イッセー尾形の一人芝居「わたしの大手町 2010」
昨年に引き続き、イッセー尾形の大手町公演「わたしの大手町2010」が上演された。こんな素晴らしい公演を2年続けて観られるのは本当にありがたい。
サラリーマンの町で、サラリーマンを演じる。そのことにイッセー尾形本人が手ごたえを感じているのが客席にも伝わってくる、渾身の舞台だった。
働く人々、をテーマに新旧作を織り交ぜて上演する、というスタイルは昨年と同様だが、ネタが終わったあと舞台を降りて、得意の「音ネタ」でそのキャラクターの心情を歌いあげるという立体的な演出が加わった。常に本音とタテマエのはざまに揺れるサラリーマンを描くのに、これほど効果的な構成はないかもしれない。本音の「音」をそのまま表現してみせるのだから。
パンチの効いたネタ、不思議な感覚のネタ、音ネタ、ダジャレとさまざまな方向性から多彩な技を繰り出してくるイッセー尾形のパフォーマンスは、もはや円熟の域に達しているが、なお新しい試みに貪欲に取り組んでいる。高みに立つものは常に歩み続けているのだ。そして、その根底にあるのはあくまで「観客を楽しませよう」という姿勢。それがある限り、どんな新しいことをしてもその方向性は決してブレることがない。
人を楽しませる、ということの素晴らしさ。それに取り組む人々をウォッチするのがこのブログの大きなテーマであることを、改めて肝に銘じた。
イッセー尾形 オフィシャルサイト
http://www.issey-ogata.net/
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