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2015年4月 8日 (水)

ミュージカル「デスノート」

デスノートが舞台化されると聞いても、さして驚きはなかった。これだけのコンテンツだ、そんな話があってもぜんぜん不思議じゃない。もし宝塚でやる、という話だったら、ちょっとはビックリしたかもしれないが。

だが同時に、そんなに観たいとも思わなかった。映画のクオリティーが高くて満足していたからだろうか。あれ以上のものにするなら、相当原作と離れないといけないし、そうなると逆に興味が薄れる。どっちに転んでもあまり俺好みの作品になりそうにない。

でも出演者を聞いて気が変わった。濱田めぐみが死神レム。いったい誰がそんなすごいこと思い付くんだ。あ、ホリプロか。いやそんなことどうでもいい。これは観たい。観なくてどうする。

というわけで観てきましたミュージカル『デスノート』。

夜神 月 柿澤勇人
小池徹平
弥 海砂 唯月ふうか
夜神粧裕 前島亜美
レム 濱田めぐみ
リューク 吉田鋼太郎
夜神総一郎 鹿賀丈史

ここからネタバレありです。

まずめぐ様。四季退団後、どうも個人的にはぐっとくる役がなかったのだがこれはいい。曲が彼女の声にぴったりしてたのか、その声を存分に堪能できた。押さえぎみの演技にも迫力があった。何よりかなり濃い目のメイクと衣装なんだけど、実に美しい。結局それかよ。

主役の月(ライト)はダブルキャストで、この日は柿澤勇人。柿澤っつったらやっぱり四季の『春のめざめ』メルヒオール。本人はもうそのイメージ消したいのかもしれんが、あれはやっぱりハマり役だった。そして今回の月役が、かなりメルヒオール要素強し。最初のシーンがアレだから、もういつ懐からマイク取り出すかハラハラするほど。それはさておき、歌唱力が四季時代よりぐんとレベルアップしていて、聴いてて心地よかった。

対するL役に小池徹平。演技がうまいのは知ってたが、歌があんなにうまいとは。CD出してるから当たり前っちゃ当たり前だが。ストーブさんやるじゃん。

夜神月の父、総一郎には、映画でもこの役を演じた鹿賀丈史。これはよくキャスティングしたなと思う。この数年、言葉が出にくい様子なのが痛々しいが、本人の気力は非常に充実しており、さすがの存在感で舞台をおおいに引き締めていた。

そして、何といってもこの舞台の主役とも言えるリューク役の吉田鋼太郎。近年はテレビで観ることが多くなり、最近は「ウロボロス」の怪演も記憶に新しい。しかしもともとは舞台俳優なので、そのポテンシャルを目の当たりにすることができてうれしい。全体的に重くなりがちなこの舞台を、やりすぎなほどのエンターテイナーぶりで楽しいものに変え、最後はおいしいところを全部持っていった。

アンサンブルでは個人的な趣味だけどやっぱり森実友紀に目がいくよねー。マンマ・ミーア!をさんざん観た身としては。

というわけで、全体的に俳優さんたちはみな充実した仕事ぶりで、観ていて本当に楽しかった。これだけの役者を集めるのって、やっぱりホリプロみたいなところじゃないとできない芸当なんだろうな、などと思ったりもした。

だが、舞台作品としての完成度は、若干物足りないところもある。

人によって感想は異なるだろうが、個人的には脚本がちょっと、うーん、な感じだった。

ストーリー構成はまあこんなものかな、とも思ったのだが、ところどころセリフに「えっ?」というような違和感をおぼえることが多い。夜神総一郎の唐突な「これはLに頼むしかないな!」は、映画「デビルマン」の「ああ、サタンだからな!」並にズッコケた。

また曲の歌詞も、四季の翻訳以上に違和感ありまくり。ミュージカルの歌詞なんてよく聞こえないものだが、聞こえなくてもヘンな言葉が並んでいると不協和音になってしまうのだと知った。

スタッフの顔ぶれを見ると、音楽は「ジキル&ハイド」のフランク・ワイルドホーン、作詞が「カルメン」のジャック・マーフィー、脚本が「ボニー&クライド」のアイヴァン・メンチェル。なるほど、海外スタッフが書いたものを翻訳したからカクカクした感じになっちゃってるのか。

世界に通じる作品を、という意気込みは素晴らしいし、海外スタッフとのコラボレーションは日本の演劇界にも絶対にプラスになる。でも、世界に通じる作品を作ることと、海外スタッフを招き入れることはイコールじゃない。もう少し時間をかければもっと練れたものになったのかもしれないが、今回に関して言えば消化不良に終わってしまった感は否めない。

「デスノート」という素晴らしい題材に、これだけのキャストを揃えることができたのであれば、やはりグウの音も出ないほどの圧倒的な舞台になってほしかった。そういう意味では、やや残念ではある。

実際のところ、マンガの舞台化ってなかなか難しいのだろう。セーラームーンミュージカルやテニスの王子様ミュージカル、BLEACHミュージカルといった作品群は、独自のアプローチで2次元の3次元化を実現した。宝塚は昔からそこは得意技としており、ブラック・ジャックからメイちゃんの執事まで自在に舞台化している。それらに共通しているのは、作品をリスペクトしつつも、そのままカタチにするのではなく、あくまで観客の心に残る読後感のようなものを再現している点にある。

今回の取り組みはマンガの舞台化にプライオリティーを置いているわけではないだろうが、やはりデスノート特有の、殺人というモチーフながら重苦しくなく、純粋なエンターテインメントとして楽しめる感覚がもう少しあってもよかった。

というわけで、若干奥歯にもののはさまったような言い方になってしまったが、結論としては、やはりめぐ様は魔女とか死神とか、そういうファンタジーな役にビターンとはまるよね、ということと、やっぱり夜神粧裕は満島ひかりを超えらんないよね、ということですかね。

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ミュージカル「デスノート」公式サイト
http://deathnotethemusical.com/

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