「レ・ミゼラブル」帝劇100周年記念キャスト
ジャン・バルジャン | 今井 清隆 |
ジャベール | 鹿賀 丈史 |
エポニーヌ | 島田 歌穂 |
ファンテーヌ | 岩崎 宏美 |
コゼット | 神田沙也加 |
マリウス | 石川 禅 |
テナルディエ | 斎藤 晴彦 |
テナルディエの妻 | 鳳 蘭 |
アンジョルラス | 岡 幸二郎 |
司 教 | 林 アキラ |
帝劇100周年記念キャスト、というより、現行の演出での上演が最後になるから、ということかもしれないが、旧キャストがズラリと顔をそろえたスペシャルキャスト上演の回に参戦した。
顔ぶれとしては、2005年の記念キャスト回に近い。今回は鳳蘭のマダム・テナルディエもおり、さらに林アキラの司教様まで加わった。
1987年の帝劇では(当時大学1年生)、プリンシパルキャスト総出演の時に見たので、そのときの布陣にかなり重なる。違っているのはバルジャンが滝田栄、マリウスが野口五郎、コゼットが斉藤由貴、アンジョルラスが内田直哉だった。
24年も経過して、また同じ出演者で観られるなんて。舞台ってほんとうに面白い。自分が24年で年齢と体重以外何の成長もしていないことも同時に思い知るのだが。
しかし、単なる懐かしキャストに終わらないのがこの役者たちの素晴らしいところである。
鹿賀丈史は、2005年に見たときは、初演のときと異なり、少し人間味を前に出したジャベールだった。しかし、今回は初演のジャベールに近い、冷徹で非情なジャベールを演じていた。怖いジャベールの復活は素直に嬉しかった。
それに、驚くべきはその歌声で、2005年のとき、あるいは2009年の「ミュージカル シラノ」などに比べて、ずっと声が出ていた。この公演に向け、相当なボイストレーニングを積んだのだと思う。還暦にしてなお真摯に役に向き合う姿勢には脱帽だ。
石川禅は、さすがに見た目は冗談みたいになってきたが、依然包容力のある魅力的なマリウスだ。「何だよふざけて~」のあの表情は、禅スペシャルとも言いたくなる彼にしかできない演技だ。
そして、現役時代よりさらに研ぎ澄まされたエポニーヌを見せてくれる島田歌穂。この2人を前にしては、神田沙也加のコゼットはいささか分が悪い。神田沙也加自体は決して悪くないし、劇団☆新感線の「薔薇とサムライ Goemon Rock OverDrive」ではその存在感に感心した。だが相手は2人のベテランの名人芸である。ここはひとつ、斉藤由貴コゼットの復活を観たかったものだ。今なお、自分の中での最高のコゼットは斉藤由貴である。
岩崎宏美のファンティーヌはあいかわらずこの役と一体化した完成度。いまだこの役は彼女のもの、という印象が強い。斎藤晴彦は、現役時代よりセリフが聞き取りやすくなっていた。彼はもう70歳!さすが筋金入りの舞台役者というべきか。
そして実に初演で観たとき以来の鳳蘭。豪快なマダム・テナルディエは健在だった。マダム・テナルディエについては自分の中で鳳蘭と前田美波里が同率首位。最初に見たから印象が強いのかもしれないが、やはり初演キャストがいかに強力であったかを改めて感じずにはいられない。
林アキラ司教も久しぶりだが、歌声は以前のままで感激した。これも、日本のレ・ミゼラブルには欠かせない存在なのである。
おそらく、こうした記念キャストを観るのもこれが最後になるのではないか。寂しい気もするが、彼らが築きあげてきた歴史があってこそ、新しいレ・ミゼラブルも幕を開けることができるのだ。彼ら偉大な先達への敬意を胸に、レ・ミゼラブルの新生を期待しつつ待ちたい。
レ・ミゼラブル 公式ウェブサイト
http://www.tohostage.com/lesmiserables/index.html
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コメント
うらやましいデス・・・
鳳マダムを久々に観たいのですが
チケットが手に入らず・・・
レミ・スペキャス、あなどってました
投稿: の。の | 2011年5月30日 (月) 11時48分
の。のさんこんにちは。
先行抽選ははずれまくりでしたが、一般発売日にネットで購入しました。
25年近くもこの舞台を見てきて、よかったなあと素直に感じます。
投稿: ヤボオ | 2011年5月31日 (火) 00時08分
のんびり屋の私は、24年前に観たキャストで観られる♪♪と懐かしい想いだけで観に行きました。終演後に今年で初演バージョンが終了だと知り、千秋楽の先行販売の応募すらしてませんでした。また、スペシャルキャストのパンフレットも買い損ねました。(年老いた母が先月来た時に買ったと言う言葉を信じて・・何度も確認したのに・・)何度か観には来てたのですが、いつもすっきりしないで帰宅。このキャストでどうだー!とチケットをとっても・・うーん、なんか違う!?心にどんどんと伝わってくる歌声に出逢えない・・・24年前は、まだ中学生だったから年のせいか!?でも、今回観に行ってやっぱり違う!!このスペシャルキャストは凄いんだ。だって私、泣きながら観てた!!今回、記憶に残ったのは、マリウス役の禅さん。出てきた時はびっくり!!したけど、(ごめんなさい。さすがにほうれい線は隠せない)その歌声と、とても柔らかい笑顔と、突如みせる他の役者とは違う演技力に惹かれ、私の心はトキメキにすら変わった。新演出はどうなの!?と、気になってこのブログに辿り着きました。期待しててもいいのかな?という気持ちです。それにしてもスペシャルキャストは完璧だった。ファンの期待以上の感動をくれる!!またこのキャストを時々でいいから、お願い!!と帝劇さんにお願いしたいです。 観劇も好きで、海外も好きなのですね?私もです。情報収集にまたブログ、読ませて頂きます。
投稿: アリス | 2011年7月11日 (月) 11時27分
アリスさんこんにちは。
今回のスペシャルキャスト陣は、気合の入りようが過去のゲスト出演時とは違っていたように感じました。いいものを観たという感激でいっぱいです。
石川マリウスは、このときも本当に良かったであります。
http://kingdom.cocolog-nifty.com/dokimemo/2007/07/post_b4df.html
投稿: ヤボオ | 2011年7月12日 (火) 00時55分