ジーザス・クライスト=スーパースター(ジャポネスクバージョン)お久しぶり?芝ユダ
ジーザス・クライスト | 神永東吾 |
イスカリオテのユダ | 芝 清道 |
マグダラのマリア | 野村玲子 |
カヤパ | 金本和起 |
アンナス | 吉賀陶馬ワイス |
司祭1 | 佐藤圭一 |
司祭2 | 清水大星 |
司祭3 | 真田 司 |
シモン | 本城裕二 |
ペテロ | 玉真義雄 |
ピラト | 村 俊英 |
ヘロデ王 | 下村尊則 |
ジーザスは時々ふっと観たくなる演目のひとつだ。特にかつて「江戸版」とも言われた、この初演版演出であるジャポネスクバージョン。エルサレムバージョンも悪くはないが、やはり中毒性はこっちのバージョンのほうが強烈だ。
今回はエルサレム→ジャポネスクの順で上演されたが、エルサレム版の芝ジーザスはちょっとヘンだということを十分すぎるほど気付かされたので、今回はパス。そしてジャポネスクを楽しみにしていたが、芝はジーザスからユダに戻り、かわりに待望の新ジーザスが登場した。これはこれで楽しみである。
神永東吾ジーザスは、スマートな体型ときれいに伸びる高音がなかなか魅力的なジーザスだ。もっとも、どこか金田俊秀ジーザスを思い出させる面もある。そうなると、歌に関しては金田に一歩譲るのも事実だ。しかしこちらは表情に独特のムードがあるので、演技の面で凌駕するジーザスになってほしいとも思う。
芝は定位置のユダ役で、水を得た魚のようにのびのびと演じており、村ピラトは容赦なく見事な声を響かせ、下村ヘロデはもう誰も止められない勢いでエキセントリックに炸裂。このトリオは最強だ。
反面、野村マリアはダメだ。年齢の問題ではない。周りがいいだけに、歌えなさが悪目立ちしている。「役者ではなく作品を観ろ」と言われても、これでは作品どころじゃない。野村玲子は素晴らしい女優だと思うが、作品の足を引っ張るキャスティングに猛烈に異を唱えたい。
それにしても、やはりこの演出は秀逸だ。白塗りに隈取りメイクと70年代ロックの融合、大八車を使ったダイナミックな舞台装置。初演時はあまり評判がよくなかったというが、1970年代の日本にはエキセントリック過ぎたということだろう。まだA・L・ロイド=ウェバーもティム・ライスも、あえて言えば浅利慶太も若かった。そのギラギラした、中二病なアグレッシブさが舞台からあふれ出ている。アドレナリン出まくりで、観終わるとぐったり疲れるが異様に元気になる。
今の日本に足りないのはこれだ。この抑えきれない、何だかわからないものが脳髄の裏側から吹き上げてくる感覚。以前全国ツアーでも観たが、この作品こそ全国各地で上演し、閉塞感を突き破ってほしいものだ。
ジーザス・クライスト=スーパースターのウェブサイト
http://www.shiki.gr.jp/applause/jesus/index.html
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