« 2010年11月 | トップページ | 2011年1月 »

2010年12月30日 (木)

ニューヨーク2010のまとめ

さて、ぶじ日本に戻り、今回の東海岸紀行を振り返る。

日本からANAの直行便でニューヨークに行くと、朝9時半に到着するのでその日はまるまる使える。しかし帰る日は朝から空港に行くので、その日は帰るだけ。というわけで、3泊なら3日、4泊なら4日が観劇に充てられる日ということになる。

今回は4泊の日程だったので4日間。その期間で8本の舞台を観た。前回は4日で11本、前々回は3日で8本だったから、ペースとしては悪い。

しかし、今回は本数だけでは語れない貴重な体験をした。大雪のニューヨーク。マンハッタン全体がすっぽりと雪に覆われた状況なんて、めったに出くわすものではないだろう。実は以前、2月に仕事で行ったときも雪に降られたが、そのときとは比べ物にならない。

そして大雪によるキャンセルを通じて触れ合った、地域の劇場を支える素敵な人たち。本当に何度感謝の言葉を書いても書ききれない。

見学に行ったハーレムのゴスペルや歴史資産も素晴らしかったし、ハーレムがかつてのイメージから脱却しようしている現実も目の当たりにできた。学んだことは多い。

もともとの計画は4日で11本だったから、観られなかった3本、とくに「THE RIDE」を体験できなかったのは残念だったが、旅にアクシデントはつきもの。こういうことだってある。

それにJFK空港は1日半ほど閉鎖になっていた。来る日がずれていたら、来られなかった可能性だってある。それを考えたら、予定どおりに来られて、公演の危ぶまれたスパイダーマンも観られた自分は、大いに幸運だったと言っえる。

今回観られなかったものは、また次の機会に観ればいい。同じものでなくても、世の中には面白いものが無限にある。それを発見できるかどうかは自分次第だ。

雪のセントラルパークで、ソリ遊びにいそしむ子供たちを横目に、ひとり公園スキーに興じていたおじさん。スキー板やウェアを持ってニューヨークに観光に来る人もいないだろうから、近所に住んでいる人なのだろう。前夜しんしんと雪が降り積もるのを見て、普通なら「明日の仕事はどうなるだろう」とか「交通機関に影響が出そうだな」とか考えるところ、このスキー野郎は「よーし、明日はセントラルパークでスキーだ!」と思いついたのだ。

素晴らしい。自分もそういう、「いい大人にもなって」と言われるいい大人になりたい。

それにしても、今回の4日間は実にあっという間だった。

「なんだ、もう終わりか…。面白かったなあ」

というのは2010年最大のヒット作「ゲゲゲの女房」で、風間杜夫演じる水木しげるの父親が、人生の終焉ならぬ終演を迎えたときに漏らした言葉だ。今回の旅を振り返って、同じ言葉が頭をよぎる。

あ、俺はまだ死なないけどね。

最後にタイムズスクエア(雪の前日)の様子を。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2010年12月29日 (水)

食事一覧

今回は知人と会う約束もなく、後半は雪のため大いに行動が制限されたため、いつも以上に食生活がさびしいものとなった。

25日 17時 ネイサンズのホットドッグ

マクドナルドとサブウェイとネイサンズはあっちこっちにある。

Sp1140490

26日 12時 スターバックスのサンドイッチ、サラダ

トールモカは向こうでもトールモカだ。

Sp1140570

27日 7時 ホテルの朝食ビュッフェ

唯一レストランで食べた食事。でも高かった。

Sdsc04881

27日 ハーゲンダッツのアイスクリーム(チョコレートピーナッツバター味)

しまった、スプーンがない!

Sp1140628

と思ったら、フタの裏についていた。

Sp1140630

これ、すげーうまい!なんで日本で売らないんだ?

27日 23時 吉野家のビーフボウル

この日の夜は本当に寒くて、42丁目の店から3ブロック移動しただけですぐに冷めてしまった。でもなまぬるい、そしてなぜかちょっと甘いミソ・スープが本当に暖かく感じた。

Sp1140643

28日 12時 ペンシルバニア駅で買ったサンドイッチ

電車の中で食べる。パンが親の敵のように固かったが、おいしかった。

S201012281111000

 

食事と呼べるようなものは以上で、あとはポテトチップやチョコレートを食べていた。

もちろん、それを胃に流し込んでいたのはペプシ・ワイルドチェリーやドクターペッパー、マウンテンデューなど、ヘルシーなアメリカン・ベバレッジの数々だ。

Sp1140503

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年12月28日 (火)

Top of the Rock(トップ・オブ・ロック)

ニューヨークの旅行記なんだからきれいな夜景の写真のひとつも載せたらどうだ、という指摘があったので、「ベニスの商人」が終わった夜10時すぎに、4年前に上った「トップ・オブ・ロック」に行ってみた。けっこう遅くまで営業しているのだ。

不愉快な荷物チェックを経て、前回撮った有料記念写真をスキップしてエレベーターに乗ると、あっと言う間に展望フロアへ。屋外展望台は極寒だった。

やっぱり夜景はむずかしい。三脚もないから長時間露光も使えない。なんとか壁に押し付けたりして固定しても、寒いから手が震えてとても無理。

というわけで、なんとかまともに見える写真を2枚ほど貼っておく。

Topofrock1228_2

Topofrock122802

| | コメント (0) | トラックバック (0)

The Merchant of Venice(ベニスの商人)

28日 19時
Broadhurst Theatre

Sp1140664

この夏、セントラルパークの野外劇場で上演され、評判を呼んだという「ベニスの商人」。それが期間限定でブロードウェーに進出だ。主役は誰あろう天下の名優アル・パチーノ。近年、ブロードウェーにハリウッドスターが参加するケースは多く、前回ニューヨークに来たときもハリー・ポッターでおなじみダニエル・ラドクリフ主演の「エクウス」を観たりもしたが(同じこの劇場だった)、こんな超弩級スターの演技をライブで見られるのだから、見逃す手はない。

チケットを早目に手配したところ、1階の前から5列目あたりが買えそうだったのだが、何しろ英語のストレート・プレイだ。うっかり寝てしまったらマフィアに殺されるんじゃないかと思い、2階の前のほうの席を選んだ。

劇場に入ると檻をイメージさせる円形の「商人のオフィス」が舞台上に形作られている。その檻部分が移動し、さまざまな場面を展開していくのだ。

開幕前から、そのオフィスでは数名の「商人」たちが仕事をしている。電信機や、登場人物の衣装の雰囲気からして、1920年ごろのイメージだろうか?もちろん原作の「ヴェニスの商人」の舞台は中世のイタリアだから、時代設定は大胆に変更されている。

基本的なストーリーは原作と同じだが、何しろユダヤ人商人シャイロックを演じるのがアル・パチーノだから、当然舞台の核は「ヴェニスの商人」アントーニオではなく、シャイロックに移る。そして、ユダヤ人に対するいわれなき差別を強調し、シャイロックに同情的なトーンで描かれているのが今回の公演の特徴だ。

シャイロックに同情的、といえば日下武史主演の劇団四季版もそうだ。しかし、四季のヴェニスの商人は、ギリギリのところで喜劇の枠を崩すことなく、観終わった人が「面白かったけど、そういえばシャイロックもかわいそうだよね」と思わせるように設計されている。そこへ行くと、今回のアル・パチーノ版(そう言って差し支えあるまい)は、基本的にシャイロックの悲劇にかなりの力点が置かれており、喜劇の要素は二義的という構成だ。

シャイロックへの同情を自然に生みだすために、ヴェニスの商人たちをやや滑稽に描く手法も、四季と同じ。バサーニオに至っては、滑稽というよりただの馬鹿になっている。

アル・パチーノは、どちらかというと抑えた演技。そこから紡ぎだされるシャイロック像は、「自分」が何者であるかを、誰かに、何かに担保してもらいたいと心のどこかで常に考えている「弱い人間」であるように見えた。金にこだわるのも、つまりは自分を支えてくれるものが金だからだ。娘が金を持って駆け落ちしてしまったことは、そのアイデンティティーに大きな影を落とすことになる。それでますます意固地になった結果、肉1ポンドの裁判が起きる。つまり、シャイロックにとって、この裁判は怒りや憎しみというよりも(怒りや憎しみはもちろんあるが)、むしろ自分の存在を賭けたものだった。

そして裁判でコテンパンにされたシャイロック。そのあとに、強制的にキリスト教に改宗させるため、洗礼を浴びせる場面があった。そのときの表情が忘れられない。すべてを否定され、何もかも失った男の顔。自分がなぜこんな仕打ちを受けるのか、なぜ自分はここにいるのか、いや、もはや自分が誰なのかも分かっていないであろう、ヌケガラのような「何もない」表情。解脱してその域に達した正の意味の「無」ではなくて、全てをなくしたことで落ちる負の意味での「無」の表情。人にこんな表情があるなんて、初めて知った。

もちろん、これはベニスの商人をきちんと観たのが四季版ぐらいしかなく(恐れを知らぬ川上音二郎一座」の劇中劇は別)、シェイクスピアに関する造詣もなく、かつ英語が分からない自分が、相当な疲労感の中で観た感想だから、合っている自信はない。しかし、観てよかった、ということだけは自信を持って言える。

本来喜劇だが、今回はかなり悲劇の要素が濃く、しかも英語のストレートプレイ3時間というのは正直きつかったが、前述したようにバッサーニオが本当に馬鹿で、どうやって「3つの箱」をクリアするのかと思ったらクラシアーノの反則なヒントで正解を見つける、といった場面など爆笑する場面もある。また普通は聡明な女性として描かれるポーシャが、聡明は聡明だがかなりの肉食系女子で、その演技は目が離せない。

来年も、ハリウッドスターの舞台への登板がいくつも伝えられている。次にブロードウェーで出会えるのは誰だろう?ニューヨークの新しい楽しみ方のひとつができた。

ところで、米国の劇場と日本の劇場との決定的な違いは、男性用トイレの混み具合だ。日本ではほとんどガラガラなので、休憩時間にダッシュする必要もないのだが、米国では男女比が拮抗するのでそれなりに混む。そして、この日は男女比が7:3ぐらいで男性が多く、男性用トイレは行列だった。もう少しで2幕に間に合わないぐらい。やはり「ゴッドファーザー」世代の男性にとって、アル・パチーノの存在は不動なんだろう。もっとも日本人で、自分と同じ世代の人は、ゴッドファーザーよりも先に榊原郁恵の「アル・パシーノ+アラン・ドロン<あなた」で覚えてしまったケースが多いと思うが・・・

| | コメント (0) | トラックバック (0)

New Jersey Transit(ニュージャージー・トランジット)

ミルバーン駅にはプラットフォームがない。なので電車が目の前に入ってくる。なかなかスリリングだ。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

Les Miserables(レ・ミゼラブル) ツアー版新演出

28日13時30分 Paper Mill Playhouse

 

昼前にマンハッタンを出て、一昨日雪の中をさまよったミルバーンへ再びやってきた。この日の公演は午後1時30分からである。

こんな雪の中を俺は歩いていたのか。

Sp1140650_2

Sp1140652

この看板を見落としていなければ、もう少し早くたどり着けたのだが・・・注意力が足りなかった。俺はコナンにはなれないと思う。

Sp1140653

晴れていれば、郊外の美しい街である。

Sp1140657

5分ほどで到着。太陽のありがたみをしみじみと感じる。自然と「太陽戦隊サンバルカン」の主題歌を口ずさむ。♪太陽が もしも なかったら~

ポスターの顔が雪に埋もれ、ミゼラブルな状況になっている。

窓口に行くと、おとといとは違ったお兄さんが座っている。「○○さんと話したいんだけど」と言うと「○○って、ウチにはいないよ?」との答え。うっ。おとといの体験は雪の人によるマボロシだったのか。弱ったなあ、と思っていたら○○さんが出てきた。単に俺の発音が悪かっただけのようである。その自分の名前をひどく発音されている声を聞いて顔を出してくれたのだから、菩薩さまのような人である。

「戻ってきたのね。きょうのショウで良かった?」とチケットを用意してくれた。感謝で声も出ない。阿呆のようにサンキューを繰り返し、お兄さんにも礼を言うと「ノープロブレムだ」とにこやかな返事。Paper Mill Playhouseの名を、俺はずっと忘れないだろう。

で、どうやらその席はボックスオフィスを取り仕切る○○さんがいざというときのためにギリギリまでリザーブしておく席、つまり劇団四季で言えば前日予約でリリースする席だったようで、どえらくいいポジションだった。もうこの人には一生頭が上がらない。

 

さて。ツアー版新演出のできはどうか。帝劇公演も、2011年の上演は従来演出で行うが、その次からはこの新演出になるのだという。なぜツアー版と同じにするのか不思議だが。

ここから演出についてネタばれします。先入観なく新バージョンを見たい方は、どうかこの先には足を踏み入れませんように。雪で埋まりますよ。

全体的に、演出が変わったというよりも、舞台装置が変わったという印象のほうが強い。レ・ミゼラブルの重要な演出手法である回り舞台を使わない以上、当然舞台装置は大きく変わるのだが、ツアーに合うように「簡素化」した、という雰囲気はあまりない。

むしろ、従来演出で舞台装置がほとんどなかったところに、新たに装置を投入したりしており、より舞台を作りこんだように感じる。考えてみれば、25年も前に作られた舞台装置より、技術がぐっと進歩している今の装置のほうが、効率的に演出を支えることができるかもしれない。

長く親しんできた演出が変わるのは受け入れがたい、という言い分もよくわかる。しかし、一回観てみれば「これはアリだな」と思う人は多いだろうと予想する。

ただバリケードややっぱり小さいと感じた。おそらくステージの大きさで調整するだろうから、帝劇ではもう少し大きくなり、違和感もなくなるかもしれないが。

回り舞台がなくなることで、アンジョルラスの最後はどうなるのか?と懸念するかもしれない。今回はある演出で別の形で見せるのだが、ここは賛否が分かれるところだろう。自分は、戦場の悲惨さ、ミゼラブルな状況を伝えているという点で許容できた。

むしろ課題として挙げるなら、個別のシーンの装置ではなく、全体を見てのことだと思う。レ・ミゼラブルでは、実はバリケード以外にはこれといって大きなセットはない。その分、バリケードも大きく見えるし、シンプルな場面では想像力を働かせることができる。それに対し、新版ではどの場面もそこそこにセットを作りこんでいる。今回の試みで最もチャレンジしているのは、そこが受け入れられるかだ。

また、背景に絵画を使っていることも特徴的だ。パリの街並みや下水道などを、絵によって表現するのだが、カキワリでなく、絵画を投影するのだ。ときどき、微妙にCGを使って動きを見せるところもある。しかしあくまで「映像」ではなく「絵」にすぎない。幕が上がる前にも1枚の絵画が投影されており、そこにはビクトル・ユーゴーのサインもあった。

もともとユーゴーレ・ミゼラブルを書き始めたときは、人間模様を縦糸にしつつ、フランス革命後の歴史と、当時のパリの様子を記録することが大きな目的だったという。ミュージカルとしてのレ・ミゼラブルは人間模様が中心にして、あとはそぎ落としているのだが、そこをうまく補う形となった。一方で、これも舞台装置と同様「想像力」を働かせる機会を失わせることにもなっている。

やはり、この評価は多くの人が観てから決まっていくのではないか。すべて新演出に切り替える、という方針を明確にしたとはいえ、反響次第では変更もあり得るだろう。

装置以外の演出変更ももちろんある。舞台の端のほうでやりとりをするシーンが、真ん中で演技するように変わった場面が多い。コンパクトな舞台でも演じられるように、ということだろう。

また具体的なところでは、「○○年 ○○」という、時間と場所を映し出すことがなくなった。そのかわりに、ジャン・バルジャンが司教様の心に触れて生まれ変わったあと、「Les Miserables」とタイトルがバーンと大映しになる。これは高まる。劇団☆新感線なんかがやっている手法だ。

あと、ガブローシュが戦場で歌う歌が、前のものに戻っていた。バルジャンとジャベールの「対決」には格闘戦が濃くなっていた。ほか、挙げていけば多くの違いはあるが、いずれも本質的な変化とは言えないものばかりだと思う。

カンパニーの面々に視点を移すと、全体的に歌唱力重視の布陣で、みな激しく歌いあげる。バルジャンも、ジャベールも、ファンティーヌも、エポニーヌも、そしてテナルディエまで。そのため、やや情感に訴える側面が薄かったようにも感じた。

その中でも突出していたのがアンジョルラス役のJeremy Haysで、誰もあんたにゃついて行かないよ、というような俺様アンジョルラスだった。その目には、マリウスも、グランテールも、市民も、誰も映っていない。見ていて実に面白かった。かつての岡幸二郎をちょっとほうふつさせる。

しかしここまでパワフルな歌声に満ちたレ・ミゼラブルもそうそう観る機会がないだろうから、ツアーのどこかで観る機会があったら、ぜひ足を運ぶことをお勧めする。天候には注意な。

とにかく、このツアー公演を観ることができてよかった。もういちど、支えてくれた皆さんに感謝をしたい。

Paper Mill Playhouse
http://www.papermill.org/

レ・ミゼラブル公式WEBサイト(ツアースケジュールも)

 http://www.lesmis.com/

| | コメント (0) | トラックバック (0)

朝のマンハッタン

朝、時間があったので少し街を歩く。買い物でもしたいところだが、まだ店は開いていない。

ロックフェラーセンターのクリスマスツリー。昨日くれば雪化粧がもっと決まっていたかな。

Sp1140648

こちらはセクシーな看板も多いのだが

Sp1140645

下着姿の写真より、むしろどんなゲスなものを売ってるんだろうかと気がかりになる。

いや、それよりこのショーウインドーのエロさといったらどうだ!

Sp1140647

服を脱ぎ散らかし、全裸で立つマネキン。素晴らしいセンスである。

と、除夜の鐘では消し去れないほど多くの煩悩を抱えている人間は海外に行ってもだいたいこんなもんだ。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年12月27日 (月)

INTERMISSION

飛行機に乗るのでちょっとお休みします。続きは家に帰って風呂入ってアイス食べてから書きます。

Sp1140631

| | コメント (2) | トラックバック (0)

Mary Poppins(メリー・ポピンズ)

27日 19時 New Amsterdam Theatre

Sp1140635

4年前に大いに魅了され2年前にも観たが、今回もやっぱり来てしまったメリー・ポピンズ。ディズニーとキャメロン・マッキントッシュがガチでぶつかって出来た珠玉のこの作品が日本で上演される気配は今のところない。

今回、ぜひまた観たいと思ったのが、主役のメリーにLaura Michelle Kelly、バートにGavin Leeと、ロンドン初演のオリジナルキャストが再登板しているからだ。これは見逃せない。

が、劇場にやってくるとバートは代役とのことだった。残念だが、Laura Michelle Kellyが見られるだけでもよしとすべきところだろう。

そのLaura Michelle Kellyのメリーは、CDで聴いていた歌声と全く同じ(当たり前だ)のにも感動したが、表情、口調、しぐさなど、すべてがまさにメリーポピンズ。4年前に見たブロードウェイ初演女優のAshley Brownも素晴らしかったが、Ashleyの場合は独特なかわいらしさがあって、映画(ジュリー・アンドリュース)とはまた異なる魅力のメリー先生だった。しかしこのLauraはまさにメリーポピンズそのもの。映画のイメージも踏まえつつ、独自の魅力を発揮している。うーん、いい。見られてよかった。

1シーン1シーンが非常に丁寧に作りこまれており、素敵な音楽に身をゆだねて安心して最後まで楽しく観ることができ、終演後はしみじみとした感動が残る。この名作を、日本で観られる日は来るのだろうか?

チケット手配をしているときの感じでは、だいぶ売れ行きは落ちている感じである。「ターザン」「リトル・マーメイド」と興行的には失敗続き(作品的にはターザンは好きだが)のディズニーとしては成功のほうだろうが、「ライオンキング」「美女と野獣」ほどのヒットにはならなかったようだ。そうロングランも続かないかもしれない。寂しすぎる話ではあるが、この状況を見て、多少なりともディズニーやマッキントッシュ側が弱気になってくれれば、これこそ「夏」劇場で・・・。いや、まじでお願いします、代表様。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

Billy Elliot(ビリー・エリオット)

27日 14時 IMPERIAL THEATRE

Sp1140626

(ネタばれします。注意)

気を取り直して観劇再開。交通機関はだいぶ止まっていたが、どの劇場もほぼ予定どおりに幕を開けたようだ。Playbillの記事参照。

http://www.playbill.com/news/article/146132-PHOTO-CALL-Broadway-After-the-Blizzard

http://www.playbill.com/news/article/146123-Broadway-Shows-Will-Go-On-Despite-Blizzard

さて、この日のマチネは「ビリー・エリオット」である。2年前に来たとき、すでに話題沸騰であり、2009年のトニー賞は間違いないと言われていたが、観なかった。主役の少年の評判がすこぶる良かったため、どうもこれは俺向きじゃないな、と勝手に思い込んだのだが、4年前は同じような理由で「春のめざめ」を見逃している。で2年前に観たわけだ。おんなじように、今回ビリー・エリオットを観る。つくづく学習能力がない。

エルトン・ジョンが音楽を担当し、映画「ビリー・エリオット(日本公開時のタイトルは「リトル・ダンサー」。労働争議が続くイギリスの炭鉱の町を舞台に、バレエに目覚めた少年がその才能を開花させていく様子を描いたハートフルな物語だ。

今回の観劇に先立ちDVDで映画版を観たが、炭鉱が舞台ということでなんとなく「フラガール」を思い出した(フラガールのほうが後に公開された作品だが)。主役だけでなく、街全体にスポットを当てているあたり、テイストがちょっと似ているかもしれない。主人公に思いを寄せる子が妙にマセていたり、スパイスの効いた笑いも盛り込まれていてなかなか楽しい作品だった。

ミュージカルでは、この労働争議にかける住民たちの思いと、バレエに魅了されつつも家族の反対や自分の中の先入観のために生じる主人公の葛藤を明確にオーバーラップさせ、作品としてのまとまりを高めている。

ほぼキャラクターたちも映画と同じだが、主人公の少年に思いを寄せるゲイの少年が、映画よりぐっと濃いキャラクターになっていて、舞台でがっつんがっつん笑いを取る。主人公の少年より印象が強かったほどだ。

やっぱり、それはエルトン・ジョンがかかわっているから・・・?いやいやそんなわけは。

そのエルトン・ジョンの音楽はとても耳にやさしく、心にしみこむ。決して派手なストーリーや舞台装置があるわけではないが、最後まで飽きさせず、楽しい気持ちで少年たちの成長を見守ることができるのは、この音楽の力によるところも大きい。

「春のめざめ」ほどの衝撃はないが、これは万国共通で人気を博することのできる秀作だと思う。

すでに韓国では韓国人キャストによる公演が行われたが、はたして日本では?劇団四季との話は進んでいてもおかしくないような気がする。少年が主役ということで、女性層の厚い日本のミュージカルファンにも十分受け入れられるだろうし、労働争議など硬派なテーマも含まれていて、四季のテイストにも比較的なじみがあるような気もするが。ちょうど「夏」劇場あたりがぴったりのような雰囲気も・・・。

ま、期待せずに待つとしましょう。

公式ウェブサイト

http://www.billyelliotthemusical.com/

| | コメント (0) | トラックバック (0)

大雪のセントラルパーク

いきおいやることがなくなってしまったが、とても買い物などに歩ける状況ではない。道はどこも凍っているし、そもそも寒すぎる。

Sp1140587 白いタイムズスクエア

Sp1140588 カウントダウンの準備が始まった

Sp1140625 雪かきして通路を作ってくれている

Sp1140622 雪かきも本格的だ

 

そうだ、セントラルパークがどうなってるか見物してやろう。

地下鉄でセントラルパークまでやってくると、同じような野次馬がたくさん集まっていた。また、子供たちは純粋に大喜びして、雪だるまやソリに興じていた。いや、子供だけではない。大胆にもスキーを試みるいい大人もいた。

Sp1140594

Sp1140597

Sp1140599

Sp1140602
Sp1140604

Sp1140607

Sp1140608

Sp1140610

Sp1140614

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

THE RIDE(ザ・ライド)

今年、期間限定で登場した話題の新型エンターテインメントが「THE RIDE」だ。

これは、バスに乗りマンハッタン内をめぐるバスツアーなのだが、途中、パフォーマーが路上で何かやらかしているのを車窓からながめる、といった趣向が用意されている。

つまり、ニューヨークという街をひとつの劇場に見立てたエンターテインメントなのだ。

これは面白そうだ。自分もそうだったが、初めてニューヨークを訪れると、街全体がテーマパークのようだと感じる。そして「ダイ・ハード3」は1作目のインテリジェント・ビル、2作目の空港に続いて、マンハッタン全体を「密閉空間」として描いていた。ニューヨークをひとつの劇場にしてしまおう、という発想は実にしっくりくる。

しかも、発着所が自分の宿泊しているマリオット・マーキース。これに乗らない手はない。あらかじめネットで予約しておき、いざ発着所へ。

Sp1140589

キャンセルになってた。

ま、そりゃそうか。いま道路は凍りついており、マンハッタンの車道を走ってるのは警察車両と除雪車と少しのタクシーぐらいしかないんだから。

ザ・ライド 公式ウェブサイト

http://www.experiencetheride.com/


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年12月26日 (日)

あゝ無情

「スパイダーマン」と同様、今回の旅行の大きな目的のひとつは「レ・ミゼラブル」の新演出を観ることだ。

これは2010年がレ・ミゼラブル25周年になるのをきっかけに、ツアー公演ができるように新しく作られたバージョン。2009年末から英国内でツアーが始まり、一時はロンドンで従来バージョンと新バージョンの両方が上演される、という状況もあった。そのツアーがついに今年11月、米国に上陸したのだ。

その公演地がニュージャージー。マンハッタンからは電車で小一時間で行ける距離である。となれば、これは行くしかあるまい。チケットは劇場のウェブサイトで買えた。

26日の夕方、ニューヨーク中心部のターミナル、ペンシルバニア駅から「ニュージャージー・トランジット」に乗車。目指すはニュージャージーのミルバーン駅だ。

乗車するとき、すでに雪が降り始めていた。やや不安になったが、予定どおりに発車。大丈夫だ、とひと安心。そして目的地には、5分ほど遅れて到着。それぐらいならこっちの感覚だと十分オンタイムである。

しかし、電車を降りた瞬間、安心が吹き飛んだ。

ホームに降りた瞬間、いきなり足が雪に埋まったのだ。

それがどんな様子か、動画で紹介しよう。

これはマズいかもしれない。そう思いつつ駅を出ると、もう車もほとんど走っていない。道が完全に雪で隠れていて、どこまでが車道でどこから歩道なのかも分からない。

そんな中、劇場へ向かう。地図はあるが、どこもかしこも真っ白でどう行っていいのか見当もつかない。駅から劇場までは1回曲がるぐらいで5分ほどの道のりのはず。大きな方向性さえ間違わなければ大丈夫のはずだ。念のために持参したコンパスで当たりをつけて歩き始める。

「ガラスの仮面」で、速水真澄が嵐の中、歩いて劇場に向かったエピソードがあったが(「失われた荒野」の初日)、そんな気持ちで吹雪に立ち向かった。

しかし、どうも間違ったようだ。どんどん寂しいところに入ってしまう。これはいかん、と引き返し、別の方向へ。雪は激しさを増し、吹雪になった。足元の雪は深いところは20~30センチぐらいになっていて、道路に溝や穴が空いていても気づかないため、危険である。危険といえば、周りは街灯もまばらでかなり暗い。しかもどんどん寒くなっている。

もう真澄様を気取っている場合じゃない。ウルトラセブン25話「零下140度の対決」で、基地に歩いて向かうモロボシ・ダンの心境はこんな感じだったのだ。そして、映画「八甲田山」では、地図とコンパスだけに頼り、現地ガイドを断って遭難する部隊が描かれた。多少フィクションも混じっているのかもしれないが、こういう極限状態においては、地図やコンパスといった明示的な情報は役に立たず、現地の人のカン、といった暗黙知が大きくものを言うのだ、ということも学んだ。

このあたりの様子もビデオに撮っておけばよかったが、とてもそんな余裕はなかった。植村直巳氏はどんな極限状態でも8ミリカメラの撮影を忘れなかったというが、ここが偉大な冒険家と凡庸なブロガーの違いである。

その状態で40分ほどぐるぐる回っているうちに、意識がもうろうとしてきた。ああ、これはもうダメかもしれない。ここで倒れたら、現地の警察は発見してくれるだろうか?パスポートは持っている。日本大使館経由で茨城の本家に連絡が届くのはどのくらいになるだろう。遠くの民家から明かりがもれ、そこからかすかにクリスマス・ソングのようなメロディーが聞こえてきた。そうか、これが格差というやつか。きっとあの部屋の中では、暖炉の火の前で古き良きアメリカ人の一家が団らんの最中なのだろう。まさか家の外で怪しい東洋人が遭難しかかっているなどとはつゆにも思うまい。

薄れゆく意識の中で、そうだ、なんかブログに面白いことでも書いておこう、と考えた。しかし、イマイチ切れのあるギャグが思いつかない。これではいかん。ひとつみんなの記憶に残るような、洒落とユーモアとウィットとエスプリの効いた、飛び切りのエントリーでなくては。

そんなことを考えているうちに、頭の中が活性化されてきた。そして駅を出て約1時間後、ようやく「Paper Mill Playhouse」と、そこに向かう人たちを発見したのである。

大喜びで劇場内に入ると、多くの人でごった返している。ロビーが狭いのかな、と思ったら、違う。

Sp1140585

公演が雪のためにキャンセルになったというのだ。

立ちつくした自分の姿を見て、ある女性が驚いたような顔をしていた。そして別の人が「かわいそうにね」というような意味(と思われる)声をかけていた。

俺はそんな悲しい表情をあからさまにしていたのか。まだまだだな。まずは冷え凍ったため当然発生する生理現象のため、トイレに入った。

その鏡に映った姿を見て納得。コートだけでなく、頭の上の雪が、寒さのために氷になっている。スノーマン、というより、なんかクリスマスツリーを擬人化したコスプレイヤーのようだ。これは確かに周囲に驚きと、別の意味で同情を買いそうだ。氷を頭から落とそうとしたら、髪の毛が凍りついているため一緒に毛も抜けた。

多少身づくろいをしてふたたびロビーにもどると、係員と何やら言い争う人もいる。もちろん払い戻しは可能だが、千秋楽が30日で、それまでの公演はソールドアウトのため、別公演への振り替えができないからだ。

どの係員も、誠心誠意対応している。それもポーズではない。自分も悲しいが、どうすることもできないのだ、という気持ちが英語はよく分からなくても伝わってくる。

だんだん人も減ってきて、自分の体もだんだん温まってきたので帰ろうと思ったが、抗議ではなく、記念に劇場の人となにか話でもしよう、と考え(英語もできないのに)、目が合った初老の女性係員に声をかけた。「非常に残念ですね、楽しみにしてきたのに」と言うと「いつもなら、他の公演に振り替えられるのに…」と悲しそうな顔をした。どこから来たのか、というので(自分のたどたどしい英語を聞いて、現地の人ではないことが分かったのだろう)、日本からだと言うと「ジャパンから!この公演だけのために?」とびっくりしてたずねてきた。そうだ、と言うと(ちょっと嘘。ごめんなんさい)、少し待っていてくれ、と、ボックスオフィスの担当者のところに行き、何やら話し始める。こっちにいらっしゃい、と呼ぶので行ってみると、ボックスオフィスの担当者も、何とかしてあげたい、と親身になってくれている。

アメリカ人というのはどうも不親切なイメージがあったが、とんでもない。もう気持ちだけで十分だ、と思ったのだが、担当者はマネージャーらしき人にかけあってくれている。そのマネージャーは渋い顔をしていたが、「○○の判断に任せるよ」というようなことを言った。そして担当者が○○さん(女性)のところに行って話をすると、その女性がやってきて「ああ、あなたが▲▲ね?」と笑いながら声をかけてきた。

実は、○○さんとは、メールで何度かやりとりをしていた。チケットがうまく届かなかったので、それで問い合わせたのだ。自分のいいかげんな英文メールにも、○○さんは丁寧に対応してくれて「チケットがなくても、購入したのときの完了メールとIDがあれば大丈夫だから心配しないで」と言ってくれた。だから安心してこの劇場まで来られたのだ。

そして○○さんは、この日の自分が来たら渡そうと再発行したチケットをちゃんと用意してくれていた。ボックスオフィスの担当者は「○○と話したんだけど、28日のチケットなら何とか用意できると思う。もしそれでいいなら、これを持ってまた来てくれるかな?」と言ってくれた。

28日も当然観劇予定があるが、この好意を受けて断る理由はない。ありがたくその申し出を受けて、再び来ることにした。最初に話を聞いてくれた女性にもお礼を言って、劇場をあとにした。

電車ももう止まっている可能性があるが、実はもともと本数が少なく、マンハッタンに戻るのが深夜になる可能性があるので、日本人ドライバーのハイヤーを頼んでいた。予定時間までだいぶあるが、少し早目に来てくれないか、と電話をすると、なんともう劇場まで来ているという。大雪なので、ひょっとしたらそういうこともあるのでは、と予測し、開演時間に間に合うようにマンハッタンを出たのだという。何というプロ意識か。

おかげで寒い中時間をつぶすこともなく、マンハッタンに戻ることができた。

公演はキャンセルになったが、それに代わる貴重な体験をさせてもらった。そして、雪の中ひとり歩いていたときは実に心細かったのだが、そのときも実は劇場の○○さん、そしてハイヤーのドライバーの方たちが、自分を支える準備をしてくれていたのだと思うと、実に不思議な、そして有難い気持ちになった。世の中、いつも誰かに支えられているという感謝の気持ちを忘れてはならんという教訓だ。本当にありがとうございました。

28日、ひょっとしたら状況が変わって観られないかもしれないが、それでももう一度劇場に足を運ぶ予定である。

Paper Mill Playhouse ウェブサイト
http://www.papermill.org/

| | コメント (10) | トラックバック (0)

Spider-Man Turn Off the Dark(スパイダーマン)

26日 14時 Foxwoods Theatre

<注意!かなりネタばれします!>

発表されたのは3年前だろうか?遂に超大作ミュージカル「スパイダーマン」がお出ましだ。演出ジュリー・テイモア、音楽がU2のボノ&エッジという、ブロードウェイ最高とも言われる製作費をかけた話題の一作である。

延期に延期を重ね、やっと11月14日に初日が決まったというので即座にチケットを予約。しかしその後も、リハーサル中にスタントマンが2名、それぞれ両手・両足を骨折するという事故が発生、初日が30日にずれこむと同時に、多くの公演がキャンセルとなった。プレビュー初日には数回にわたりシステムが停止、何度もスパイダーマンが「宙づり」になってしまったという。そして開幕直後にも女優が脳震盪で一時降板。正式初日はプレビュー開始がずれこんだ時点で1月に伸びていたが、これを2月にする旨発表された。さらに自分が出国する数日前にも9mの高さから役者が転落するという事故が発生。そのあとの公演はキャンセルに。そんなわけで、チケットを持っていても果たして見られるかどうか不安だった。

しかしなんとか、自分の持っていた公演はキャンセルにはならず、ぶじ観ることができたのである。

そんなトラブル続きだが、チケットはもちろんソールドアウト。観客たちはプラチナ化したチケットを片手に、興奮して幕が上がるのを待った。その熱気は最高潮だ。

最初に、係員の女性がステージ上に現れ、注意事項を述べる。プレビューならではの光景だが、トラブル続きであることを踏まえ、不安を取り除く意味もあるのだろう。「この劇場には最新のシステムがあるから、カメラや携帯を使っていたら係員がクモの巣で移動して取りあげちゃうわよ」とのコメントはやや受けだった。

もう一度注意。ここから相当ネタばれです。予備知識なく観たい方は、読まないようにしてください。

幕が上がると、まずクライマックスシーンの「予告編」とも言える場面から始まる。音楽も、セットも、ライティングも、この作品が壮大なスケールであることを予感させ、震えがくるほど期待が高まる。

そしてジュリー・テイモアらしい不思議なシーンが展開。ここで、今回のヴィラン(悪役)、と言っていいのか分からないが、Arachne(アラクネ)が登場。このキャラクター、よく知らなかったので調べてみると、マーベル・コミックに登場するヴィランにこの名前があり、X-menやアベンジャーズとも戦っているようだ。しかし、この舞台に登場するアラクネはかなりそれとはイメージが異なり、神秘的な力を持つ、敵とも見方ともよく分からない謎めいた人物として描かれている。コミックのアラクネとどういう関係があるのかはいまひとつ定かでない。

一幕は、高校生ピーター・パーカーがスパイダーマンとして活躍し、グリーン・ゴブリンと戦うところまでを描く、映画版の1作目に近い物語。コミック好きのオタク青年たちを狂言回しにストーリーが進んでいく。正直、話の展開はかなり雑で、ピーターの苦悩やメリージェーン(MJ)との恋の悩みも、描き方はかなり薄っぺらい。

また演出も、アメコミをリアル化するというコンセプトに、ジュリー・テイモア調が炸裂。彼女の演出は、「おおっ」というところもあれば、かなり微妙なところもある。「ライオンキング」でも、ライオンが涙を流すところなど、失笑が漏れる場面が少なくない。

今回は、どちらかというと失笑気味な場面が多く、会場内もやや微妙な空気が流れ始めた。

しかし、そんな空気も、ワイヤーアクションでスパイダーマンとグリーン・ゴブリンが空を舞い、劇場内を自在に跳び始めると、一瞬で吹き飛んでしまった。これは確かにすごい。単にワイヤーで空に浮く、というのではなく、緻密に計算された動きによって表現される躍動感が見事、圧巻である。

が、この日もシステム不調のため、クライマックスの格闘シーンで止まってしまった。

まあ話には聞いていたし、観客も「ああ、やっぱり」という雰囲気で、さほどがっかり感は流れず、暖かい目で見守っていた。スパイダーマンがいったん天井から降ろされ、ひとりきりになったグリーン・ゴブリンが観客に愛想を振りまくと、拍手喝さいを呼んでいた。

ちょっと残念ではあったが、2幕への大きな期待を感じさせて休憩に入った。

そして2幕が始まる。ザコ悪役が立て続けに登場し、おお2幕はバトル・ロイヤルになるのかと思ったら、違った。謎の存在だったアラクネとスパイダーマンの関係が中心に描かれる。

最後までこのアラクネは謎のままなのだが、単なる悪役ではなく、どうも超人的な力を得たスパイダーマンの、欲望や誘惑を象徴するような存在として描かれているようだ。ちょっとそのあたりがわかりにくい。

この2幕がイマイチなのである。1幕で見せた大立ち回りも、2幕ではほとんど登場しない。映像も多用され、舞台としてのダイナミックな迫力をそいでしまっている。話がわけわからない上に、あらら、こりゃどうしたことだ。

もちろん見どころがないわけではない。たとえば、アラクネがこの舞台の狂言回しであるオタク青年たちを襲撃するシーン。オタク青年たちはあくまでコミックを楽しんでいたはずなのに、その登場人物が現実世界に出てくる、というシークエンスはかなり興味深い。これは、かつて筒井康隆が朝日新聞の小説「朝のガスパール」で試した手法だ。この現実と虚構の壁を突き抜ける、という脚本上の技法が、舞台のキャラクターが観客席に跳んでくる、という演出上の技法を重なってくる。心憎いテクニックだ。

単純に遊園地のスパイダーマン・ショウにしたくなかったジュリー・テイモア氏らが、本当にやりたかったことを実現したのが2幕だったのではと思う。その姿勢は理解できる。残念なのは、おそらくは製作予算や時間の関係で、この2幕の演出がかなりあっさりしたものになってしまったことだ。もし、ジュリー・テイモアが心行くまで2幕を作りこんだのなら、1幕とは違った感動を観客に与えることができただろうと思うと、非常に残念である。

終演後、あれほどの熱気で開演したにもかかわらず、誰ひとりとしてスタンディング・オベーションしようとしていなかったのが、この作品への評価を端的に示している。

多くの人は「1幕のテイストで2幕もやってくれたら」と感じることだろう。それを「遊園地のショウのようだ」とけなす用意は自分にはない。なぜなら、物理的な制約のある「劇場」という空間でそれを実現するのは、それだけで大いに意義のあることだと思うからだ。

かつて、ロンドンで「スターライト・エクスプレス」を観たとき、歴史ある古い劇場の中を、ローラースケートで疾走する役者たちの姿を観て、自分はとてつもなく興奮した記憶がある。遊園地や、横浜アリーナのようなイベント会場でなく、劇場でそんなことが実現できるというのに驚いたし、まさにそれは今回の作品が狙った「虚構と現実の境目をあいまいにする」というテーマをものの見事に突いていたのだ。

1幕で、演出主導でそれを実現し、2幕は、脚本重視でそれを追う。これが制作サイドの意図だったのではないかと自分は感じている。しかし、1幕が強烈すぎただけに、2幕のパワーダウンが大きく目立ってしまい、結果残念な感じで終わってしまうのは何とも悲しい。

ただこれが失敗作かと言われれば、そうとも言えない。ここまでわくわくしながら見られるミュージカルはそうそう出会えるものではない。ボノ&エッジの音楽は最高にカッコよく、スパイダーマンのクールな世界観を支えている。

惜しい。ただただ惜しい。自分が観ちゃったから言うわけではないが、できればグランドオープン前に特に2幕を手直ししてほしい。一義的には、もっとジュリー・テイモアに徹底的にやりたいことをやらせるべきだ。それが予算と時間の関係でそれができないのであれば、1幕のテイストを2幕に持ち込み、最後にスパイダーマンと悪役の格闘を存分に見せてくれたら、と思う。基本的には味を重視したいが、それが無理ならせめてお腹いっぱいになりたい。それが観る側のささやかな望みだからだ。

いろいろ批判的なことを書いてしまったが、2幕はもっと自分に英語力があれば感じ方も変わってくるかもしれないし、なにしろまだプレビュー中だ。グランドオープンしたら、ぜひもう1度観に来たいと思う。迫力ある空中格闘だけでもニューヨークに足を運ぶ価値は十分にある。

Sp1140572 吹雪の中、スパイダーマンは跳び続けられるか?

公式ウェブサイト

http://spidermanonbroadway.marvel.com/

| | コメント (6) | トラックバック (0)

ハーレム見学

ニューヨークで、一度は行ってみたいと思いつつ、まだ訪れていなかったのがハーレムだ。

「ダイ・ハード3」の冒頭シーンもそうだが、とかくハーレムは物騒なところということが喧伝され、行ってはいけないというイメージが自分の中でも凝り固まっていた。その一方で、見学意欲も大いに高まっている。

そこで、日本人向けのニューヨーク観光会社が企画するツアーに参加した。日曜朝にゴスペルを見学したあと、いくつかのポイントを案内してくれるのだそうだ。これは面白そうである。

朝7時すぎにミッドタウンを出発しバスでマンハッタンを北上。セントラルパークと高級住宅街の間を抜け、7時半ごろハーレムに到着した。

まずは116丁目にある「First Corinthian Baptist Church」へ。

Sp1140508

Sp1140505_2

オペラハウスを改装したという協会で、内部は歴史を感じさせる劇場そのままの雰囲気。緊張感もあるが、次第に集まる信者の方々が互いに声をかけあう様子などを見ているうちに、だんだん気持ちもやわらかくなってくる。

舞台上には30人ほどのクワイヤー(聖歌隊)は、みな黒を基調にしたスタイリッシュなファッションで、すらりとした長身の人も、恰幅のいい人も、男性も女性も実にカッコよく決まっている。そしてピアノやギターなど、数人のバンドが下手に控えている。

8時を過ぎるとクワイヤーが歌いはじめる。途中から、そのうちの一人が礼拝の参加者を代表してリードをとり、他のクワイヤーや参加者がそれに続くようになる。

だんだん協会内の空気が盛り上がってくる。自分たちももちろん傍観者ではいられない。そうしなくてはいけない、というより、そうしたくなって、みな立ちあがって体中でリズムを取り始める。クリスチャンでなくてもゴスペルには魂を揺さぶられると聞いていたが、確かにその通りだ。途中、信者同士でコミュニケーションをとるよう促され、みな思い思いにハグしたり、手を握ったりしはじめる。自分はどうしようかな、と思っていたら(両隣はツアー参加者の女性だった)、前の席に座っていた男性がくるりと振り返り、手をさしのべてきたのでがっちりと固い握手を交わした。福井マンカストラップと交わした男の握手のようだった。

1時間ほどでゴスペルは終了。ここからが牧師さんの話で、礼拝の本番なわけだが、見学者たちは信者さんの迷惑にならないよう静かに退出。みな思い思いに寄付金を納めて協会を後にした。

いやあ、これは貴重な体験をした。エンターテインメントの原点は宗教的な部分にたどりつくということを改めて思い知った。

さらに北へ、125丁目のアポロシアター前へ。足元には数々のスターの名が刻まれていた。

Sp1140521

Sp1140524

Sp1140525

その向かい側に、店舗のシャッターに絵を描き続けているフランコ氏が観光客の相手をしている。この十数年、ハーレムの街の美化に向けた多くの活動がなされ、中心部はもはや落書きと廃墟の街ではなくなった。フランコ氏もその担い手の一人。高齢だが寒い朝から元気に写真撮影やサインに応じていた。奥さんが日本人ということもあり、日本語もぽんぽん出てくる。その奥さんがTシャツやエコバックなどのグッズを販売している。日本人観光客にはぴったりの観光&お土産スポットだ。

Sp1140515

Sp1140517

Sp1140518

Sp1140519

Sp1140520

Sp1140516 フランコ氏と。

そのあともいくつかの観光スポットを効率よく回る。

Sp1140526

初代財務長官・ハミルトンの生家(車中から)

Sp1140530

ニューヨーク市立大学シティ・カレッジ

Sp1140532

モリス・ジュメル邸

Sp1140540

古い集合住宅

Sp1140546_2

グラント将軍の墓

Sp1140551

コロンビア大学

Sp1140560

Sp1140554

セント・ジョン・デバイン大聖堂

10時半ごろにはミッドタウンに戻り解散。3時間ほどのコンパクトなツアーだが、実に充実していた。しかも早い時間に終わるので、ミュージカルのマチネ前の観光のその前の時間を有効に使うことができるのもいい。

またこのツアーでは、ハーレムの歴史的価値を学ぶことに重点を置いていた。

ハーレムには多くの史跡保存地域があり、古い建物や街並み、数々の歴史的資産が点在している見ごたえのある地域だということを学んだ。

そして、まだ危険な地域があるのは事実とはいえ、中心街などは街の美化が大いに進んでいることも分かった。

そして何より、そこに暮らす人たちの日常の空気を、ほんのわずかとはいえ味わうことができたのは大きな収穫だった。

ハーレム内の移動は交通の便があまりよくはなく、またこの地域の情報は情報誌などでも非常に乏しいことから、危険を避けるという意味合いにおいても、ツアー参加がお勧めだと思う。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2010年12月25日 (土)

Wicked(ウィキッド)

25日20時
Gershwin Theatre

前回前々回も観ているが、やはりウィキッドは外せない。

ここブロードウェーでも、ウィキッドの人気は突出している感がある。ブロードウェーでも指折りの客席数を誇るガーシュウィン劇場を満杯にし続けていることからも分かるが、2カ月前ぐらいでもかなりの席が売れていること(日本と違い、こちらでは普通そんなに前から席は埋まらない)、プレミアムシートの多さ&高さからもそれがうかがえる。

というわけで、プレミアムシートに手が出ない自分としては、前回同様の見きれ席を購入。前回は最前列の最下手だったが、こんどは最前列の最上手だ。ライオンとブリキのくだりは頭上で行われるため見えないなどのハンディはあるし、ところどころ人の影になったりもするが、ストーリーを知っていれば問題はない。むしろ、ボックの受難などは魔法の仕組みがよくわかったりもする。

201012251949001

なぜかこの劇場は開演前は撮影OK。

この日のエルフィーはMandy Gonzalez。細身で、眼鏡のよく似あうインテリ系のエルファバだった。演技にややぎこちなさを感じたが、声量はさすが。一幕最後では、日本ではどよめきが起きるが、こちらではストレートに歓声と喝采が上がる。

グリンダは、クレジットではKatie Rose Clarkeとなっていたが、この日はアンダーのLaura Woyasz。ロサンゼルスやツアーに参加していたそうで、堂々としたグリンダだった。前回、ルックス最強なグリンダを見てしまったのでその点ではやや分が悪いが、声がかわいらしく、しかも沼尾みゆきにインスパイアされたかのような鼻にかかった声で客席を沸かせていた。

決して明るく楽しい作品というだけではないのに、何度でも観たくなる不思議な中毒性を持ったウィキッド。それはどこか、オペラ座の怪人にも通じるところがあるように思う。

Sp1140491

各国語での解説が載ったポスターがあった。

Sp1140493_2

 

| | コメント (4) | トラックバック (0)

ELF(エルフ)

25日 15時
AL HIRSCHFELD THEATRE

クリスマス関連でもう1本。日本未公開だが全米ではヒットした2003年の映画「エルフ」をミュージカル化した「ELF」を鑑賞。新作で、このホリデーシーズン限定の公演だ。

事前にDVDも観ておいた。エルフの子として育てられ、サンタクロースのスタッフとして働いてきた人間の子が、本当の父親と会うためにニューヨークにやってきたことで起きる珍騒動を描いたハートウォーミングなコメディーだった。他愛もない話ではあるが、ちょこちょこ入ってくるギャグにはときおりブラックなものもあったり、ヒロインがたいそう可愛かったりで、なかなか良かった。

舞台版もほぼ同じような展開で、罪のないストーリーを、明るいサウンドに乗せて展開する、まさにホリデーシーズンにぴったりの一作。

結構セリフで笑わせる場面が多いので、英語のニガ手な自分はやや眠くなってしまったが、会場内は終始大うけで、最後はスタンディングオベーションだった。

この国の人たちがいかにクリスマスを、そしてサンタの物語を愛しているか、つまりこの劇の中に出てくる「クリスマス・スピリッツ」をきちんと持ち続けていることが、よく分かったような気がする。

Sp1140486

公式ウェブサイト
http://elfmusical.com/index.php

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010 Radio City Christmas Spectacular(ラジオシティ クリスマス・スペクタキュラー 2010)

25日 13:00~14:30

せっかく25日に到着したのだ、まずはクリスマス気分を盛り上げようじゃないか(自分の中で)、と、最初にラジオシティ・ミュージックホールに向かい、クリスマス・スペクタキュラーを観ることに。

Sp1140480

ロケッツのお姉さんのおみ足でも拝見すれば、旅行の疲れなどふっとんでしまうハズだ。

Sp1140087

Sp1140089

Sp1140095

Sp1140112

Sp1140130

Sp1140146

Sp1140199

Sp1140224

Sp1140267

Sp1140335

Sp1140384

Sp1140401

Sp1140420

Sp1140443_2

Sp1140465

Sp1140468

よーしテンション上がってきたあー!

公式ウェブサイト
http://www.radiocitychristmas.com/newyork/index.html

| | コメント (2) | トラックバック (0)

New York Marriott Marquis Times Square(マリオット・マーキース)

4年前と同じ、タイムズスクエアにあるマリオット・マーキースにチェックイン。

ここは部屋が多いからか、前回と同様、昼前の到着だったが部屋に入ることができた。

追加料金でタイムズ・スクエアに面した部屋にできるがどうする、と聞かれた(ような気がした)ので、いらない、と言った(つもり)。

前回はハドソンリバーに面していたが、今回は真正面に大きなビル。しかし眺めはさほど気にしないので(そもそも部屋には夜しかいない)、これでOKである。

料金的にはシェラトン、ヒルトンあたりと同じぐらいだが、ここは部屋が広いのでありがたい。そして劇場通いにはこれ以上ないほどの好立地。廊下がすべて吹き抜けに面しているので、安心感があるのもよい。

Sp1140079



| | コメント (0) | トラックバック (0)

-3℃

25日 10:30

タイトルを見て岩井由紀子に関するエントリーだと思った方、同世代ですね。

さて一足早く年末年始の休みに入り、2年ぶりの海外に。前回、前々回と同様、ニューヨークへやってきた。

到着したJFKの天候は、-3℃。

極寒のマンハッタンンで、冬のひとり合宿スタートだ。

Sp1140083_2

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年12月12日 (日)

四季「マンマ・ミーア!」東京公演初日~王女の帰還~

ドナ・シェリダン 濱田めぐみ
ソフィ・シェリダン 江畑晶慧
ターニャ 八重沢真美
ロージー 青山弥生
サム・カーマイケル 阿久津陽一郎
ハリー・ブライト 味方隆司
ビル・オースティン 野中万寿夫
スカイ 田中彰孝
アリ 木内志奈
リサ 柏 円
エディ 大塚道人
ペッパー 一和洋輔人

エジプトの大地に散ったヌビアの王女が、地中海を隔てたギリシャの離島に転生し、広島、静岡、仙台を経由して海劇場にお帰りになった。お伴にラダメスも引き連れて。

衝動的に遠征してしまった広島初日以降、お目にかかることのなかっためぐ様ドナ。こうして東京でまた見られるとは嬉しい限りだ。前回観たときは、全力系でイッパイイッパイなドナだったが、元気さはそのままに、オバチャンなふてぶてしさも備わってきた。ドナが遺伝子レベルまで浸透してきたのだろうか。ダンシング・クイーンのグラサン姿は、これまでのどのドナよりも、1970年代の空気を感じさせていた。ドナとしての完成度は「Super Trouper」に凝縮されるが、もうこれが言葉にならないほど素晴らしい。この1曲だけでいいから、ブルーレイにしてほしい。何百回でもリピートしてしまいそうだ。人が歌っているさまを見ているだけで、こんなにもハッピーな気分になるのは何年ぶりだろう?

二幕のソフィとのやりとりにも、しっとりとした情感が加わってきた。その一方で、苛立っているときは本当にかみつきそうな迫力がある。濱田めぐみのことだ、さらに変化・成長していくに違いない。ぜひロングランを実現して、何度でもこの舞台に立ってほしい。

そして、若く、かわいいドナであることはもちろん初見の時から変わっていない。「世界で最も美しいドナ」という称号があったなら、それは間違いなくめぐ様のものである。きょうの何回目かのカーテンコールで、最初1人で登場し、そのあとソフィを袖から呼ぶときに、こまわり君の「死刑!」のようなポーズを見せた。

↓これね。手元に「がきデカ」がないのでミサミサさんで代用。
201012121941001

これがもうかわいいのかわいくないのって。萌え死にそうです。

ついでに阿久津サムにも触れておくと、前回はぬぼーっとしたどこか使えない奴なサムだったが、今回はかなり阿久津らしく、ヘンな奴なサムになっていた。「サム・カーマイケルです」「そりゃあまずいよ」「ハーイ」といった普通のセリフで笑いが起きる。一方で「あまりネ」「20年分のアドバイスを…」といった笑いを取るべきところで完璧にスベる。うーん、阿久津だ。期待どおりである。

キャストは広島のときとあまり変わらないかな、と思いつつキャストボードを下まで見ると「ペッパー 一和洋輔人」の文字が。こりゃあいいや。もちろん普段から「あの鐘、落ち着くね」というようなしゃべり方をするわけではない。しかし、十分鼻につくペッパーだった。意外に身体的能力が高いことも分かった。いっそ、「そのままで十分カワイ子ちゃんだよ」のセリフを「そのままで十分……子猫ちゃんだ」と言ってくれたら面白いのに!まあABBAサイドから契約切られても知らんけど。それにしても、男色の次は熟女フェチか。メルヒオールは見られず残念だったが、この人ずっとアブノーマル路線を行くのだろうか?だとしたら、いずれいいヘロデになるかも。

江畑ソフィはなんだかますます顔が丸くなったような。だがそれが可愛さをアップさせていたので結果オーライ。地声は低いけど好きだねえ、江畑晶慧。

ハリーは久しぶりに味方隆司。一見真面目そうだけど実は変な人なんですオーラ出まくりの怪しさだ。サムがアレなんで、3人でいると野中万寿夫のビルがものすごく真人間に見える。

ダイナモスはめぐ様パワーと2人の名人芸で超強力、父親3人はヘンタイぞろい。大塚エディに一和ペッパーに田中スカイのトリオは、なんだかペッパーが3人いるみたいに鼻につく。この中にいると、ソフィ・アリ・リサの3人はかなり分が悪い。アリやリサは見せ場も少ないので存在感を出すのが大変だが、かつての「吉沢梨絵ソフィ、森実友紀アリ、五十嵐可絵リサ」とかだったら十分対抗できたような気も。濃いめのアリ、リサ誕生を願ってやまない。

さて、この日のカーテンコールはだいぶ長かった。千秋楽以外でこんなに続いたのは久しぶりに体験した気がする。招待客の多い初日ながら、客席の熱気は相当ヒートアップしていた。作品としてのマンマ・ミーア!を待ち望んでいた人も、めぐ様信者も、みんなで東京公演の開幕を祝っていた。この熱気が少しでも長く続くよう、俺もひんぱんに劇場に足を運びたいと思う。

201012121248000


四季「マンマ・ミーア!」ホームページ

http://www.shiki.gr.jp/applause/mammamia/

| | コメント (14) | トラックバック (0)

2010年12月11日 (土)

「SPACE BATTLESHIP ヤマト」 良くも悪くも黒木メイサの映画

賛否両論渦巻く、というよりかなり否定的評価を受けつつある「ヤマト」実写版。

俺はといえば、実に楽しく観た。終わったあと「もう1回観ようかな?」と本気で思った。

この「楽しく観た」「もう1回」が、人によっては不満のもとになっているようだ。つまり、ヤマトらしい緊迫感に欠ける、そしてそこそこの上映時間にもかかわらず、オナカ一杯にならない、ということだからだ。

しかし、もう肉より野菜を好んで食べるようになっているヤマト世代には、このぐらいのマイルドさがちょうどいいんじゃないか、という感じだ。

そういう映画である。

ここからちょっとばれるので、これから観る人は読まないことを推奨します。

何が楽しかったかといえば、この作品が、アニメ版ヤマトに対する愛にあふれている点だ。そこかしこに、アニメ版へのオマージュと思われるセリフやエピソードが盛り込まれ、それらを探しているだけでもわくわくする。

発表当初話題を呼んだキャスティングについても、自分は「面白い布陣だな」と感じていた。古代進の木村拓哉が特に議論の対象になっていたが、自分はそれはアリかも派だった。古代というキャラクターは、実は大いなる宇宙戦争のかたわらで地球人・宇宙人入り乱れて繰り広げられる群像劇の、いわば狂言回し役で、特殊能力を持っているわけでも、とりわけ魅力的なキャラクターでもない。薄いキャラなのだ。もし声が富山敬でなかったら、あんまり印象が残らなかったかもしれない。だから、ある意味古代進は誰が演じてもいい。木村拓哉という強烈なキャラクターを持ってくれば、すなわち強烈な古代進の誕生を意味するのだ。どんな古代になるのか、大いに楽しみにしていた。それ以外のキャラクターも、おおむね納得がいくものだったし、真田さんが柳葉敏郎と聞いたときにはもうそれだけで劇場に足を運ぶ価値があると思った。

で、実際にスクリーンで見ると、期待どおりの演技が次々に繰り広げられ、嬉しくなった。いくつかアニメとは設定上の変更がなされているが、古代進の年齢上昇に伴い島もオジサンになり、森雪の役割変更とツンデレ化、佐渡先生の性転換などなど、いずれもストーリー上、演出上の理由があってのこととであり、さほど違和感は(個人的には)感じなかった。

一方で、柳葉敏郎の真田さんのように、アニメキャラの忠実なコピーもある。何といっても、山崎努という名優が完コピをしているのが興味深い。見る人によっては「あんなの沖田艦長じゃない」というかもしれないが、豪胆にして冷静、情は深いが自分の感情を表現するのが苦手で、でもちょっとお茶目、というあたりが、そのまま沖田十三だと感じた。

ストーリーもうまくまとまっていてテンポよく進むし、CGもまあまあの出来ばえで、最後まで眠くならずに楽しむことができた。

が、全体として何か物足りないという指摘は確かにその通りだと思う。いろいろ足りないところはあるが、自分が一番足りないと感じたのは、ヤマトの物語に満ち溢れる、戦争映画のロマンチシズムではないか。沖田・古代とデスラー、そして七色星団で激闘を交わしたドメル将軍といった、フィクションの戦争に欠かせない男と男の濃ゆーい関係。そういう暑苦しい要素はすっかりそぎ落とされ、すっきりさっぱりした味わいになっている。

だがそれはあくまで個人の趣味の問題であって、○○がないからこの映画は駄目、という批判にはあまり共感しない。

とはいえ、ではこの映画がすべて狙い通りに出来上がった快作かと言われると、それにもちょっと疑問符がつく。

おそらくこの映画は、「娯楽としての戦争映画」だった旧作とは異なり、ヤマトという閉鎖空間の中で展開する密室劇を目指したものと思われる。それを、迫力あるCGの戦闘シーンで包み込んで、一大エンターテインメントに仕立てよう、という寸法だったのではないか。問題は、その群像劇の軸を、古代と森のラブストーリーに置いてしまったことだ。いや、それは問題ではなかったかもしれない。そこに、ひとつの計算違いが起きたことが問題だったのだ。それは、森雪を演じるのが黒木メイサになったことである。

当初、森雪は沢尻エリカが演じる予定だったと伝えられている。彼女の人格や亭主のことはさておき、その演技力は大いに評価できる。もし予定どおり、彼女があのツンデレな森雪を演じていたらどうなっていただろう?

それを想像するのは意味のないことだが、黒木メイサになったことで、重大な祖語が生じた。沢尻エリカと黒木メイサは2歳しか実年齢は変わらないけど、黒木メイサはやっぱりカワイイのである。いや、沢尻エリカがかわいくないと言ってるのではなく、黒木メイサは、ちょっと大人っぽく見えるがその表情や動きが、どちらかというと少女っぽいのだ。木村拓哉との間に16歳差という実年齢差以上のものを感じてしまう。それがどうにも、2人のラブストーリーの説得力を失わせることになり、結果、群像劇の軸としてはあまりにも軟弱なシャフトになってしまった。ラストシーンで「おいおい!」とスクリーンに突っ込みたくなったのは観客の9割以上と推定される。もちろん沢尻が演じていれば丸く収まったかといえば、それは保障の限りではないのだが・・・

じゃあ黒木メイサのキャスティングは失敗だったのか。とんでもない。あのかわいらしいツンデレぶりは、日本映画界に残る魅力的なヒロインだった。俺が「もう1回観ようかな」と思った理由のほとんども、あの森雪をもっと見たいと思ったからだ。

あまりにも魅力的でありながら、その魅力ゆえにこの大作の根幹を揺るがすことになってしまった黒木メイサの森雪。本当に映画というのは何かひとつの要素で大きく味わいを変えてしまうのだ、とつくづく思う。

結局、この映画の楽しさは旧作へのオマージュでしかないことを考えると、旧作が好きな人には大いにおすすめしたいが(ただしあまり思い入れが強くないことが前提)、旧作を知らない、という人は、あんまり観ないほうがいいのかもしれない。

なんだかネガティブな結論になってしまったが、黒木メイサの森雪はほんとにカワイイので、女優さん好きな人はぜひ劇場で目撃すべき。あと真田さんもな。


俺が観た日、シネコンの受付も乗組員のコスプレをしていた。いいぞいいぞ!

SPACE BATTLESHIP ヤマトのウェブサイト
http://yamato-movie.net/top.html

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年12月 8日 (水)

AKB48劇場5周年特別記念公演

AKB劇場がオープン5周年を迎えた12月8日、特別記念公演が行われた。研究生を含むAKB現役メンバー全員が出演するという。こりゃーぜひとも観たいが、チケットは通常公演と同じ抽選方式。まず当たらないだろうとは思っていたが、幸運にも当選。なんでも倍率は過去最高だったとか。噂によれば200倍を超えたとも。

いったい何が起きるのか、わくわくして劇場へ。平日夜公演は、自分が劇場に通い始めたころはスーツ姿がかなりの割合を占めていたが、今やスーツは少数派で、観客の平均年齢は10歳ぐらい低下したように見える。

予定より少し遅れて始まった記念公演。まずチームAの結成時の練習風景がスクリーンに映し出される。そしていつものオーバーチュア。幕が上がり、スポットライトが舞台を照らすと「パーティー!」の声が響き渡る。

旧チームAメンバーによる、「PARTYが始まるよ」。チームA1st公演、「PARTYが始まるよ」の表題曲である。この日は立ち見だったが、もうこの段階で俺は脚が震えた。

メンバーをよく見ると、いるいる、卒業生が。成田梨紗に川崎希、星野みちる、渡邊志穂、折井あゆみ、戸島花、佐藤由加理、駒谷仁美。いないのは宇佐美はともかく、大島麻衣と、増山加弥乃、大江朝美と…中西里菜か。まいまい、かやの、おーいぇは昨年のAXに出てくれたので、来年1月のAXでの再開を期待したいところだが、問題はりなてぃん。何食わぬ顔して出てきてくれたらなあ。自己紹介ではひさしぶりの甘えん坊なみいちゃん、こじはる&ひいちゃんの掛けあいなどが見られて何とも幸せな気分。ひいちゃんが「これからはSDN48として…」と言い出すとMIHO、いやシンディ、いや浦野が全否定していたが、いっそみんなでSDNに入ってくれないものか。そしたら俺もかなり真剣に劇場に通うと思う。

続いて旧チームKメンバーが披露したのは「青春ガールズ」。ひまわり新規である自分は、この曲をKが歌うのを劇場で聞くのは初めて。嬉しいが、えれがいないのは寂しい。成瀬理沙もやはり出にくいのか。かつて鉄の団結を誇ったKだけに、いったん亀裂が走るとその亀裂をより深く感じてしまう。

そしてこの流れで旧チームBが歌うとなれば曲はもちろん「初日」だ。おお!松岡由紀がいる!なんと!佐伯美香もだ!この2人は去年のAXにも出ていないのでこれは意外だった。みかちぃの自己紹介「顔がちょっとツンデレな~」に思わず涙が出そうになった。来年のAXでは「てもでも」復活もアリか?MCでは、昔のチームB独特のあのまったりした空気感が漂っていた。ああ、野口玲菜や井上奈瑠がいたらなあ。

ここまでの3曲+自己紹介で、すでに1時間半近く経過。このあと、ここまでの出演者全員で「あなたがいてくれたから」を歌って、いったん幕。

このあと、アンコールという形で「チャンスの順番」とそのカップリング曲を歌う。

1)フルーツ・スノウ(チーム研究生)
2)ラブジャンプ (チームB)
3)ALIVE (チームK)
4)胡桃とダイアローグ(チームA)
5)予約したクリスマス(セブンイレブン選抜?)
6)チャンスの順番(じゃんけん選抜)

チーム別のカップリング曲はそれぞれチームカラーが出ていて面白い。Aの高城が妖艶なダンスを披露していたのが印象に残った。

じゃんけん選抜劇場初披露に立ち会えたのもよかった。センターはもちろん内田眞由美。メディア露出がぐんと増えて、かつ各メンバー16人に達しない状態が続いた中、全チームのセットリストに出演する鉄人ぶりを発揮したうっちー。大好きなメンバーのひとりで、個別握手会でも必ず会いに行っていた。もっと人気が出てもいいのに、といつも思っていたが、こういう形で脚光を浴びることになるとは。応援してるぜ!

最後はこの日出演した総勢82人による「桜の花びらたち」大合唱。たかみなの感動的なMCと、9期生の昇格が発表され終了。

出口では16歳未満メンバーを除く70数名とのハイタッチ。これだけのAKBメンバーと同時に触れ合うのは、後にも先にもないことだろう。そして記念品のTシャツもいただいた。

250人の観客に出演者82人という濃密な空間。これがAKB劇場の真髄だ。AKBの「これまで」と「現在」を表現したスペシャルな公演に参加できて本当に良かった。AKB人気はいずれ落ち着くだろうが、この劇場がある限り、自分はきっと通い続けると思う。

記念品のTシャツ。このいいかげんさがまたAKBらしい。

AKB48公式ウェブサイト

http://www.akb48.co.jp/index.html

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2010年11月 | トップページ | 2011年1月 »