四季「ジーザス・クライスト=スーパースター」(エルサレムバージョン) 聖☆おやっさん
ジーザス・クライスト | 芝 清道 |
イスカリオテのユダ | 金森 勝 |
マグダラのマリア | 高木美果 |
カヤパ | 金本和起 |
アンナス | 阿川建一郎 |
司祭1 | 平山信二 |
司祭2 | 内海雅智 |
司祭3 | 伊藤潤一郎 |
シモン | 本城裕二 |
ペテロ | 神永東吾 |
ピラト | 村 俊英 |
ヘロデ王 | 北澤裕輔 |
以前、配役表にその名を連ね、パンフレットにも稽古写真が載りながら実際の舞台に立つことのなかった芝ジーザスが、いよいよ本当に登場してしまった。見たいような見たくないような。しかし一度は見なくてはいかんだろう。
開演し、やがて舞台に現れた芝ジーザスは…
想像していたのとだいぶ違った。
以前、パンフレットに出ていた写真では、口ヒゲをたくわえた、いかにも芝清道な雰囲気のジーザスだった。しかし、目の前に登場したのは、まるでさっき床屋に行ったかのような、すっきりした顔立ちである。
若者らしくしたつもりなのだろうが、いかんせん芝である。若づくりによって、かえってオジサンっぽさが強調されてしまっている。
オジサンっぽいといえば、金森ユダもそうで、ジャポネスクの隈どりメイクでは感じなかった中年な感じが前面に出ていた。
芝&金森の濃厚すぎるコンビに、中年の悲哀という味付けが加わり、どうにも暑苦しい。見ていて面白いのは確かだが、ジーザスを「悩める若者」として描いた本作の趣旨から見ると、かなりアサッテの方向に行ってしまった感は否めない。
どうもこれはロックじゃない。何がロックかと言われると答えに詰まるが、でも違う。無理に若者ぶろうとせず、中年は中年のまま、気取ることなく、でもカッコをつけて歌う。それがロックだと思う。中年が中年らしくふるまうことで、結果として中年っぽくなくなるはずなのだ。逆説的ではあるが。
「ちゅらさん」で、いつも恵達(山田孝之)に「ケイタツ、それはロックじゃナイよ」と言っていたジョージ我那覇(鮎川誠)が、ライブに恵文(堺正章)が三線で乱入したのを「これはロックだ」と評する場面があった。それをふっと思い出した。
では芝ジーザスがぜんぜんダメかと言われれば、そうでもない。歌声はさすがで、ゲッセマネの独唱では柳瀬ジーザスをはるかに超えるロングトーンを披露。もちろん声楽的には柳瀬の技量に及ぶものではないが、その熱意は十分に感じられた。
一方の金森ユダも、その鬼気迫る演技は健在で、この2人の組み合わせで発生する圧倒的な熱量は、方向性さえ間違わなければ観客の心をつかんで離さないだろう。
やはり、このコンビはジャポネスクバージョンに期待したい。そもそも、エルサレムバージョンはロックじゃない、とも言える。小ぎれいにまとまる傾向にあるからだ。歌舞伎の精神、「かぶく」ことはロックにつながる。それが、中年コンビにあるべき方向性を示してくれるに違いない。
舞台全般も、どうも小さくまとまっていた印象だった。群衆の熱狂ぶりもおとなしかったし、使徒たちも、モロ師岡のような顔の本城シモンはなかなかよかったが、それ以外はみなまじめな優等生のようである。むしろ、カヤパ軍団のほうがはつらつとして見えた。
村ピラトの抑えた演技はいつも素晴らしいが、この日も抜群の安定感を見せていた。千秋楽までに、芝×金森×村という、豪華なトリオのポテンシャルを存分に発揮できる舞台になってほしいものだ。
また、ひそかに期待していた北澤ヘロデはなかなかの出来だった。気持ち悪いほど美しいその姿でまずインパクトを与える。エルサレムバージョンではヘロデの変人ぶりもやや抑え気味なのだが、視線の動かし方など、細かい演技で近寄りがたい、いや、近づきたくない雰囲気を醸し出している。これもジャポネスクに期待である。
「ジーザス・クライスト=スーパースター」公式サイト
http://www.shiki.gr.jp/applause/jesus/
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コメント
明日、観に行きます

デス
お顔ツルツルなんだ~、ちょっとガッカリ・・・
でも、ずっと待ってたのでオジーザスでもOK
投稿: の。の | 2011年4月20日 (水) 20時43分
の。のさんこんにちは。
そうなのです。なんだか面接受けるので床屋で顔剃ってきましたみたいな。
ジャポネスクのときはどうなるんでしょう。
投稿: ヤボオ | 2011年4月22日 (金) 00時09分
観てきました
イケメンジーザスではありませんが、妙にオンナゴコロをくすぐる芝ジーザス。

そして美しすぎて頬がゆるんじゃった北澤ヘロデ。
このふたりのマッチングが素晴らしいと思います
さすが浅利先生ですね~
投稿: の。の | 2011年4月24日 (日) 23時35分
はじめまして。
いつも読ませて頂いております。
24日に、初めてジーサスを観てきたのですが、ヘロデ王が下村さんに!下村さんらしい独特な演技…あのシーンは、笑いが起こるところなんでしょうか??
ホントにみなさん素晴らしかったんですが、下村ヘロデの印象が強く残りすぎてしまいました(>_<)
投稿: あおね | 2011年4月25日 (月) 03時00分
の。のさんこんにちは。
あの美しい北澤ヘロデ、ジャポネスクでも見られるんでしょうか?見たいなあ。
投稿: ヤボオ | 2011年4月26日 (火) 00時11分
あおねさんこんにちは、はじめまして。
下村ジーザスの名人芸、さぞや炸裂していたことだと思います。
あのシーンは、演出家も俳優も観客も、好きにやっちゃっていいところだと思います。笑うのもよし、呆れるのもよし・・・
投稿: ヤボオ | 2011年4月26日 (火) 00時12分
はじめまして!!
ちょっと芝ジーザスに関してどなたかのコメントをお聞きしたいと思って、こちらにたどり着きました。
前回の金田ジーザスと西マリアでJCSにはまり、今回とっても楽しみにして観劇に臨んだのですが・・・
どうしても、芝さんが芝さんにしか見えなくて、入り込めず、前回涙が溢れた場面も感情移入できず終わってしまったんです。芝さんが嫌いな訳ではありません。
でもでも・・・トラップ大佐にしか見えなかったんです。ゴメンナサイ・・・
でもでも私、ジャポネスク観た事無いんです。
ヤボオさんの言うとおり、メイクが違ったら感じ方も違うかも・・・ジャポネスクに期待です(゚▽゚*)
投稿: kaorio | 2011年5月 6日 (金) 01時53分
kaorioさんこんにちは。
トラップ大佐に見えるだけよいではありませんか。私には芝清道にしか見えません。
投稿: ヤボオ | 2011年5月 7日 (土) 12時11分