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2015年4月11日 (土)

明治座 HKT48指原莉乃座長公演 せりーぬ覚醒間近

出演者

指原莉乃、穴井千尋、今田美奈、植木南央、多田愛佳、熊沢世莉奈、兒玉 遥、坂口理子、田島芽瑠、朝長美桜、松岡菜摘、宮脇咲良、村重杏奈、本村碧唯、森保まどか、矢吹奈子(以上HKT48メンバー)

酒井敏也、岡森 諦、高木 禀、犬飼淳治、岩本達郎、藤田直美

HKT48が東京で舞台、との一報には小躍りして喜んだが、「指原莉乃座長公演」と銘打たれていたために喜びも中くらいなりではあった。しかし出演メンバーに熊沢世莉奈(せりーぬ)が入ったと聞いてまたテンション上がる。一報で田中美久や下野由貴がいなくて残念。とまあ、なんだかんだ言いながら劇場には来るわけで。

明治座に入るのは初めて。2003年のモーニング娘。「江戸っ子。忠臣蔵」は来てないからね。モーニング娘。の舞台といえば2006年の「リボンの騎士」( http://kingdom.cocolog-nifty.com/dokimemo/2006/08/post_e2c3.html )。これは今までに観たアイドル主演の舞台の中ではダントツの最高傑作だ。

一幕は芝居、二幕はコンサート、という、北島三郎や五木ひろし、松平健といったスターの歌謡ショウのフォーマットを模している。

芝居のタイトルは『博多の阿国の狸御殿』。2004年の鈴木清順によるリメイクも記憶に新しい、美空ひばりら昭和の大スターが出演した人気シリーズ「狸御殿」へのオマージュとなっている。今回指原が演じるたぬきの「きぬた」という役名も、若尾文子や雪村いづみらが演じた名前だ。こうしたディテールのこだわりは好きだ。

そして演出を担当するのが横内謙介。善人会議・扉座以外ではスーパー歌舞伎の演出で知られているが、俺にとっては何といっても愛媛・松山の「坊っちゃん劇場」でロングランされた「幕末ガール」だね。五十嵐可絵ちゃんが主演しているというので遠征して観に行った( http://kingdom.cocolog-nifty.com/dokimemo/2012/11/post-0c46.html )。あれは面白かった。四季の、特に「マンマ・ミーア!」でずっと観ていた可絵ちゃんがステキなのはもちろん、坊っちゃん劇場という空間も最高に演劇的だったこともあり、実に幸せな体験だった。

そんなこともあってかなり期待と妄想は膨らんでいたが、舞台としてはアイドルのイベントの域を出ないものだった。いや、これは別に悪口を言っているのではない。メンバーたちの真摯な姿勢は伝わってきたし、脇を固める酒井敏也や扉座の俳優たちも全く手抜きせずに全力で演じている。しかし全体として、「芝居を観た」ではなく「アイドルを見た」という印象が強く残るように設計されている。これは計算されたものだと言っていいだろう。

というわけで、実によく出来た舞台ではあったが、芝居としての評価はしない。それが正しい観方だと思うから。

なのでメンバーの話になります。(ダメだなあ)

座長の指原。きほん、俺はアンチ指原の立場ではあるが、昔からアンチだったわけではない。何しろ研究生時代から知っている。指原や仁藤萌乃らを擁した研究生公演「ただいま恋愛中」はかなりの回数観ている。1日3回観たこともある。しかもAKB史上に残る「アンコールかからなかった事件」のときもその場にいた。ファンがアンコールを発動するタイミングを逸し、運営がヘソを曲げて公演を強制終了してしまった事件だ。あのとき、最後のあいさつに出てきた指原は泣いていた。きれいな涙だった。あの涙には心を動かされた。しかし、後にその研究生時代にいろいろよろしくやっていたことが文春にスっパ抜かれ、完全に指原への興味を失った。この時点では興味を失っただけで、アンチだったわけではない。アンチになったのはHKT入りしてからだ。自分の中で最高に楽しかったHKT48の物語が、いきなり指原の物語に書き換えられてしまうのはイヤだった。だからアンチに転じたのだ。

もっとも指原に関して認めざるを得ない点がひとつある。それはライブにかける姿勢だ。一般的にはテレビのバラエティー番組で如才ない振る舞いをするイメージが強いが、彼女はバラエティーが得意なのではなく、その場で必要とされていることを完璧にやり遂げる、場に対する順応性が著しく高いのだ。だからライブではライブを盛り上げるためのパフォーマンスを発揮する。それを象徴するのが生歌へのこだわりだ。コンサートで生歌ってアタリマエだろ、という突っ込みは置いといて、指原はソロの曲はどんな大きい会場でも必ず生歌で臨む。彼女の意向が強く反映されたといわれる2014年初頭のHKT48九州ツアー1曲目は波紋を呼んだ「ザ☆ピ~ス」だったが、これは全員で生歌。日替わりでメンバーがソロで歌った「FIRST LOVE」も生歌だった。

今回の舞台でも、一幕、二幕ともに数々の生歌を披露。決してうまくはないが、そこに臨場感がある。観客はクラッシックのような完成度の高い音楽を求めてきているわけではない。一緒の空間にいるというライブ感を求めているのだ。だとすれば、録音を使うのは興ざめ以外の何物でもない。指原の生歌へのこだわりについては自分は高く評価している。

そしてヒロイン役というか、指原の相手役は今やHKTどころかAKBグループのセンターをうかがう宮脇咲良。彼女はキャナルシティ劇場のライオンキング公演でヤング・ナラを演じていた。自分も福岡ライオンキング観たよなーと思って調べたら、俺が観たちょっと後に出演していたようだ。惜しかった。それにしてもあの芝清道ムファサVS村俊英スカー( http://kingdom.cocolog-nifty.com/dokimemo/2008/01/post_1.html )の舞台に一緒に立ってたなんて、想像するだけで身震いする。

すでに舞台の発声法は忘れてしまっているらしく、上ずった声になることも多いのだが、さすがに母音法を一度くぐって来ているからか、セリフはとても聞き取りやすい。細かい表情まで遠くの客席に届ける輪郭のはっきりした演技もさすが。やっぱりこの子にはタレントより舞台女優になって欲しいわー。

その舞台度胸は圧倒的で、むかし劇場公演でハプニングを全く動じずに処理したのを目撃したが( http://kingdom.cocolog-nifty.com/dokimemo/2012/07/post-7885.html )、今回も二幕のコンサートで歌いながら田島芽瑠の衣装を直してあげたりしていた。

その田島芽瑠が、今回の演技では一番目を引いた。2期生ながらデビュー曲のセンターを任され、その才能を当初から高く評価されてきた田島。最近は宮脇や兒玉らに大政奉還しつつあり、なこみく(矢吹奈子、田中美久)に猛追を受けている厳しい立場だが、やはり彼女には強烈な存在感がある。意外に女優向きかも。

指原座長公演といっても、指原一人に注目を集めさせる構成ではない。そこは運営も、たぶん指原自身もよく分かったもので、そうすると逆に指原の持ち味が生きてこない。とはいえ、やはり出演メンバーすべてに見せ場を配分することも難しかったようで、その比率は「指原3、宮脇2、矢吹1.5、兒玉1、多田0.5、朝長0.5、田島0.5、残り1を均等割り」といった印象。森保とかもうちょっと目立たせても良かったと思うが。

で、俺はといえばその残り1を均等配分されていた1人、熊沢世莉奈(せりーぬ)をずっと目で追っていた。1期成で初代チームHメンバーでありながら、シングルの選抜に1度も選ばれたことがないという不遇な扱いを受けている。しかしダンスはチーム内でもっともキレがあり、歌もうまく(『シアターの女神』公演では森保が不在のときにソロユニット『夜風の仕業』を担当している)、顔がちっちゃくて、スタイルがよくて、色白の博多美人で、とにかく完璧でスキがない。テレビのバラエティーで面白いコメントを言うのは苦手のようで、だから浮上できないのかもしれないが、森保まどかのラジオ番組「まどかのまどから」では毎回名言を残すほど面白い。いったいなんで彼女が干されているかいまだに理解できない。

そういえば今年1月に福岡の劇場に行ったときもずっとりーぬを目で追っていた。すると最後の曲「僕たちの紙飛行機」でメンバーが自らが追った紙飛行機を客席に投げるのだが、りーぬの投げた紙飛行機は一直線に俺の目の前に飛んできた。これはりーぬが俺に投げてくれたに違いない。先日の握手会のときにそう言ったら苦笑いしていた。

証拠。この飛行機が
Photo

俺の手元にある。
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だが、その不遇な時代をいよいよ抜ける日も近いかもしれない。最近、微妙に推されはじめた。何といっても今回のメンバーに選ばれたことは大きいし、「マジすか学園4」にも1シーンだけだが出演し、セリフもあった(「なにしにきたってきいてんだよごるあ!」)。握手会でも、まだ人数は少ないがそこそこ切れ目なく人が並ぶ。

みんなやっとりーぬのポテンシャルに気付いてきたか。おせーよ。

だいぶ話がそれた。あと、今回メンバーたちを支えてくれた俳優さんの中では、やはり酒井敏也が素晴らしい。2幕のコンサートの最初に、派手なタキシード姿で紹介の口上を述べるのだが、そのケレン味にあふれた語り口に、ああ、やっぱりの人はつかこうへいの芝居の出身だなあ、としみじみ思った。扉座も近年つか作品に積極的に取り組んでいるし、全体的につかテイストが微妙に感じられたのも、自分にとってのこの舞台の楽しさの隠し味になっていたようだ。

来場者全員に手ぬぐいが配られました
Sdsc_1962


明治座 指原莉乃座長公演のページ

http://www.nelke.co.jp/stage/hkt_meijiza/

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