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2012年1月14日 (土)

ミュージカル「ボニー&クライド」 濱田めぐみ復活祭 

ボニー 濱田めぐみ
クライド 田代万里生
バック 岡田浩暉
ブランチ 白羽ゆり
テッド 中河内雅貴
ヘンリー 中山昇
シモンズ刑務所長 芝崎健太
クロウソン看守 戸室政勝
ジョンソン保安官代理 ヨウスケ・クロフォード
ファーガソン州知事 徳垣友子
アンジェラ 家塚敦子
クレア 保科由里子
エレノア 宇野まり絵
キャミー 明星真由美
ヘイマー特別捜査官 岸 祐二
牧師 つのだ☆ひろ
バド保安官代理 戸井勝海
ボニーの母 池田有希子
シュミット保安官 木場勝己

ついに濱田めぐみが舞台に帰ってきた。

四季退団後の初作品でいきなりの主演。しかも、昨年12月にブロードウェーでオープンしたばかりのホットな作品だ。日米で時間差がないということは、これがオリジナル演出だということだ。最近は演出までパッケージ化して輸出されるパターンが多いが、作品とスコアだけの権利を買った形である。

実は昨年末もニューヨークへの旅行を計画しており、この作品も向こうで見て、その違いを確かめようと考えていたのだが、諸般の事情で旅行をキャンセルしたのでそれは叶わなかった。

その作曲を手掛けたのはフランク・ワイルドホーン。日本では「ジキル&ハイド」「シラノ」が上演されている。「シラノ」は日本が初演となったし、日本とのパイプがあるクリエーターなんだろう。しかし、四季以外の翻訳上演がどうしても一部の作者に偏るのは、日本のプロモーターが海外ショービジネスとの付き合いが薄いことの裏返しなんじゃないだろうか。

この「ボニー&クライド」は、かつて映画・邦題「俺達に明日はない」で世界中に知られることになった米国禁酒法・大恐慌時代の実在の強盗カップルを描く物語である。

幕が上がると、いきなりめぐ様のソロから始まった。ああ、この声。待ち望んだミュージカル界の王女の帰還である。

その歌はまさに濱田めぐみ。きりっとした目力も健在だが、セリフ回しは四季の呪縛から逃れた今、だいぶ印象が異なる。四季の発声法では出てきにくい、あえて感情を込めずに言葉を発するような自然な表現も含め、その幅がぐんと広がっている。

アイーダ以降、肩に力の入った役が多かったために(「ブラックコメディ」は違ったけど)、余計にそう感じたのかもしれない。しかし、最初に自分が濱田めぐみを見たのは「美女と野獣」だったが、そのときは実に自然にベルを演じており、野村玲子や堀内敬子のベルとの違いが鮮明だった。そういう意味ではもともとの地の部分が戻ってきたのかもしれない。

伸び盛りの田代万里生、昨年「銀河英雄伝説」のミッターマイヤーを演じた中河内雅貴、大ベテラン・木場勝己に、ワンポイントで強烈な印象を残すつのだ☆ひろなど、共演陣もそれぞれの持ち味と実力を生かしたいい演技で、舞台の熱量を高めていた。

オリジナルの演出も、どうしても日本人には感覚的に分かりにくい米国の特殊な時代の空気を、うまく翻案して伝えることに成功していたと思う。

しかし、スタッフ・キャストとも非常にいい仕事をしていたのだが、いかんせん、作品自体がかなり地味である。

ボニーとクライドの物語、と聞くと、どうしても映画の刺激的な内容を期待してしまいがちだが、この作品はあえて2人をダーティー・ヒーローとしてではなく、等身大の視点で描くことに力を注いでいる。周囲の人たちの思いも丁寧に描く。それは作品のねらいとしてはいいけれど、エンターテインメントとしてはやや退屈だ。セリフも曲も内向的なものが多く、全体的に湿っぽい。さらに上演時間が休憩15分を含め3時間を超える。観終わったあとはだいぶ疲れが残る、というのが偽らざる感想だ。

演出家はかなり苦労して手を入れたのが伝わってくるのだが、いっそのことぐーんと短くしたかったのかも。2時間ちょっとに納めれば(実際、そのぐらいの物語である)、作品が伝えようとしていたメッセージもハッキリ伝わっただろうに。

狂信的なめぐ様信者としては、そのお姿を見られただけで十分満足なのだが、周囲の濱田めぐみを初めて見る観客に「どうだ、スゲーだろ!」と言いたくなるような作品ではなかったのはやや残念ではある。

次回作は同じ作曲家の「ジキル&ハイド」。主演は石丸幹二だ。なんつうか、日本の演劇界が人材も作品も枯渇しているのがバレバレになってきたが、もう開き直って、2人とも遠慮なく暴れまわってほしいものだ。

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「ボニー&クライド」のウェブサイト
http://www.bonikura.com/

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コメント

はじめてカキコ致します。
ヤボ夫さんブログ以前から拝読させていただいており、
「ボニー&クライド」の記事UPされるの
大変楽しみにしておりました。

1/14に観劇されたのですね。1/14はマチソワ
とも中河内さんでしたね。
藤岡さん@テッドも中々でしたよ。
つのだ☆ひろさん、ヤボ夫さんがお認めされるということは、
さらに良化していたのですね。
私は1/8,10マチ,13マチと観劇したのですが、
初日は、、、、めぐ様の相手役@海劇場に匹敵する出来栄えでした(^^)

投稿: kaikomagatake@orenvally | 2012年1月16日 (月) 08時52分

kaikomagatake@orenvallyさんこんにちは。こんなあほなブログを読んでいただき恐縮です。

つのだ☆ひろ御大は、見てて面白いので私としてはアリです。ほかに見てて面白い要素が少なかったので・・・。同じように、アレなラダメスも面白いという意味ではそんなに嫌いじゃないです。

投稿: ヤボオ | 2012年1月17日 (火) 00時05分

こんばんは。
夜分遅くに、もしコメント通知などしていたら申し訳ないです。


僕は今日観てきたばかりなのでコメントさせていただきます。


濱田さん、歌はさすがでしたね!!全く変わってなくて嬉しかったです。

田代さんも今までとはかなり違った系統の役をなかなかいい感じに演じていたと思います。

そして何より素晴らしかったのがテッド役の藤岡正明さん。
酔いしれるような素晴らしい歌声、そして不器用ながらも正義を伝えようとするテッドの人物像がとても伝わってきて感動しました。中河内さんのテッドも観ることができればと思います。

確かに、作品の内容が地味でしたね。キャストやスタッフや照明などが良かっただけに、なんか惜しい!って思いました。

では、失礼しましたm(__)m

投稿: しん | 2012年1月19日 (木) 02時26分

昨日僕も感激してきました。
こちらで、ブログを読んで
迷っていたのですが「行こう!」と
決心がつき行ってきました。
本当に地味で、長くて
盛り上がりに欠けて…眠かったです。
映画のように、もっとテンポ良く
面白おかしく進むSTORYだからこそ
最後のあのラストシーンが衝撃なのに。。。

休憩時間の周りのお客は口をそろえて
「濱田さん、やっぱりいいね」で
作品についての感想は聞こえてきませんでした。
濱田さん、凄い輝いていましたね。

最後に、つのだ☆ひろが出てくる度に
笑いが込み上げたのは僕だけ???

追伸:ラ・アルプ の記事でブロードウェイで
早々にクローズした作品というのが
このミュージカルの元なのかな???

投稿: IHO | 2012年1月19日 (木) 22時28分

しんさんこんにちは。

藤岡正明氏はレ・ミゼラブルでもなかなか良かったですね。ミュージカルで活躍できる人材が増えてきたのだから、もっと多くの作品を見たいものですが、東宝も四季も再演ばかり。今回のような新作への取り組むプロモーターには頑張ってほしいです。

投稿: ヤボオ | 2012年1月22日 (日) 03時44分

IHOさんこんにちは。

元、というより、同じ作品ですね。演出はそれぞれ独自にしているので、舞台の印象はだいぶ異なると思います。観てないので何とも言えませんが。

投稿: ヤボオ | 2012年1月22日 (日) 03時46分

お久しぶりです。お待ちしておりました。
四季の呪縛から解かれた歌姫の歌声にゾクゾクしていた1人です。ただ作品的には…何度か眠気に襲われてしまいました。
この作品、四季向きじゃありませんね。あの上演時間を四季劇場の椅子じゃ、腰痛で動けなくなるお年寄りが続出しそうですし(笑)

投稿: らべたん | 2012年1月22日 (日) 20時24分

らべたんさんこんにちは。

いやー私はもう年なので青山劇場の椅子でもじゅうぶん腰が痛くなりました。
むしろ椅子が固いほうが楽だったりして。

投稿: ヤボオ | 2012年1月24日 (火) 23時11分

ヤボオさん、ものすご~くお久しぶりです。
書き込みはしていませんでしたがずっとロムらせていただいていました。
五東さん、めぐ様、花ちゃんと一気に退団され観劇から遠ざかってしまっていましたがやっとまた最近テンションが上がってきました。
今日、上本町YUFURAで見て来ました。
久しぶりのめぐ様でしたが、感想は…う~ん、眠かったです。めぐ様が出てたからそれはそれで満足って感じでした。
ボニクラ→洗濯→ジキハイ→サイゴンと楽しみな1年になりそうです。

投稿: みーやん | 2012年1月29日 (日) 00時23分

みーやんさんこんにちは。

洗濯はわたし両方観ないとです。ミス・サイゴンは作品としてうーんなのと、エレンの出番少ないので複雑ですが、もちろん観るでしょう。石丸センセイの活躍も楽しみですね。

投稿: ヤボオ | 2012年1月29日 (日) 00時35分

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