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2012年2月 5日 (日)

韓国発ミュージカル「パルレ」木村花代&野呂佳代 奇跡のWキャスト

濱田めぐみに続き、木村花代が舞台に復帰だ!そりゃもうお祭り騒ぎなわけだが、開けてびっくり、Wキャストの相手が野呂佳代(元チームK、現SDN48キャプテン)だという。何そのピンポイントで俺にターゲティングしたキャスティング。というわけで、マチネ・ソワレ連続観劇してきた。

まずはノンティー版。

ナヨン 野呂 佳代
ソロンゴ 松原 剛志
ヒジョンちゃんママほか 川島 なお美
大家さん、キム・ジスクほか 大鳥 れい
マイケル、書店社員ほか 安福 毅
書店OL、女子高生ほか 上田 亜希子
スーパー店主、クーさんほか 奈良坂 潤紀
パン社長、引越屋ほか 三波 豊和

最近はテレビに出ることも少なくなったけど、野呂佳代といえばかつて佐藤夏希と組んでM-1グランプリに出たこともあり、お笑い担当というイメージが強いかもしれない。実際、劇場公演やライブのMCではそういう役回りを振られることも多かった。しかし、いざステージでのパフォーマンスとなると豹変するのが野呂佳代だ。クールな表情とキレのあるダンス、そして時折見せるかわいい笑顔としぐさ。実に魅力的なのだ。

その魅力が、この舞台ではストレートに出せていたと思う。本当に田舎から都会に出てきて頑張っている普通のお嬢さん、という雰囲気で、見ていて応援したくなる。ナヨンというキャラクターそのもので、舞台上の他の役者や、観客席からの温かい眼差しが目に見えるようだった。

いくつか舞台をこなしているとはいえ、経験はまだまだ。歌も、演技も発展途上ではあるが、クライマックスで泣き顔からぱっと笑顔になるシーンで、その笑顔は思わずどきっとした。あの笑顔だけで、この役に抜擢した大きな理由になり得ると思ったほどだ。

 

続いて花代版。相手役のソロンゴもトリプルキャストなので変わっている。

ナヨン 木村 花代
ソロンゴ 野島 直人
ヒジョンちゃんママほか 川島 なお美
大家さん、キム・ジスクほか 大鳥 れい
マイケル、書店社員ほか 安福 毅
書店OL、女子高生ほか 上田 亜希子
スーパー店主、クーさんほか 奈良坂 潤紀
パン社長、引越屋ほか 三波 豊和

2010年2月の「クレイジー・フォー・ユー」以来、実に2年ぶりとなる花代様が劇場に勢いよく飛び出してきたときは実に嬉しかった。そしてスタイルもバッチリ。よくこのブランクの間あの体型を維持できたものだ。舞台復帰への決意がそれだけ固かったのだろう。

歌唱力、演技力も全盛期そのままである。濱田めぐみはさっそく四季時代とは異なる演技を見せていたが、こちらは良い意味で四季時代そのままといった感じ。そういえば、花ちゃんの「普通のお嬢さん」な演技、ってほとんど見たことなかったなあ。まあ四季の作品は普通の人間じゃない登場人物が多いというか、人間ですらないことが多いから。あえて言えば「マンマ・ミーア!」のソフィかな?でも後半は怒っている演技が多いので、「夢から醒めた夢」のピコや、ポリーを思い出させる表情がちらちらと覗いていた。

しかし、すでに木村花代という女優は2年前のクレイジー・フォー・ユーあたりから娘っぽさが抜けて、大人の女性っぽさが前面に出てきた。実力的には野呂佳代とは比較にならないほど高いグレードではあるが、ナヨンらしさ、という点ではやや分が悪かったかもしれない。でもまあ、まだまだ行けるけどね。

2人ともほぼ期待どおりのパフォーマンスで、大いに堪能させてくれた。ソロンゴ役では、松原剛志のほうが役になじんでいたようにも感じた。まあ毎週日曜にこの人の歌声聴いてるからかもしれないが。この人のアンジョルラスも、また野島直人のマリウスも観てないんだよね。失敗。

 

作品的にはどうだろう。

ニートやワーキングプア、外国人労働者らが集まるアパートを舞台にした人情劇、という設定の話であり、どことなく「アベニューQ」を思わせる。特に経済成長の陰で苦しむ人たちにスポットを当てているという点では、ニュー・エコノミー論の台頭でイケイケだったアメリカ経済の陰に生きる若者を描いた「RENT」に近いのかもしれない。

ただ、さほど笑いの要素は多くなく、後半はかなりシリアスな展開。そして韓国らしい純粋なメロドラマという側面もある。個人的には、全体的に社会性が強すぎて、ちょっと苦手感はあった。アベニューQも社会性は強いが、あちらはそれをこんがりと炒めて、乾いた笑いにしている。こちらは半生状態。しっかり焼いたハンバーグとユッケの違いといったところか。好みはそれぞれだろう。

しかし、その苦手感を味わいつつも、最後まで楽しく、それも1日に2回も観ることができたのは、共演陣の力に依るところが大きい。ナヨン、ソロンゴ以外の役者はみな3役も4役もこなすのだが、素晴らしい仕事をしていた。

まず何といっても三波豊和。昨年「レ・ミゼラブル」のテナルディエ役で、失礼ながら意外ともいえる好演をしており、この人のミュージカル出演作をまた見たいと思っていたので期待していたが、その期待をも大きく上回る存在感、演技、そして歌声で魅了してくれた。さまざまな役を変幻自在にこなしつつ、抜群の安定感を発揮して、舞台全体を引き締めていたと思う。

そして川島なお美。こちらもかわいそうなぐらいいろいろやらされているのだが、派手に見えて実は人情家な役どころを非常にうまく演じていた。それに笑いの取り方が実にうまい。やはり「お笑いマンガ道場」で鍛えられたせいだろう。以前「マンマ・ミーア!」のオーディションを受けたことが話題になっていたが、四季は今からでも遅くないので彼女に出演を要請すべし。歌唱力で一歩ひけを取るにしても、無理に若い女優に演じさせるよりよっぽどステキなダイナモスメンバーになれるはずだ。

安福毅も良かった。この人も四季出身なのだけど、とんでもなく芸達者な人だ。この人が別の役を演じていると、とても同じ人が演じているとは思えないほどだった。実力派である。

さらに上田亜希子。彼女は去年「アプローズ」でその実力を十二分に披露してくれたが、今回はOLや女子高生といったコスプレ系の役を次々こなし、美人ぶりを存分に見せてくれたので顔がニヤけるほど楽しかった。

また宝塚出身の大鳥れいは、2つの重要な役どこをを演じたためにほとんど出ずっぱりだったが、両方とも完璧に役を体現していて見事だった。

こういう実力ある役者が活動していれば、日本の演劇界の未来は明るい。そうした人たちが活躍できる作品、そして公演がひとつでも多く形になるよう、関係者の努力に期待しつつ、自分も劇場に足を運ぶことで少しでも協力していきたいと思う。

韓国からは「ナンタ」や「JUMP」といったパフォーマンスが日本でも人気だし、こうした小劇場のスマッシュヒット作が上陸するようになれば、演劇界にも相当な刺激になるだろう。すでに、ブロードウェーの翻訳公演は日本より韓国のほうが先んじるケースが多くなってきた。頑張ってくれ!四季も、それ以外のプロモーターも。

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麻里子さま、これはいくら何でも悪ふざけが過ぎると思うぞ!劇場に花を贈るっていうのはオフィシャルな行為なんだから!関係者も置き場所に困っていた様子。麻里子らしいけどさ。

「パルレ」の公式ウェブサイト
http://www.bballae.puremarry.com/index.html


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