AKB握手会の事件について
25日、岩手県で行われたAKB全国握手会で、メンバー2人とスタッフが暴漢に襲われ怪我をする事件が発生した。傷も軽くはないものだったようだし、精神的に受けたダメージも計り知れない。入山杏奈(あんにん)、川栄李奈(りっちゃん)、そして会場スタッフの心身の回復をただただ祈りたい。
事件そのものについては、公式発表は隔靴掻痒の感があるし、ネットの情報はまちまちだし、メディアの取材結果は明日以降にならないと出てこないだろう。だから今の段階では真相についてはよくわからない。
警備体制とか、リスク管理の甘さとか、いろいろ批判が出てくるのは当然だ。そしてそれについての反論もあるに違いない。だがその辺りについては、外野が騒がず、当事者が冷静に分析して結論を出せばいい話だ。
あと俺らが犯罪者予備軍だとか言われるのも、別に今に始まったことじゃないから気にならない。というか、人間は誰でも犯罪者になれる素質を持っている。そこに明確な線引きなんかできない。
自分が感じているのは、そういった話じゃない。
もう祭りは終わるんだな、ということだ。
いや、ブームがもうすぐ終わる、という話でもない。実際もうブームは下り坂にさしかかっているし、個人的には早くファンが減って、また昔のように会社帰りにふらりと立ち寄って劇場公演が見られた時代に戻ってほしいと思っているぐらいだから。
順を追って話そう。
AKBは、このグラフを掲載していたどっかのサイトの中の人が言ってたように、「やっちゃいけない」ことをあえてやる、「逆張り戦術」でブームを演出してきた。メンバー間であえて格差をつける。シングル曲を歌うメンバーをファンに選ばせる。あまつさえ、じゃんけんで決めてしまう。いろいろあるが、その最たるものはこの握手会だ。さして人気のない時期であれば握手会はふつうのことだが、AKBは人気が出ても握手会をやり続けた。膨大な費用と、メンバーの負担をおしてもなお、握手会をやめようとはしなかった。
「やっちゃいけない」ことには、理由がある。そしてそれはたいてい「確率は高くないが、悪いことにつながる可能性がある」というものだ。スピード違反も信号無視も、それをしたからといって事故に直結するわけではない。だが繰り返していけば、確実に事故を起こす確率は高くなる。
そして日本、いやこれは海外でもそうかもしれないが、そういう「悪い結果を招くかもしれないから、禁じられている行為」は、期間や地域を限定して、たまに解禁されることがある。「祭りの日だけは○○が許される」という具合に。
AKB界隈においても、メンバーと握手するというのは、劇場という空間の中で、あるいは年に何回かだけに限定された「祭り」だった。
それを「カネになるから」といって毎週のように、そして全国の巨大な会場で開催するようになった運営側の姿勢は批判されてしかるべきだろう。リスクがあるから「やっちゃいけない」とされているのに、その頻度を上げれば、今回のような事件がいつか起きることは誰でも予想できることだ。
もちろん「楽しいから」といって、その踊りの輪に加わっていた俺たちも、批判されるのは当然だ。
映画「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」で、ラムちゃんは「学園祭の前日」という心浮き立つ時間を永遠に固定させることを夢見る。
でも、祭りを永遠に続けるなんて、しょせん夢でしかないのだ。
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