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2014年12月30日 (火)

Jersey Boys (ジャージーボーイズ)

12/30 19:00
August Wilson Theatre

昨日ラミン・カリムルーが突然休演したレ・ミゼラブル。そんなこともあろうかと今日の夜の回も押さえておいた。

これは買うときに、昼はラミン休演だけど夜は出る、と確認して買ったから大丈夫、と劇場へ行ったところ、昼は出たけど夜は休む、という掲示が。そりゃあないぜラミン・・・。

だがそんなこともあろうかと、この時間帯の別の作品も押さえておいた。

戦いとは、いつも二手三手先を考えて行うものだ――シャア・アズナブル

そう、遠征は戦い。時間との勝負。ラミン・カリムルーのバルジャンが観られないのは涙が出るほど残念だが、残念がっている余裕なんてないのである。

というわけでこの遠征最後の作品は「ジャージー・ボーイズ」に。映画化もされたし、2014年の 掉尾を飾るには相応しい作品と言えよう

じつはジャージーボーイズ、今更ながら初見である。

2006年のトニー賞を総なめにして、マンマ・ミーア!以降大量生産され、そのほとんどが消えてなくなっている既存のアーティストの楽曲を使ったいわゆるジュークボックス・ミュージカルの中で、数少ない成功を納めた作品だ。

これまでこの作品を素通りしてきたのは、フォー・シーズンズなんて世代じゃないし、というのがひとつと、けっこうな英語力を必要とするという2つの理由から。もちろん後者のほうが大きかった。

しかし、ご存じのようにクリント・イーストウッドが映画にしてくれた。それで予習も可能になったので劇場に足を運んだのだ。だが、あの映画を観たのは単なる「予習」ではなく、実に感動的な体験だった。作品としてのテンポがいい。深刻なエピソードについても、あくまでドキュメンタリータッチではなく、エンターテインメント枠組みを外さないように描いている。それらによって、とても「心地いい」映画になっていた。

そうなると、その心地よさが映画独自のものなのか、もともとの舞台にあった要素なのか、というところを知りたくなるのが人情というものである。

舞台が始まると、映画同様、とてもいいテンポで話が進んでいく。シリアスな場面でも笑いを織り交ぜ、決して観客を不安にさせずに物語を展開していくのも同じだ。なるほど、映画はそうした舞台の印象をそのまま映像に持って行ったわけか。

だが、舞台より映画はぐっと情感に訴えかけるものになっていた。逆に、舞台はライブの迫力で押し切っている部分もある。これは、どちらが優れているというよりも、舞台と映像、それぞれの特性を生かした結果だろう。

舞台では、とにかく楽曲披露ごとに大いに盛り上がり、歓声が飛ぶ。クライマックスの「君の瞳に恋してる」ではもちろんショーストップ。その瞬間、劇場の観客はコンサートの観客という役を演じる。これはライブでしかできない演出であり、この作品の大きな魅力を構成している。

映画ではその熱狂は望めない。その部分を埋めるために、脚本をブラッシュアップし、観客にどう感動を伝えるか緻密な計算で作品を構成していく。もちろん、もともとの作品に素養がなければその作業は進まない。映画より先にこの舞台を観ると、ほとんどの人が「いやー盛り上がって楽しかったなあ」という感想を持つはずだが、その先に、磨いて輝かせられる要素を見出したクリント・イーストウッドのプロデュース力はさすがという他はない。改めて、映画人としての彼の存在に強い敬意を抱く。

舞台と映画の両方に接すれば、舞台の熱狂を思い出しながら、映像で何度も繰り返しこの作品を味わうことができる。なんとも贅沢な楽しみ方だ。帰りの飛行機の映画プログラムに入っていたので、さっそく実践してみようと思う。

アプローチは違えど、舞台も映像も、方向性としては同じところに向かっている。紆余曲折や挫折、悲劇があっても、人はそれを乗り越えられる、という、ある意味とてもシンプルな人間賛歌。それを説教っぽくなく、軽やかな音楽にのせてさらっと、スマートに歌い上げる。だからラミン・カリムルーのバルジャンが観られなくたって、気にすることはないのだ(←引きずってる)。

そういえば、4年前、大雪のために新演出のレ・ミゼラブルを観られない事態になったとき、助けてくれたのはニュージャージーの劇場の人たちだった。今度のミゼラブルな状況も、ジャージーな作品に救われたわけか。観劇って、旅って、人生って面白い。

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Jersey Boysのウェブサイト
http://www.jerseyboysinfo.com/

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