンと相性がぴったり。そして歌は、さすが乃木坂一の音楽家、音程はばっちりだ。ただ、やっぱり舞台をばりばりこなしている役者の中に入ると、どうしても声の細さは否めない。自分としては許容範囲だが、物足りないと思う人もいるだろう。
次に鈴木ほのかのマダム・テナルディエ。コゼット、ファンテーヌに続く3役目。もちろんコゼットもファンテーヌも見ている。そして、東宝でイマイチいい役につけなくて、もったいないなーと思ってたら突然四季のマンマ・ミーア!のドナに引き抜かれたときはぶったまげたものだ。
鈴木ほのかは決して歌や演技に派手さはないが、とても安定感があるし、美人なのにどんな役にも自然になじむ顔立ちなので、もっと多くの役を演じて欲しいものだ。日本で上演されるミュージカル作品は役そのものがやっぱり少ないのかなあ。ミス・サイゴンのエレンとか、役不足もいいとこだろ。
で、そのマダム・テナルディエだが、この役はこうあるべき、というイメージを持って、その輪郭をはっきりさせている雰囲気だった。見ようによってはデフォルメし過ぎ、と感じるかもしれない。個人的には、もっと自然に、鈴木ほのからしい、チャーミングなマダム・テナルディエでもいいかな、と思った。
そして橋本じゅんのテナルディエ。自分が橋本じゅんを最初に観たのは1995年の新感線「星の忍者」だった。その後海外に渡り、帰国していきなり「ドラゴンロック」シリーズの轟天として強烈な印象を残して新感線内の地位を確立させた。テレビなどの仕事も増え、今ではすっかり有名人だ。とにかく轟天が大好きな自分としては、舞台でも映像でも橋本じゅんが出てくるだけでうれしい。その橋本が、これまた大好きなテナルディエを演じる。これは最高すぎる。
轟天や「阿修羅城の瞳」の祓刀斎のイメージがあるから、ついギトギトの背油ノリノリなテナルディエを想像してしまっていたが、予想に反してマイルドなテナルディエだった。何というか、小物感が強い。どこか人の良ささえ感じてしまう。いや、これはこれでアリではないか。テナルディエは悪党は悪党だが、激動の社会をしなやかに力強く生きている、という側面もある。小悪党は小悪党なりにうまく立ち回り、隙あらば這い上がろう、としている、そんな逞しさを感じるテナルディエだ。アドリブもちょいちょい入っていて、今後も楽しみ。
というわけでこの3人はそれぞれに面白かった。今回の帝劇ではあと2回チケットを持っている。福井晶一の声も聴きたいし、やはり初登板のシンケンブルーも気になる。ただ、コゼットは3回とも生田絵梨花です。
レ・ミゼラブルのウェブサイト
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
久々のブログ更新嬉しいです!
とても楽しく読ませて頂きました。
私も先日2年ぶりのレ・ミゼラブルを観てきたのですが、私の中のキャスト組み合わせ優先順位は、福井バルジャン・じゅんさんテナルディエ・海宝マリウスだったので、ほのかマダムは泣く泣くあきらめました。
コゼットも生田さんではない人でした。
ほのかさんがマダムテナルディエ、と発表された時から全く想像がつかず、今だにイメージが湧きません。
どんな感じだったんだろう!あーやっぱり、もう1回分チケット取っておくべきだった!!!と歯ぎしりです。
私が観た日のコゼットはあまり印象にありません。生田さんなら華があって強く印象に残ったのでしょうねぇ。。これまた観られず残念。
じゅんさんテナルディエの「小物感」には同感。ずーっとニヤニヤしながら観てしまいました。
アドリブを入れずに台本に忠実に演じていても、ちょっとした間が絶妙で笑いを誘うところは流石だなーと思いました。風ドクロでの登場も今から非常に楽しみです。
福井バルジャンも良かったですよー!
あの温かみのある声でブリング・ヒム・ホームを歌われると、もう、ほんとたまらないです。涙腺が。
投稿: 抹茶オリーブ | 2017年6月15日 (木) 14時47分
こんにちは。ほのかマダムもじゅんテナルディエも、もうちょっと熟成したほうがいい味が出そうです。福岡あたりで観たいですね
投稿: ヤボオ | 2017年6月16日 (金) 22時21分
小南さんも超可愛いですよ!
今回はコゼットが近年まれにみる豊作だと思います。
投稿: ぴけ | 2017年6月28日 (水) 22時39分
そうですね!コゼットが可愛いとモチベーション上がります。
投稿: ヤボオ | 2017年7月 9日 (日) 18時24分
中日劇場での大千秋楽を迎えた福井さんのブログを見た時に、2015年の投稿以来更新されなく残念に思っていたのですが、ふと覗いてみましたら、レミゼ記事で久しぶりに再会されたていたので、嬉しく拝見しました。今回公演では、福井さんだけを見ましたが、映画に近い新しい演出版と、福井さんの魂こもった演技に魅了されました(滝田栄はなんだったんだろう??と終演後に思いだしていました。) また更新して下さるのをファンとしてお待ちしています。
追伸: 蛇足ながら、ミスサイゴンの25周年ロンドン公演はご覧になりましたでしょうか。レアサロンガが発掘されたように、今公演でキャメロンマッキントッシュに発掘された、若き韓国俳優がいます。 youtube で検索できるのですが、そのドキュメンタリーをチェックして頂けたら幸いです。 気に行って頂けると思います。
投稿: マイク | 2017年10月18日 (水) 10時13分
ミス・サイゴンのブルーレイ観ましたよー。作品としてはいまいち好きになれないですが、アジア系俳優の活躍の場を広げてくれるので大事にしたいです
投稿: ヤボオ | 2017年10月22日 (日) 22時04分