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2014年12月30日 (火)

IF/THEN

12/30 14:00
Richard Rodgers Theatre

イディナ・メンゼルがいかにすごい人であるか、日本人は本当にわかってない。

「アナと雪の女王」のおかげで知名度はぐんと向上したが、Yahoo!ニュースの見出しで「アナ雪歌手」とか紹介されているのを観るといったんプリントアウトして八つ裂きにしたくなる。

紅白歌合戦によってその認識が変わることを期待したいが、この話もちょっと微妙だ。なんか「松たか子の替わり」みたいになってるのが気に入らない。もちろん松たか子は舞台で何度も観てるし、演技はもちろんのこと、歌の実力があることも知っている。女優としての比較ならいい勝負かもしれないが、ミュージカルという場で比較したら、これはもう比較にならない。いま、現役ばりばりのブロードウェイ女優で、その名前だけで人が呼べるのは彼女ぐらいだ。

「RENT」は彼女が出演しているときにニューヨークに行っているのだが、観ていなかった。そして「ウィキッド」のときはすでに彼女は降板していた。このとき、ウエストエンドのオープニングに出演しているので、今思うとそのときはニューヨークでなくロンドンに行くべきだったなあ、と後悔。

そのイディナ・メンゼルをやっとライブで観られる。「RENT」でも「ウィキッド」でも、CD(RENTは映画でも)でしか聴いたことのない彼女の歌をついに聴けるのだ。

作品は完全オリジナルなので、予習不可。タイトルからすると、もし自分の人生で、別の選択をしていたら・・・という、何だか「ガラスの仮面」の演劇コンクールで劇団一角獣が上演した「運命」ような話か?まあ理解できずとも彼女の歌声さえ聴ければよしとしよう。

幕が上がり、イディナが舞台に登場。「Hi, It's me」の一言だけで拍手が起こる。異様な雰囲気だが、イディナ様の信者としては自分も歓声を上げたいところ。

正直、話はさっぱり分からなかった。すみません。英語力の問題です。

どうも同じ登場人物たちの間で2つの物語が進行している(らしい)のだが、英語が理解できず付いていけなかったので、途中でジョジョ第二部のカーズのように「考えるのをやめた」。

開き直ったところ、逆に楽しくなってきた。細かいストーリーは分からないが、甘々のラブストーリーの中に、ゲイのことや開発の問題など、ニューヨークの「今」を盛り込み、リアルさを感じさせる構成、シンプルながら大きな鏡の効果的に利用した舞台セット、そして「ネクスト・トゥ・ノーマル」でトニー賞に輝いたトム・キットによる音楽は、自然に耳に入ってくる軽やかさで、この物語の「日常感」を演出している。ちなみにこの作品の脚本&演出も、「ネクスト・トゥ・ノーマル」のブライアン・ヨーキーとマイケル・グリフだ。話がこれほど分からなくても、ちっとも眠くならないし、感動もする。これは作品の持つ力だろう。とか英語わかんない奴が偉そうに言うなよ、って感じですが。

脚本は緻密に構成されているが、同時に、イディナ・メンゼルの魅力を200%引き出すために作られていることも間違いない。とにかくモテモテ。なんだか「SEX and The City」に古き良き時代の少女漫画の主人公が成長して紛れ込んだような。

作品自体、決しておざなりに作られたものではなく、別の女優が演じても十分に見応えのあるものとして完成されているのだが、ことイディナ・メンゼルが出ている限りは、もうすべての視線が彼女に集中する、まるで新宿コマ劇場の「北島三郎 新春特別公演」のようだ。でもエンターテイメントなのだから、それでいいんじゃないか?

生イディナ様の歌は、CDで慣れ親しんだウィキッドの「Defying Gravity」のような歌い上げるナンバーでは鳥肌が立つし、日常生活の演技の中でさらっと歌うときにもその歌声に耳が自然と傾く魅力にあふれている。そして演技の面では、映画RENTのモーリーンで見せていたような、ちょっとした表情で笑いを誘う、コメディエンヌの才能も片鱗を見せつつ、細かい芝居で飽きさせない。こりゃ眠くならないわけだよ。

観終わったあとには、とにかくイディナ・メンゼルを堪能した、という満足感でいっぱい。RENTやウィキッドのぶんも取り返した感あり。でもちゃんと作品への敬意もきちんと残る。単なるイディナ様のワンマンショーで終わらせない、ブロードウェイの面目躍如だ。

何しろ、イディナ演じるエリザベスの旧友、ルーカスを演じている男性、すごーく見たことあるよな、と思って幕間にPlayBillを開いたら、アンソニー・ラップじゃん!RENTのオリジナルキャストで、日本のツアー公演にも出演している。そしてやはりエリザベスの友人、ケイトを演じているのは「カラーパープル」でトニー賞主演女優賞を獲得したラシャンズだ。名前に特徴があるので演劇系のニュースサイトでよく名前を見かけている。こんな実力キャスト&スタッフが結集した豪華な作品でもあるのだ。

しかし、アンソニー・ラップが出ることぐらいは予習しとけよ、と反省。RENTの来日公演ではとてつもなく感動しただけに(http://kingdom.cocolog-nifty.com/dokimemo/2009/08/post-4.html)誠に遺憾に存じます。

ところでイディナ様、2015年はワールドツアーでの来日も決定(だから紅白出演も快諾したのだろう)した。東京公演の会場は日本武道館だ。あの会場が満席になるのなら、日本でもイディナ・メンゼルが正当に評価されるようになった、と見ていい。すでに自分のチケットは確保済み。今度は日本でイディナ様に会えると思うと、今から「The Wizard and I」でも歌いだしたい気分だぜ。

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IF/THENのウェブサイト
http://www.ifthenthemusical.com/

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コメント

夢のような観劇記、紅白をBGMに拝読しました(あ、紅白はイディナ様の所だけ真剣に観ました)。イディナ様が出ていたシーンは、紅白ということを忘れるほど引き込まれました。松たか子さんの生歌を期待する人がいたかもしれませんが、イディナ様のもつ声の迫力、深い慟哭の表現はやっぱり世界一エルサにぴったりだとしみじみ思いました。私も東京で観たいですー!!というわけであけましておめでとうございます!今年もブログを楽しみにしてます!!

投稿: はにわ | 2015年1月 1日 (木) 00時07分

こんにちは。紅白のイディナ様、圧巻でしたねえ。第一声でコンサートの宣伝してたのには笑いましたが。

今年はがんばって更新しようと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

投稿: ヤボオ | 2015年1月 2日 (金) 03時57分

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