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2014年12月29日 (月)

Aladdin (アラジン)

12/29 19:00
New Amserdam Theatre

今回は作品よりも役者が目当て、という正常ではない観劇姿勢が多い中、作品的なハイライトは間違いなくこれ「アラジン」だ。

今年3月にブロードウェイで始まったが、早くも来年には日本で四季が上演する。四季にとってはポスト浅利体制になっての最初の大博打。そしてウィキッド以来の、久々の超大作となる。

ディズニーにとってもこの作品への意気込みは大きいだろう。何しろ、この10年ほどディズニーミュージカルは大きな成功を納められていない。リトル・マーメイドが失敗作に終わり、ターザンは興行的にこけ、良かったのはあまり金をかけずに作った「ニュージーズ」が意外なスマッシュヒットとなってツアーに回っていることぐらい。そしてこの間、ディズニーのフラッグシップ劇場であるニュー・アムステルダム劇場はメリー・ポピンズが占拠していた。もちろんこれもディズニーミュージカルではあるけれど、キャメロン・マッキントッシュとのコラボレーションなので、ディズニーとしてはビジネス的なうまみは少なかっただろう。

そこに投入されたアラジン。実は開幕してから漏れ聞こえてくる評価は、あまり芳しいものではなかった。しかし自分の目で確かめないことには何も言えない。

というわけで、通算6回目のニュー・アムステルダム劇場。トイレの位置はもちろん、どのあたりが空調が弱いとか、そんなことまで分かるようになってきた。

Playbillを観ると、ジーニー役がトニー賞授賞式でやんやの大喝采をあびていたジェイムス・モンロー・アイグルハートではない。シャワルマといい、レ・ミゼラブルのラミン・カリムルーといい、きょうはこういう日だなあと諦める。アイグルハートで持っている、とも聞いているだけに残念だが、おかげで作品そのものを冷静に評価できるじゃないか、とポジティブに。

日本での開幕を楽しみにしている人が多いだろうから詳細には書かないけど(ただの手抜き?)、全体の印象としては、予想以上に「ジーニー役がすべて」の作品だった。

この日ジーニーを演じたマイケル・ジェームズ・スコットも相当な実力者で、これで2番手、ってどんだけブロードウェイの層厚いんだよ。しかしそのぐらいの層の厚さがなくては、ロングランできない作品だ。

できるのか?四季で。それが正直な感想。

いや、もちろん四季には多くの実力者がいる。でも、たぶんこの作品で必要な「実力」は、これまで四季が重きを置いてこなかった能力だ。端的に言うと母音法のジーニーなんて、(今の段階では)想像できない。「母音法は早口でも意味が分かるようにするためのものだ」という人もいるかもしれないけど、ここで伝えるのは意味じゃない。ノリだ。

さらに、下の写真を見て欲しい。ロゴの下に何て書いてある?

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「NEW MUSICAL COMEDY」だ。

四季にもコメディはあるって?「ブラックコメディ」?「解ってたまるか」?うん、違うよね。大丈夫かなあ?

事前に聞いた評判なんてやはり当てにならず、十分に面白い作品だったので、四季の公演も成功して欲しい。だからこその不安だが、開幕したら「意外にいけるじゃん!」と思わせてくれることを期待したい。

ただ、四季にとっては経営体制の刷新に限らず、人材の育成や外部からの人材登用など、作品の根幹にかかわる部分で大きな変化が要求される作品になることは間違いない。そこまで計算しての投入なら、その覚悟に俺は賭けたい。

もっとも試されるのは四季だけではない。自分たち、観客も試されることになる。

場内は大いに盛り上がっていたが、それはジーニーの力だけによるものではない。ジーニーのセリフや動きに、いちいち大きなリアクションで反応する観客がいてこそのものだ。

これはお国柄だから仕方ないが、どうしても日本の観客は反応が薄い。「キャッツ」のスキンブルシャンクスのナンバーのように、みんな一斉に拍手するとか、そういうお決まりの作法でしか盛り上げることができない。自分も含めて。

でも、この作品はそれじゃダメだ。全員がそろって、ではなく、観客それぞれが「俺はウケてるぜ!」と舞台に向かってアピールしないと、多分場内の熱気は高まらない。「え?ここ笑っていいの?」と周りの反応をうかがっているうちに、どんどんジーニーは先に行ってしまう。勇気を持って笑おう。歓声を上げよう。もちろん、周りに「俺はこの作品の見方を知ってるよー」と言うのではない(そんな観客が多いのも日本の特徴)。あくまで舞台上の、役者に向かって元気玉を届けるような思いで。

そして、これは「マンマ・ミーア!」や「ウィキッド」で顕著だけど、リピーターが支える形になると、笑わせる場面でも反応が薄くなる。仕方ないといえば仕方ないのだが、無理してでも笑わないと、ジーニーの魔力は下がるばかりだ。そして観客に無理をさせないためにも、四季の俳優には一層の力が求められる。正のスパイラルを起こすために、自分たち観る側も相当がんばらないといけない。「なんで客ががんばらなきゃいけないんだ」というのは正論だが、とりあえず俺は少しがんばろうと思う。

四季が発表したジーニー役候補は、道口瑞之と瀧山久志。いま四季で一番笑いが取れる芸達者といえば、やはり道口だ。そして四季プロパーではない瀧山の起用。この2人ならちょっとやってくれそうな期待感はある。この2人を選んだということは、四季がこの作品を上演するにあたっての課題を、きっちりと認識している証拠でもある。第3、第4のジーニーも早期投入が必要だろうが、まずはこの2人のジーニー、早く見てみたいものだ。

そうそう、この日のアラジン・ジャスミンはオープニングキャストのままだったが、Courtney Reedは写真で見るよりずっと可愛い感じで、露出の多い衣装にニヤニヤしながらいやらしい視線を投げかけてきた。ジャスミン候補は岡本瑞恵と三井 莉穂。岡本ソフィは好きだから、こちらもちょっと楽しみだ。結局それかよ。はい、そうです。

アラジンのウェブサイト
http://www.aladdinthemusical.com/

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