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2015年4月19日 (日)

コルム・ウィルキンソン 日本スペシャルコンサート

レ・ミゼラブルの初代バルジャンであるコルム・ウィルキンソンが待望の初来日。ライブで彼の歌を聴けるなら海外遠征してもいいぐらいだが、日本で聴けるというのだからよい時代になったものだ。

自分が彼の歌声を初めて聴いたのは、多くの日本人がそうだと思うが「レ・ミゼラブル10周年コンサート」。NHKがハイビジョン収録していたこともあり、パッケージ発売より早くBSで放送された。

当時、日本でしかレ・ミゼラブルを観たことがない人にとって、あの歌声にはびっくりさせられた。鹿賀丈史や滝田栄の歌に比べてレベルが段違いなのはもちろんだが、バルジャンの歌があんなに高いキーだということを初めて知ったからだ。

今回のプログラムに掲載されているジョン・ケアードのインタビューにもあるように、当初バルジャンの歌はもっと低い声を想定していたようだ。しかし彼の歌声に魅了されたスタッフが、その高音域を生かすために曲のほうを変えてしまった。さらに彼のために新たな曲まで用意された。それが「Bring him home」だ。

自分は以前、それほどあの曲がいいとは思っていなかった。しかし10周年コンサートの映像を観て、こんなにも素晴らしい、もはや崇高とさえ言える曲だったのだと知り、以来すっかりお気に入りとなった。その後、山口祐一郎バルジャンが登場したことで、帝劇でもオリジナルのキーで聴けるようになったが。

上記のインタビューの中で、ジョン・ケアードは「後のバルジャン役者たちは(キーが高くなったことで)みんなコルムを恨んでいたよ」と述べているが、当時のコルムをいちばん恨んでいるのは今のコルム自身ではないか。第一線を引き、世界をコンサートで回るというこの上ないシニア時代を過ごしているのに、行く先々でこのキツい歌を歌わされるのだから。

今回のコンサートでは、レ・ミゼラブルからはこのBring him home、オペラ座の怪人からはThe music of the nightだけしか歌っていないが、やはりこの2曲を聞くと全盛期の力はない。しかし現在70歳という年齢を考えればそれは当然だ。

ところが、それ以外のビートルズ・ナンバーや懐メロを歌うと、その声の響きは全盛期をもほうふつとさせる素晴らしいものに。レ・ミゼラブルやオペラ座の怪人が、歌う者にとってどれだけハードルの高い、過酷なナンバーであるか、ということを思い知らされた。

MCでは終始ニコニコと話し、歌う楽しさを前面に出したパフォーマンスは観ていて心がはずんだ。最後の最後に歌うBring him homeではフランスの軍服、つまりバルジャン衣装を着て登場するサービスっぷり。やはり一流のエンターテイナーは違う。

このコンサートは、もともと2007年から米国ツアーとして行われた「Broadway and Beyond」がベースとなっている。ゲストにも多くのナンバーを歌わせ「コルム・ウィルキンソンとステキな仲間たち」な感じで進行していく。

今回のゲストはまずアール・カーペンター。よくキャスティングできたものだ。昨年から始まった「レ・ミゼラブル」の新演出版ブロードウェイ公演で、ジャベールを演じ、またこの5月からジャベールに復帰することが決まっている、現役ジャベールである。

そして米国ツアーのBroadway and Beyondから参加しているスーザン・ギルモア。日本での知名度はないが、ファンティーヌほか多くの役を経験している実力派だ。

さらに日本から則松亜海。最初誰?と思ったが宝塚の夢華あみだ。たぶん映像でしか観たことがないのだけど、スカイステージでは時々見かけて、歌の実力が図抜けてるな、と思っていた。いろいろあって早々に退団してしまったが、今後の活躍に期待したい。

でもクリスティーヌのナンバーとか歌ったので、やっぱりクリスティーヌ経験者に出てきて欲しかったよ。沼尾みゆきとか沼尾みゆきとか沼尾みゆきとか。なんで元ジェンヌ?と思ったが梅田芸術劇場プロデュースだからか。梅芸は近年ほんと頑張ってる。一昨年の「4stars」(ラミン・カリムルー、シエラ・ボーゲス、レア・サロンガ、城田優のコンサート)も梅芸プロデュースだった。

今回のコンサート、ミュージカル界では神様レベルの人の声に触れたという満足感はもちろんだが、それ以上に本当に楽しい時間だった。コルムは何度も「アリガトウ、ドウモアリガトウ」と繰り返していたが、御礼を言いたいのはこっちである。日本に来てくれて本当にありがとうございます。

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公式サイト

http://www.umegei.com/schedule/451/

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2015年4月17日 (金)

「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」特報第2弾 JJエイブラムスのJを1つ足したい

今年はスター・ウォーズイヤーということでいろいろ盛り上がってきているが、4/16に公開されたこの映像は、これまでのところ一番の盛り上がりを見せている。まだ観てない人はまず見てください。



はい、見ましたか?

もうね、最後の最後でぶっ飛びましたよ。ハン・ソロ大復活。

もちろん、ハリソン・フォードが再びハン・ソロを演じるのはみんな知ってたけど、少なくとも自分は、「元船長」のハン・ソロを演じるのだと何となく思っていた。ところがどっこい、バリバリ現役じゃないですか!

72歳のハリソン・フォードに、普通にハン・ソロの衣装着せるとか、完全に裏をかかれた。さすがはJJエイブラムス。もはやJJエイブラムスじゃない、じぇじぇじぇエイブラムスだよ!( ‘ jjj ’ )エイブラムス!

それにハリソン・フォードがまた素晴らしい。ちゃんとソロの顔になってる。最近のシブい演技とはもちろん違うし、ジョーンズ博士ともちょっと違う。インディは好漢に見えてワルがのぞくけど、ソロは悪漢に見えて人の好さがにじみ出る。うーん楽しみ。でもケガで撮影を離脱したとのニュースも伝えられているが、そこが心配ではある。

今年は年末まであっとうい間の1年になりそうですな。



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2015年4月11日 (土)

明治座 HKT48指原莉乃座長公演 せりーぬ覚醒間近

出演者

指原莉乃、穴井千尋、今田美奈、植木南央、多田愛佳、熊沢世莉奈、兒玉 遥、坂口理子、田島芽瑠、朝長美桜、松岡菜摘、宮脇咲良、村重杏奈、本村碧唯、森保まどか、矢吹奈子(以上HKT48メンバー)

酒井敏也、岡森 諦、高木 禀、犬飼淳治、岩本達郎、藤田直美

HKT48が東京で舞台、との一報には小躍りして喜んだが、「指原莉乃座長公演」と銘打たれていたために喜びも中くらいなりではあった。しかし出演メンバーに熊沢世莉奈(せりーぬ)が入ったと聞いてまたテンション上がる。一報で田中美久や下野由貴がいなくて残念。とまあ、なんだかんだ言いながら劇場には来るわけで。

明治座に入るのは初めて。2003年のモーニング娘。「江戸っ子。忠臣蔵」は来てないからね。モーニング娘。の舞台といえば2006年の「リボンの騎士」( http://kingdom.cocolog-nifty.com/dokimemo/2006/08/post_e2c3.html )。これは今までに観たアイドル主演の舞台の中ではダントツの最高傑作だ。

一幕は芝居、二幕はコンサート、という、北島三郎や五木ひろし、松平健といったスターの歌謡ショウのフォーマットを模している。

芝居のタイトルは『博多の阿国の狸御殿』。2004年の鈴木清順によるリメイクも記憶に新しい、美空ひばりら昭和の大スターが出演した人気シリーズ「狸御殿」へのオマージュとなっている。今回指原が演じるたぬきの「きぬた」という役名も、若尾文子や雪村いづみらが演じた名前だ。こうしたディテールのこだわりは好きだ。

そして演出を担当するのが横内謙介。善人会議・扉座以外ではスーパー歌舞伎の演出で知られているが、俺にとっては何といっても愛媛・松山の「坊っちゃん劇場」でロングランされた「幕末ガール」だね。五十嵐可絵ちゃんが主演しているというので遠征して観に行った( http://kingdom.cocolog-nifty.com/dokimemo/2012/11/post-0c46.html )。あれは面白かった。四季の、特に「マンマ・ミーア!」でずっと観ていた可絵ちゃんがステキなのはもちろん、坊っちゃん劇場という空間も最高に演劇的だったこともあり、実に幸せな体験だった。

そんなこともあってかなり期待と妄想は膨らんでいたが、舞台としてはアイドルのイベントの域を出ないものだった。いや、これは別に悪口を言っているのではない。メンバーたちの真摯な姿勢は伝わってきたし、脇を固める酒井敏也や扉座の俳優たちも全く手抜きせずに全力で演じている。しかし全体として、「芝居を観た」ではなく「アイドルを見た」という印象が強く残るように設計されている。これは計算されたものだと言っていいだろう。

というわけで、実によく出来た舞台ではあったが、芝居としての評価はしない。それが正しい観方だと思うから。

なのでメンバーの話になります。(ダメだなあ)

座長の指原。きほん、俺はアンチ指原の立場ではあるが、昔からアンチだったわけではない。何しろ研究生時代から知っている。指原や仁藤萌乃らを擁した研究生公演「ただいま恋愛中」はかなりの回数観ている。1日3回観たこともある。しかもAKB史上に残る「アンコールかからなかった事件」のときもその場にいた。ファンがアンコールを発動するタイミングを逸し、運営がヘソを曲げて公演を強制終了してしまった事件だ。あのとき、最後のあいさつに出てきた指原は泣いていた。きれいな涙だった。あの涙には心を動かされた。しかし、後にその研究生時代にいろいろよろしくやっていたことが文春にスっパ抜かれ、完全に指原への興味を失った。この時点では興味を失っただけで、アンチだったわけではない。アンチになったのはHKT入りしてからだ。自分の中で最高に楽しかったHKT48の物語が、いきなり指原の物語に書き換えられてしまうのはイヤだった。だからアンチに転じたのだ。

もっとも指原に関して認めざるを得ない点がひとつある。それはライブにかける姿勢だ。一般的にはテレビのバラエティー番組で如才ない振る舞いをするイメージが強いが、彼女はバラエティーが得意なのではなく、その場で必要とされていることを完璧にやり遂げる、場に対する順応性が著しく高いのだ。だからライブではライブを盛り上げるためのパフォーマンスを発揮する。それを象徴するのが生歌へのこだわりだ。コンサートで生歌ってアタリマエだろ、という突っ込みは置いといて、指原はソロの曲はどんな大きい会場でも必ず生歌で臨む。彼女の意向が強く反映されたといわれる2014年初頭のHKT48九州ツアー1曲目は波紋を呼んだ「ザ☆ピ~ス」だったが、これは全員で生歌。日替わりでメンバーがソロで歌った「FIRST LOVE」も生歌だった。

今回の舞台でも、一幕、二幕ともに数々の生歌を披露。決してうまくはないが、そこに臨場感がある。観客はクラッシックのような完成度の高い音楽を求めてきているわけではない。一緒の空間にいるというライブ感を求めているのだ。だとすれば、録音を使うのは興ざめ以外の何物でもない。指原の生歌へのこだわりについては自分は高く評価している。

そしてヒロイン役というか、指原の相手役は今やHKTどころかAKBグループのセンターをうかがう宮脇咲良。彼女はキャナルシティ劇場のライオンキング公演でヤング・ナラを演じていた。自分も福岡ライオンキング観たよなーと思って調べたら、俺が観たちょっと後に出演していたようだ。惜しかった。それにしてもあの芝清道ムファサVS村俊英スカー( http://kingdom.cocolog-nifty.com/dokimemo/2008/01/post_1.html )の舞台に一緒に立ってたなんて、想像するだけで身震いする。

すでに舞台の発声法は忘れてしまっているらしく、上ずった声になることも多いのだが、さすがに母音法を一度くぐって来ているからか、セリフはとても聞き取りやすい。細かい表情まで遠くの客席に届ける輪郭のはっきりした演技もさすが。やっぱりこの子にはタレントより舞台女優になって欲しいわー。

その舞台度胸は圧倒的で、むかし劇場公演でハプニングを全く動じずに処理したのを目撃したが( http://kingdom.cocolog-nifty.com/dokimemo/2012/07/post-7885.html )、今回も二幕のコンサートで歌いながら田島芽瑠の衣装を直してあげたりしていた。

その田島芽瑠が、今回の演技では一番目を引いた。2期生ながらデビュー曲のセンターを任され、その才能を当初から高く評価されてきた田島。最近は宮脇や兒玉らに大政奉還しつつあり、なこみく(矢吹奈子、田中美久)に猛追を受けている厳しい立場だが、やはり彼女には強烈な存在感がある。意外に女優向きかも。

指原座長公演といっても、指原一人に注目を集めさせる構成ではない。そこは運営も、たぶん指原自身もよく分かったもので、そうすると逆に指原の持ち味が生きてこない。とはいえ、やはり出演メンバーすべてに見せ場を配分することも難しかったようで、その比率は「指原3、宮脇2、矢吹1.5、兒玉1、多田0.5、朝長0.5、田島0.5、残り1を均等割り」といった印象。森保とかもうちょっと目立たせても良かったと思うが。

で、俺はといえばその残り1を均等配分されていた1人、熊沢世莉奈(せりーぬ)をずっと目で追っていた。1期成で初代チームHメンバーでありながら、シングルの選抜に1度も選ばれたことがないという不遇な扱いを受けている。しかしダンスはチーム内でもっともキレがあり、歌もうまく(『シアターの女神』公演では森保が不在のときにソロユニット『夜風の仕業』を担当している)、顔がちっちゃくて、スタイルがよくて、色白の博多美人で、とにかく完璧でスキがない。テレビのバラエティーで面白いコメントを言うのは苦手のようで、だから浮上できないのかもしれないが、森保まどかのラジオ番組「まどかのまどから」では毎回名言を残すほど面白い。いったいなんで彼女が干されているかいまだに理解できない。

そういえば今年1月に福岡の劇場に行ったときもずっとりーぬを目で追っていた。すると最後の曲「僕たちの紙飛行機」でメンバーが自らが追った紙飛行機を客席に投げるのだが、りーぬの投げた紙飛行機は一直線に俺の目の前に飛んできた。これはりーぬが俺に投げてくれたに違いない。先日の握手会のときにそう言ったら苦笑いしていた。

証拠。この飛行機が
Photo

俺の手元にある。
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だが、その不遇な時代をいよいよ抜ける日も近いかもしれない。最近、微妙に推されはじめた。何といっても今回のメンバーに選ばれたことは大きいし、「マジすか学園4」にも1シーンだけだが出演し、セリフもあった(「なにしにきたってきいてんだよごるあ!」)。握手会でも、まだ人数は少ないがそこそこ切れ目なく人が並ぶ。

みんなやっとりーぬのポテンシャルに気付いてきたか。おせーよ。

だいぶ話がそれた。あと、今回メンバーたちを支えてくれた俳優さんの中では、やはり酒井敏也が素晴らしい。2幕のコンサートの最初に、派手なタキシード姿で紹介の口上を述べるのだが、そのケレン味にあふれた語り口に、ああ、やっぱりの人はつかこうへいの芝居の出身だなあ、としみじみ思った。扉座も近年つか作品に積極的に取り組んでいるし、全体的につかテイストが微妙に感じられたのも、自分にとってのこの舞台の楽しさの隠し味になっていたようだ。

来場者全員に手ぬぐいが配られました
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明治座 指原莉乃座長公演のページ

http://www.nelke.co.jp/stage/hkt_meijiza/

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2015年4月 8日 (水)

ミュージカル「デスノート」

デスノートが舞台化されると聞いても、さして驚きはなかった。これだけのコンテンツだ、そんな話があってもぜんぜん不思議じゃない。もし宝塚でやる、という話だったら、ちょっとはビックリしたかもしれないが。

だが同時に、そんなに観たいとも思わなかった。映画のクオリティーが高くて満足していたからだろうか。あれ以上のものにするなら、相当原作と離れないといけないし、そうなると逆に興味が薄れる。どっちに転んでもあまり俺好みの作品になりそうにない。

でも出演者を聞いて気が変わった。濱田めぐみが死神レム。いったい誰がそんなすごいこと思い付くんだ。あ、ホリプロか。いやそんなことどうでもいい。これは観たい。観なくてどうする。

というわけで観てきましたミュージカル『デスノート』。

夜神 月 柿澤勇人
小池徹平
弥 海砂 唯月ふうか
夜神粧裕 前島亜美
レム 濱田めぐみ
リューク 吉田鋼太郎
夜神総一郎 鹿賀丈史

ここからネタバレありです。

まずめぐ様。四季退団後、どうも個人的にはぐっとくる役がなかったのだがこれはいい。曲が彼女の声にぴったりしてたのか、その声を存分に堪能できた。押さえぎみの演技にも迫力があった。何よりかなり濃い目のメイクと衣装なんだけど、実に美しい。結局それかよ。

主役の月(ライト)はダブルキャストで、この日は柿澤勇人。柿澤っつったらやっぱり四季の『春のめざめ』メルヒオール。本人はもうそのイメージ消したいのかもしれんが、あれはやっぱりハマり役だった。そして今回の月役が、かなりメルヒオール要素強し。最初のシーンがアレだから、もういつ懐からマイク取り出すかハラハラするほど。それはさておき、歌唱力が四季時代よりぐんとレベルアップしていて、聴いてて心地よかった。

対するL役に小池徹平。演技がうまいのは知ってたが、歌があんなにうまいとは。CD出してるから当たり前っちゃ当たり前だが。ストーブさんやるじゃん。

夜神月の父、総一郎には、映画でもこの役を演じた鹿賀丈史。これはよくキャスティングしたなと思う。この数年、言葉が出にくい様子なのが痛々しいが、本人の気力は非常に充実しており、さすがの存在感で舞台をおおいに引き締めていた。

そして、何といってもこの舞台の主役とも言えるリューク役の吉田鋼太郎。近年はテレビで観ることが多くなり、最近は「ウロボロス」の怪演も記憶に新しい。しかしもともとは舞台俳優なので、そのポテンシャルを目の当たりにすることができてうれしい。全体的に重くなりがちなこの舞台を、やりすぎなほどのエンターテイナーぶりで楽しいものに変え、最後はおいしいところを全部持っていった。

アンサンブルでは個人的な趣味だけどやっぱり森実友紀に目がいくよねー。マンマ・ミーア!をさんざん観た身としては。

というわけで、全体的に俳優さんたちはみな充実した仕事ぶりで、観ていて本当に楽しかった。これだけの役者を集めるのって、やっぱりホリプロみたいなところじゃないとできない芸当なんだろうな、などと思ったりもした。

だが、舞台作品としての完成度は、若干物足りないところもある。

人によって感想は異なるだろうが、個人的には脚本がちょっと、うーん、な感じだった。

ストーリー構成はまあこんなものかな、とも思ったのだが、ところどころセリフに「えっ?」というような違和感をおぼえることが多い。夜神総一郎の唐突な「これはLに頼むしかないな!」は、映画「デビルマン」の「ああ、サタンだからな!」並にズッコケた。

また曲の歌詞も、四季の翻訳以上に違和感ありまくり。ミュージカルの歌詞なんてよく聞こえないものだが、聞こえなくてもヘンな言葉が並んでいると不協和音になってしまうのだと知った。

スタッフの顔ぶれを見ると、音楽は「ジキル&ハイド」のフランク・ワイルドホーン、作詞が「カルメン」のジャック・マーフィー、脚本が「ボニー&クライド」のアイヴァン・メンチェル。なるほど、海外スタッフが書いたものを翻訳したからカクカクした感じになっちゃってるのか。

世界に通じる作品を、という意気込みは素晴らしいし、海外スタッフとのコラボレーションは日本の演劇界にも絶対にプラスになる。でも、世界に通じる作品を作ることと、海外スタッフを招き入れることはイコールじゃない。もう少し時間をかければもっと練れたものになったのかもしれないが、今回に関して言えば消化不良に終わってしまった感は否めない。

「デスノート」という素晴らしい題材に、これだけのキャストを揃えることができたのであれば、やはりグウの音も出ないほどの圧倒的な舞台になってほしかった。そういう意味では、やや残念ではある。

実際のところ、マンガの舞台化ってなかなか難しいのだろう。セーラームーンミュージカルやテニスの王子様ミュージカル、BLEACHミュージカルといった作品群は、独自のアプローチで2次元の3次元化を実現した。宝塚は昔からそこは得意技としており、ブラック・ジャックからメイちゃんの執事まで自在に舞台化している。それらに共通しているのは、作品をリスペクトしつつも、そのままカタチにするのではなく、あくまで観客の心に残る読後感のようなものを再現している点にある。

今回の取り組みはマンガの舞台化にプライオリティーを置いているわけではないだろうが、やはりデスノート特有の、殺人というモチーフながら重苦しくなく、純粋なエンターテインメントとして楽しめる感覚がもう少しあってもよかった。

というわけで、若干奥歯にもののはさまったような言い方になってしまったが、結論としては、やはりめぐ様は魔女とか死神とか、そういうファンタジーな役にビターンとはまるよね、ということと、やっぱり夜神粧裕は満島ひかりを超えらんないよね、ということですかね。

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ミュージカル「デスノート」公式サイト
http://deathnotethemusical.com/

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