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2014年12月28日 (日)

The Phantom of the Opera (オペラ座の怪人)

12/28 20:00
Majestic Theatre

かなーり久しぶりにマンハッタンの怪人。いつ以来だろう?と考えてみたところ、たぶん初めてニューヨークに来たとき以来じゃないか。それは確か1996年末だから、実に18年ぶりである。

実は毎回「観ようかな」と思うのだが、滞在日数が限られているからどうしても新作や期間限定公演を優先してしまうため、お流れになっているのだ。

しかし今回は違う。意欲満々でチケットを確保した。何故ならノーム・ルイスがファントムを演じているからだ。

ノーム・ルイスを初めて観たのは2006年。久しぶりにブロードウェイに帰ってきた「レ・ミゼラブル」リバイバル公演だ。彼のジャベールはなかなかの評判を呼んでおり、楽しみにして劇場へ向かったのだが、なるほど演技と歌声に深みがあり、その心の葛藤がにじみ出ているような、魅力的なジャベールだった。その後、彼はレ・ミゼラブル25周年コンサートのジャベールにも抜擢されているので、いかに評価が高かったかはお分かりいただけよう。

そして2年後、再び彼の姿を見るチャンスがあった。失敗作に終わった「リトル・マーメイド」でトリトン王を演じていたのである。ところが、この時はトリトン王がアンダーで、再会は叶わなかった。

というわけで、ノーム・ルイスがファントムを演じるというニュースが流れてから、もういてもたってもいられなくなっていたのだが、何とかこのホリデーシーズンまで続投を続けてくれた。何とも有難い話である。

ちなみに、ノーム・ルイスのファントムデビューと同時に、シエラ・ボーゲスがクリスティーヌ役に復帰。シエラ・ボーゲスはオペラ座の怪人25周年コンサートでクリスティーヌを演じている。そして「リトル・マーメイド」のアリエル役をほぼ完投したことでも知られる。つまりノーム・ルイスとは久々の「親子共演」だったわけだ。

残念ながらシエラ・ボーゲスの登板は期間限定だったため、今回は見られなかったがいたしかたない。昨年、ラミン・カリムルーやレア・サロンガと一緒に来日したときに見ているからよしとしよう。

さてその念願のノーム・ルイスのファントムはどうだったか。

もうね、言葉がありませんよ。ファントムってこういう役だったんだと深く思い知らされました。

登場からいきなりハイテンションで、「激情の怪人」という印象。演出は同じでも、演じる人によって当然異なってくるファントム。我儘な芸術家のようだったり、闇を統べる帝王のようだったり、マッド・サイエンティストのようだったり。ノーム・ルイスのファントムは、強く幼児性を感じさせるものだった。実は、前回(といってもずいぶん前だけど)、ブロードウェイで観た怪人もそうだった。そのとき、自分にはこのファントムの解釈がいちばんしっくり来るな、と生意気にも感じた記憶がある。(そういうどうでもいい記憶はきちんと残る)

歌声もステキだが、ノーム・ルイスの魅力はやはり演技にあると思う。その演技、序盤からずっとやや抑え気味だった。激情型なのに抑え気味、とは矛盾しているかもしれないが、そう感じたのである。

なるほど、こういう感じで最後まで行くのか、と思っていたら、違った。

最後の最後、あのクリスティーヌとのキスシーンから、突然フルスロットルになった。それまで貯めていたエネルギーを一気に放出したのだ。

幼児性を感じさせるファントムだと、あのキスシーンはとても重要な意味を持ってくる。数秒間の中で、ファントムは子供から男になり、そして大人になる、という2段階変身をするのだ。

しかし、ノーム・ルイスのファントムは、子供から男になり、男から大人になり、そのうえでまた子供になる、という「3段階変身」を見せた。これには圧倒された。

最後の「Christine, I love you」があんなに感動的に響いたのは、これまで何十回とこの作品を観てきて初めてのことだ。正直、ちょっと涙出た。これは年のせいかな?

ノーム・ルイスの怪人、ぜひともまた観たいものだ。

あと、ちょっと蛇足な話。カルロッタ役のMichelle McoNNEllもとても良かった。若い感じだな、と思ったらこれがブロードウェイデビューとか。

このエントリー(http://kingdom.cocolog-nifty.com/dokimemo/2006/01/post_2c96.html)でちょっと書いてるけど、自分はカルロッタという役が結構、というかかなり好きなんである。カルロッタは、単にお高くとまった大女優ではない。実力があり、少し性格に難があってもオペラに取り組む姿勢は真摯なものがある。すぐに拗ねたりするところは、面倒くさいというより、ちょっとかわいい。カルロッタが嫌な人にしか見えないときもあるが、その上演回は失敗だと言っていい。

そもそも「ドン・ファンの勝利」でなぜピアンジだけが殺され、カルロッタは殺されなかったのか。どちらかというと、直接クリスティーヌをいじめていたカルロッタのほうが怪人のデスノートでは上位に書かれてしかるべきだ。

これは実は単純な話だ。ドン・ファンの勝利の上演に際して怪人は何と言っていたか。ピアンジには「せめて痩せろ」。カルロッタには「演技を真面目にやれ」。その指示に従えなかったピアンジは殺され、従ったカルロッタは生き延びたのだ。芸術に関しては怪人は非常にドライで、シンプルな思考を持っている。

ドン・ファンの勝利の中で、カルロッタはソロもないアンサンブルの役を、実に真面目に、そして楽しそうに演じている。ああ、この人いろいろ言ってるけど、本当はオペラが大好きなんだな、と伝わってくるお気に入りのシーンだ。こんどオペラ座の怪人を観る機会があったら、ぜひこのときのカルロッタに注目してほしい。

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The Phamtom of the Operaのウェブサイト
http://www.thephantomoftheopera.com/

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