四季「マンマ・ミーア!」びっくり仰天 樋口麻美ドナ
ドナ・シェリダン | 樋口麻美 |
ソフィ・シェリダン | 谷口あかり |
ターニャ | 八重沢真美 |
ロージー | 青山弥生 |
サム・カーマイケル | 阿久津陽一郎 |
ハリー・ブライト | 味方隆司 |
ビル・オースティン | 脇坂真人 |
スカイ | 田中彰孝 |
アリ | 木内志奈 |
リサ | 柏 円 |
エディ | 丹下博喜 |
ペッパー | 大塚道人 |
・・・そうか、またマンマ・ミーア!を東京で上演しているのか。懐かしいのう。
東京初演でソフィを演じていた樋口麻美が、ドナを演じる日が来るとは・・・
わしも若いころは、大阪、福岡、名古屋、広島と観て回ったもんだが、今やそんな元気もない。リニアが開業して大阪まで1時間ちょっとだし、近所の茨城空港から全国どこにでも行けるとはいえ、遠征は老骨にちとこたえてならん。しかしここはひとつ、ひさしぶりに観に行かねば・・・ところで、今年は西暦何年になるのかな。
ってまだ2011年じゃないか!
劇団四季の時計はどうなっているんだ?あざみの近辺は時空が歪んでいるのか?
そりゃ樋口麻美だってもう30過ぎなわけで、ソフィの年齢じゃない。しかし、どう見たってまだドナ役には早すぎるだろう。
これは冗談キャストとしか思えない。そういうのは、阿久津サムとか、渡辺ラダメスとか、冗談の似合うヤツらでやってくれい。芝ジーザスとかな。
とかなんとか言いつつも、この目で確かめてみないことには、といそいそと海劇場へ。相変わらずの釣られ体質である。
もちろんちょっとした期待はある。樋口麻美は「ウェストサイド物語」でアニタを演じて以来、大きくステップアップした気がする。最近では、「コーラスライン」でヴァルを演じた。結局未見ではあるものの、なかなかの好演だったようだ。そうした経験で面白いドナを作り上げているかもしれない。
青山ロージーと八重沢ターニャの名人芸コンビが進んでいると、ちょっこしフライング気味に登場した樋口ドナ。見た目は・・・やっぱり若いだろ。とてもハタチの娘がいるようには見えない。でもまあ、そういう年に見えないカワイイおばさん、っていうのは世の中にたくさんいる。そう考えれば全くおかしなわけではない。
でもちょっと気になったのが樋口麻美の話し方。ご存じのように、彼女のセリフ回しは四季の母音法があまりにもはっきりくっきりしている。その口調は、このポップな舞台にあまり似合わないのである。
しかし、歌い始めると印象が変わった。「MONEY,MONEY,MONEY」「MAMMA MIA」「DANCING QUEEN」とも、低音の効いたパンチのある歌声で、ドナの存在感を際立たせている。これはなかなかいい。一方で、「SUPER TROUPER」や「ONE OF US」「Slipping Through My Fingers」など、どちらかというと柔らかい感じの歌は、ちょっとカドが立っててしっくりこない気がする。「Winner Takes It All」は迫力があって良かった。
そのセリフ回し同様、演技においてもひとつひとつの動きや表情を折り目正しくこなしている。そこは好き嫌いが分かれるところだろうが、回りのキャストもそれに影響されたかのように、おそらくはまだこなれていない主役を気遣ってか、実に丁寧に演じていた。その結果、そうかここはこういう演技をするところなのか、こういう間をとるべきなのか、と気付くことの多かった公演になった。
常に基本に忠実なのは、樋口麻美という女優の持ち味なのかもしれない。その姿勢を保ちつつ、今後どのように成長していくのか注目だ。しかし先は長いなあ。いつかは樋口ドナ、木村花代ターニャ、吉沢梨絵ロージーなんて時代が来るのかな、と妄想していたが、その一角だけとんでもなく早く実現してしまい、残りの2人は実現不可能になった。いや、長く演じていれば、いつの日にかきっと――。
実はこの日はほかにも注目ポイントがあった。
まず、初めてお目にかかる谷口あかりソフィ。かわいいソフィは大歓迎だ。歌唱力最強の江畑晶慧ソフィのあとだから、ちと歌に難点を感じるかもしれないが、ぜんぜん許容範囲。ただ、いかんせんあの外巻きヘアーが似合わない。何度も主張しているが、あの髪型を強制するのはやめにしてほしい。ベンドラやリーズルな髪型のままだったら、激萌えソフィになれるのに。
そしてもうひとり、アンサンブルに泉春花の名前が。55ステップスで神技を披露していたバトントワリングの女王だ。自分この人も大好きなんである。バトンの神技は誰もが知るところだが、演技や歌は未知数だ。ぜひ何かの役を獲得してほしいものである。ピコとかどうかな。そりゃ個人的な趣味に走りすぎか。
濱田めぐみのドナでもびっくり仰天だったのに、さらに低年齢化が進むドナ。いったい四季の、いや日本のマンマ・ミーア!はどこに向かうのだろう。それにしても、四季はあれだけ団員がいて、主役級の層はそんなに薄いのか?起用法に一考の余地があるのではないか?そうした中、いったん四季を出た役者がまたその舞台に出るケースが増えているのはいいことだ。うまくバランスを取って、これからも面白い作品を見せてほしい。役者も作品の一部ですよ!
そうだ、思い出した。みなが基本に忠実な演技をしているのに、1人だけアサッテのほうを向いていた奴がいた。言うまでもなく阿久津サム。あれ、誰か止めたほうがいいんじゃないのか。ほとんどただの変質者である。一挙手一投足がことこどとくヘンで、いちいち笑いを誘う。俺はそういうの嫌いじゃないけど、つうか大好きだけど、ABBAは怒るだろ。
四季「マンマ・ミーア!」ホームページ
http://www.shiki.gr.jp/applause/mammamia/
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