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2013年4月 7日 (日)

四季「リトルマーメイド」開幕 アリエルが可愛い

アリエル 谷原志音
エリック 上川一哉
アースラ 青山弥生
トリトン 芝 清道
セバスチャン 飯野おさみ
スカットル 丹下博喜
グリムスビー 星野元信
フランダー 松下武史
フロットサム 一和洋輔
ジェットサム 中橋耕平
シェフ・ルイ/リーワード 岩城雄太

ついに開幕した「リトルマーメイド」。ブロードウェーでの公演は何とも残念な出来であり、何でまた四季は買ったんだろう、と思っていたら、まったく異なる欧州ツアー版を持ってくるという。でもツアー版だから、セットはシンプルになるはず。フライングがすごいという触れ込みだが、それマーメイドラグーンシアターで見てるしなあ。

などと、あまりワクワクせずに迎えた初日ではあったが、やはり日本で新しい演目が始まるのは嬉しいものだ。

で、その出来はどうたったのか。

これは非常に判断の難しい作品だ。

いや、悪くはない。むしろいい。いいのだけれど、自分の中で、何が良くてそういう印象になっているのかよく分からないのだ。

なぜそんなことになったのかというと。

はっきり言おう。アリエルが可愛いのだ。

谷原志音はたぶん初見だけど、なんというか、正統派のアイドル顔だ。一幕の演技は、アニメ版のアリエルがそのまま飛び出てきたような天真爛漫さが炸裂していたブロードウェイのシエラ・ボーゲスに比べると、ちょっと落ち着いた感じに見えた。でも、露出度の多い衣装からのぞくナイスバディーがまぶしくて演技がよく見えないー。

二幕で地上に上がってからは、せつない展開に反比例して明るくはじけた演技になる。舞台版で追加された曲のひとつ「Beyond My Wildest Dreams(どんな夢よりも)」でのはしゃぎっぷりには萌え死にそうになるが、実はこれはシエラ・ボーゲスの演技にかなり近い。ブロードウェイ版のCDを聞くとそれがよく分かる。

可愛いだけでなく、歌がいい。よく伸びるキレイな声は聴いていて心地いい。「パート・オブ・ユア・ワールド」のシーンは聴きほれる。「ソング&ダンス」福岡公演で木村花代が歌ったこのナンバーも良かったが、それに匹敵する魅力だ。

ボディーに目がくらんでよく見えなかったけど、演技はまだ粗削りだったように思う。だがそれがいい。

てなわけで、観終わったときの心象はすこぶるいいのだが、単にアリエル萌えなだけじゃないのかという懸念があるのだ。もしアリエルが別の女優さんだったら、同じような感想を持てるかどうか分からない。だから、作品として判断がつきにくい。

アリエルだけではない。御年66歳の飯野おさみによる跳んだりはねたりの大熱演はさすがだし、ちっちゃい青山弥生が演じる巨大なアースラはどこかユーモアを漂わせ、見ていて飽きない。芝清道は――芝清道だった。こうしたベテランの演技がなかったらこの作品の印象はどう変わるだろう?

うーん、分からない。

ちょっと目先を変えて、ブロードウェイ版と比較してみよう。

全体的には、断然こちらがいい。何というか、カルロッタのセリフではないが、こちらのほうが演劇らしく見える。ブロードウェイ版は、セットこそ豪華だったが、ローラーシューズの人魚姫は全く浮遊感がなく、興ざめだった。全体的にまとまりがなく、音楽の良さを生かし切れていなかった。期待が大きかっただけに、悪いところを挙げたらキリがないほど。シエラ・ボーゲスは素敵だったが、もう一人のキャストの目玉であるノーム・ルイスは自分が観たときは休演で見られなかったのは残念。

セットは、今回の上演はかなりショボい。でも、そもそも演劇のセットなんてショボくて当たり前の世界だ。海中シーンは照明などで美しい空間を形作っているし、地上ではわざと平面的に描いた書き割りや、絵本をモチーフにした場面転換など、楽しい工夫もある。

ただ、やはり「アンダー・ザ・シー」や「キス・ザ・ガール」は、もっと観客を圧倒するようなパワーが欲しい。豪華なセットに頼らなくても、見せ方次第でやりようがあるのでは、というのは素人考えだろうが、やはりそういうワープ感を期待して来る観客も多いだろう。ましてディズニーミュージカルだ。「意外と地味だったね」なんて感想が聞こえてきそうな気もする。

とにもかくにも、始まってしまったリトルマーメイド。チケットの売れ行きも好調のようだ。日本では家族で見られる作品が圧倒的に強いので、しばらくはロングランが続くだろう。他の地域も待っているだろうし。

それにしても、なんで四季はリトルマーメイドに手を出したのか。

確かにファミリー層に売れるから、興業的な魅力はあるだろう。製作費も美女と野獣やウィキッドなどに比べればぐっと安いだろうし、銭ゲバのディズニーといえどブロードウェイでコケているだけに、ロイヤリティー面で強気には出られなかったのかもしれない。

しかし今なお期待したいのは、このリトルマーメイド上演が、他のディズニー作品の上演につながる布石であるという妄想だ。メリー・ポピンズの上演を心の底からお願いしたいが、マッキントッシュ&ディズニーという、その名を聞くだけで金を取られそうな人たちが握っている作品だから、ちょっと難しいかもしれない。ではニュージーズならどうだ。あれはあまり金がかかってないから可能性はありそう。「ビリー・エリオット」同様、社会的なテーマを含んでいるので、四季が上演するにはぴったりの作品だと思うが。いっそ来年、ブロードウェイと同時開幕で「アラジン」ってのはどうだ。

とにかく、リトルマーメイドについてはアリエルが可愛い限り良い舞台だ。アリエルが可愛くなくなったら・・・まあ、それはそのとき考えよう、それがどう見えるかはまたその次に考えよう。
Lm

リトルマーメイドの公式サイト
http://www.shiki.jp/applause/littlemermaid/

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