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2010年4月24日 (土)

四季「アイーダ」こっちの鈴木もいいですな

アイーダ 樋口麻美
アムネリス 鈴木ほのか
ラダメス 渡辺 正
メレブ 有賀光一
ゾーザー 田中廣臣
アモナスロ 石原義文
ファラオ 岡本隆生
ネヘブカ 河内聡美

アイーダにほのか様参戦の情報を聞き、こりゃたまらんと思い海劇場に駆け付けた。先週からずっと発熱が続き、這うように会社に行っていたが、週末となるとちゃんと体は動く。だが劇場への道のり、途中何度も吐きそうになったのは内緒だ。

「ソング&ダンス」福岡公演で彼女がアムネリスの曲を歌うのを聞いて「あーこのキャストはアリだなあ」と感じていた。が、年齢的に考えるとちょっとキツいんじゃないかと思ったのも事実である。

興味津々で見守るオープニング。やさしい声で歌いだすが、その声に深みがあり、これから始まる物語を大いに期待させてくれる。そして一転、力強く歌い上げるフレーズでは、予想以上にパワーのこもった歌声を披露。マンマ・ミーア!で久し振りに彼女の声を聞いたとき、昔は華奢な体つきと細い声、という印象があったため、ずいぶんイメージが変わったな、と思った記憶があるが、ボーカリストとしてはさらにレベルアップしている。舞台女優としてはもうベテランだが、常に高みを目指して進化しているのだ。

そして、懸念された年齢だが、これが驚くほど気にならない。もともと姫様キャラはお似合いだったが、実にサマになっている。いや、素直にかわいい。恐るべし鈴木ほのか。なので「お洒落は私の切り札」が実に楽しい。

2幕では「真実をみた」のせつなすぎる表情や、裁判で見せる威厳に満ちた態度など、その演技力を存分に駆使して見事なアムネリス像を作り上げる。うーん、素晴らしい。

多少の期待はしていたが、それをはるかに上回る完成度とキュートさである。ほのかファンは迷わず海へ向かうべし。ただ、そのキュートさはどちらかというと男好きのする雰囲気である。女性からはあまりいいイメージを持たれないかもしれない。そういう意味では、女性に人気のある五東由衣アムネリスとは対極的なアムネリスと言える。

今回、実は樋口麻美アイーダも初見だった。樋口はウェストサイド物語以降、女優としてのグレードがぐんとアップしたような気がする。ウィキッドのエルファバ役でさらに磨きがかかった。その樋口のアイーダは全く非の打ちどころがなく、ビジュアル、演技、歌、3拍子そろった完璧なアイーダだ。この作品でもウィキッドでも、常に濱田めぐみと比較されてしまうが、実力的には全く遜色がないと思う。ただ、役への入り込み方において北島マヤ級の才能を持つ濱田のほうが、印象度ではどうしても優位に立つ。姫川亜弓の素晴らしい演技力と美貌をもってしても、マヤちゃんとの競争では常に分が悪いのだ。樋口麻美という女優の前に、大きく立ちはだかる濱田めぐみという壁。それを乗り越えたとき、女優としてのさらなる成長が待っているはずだ。

あと、ヤツのことはこのまま放置プレイにしようかとも思ったが、一応軽く触れておく。基本的に、何の変化もない、ただの渡辺正である。ひょっとしてものすごく良くなってるんじゃないか、というような過大な期待はしないで観るのが正解だろう。ただ、鈴木ほのかアムネリスとの相性が良かった。この3人だと、現代に転生して再会するのはアムネリスとラダメスになるんじゃないか。そうだ、その場所はエジプトから地中海を渡って、エーゲ海の小島あたりってのはどうだ。そこには小さなホテルをきりもりする女主人がいて、そこにやってきた建築家と……

ほのか様降臨記念で、カフェのオリジナルドリンク「アムネリス」を飲む。なんとなく懐かしい味がした

「アイーダ」公式サイト

http://www.shiki.gr.jp/applause/aida/index.html

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四季「春のめざめ」再演 ヤツらが帰ってきた

ベンドラ 林 香純
マルタ 撫佐仁美
テーア 岸本美香
アンナ 山中由貴
イルゼ 勝間千明
メルヒオール 上川一哉
モリッツ 三雲 肇
ハンシェン 一和洋輔
エルンスト 竹内一樹
ゲオルグ 白瀬英典
オットー 加藤 迪
大人の女性 中野今日子
大人の男性 田代隆秀
女性アンサンブル 石井亜早美、橋本 藍
男性アンサンブル 山下 啓太、手島 章平

お蔵入りになることなく、めでたく再演となった「春のめざめ」。これはぜひ四季のレパートリーとして今後も定期的に上演してほしい。音楽性の高さやスタイリッシュな空間演出で、歴史に残る名作なのだから。もちろん個人的にも大好きだ。

アイーダを観ているうちに(というかほのかアムネリスを見ているうちに)体調もちょっとよくなった気がするので、調子に乗ってそのまま自由劇場へ。

あまり時間を置かずに再演が決まったため、キャストも大きくは変わっていない。主役は退団したらしい柿澤勇人に代わり上川一哉。前回公演でも、わずかな期間メルヒオールを演じている。そのときは未見だったので、彼の演じるメルヒオールは初めて見た。歌は柿澤勇人よりうまいと思うし、演技にも安定感がある。あえてぜいたくを言えば、安定しすぎていて、「危うさ」があまり感じられない。柿澤の場合、演技というより、どこか四季っぽくない部分があって、それが図らずも観客の目には「危うさ」となって映っていた部分がある。

林ベンドラは、「ドリーミング」チレット役の好演が記憶に新しい。顔つきが少しシャープになった。

勝間千明イルゼは、意外に(?)良かった。金平真弥の印象が強烈すぎたのでどうしてもその影を追ってしまうが、歌も、そして複雑な感情を浮かべる微妙な演技も、実に熱のこもったものだった。

そういえば開演前、ロビーで「(女)遅刻なんてサイテー!」「(男)俺トイレ行くから一緒に2階に上がってよ(と、女の手をつかんで引っ張りまわす)」「(女)このハンドタオル買ってよ!」などと、ベタな会話を交わしているカップルがいたが、アレだった。まあ、ロビーパフォーマンスみたいなものか。見つけたら遠巻きにウォッチしよう。

「春のめざめ」ホームページ

http://www.shiki.gr.jp/applause/springawakening/

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2010年4月17日 (土)

杉並TVの活動

あまりものごとを真面目に考えない自分だが、地域というテーマにはそれなりに関心がある。

自分の現在、千葉県の柏市に住んでいて、大いに住み心地のいいこの町を愛しているが、故郷は茨城であり、本家は今も茨城空港の近所にある。

茨城は、FM局もテレビ局もないという、47都道府県の中で唯一の「メディア空白地」である。そのため、地域のコンテンツの多くが映像化されていない。

自分が2年半ほど前にデジタルビデオカメラを買ったのは、そういう中で自分なりに茨城のさまざまな風景を映像に残していきたい、と考えたからだ。

と言いながらも、会社の仕事やこのブログの更新にかまけて、なかなか具体的な活動ができていない。黄門まつり茨城空港の映像を撮ったにとどまっている。今年の梅まつりは1日かけて撮影したが、まだ編集もしていないていたらくだ。だいたい、根気がないのである。

しかしそんなナマケモノをよそに、地域に根ざした映像制作を実践している人たちがいる。「住民ディレクター」の活動は、その代表的な動きだ。

もともと熊本県で始まった活動だが、現在は全国に広がりつつある。そのうちのひとつが、東京・杉並区を拠点に活動している「杉並TV」だ。その代表者は会社の仕事でたいへんお世話になっている人だが、昨年12月に商店街でネットライブをするので手伝え、と声をかけていただき、自分の勉強にもなるので仕事を離れボランティアで参加してきた。とはいっても自分は何もできないので、ぼーっと見学していただけだが。

ただ見学しているのではさすがに能がないので、その模様を撮影し、メイキング映像としてまとめたものがこれだ。

この杉並TVは、活動の実績を認められ、4月21日からケーブルテレビJ:COMのコミュニティチャンネルで番組を放送することになった。東京・埼玉・群馬エリアで視聴できる「街ネタ!ワイド」でその映像が流れるほか、ゴールデンタイムの番組にも関係者が出演するらしい。視聴可能なエリアに住んでいる人にはぜひ見ていただきたい。

ネット放送局とケーブルテレビとのコラボレーションというのは面白い。ローカル局と全国ネットといった、規模の経済性と直結したメディアの枠組みは、確実に溶解しつつある。

12月のネットライブでは実に多くのことを学んだが、学んでいる場合ではない、とも思う。もっと行動しなくては。既存のルールが破壊されたとき、なすべきことは「行動すること」であり、重要なことは「食べていけること」である。

ま、根がいいかげんだからあせったり悩んだりはしないものの、そろそろ人生も先が見えてきているわけで、次に何をしようか考えるフェーズにさしかかっていることは確かだ。

杉並TVのホームページ

http://www.suginami-tv.jp/site/home.html

J:COM東京のコミュニティーチャンネル

http://tokyo.jcommunity.net/machineta.html

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2010年4月11日 (日)

四季「サウンド・オブ・ミュージック」最高だぜ!鈴木綜馬

劇団四季にとっては新作だが、もはやクラッシックの域に達する名作ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」が4月11日、四季劇場「秋」で幕を開けた。

今回の公演は、「キャッツ」「オペラ座の怪人」などの作曲で知られるミュージカル界の巨匠、アンドリュー・ロイド=ウェバーが2006年にプロデュースしたリメイク版を四季が翻訳する形で実現した。ウェバー卿もすでに作曲家としては峠を越え、最近はプロデュース業での活躍が目立つ。2000年代はじめには、「ムトゥ 踊るマハラジャ」のA.R. ラフマーン作曲による「ボンベイ・ドリームス」を手がけた。これ、ものすごく見たかったのだが見逃した。

さて自分は「サウンド・オブ・ミュージック」についてはあまり縁がない。日本でもたびたび公演されているが、舞台では見たことがなく、映画はずいぶん前にテレビで見たっきりで、ストーリーもうすぼんやりとしか思い出せない。

さほど期待もせずに初日を待っていたが、開幕直前にビッグニュースが舞い込んできた。なんと、鈴木綜馬がトラップ大佐を演じるのだという。鈴木綜馬――またの名を、芥川英司。かつて四季の主役を張っていた男である。「美女と野獣」では、東京・大阪同時ロングランというとんでもない試みを山口祐一郎と2人で支える予定だったのが、初日を間近にして山口祐一郎が逃亡。以降、相当な回数をこなし、ビースト役はすっかり当たり役となった。今も、自分にとってビーストの声は芥川英司が基本なのだ。

退団後は鈴木綜馬と名を変え、東宝などいくつかの舞台に出演。「レ・ミゼラブル」のジャベールは最高だったが最近はキャスティングされていないし、他の作品でも彼の魅力が存分に発揮されているとはいいがたい。芥川ファンとしてはストレスがたまっていたところだ。

その芥川が、最高の形で四季に戻ってきた。出戻り、というネガティブなイメージは皆無だ。活躍の場を求めていた芥川、主役級の相次ぐ退団でこの層が薄くなりつつある四季、これは双方にとって合理的な解なのである。

映画の漠然とした印象しかないものの、トラップ大佐の役どころは彼にこの上なくぴったりのように思える。がぜん、テンションが上がってきた。

そして迎えた開幕。オープニングキャストは期待どおり。

マリア 井上智恵
トラップ大佐 鈴木綜馬
修道院長 秋山知子
エルザ 坂本里咲
マックス 勅使瓦武志
シュミット 大橋伸予
フランツ 青山裕次
シスター・ベルテ 佐和由梨
シスター・マルガレッタ 矢野侑子
シスター・ソフィア あべゆき
ロルフ 飯田達郎
リーズル 谷口あかり

マリア先生には井上智恵。「ソング&ダンス」の「ドレミの歌」を歌っているから、これは予想されたキャスティングだ。役柄を考えても順当と言える。ただ、髪型とメイクのせいでちょっと年齢を感じてしまう。もうちっとごまかしようはなかったんだろうか。なので序盤の、修道院の問題児、といった演技にはやや無理があった。しかし、先生としてのマリア、そして母としてのマリアの演技は素晴らしい。序盤の違和感など吹き飛ばし、観客の記憶に強烈な印象を残してくれる。

そして鈴木綜馬。いやあ、予想以上にハマリ役である。カタブツの演技も板についているし、子どもたちの歌声にほだされてやさしい父親としての顔を取り戻してからは、内に秘めた強い信念と家族へのあふれんばかりの愛情を明確な形で描き出し、それを落ち着いた演技と歌声にのせて観客の心に運んでくる。ブラボーすぎる出来栄えだ。

他のキャストでは、長女・リーズルの谷口あかりがよかった。「春のめざめ」で同じベンドラを演じた林香純は、「ドリーミング」のチレット役でいい演技を見せたが、それに負けず劣らずいい味を出していた。ちょっとジャパニーズ・ツンデレの混じったセーラー服姿のオーストリア娘は、大いに萌えさせてくれる。

作品全体としてはどうだったか。「ナチスとオーストリアの政治的背景をより強調している」という触れ込みだったが、自分としては映画とさほど変わらないようにも思える。トータル2時間40分ほどで、修道院のやりとりなど、1幕ではやや長さを感じる部分もあったが、トータルで見ればいまの時代に合わせたスピーディーな展開になっているようだ。

広い意味でのウェバー作品だから、四季も勘どころがあるのだろうか、初演とは思えないほどこなれた雰囲気がある。いや、これはむしろ、四季が数多くのファミリーミュージカルを手がけてきたことに起因しているのかもしれない。四季のファミリーミュージカルには家族をテーマにした佳作が多い。そういえば、舞台がザルツブルグということで、どことなく「ふたりのロッテ」を思い出させる。勅使瓦武志の役が微妙にかぶっているのが面白い。

そういう意味では、この作品は四季の得意とするところであり、代表がパンフレットで言及しているように、今後四季のレパートリーとして長く演じられていくことになるのではないか。

ところで、四季はなぜこの作品に手を出したのか。確かに、日本の客層にはファミリー向け作品のほうがウケがよいから、そう不思議ではないかもしれない。だが、新作といっても今さら感を持つ人が多いのも事実だろう。リアリー・ユースフル・グループ(RUG、ウェバー卿の会社)に大枚はたいて買い付けるほどのものだろうか?

そこで、この裏にはきっとビジネス上の何かがある、と考えたくなる。

ひとつ考えられる可能性としては、ロンドンで開幕したばかりの、「オペラ座の怪人」の続編「Love Never Dies」の日本公演の権利交渉の条件のひとつだった、という線だ。ウェバー作品をすべて四季が買っているわけではなく、「ウーマン・イン・ホワイト」のように四季以外のカンパニーが上演しているものもあるわけだが、この作品に関する限り、四季が手を出さないということは考えにくい。RUGとの条件交渉を横目でにらみながらこの作品の上演が決まった、という可能性はある。

そしてもうひとつ、ひょっとしてディズニーとRUGをてんびんにかけた結果なのではないか、という見方もあるのではないか。いま、ディズニーから買うべき作品といったらひとつしかない。「メリー・ポピンズ」である。「リトル・マーメイド」は失敗作だし、「ターザン」も興行的には厳しい結果となった(個人的には、好きである)。しかしメリー・ポピンズはディズニーとキャメロン・マッキントッシュ氏のコラボレーションであり、おそらく条件交渉は相当タフなものになるはずだ。ほぼ同じ時期に映画が公開され、主演は同じジュリー・アンドリュースというこの2作品。子役が中心という点も共通している。そして「キャッツ」「オペラ座の怪人」をともに生み出した間柄とはいえ、ウェバー卿とマッキントッシュ氏はビジネス的にはライバル関係にある。同時に交渉することで、有利な条件を引き出す考えだったのではないか。おそらくあちらのほうが高いだろうし、ランニングコストも膨大になりそうだから、こちらに決まったのは当然かもしれないが、四季劇場「夏」を作ったところを見ると、案外本気で取りにかかっていたのかも。ソング&ダンスの中にも入ってるし。すでにロンドン初演から3年以上が経過し、まだ日本公演の話がないということは、「メリー・ポピンズ」の日本上演はやはり厳しいか。

とにもかくにも四季に新しいレパートリーが加わった。綜馬トラップが完璧すぎるので、逆にこれを芝清道がどう演じるのか見たい気もする。笠松はる、沼尾みゆきのマリア先生はかなり見たい。また足を運ぶ日はそう遠くないだろう。

Som

四季「サウンド・オブ・ミュージック」ウェブサイト
http://www.shiki.gr.jp/applause/sound/

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2010年4月 3日 (土)

劇団☆新感線30周年興行 SHINKANSEN RX「薔薇とサムライ Goemon Rock OverDrive」

作・中島かずき
演出・いのうえひでのり

石川五右衛門 古田新太
アンヌ・ザ・トルネード 天海祐希
シャルル・ド・ボスコーニュ 浦井健治
デスペラード豹之進 山本太郎
ポニー・デ・ブライボン 神田沙成加
エリザベッタ 森永みはる
海賊バルバ・ネグロ 橋本じゅん
マローネ(アバンギャルド公爵夫人) 高田聖子
ガヴァス・デ・ナルビオッソ将軍 粟根まこと
ラーカム・デ・ブライボン大宰相 藤木 孝
ゴンザンス男爵 右近健一
ドッカーノ伯爵/海賊翁オスクラ・メンデ 逆木圭一郎
ピエール・ド・ボスコーニュ 河野まさと
海賊サングリア 村木よし子
山賊ゲッソー/ジェイケンンス侯爵/海賊ゲッソーラ インディ高橋
海賊ヴィノ 山本カナコ
酒場の店主リカー/マグロマル子爵 礒野慎吾
親衛隊長デカール 吉田メタル
海賊セルベーサ 中谷さとみ
海賊ヘレス 保坂エマ
山賊マルゴーネ/海賊マルゴネス 村木 仁
エスパーダ男爵 川原正嗣
海賊ソルタード 前田 悟
カンテ 冠 徹弥
ヴォス 教祖イコマノリユキ
コスカーリャ司教 武田浩二

<少しばれます>

久しぶりの新感線。2008年夏の「五右衛門ロック」の続編にあたる「薔薇とサムライ」だ。

明るくてゴージャスな、豪華版いのうえ歌舞伎といった印象のこの作品。目玉は何といっても2003年の「阿修羅城の瞳」以来となる天海祐希だ。「阿修羅城」の彼女は、もう圧倒的な存在感で、この世のものとは思えないような、あの世のものを演じていた。7年たってもその存在感は健在。いや、むしろ高まっている。最初のシーンで舞台に登場したときから観客の視線を独り占めだ。彼女は立ち姿が際立って美しいわけでも、動きが華麗というわけでもないように思うが(ファンの人すいません)、その身にまとう眩し過ぎるオーラは他の追随を許さない。まさに舞台のために生まれてきたような人だ。その天海をさらに際立たせるのが、海賊姿から美しいドレス、そして明らかにオスカルな衣装まで(彼女は宝塚時代にオスカルは演じてないと思うが)、くるくると変わる七変化だ。彼女を見ているだけで、もう満腹なほどである。

だから、今回主役であるはずの古田五右衛門は、完全に脇に回っている。そのぶん、古田は細かい演技(と、細かいギャグ)に力を注いでいる。五右衛門は明らかにアンヌにホレているのだが、それが観客にひしひしと伝わってくる。古田の演技のうまさに改めて気付かされた。そしてラストシーンでは、セリフもシチュエーションも全然違うが、どことなく「カリオストロの城」の最後におけるルパンのように、未練たっぷりのせつない男心を感じさせ、ちょっとほろりときた。と思っていたら、最後のアレは明らかにルパン第1期18話のアレだろう。パクりというより、オマージュだな。と思っていたら、客の追い出しBGMがルパン第1期のエンディング曲。うーん、やっぱりなあ。

山本太郎、神田沙成加、浦井健治といった新感線初参加のメンバーも、みな驚くほど「新感線」に求められるものが何だか完ぺきに理解している。山本太郎の役どころは、ネタものなら池田成志が演じる役だろうし、浦井健治の役どころは、劇団員なら今回その子分を演じた河野まさとが演じるべき役だ。新感線の文脈をきっちりと押さえたうえで、自分の持ち味を発揮している。神田沙成加は、ばくぜんといい演技をしそうだな、と期待していたが、予想以上にいい。「レ・ミゼラブル」でも見ときゃよかったかな。

作品のテイストとしては、中島かずきらしい、敵・味方入り乱れての爽快な冒険活劇だ。しかしやや構図は単純なので(彼の脚本にしては)、いつものように頭の中に勢力図を描きながらストーリーを追う必要がない。また、曲の作詞を森雪丞が担当し、楽曲のウェイトがぐんと上がっている。これによって、他の公演よりもミュージカル的な雰囲気が強くなった。こういう場合、ミュージカルに慣れていない役者が演じると「何を言っているのかわからない」ことになるのだが、天海、浦井、神田らが、非常にはきはきとした発声で歌いあげるので、まるで劇団●季のミュージカルのように安定感があった。

やや長いのはいつものことだが、話のテンポもよく、立ち回りや大海戦など派手な見せ場も多いので、全く飽きることなく最後まで見ていられる。演劇ファンとしてもミュージカルファンとしても、自信を持ってオススメできる一作だ。

なのでこの作品自体には大いに満足している。本当に楽しかった。

が、これはあくまで個人的な事情で、やや複雑な思いもあることは確かだ。非常に楽しい時間を過ごしながら、どこか「昔の新感線は…」と思ってしまう。それがノスタルジーに過ぎないことは百も承知である。その上であえて言うと、今の新感線は、味が薄いのだ。そして、それが多くの人に受け入れられるものであることも知っている。だから複雑なのである。大人になった新感線が、大手プロダクションと連携し、より大きな興行を仕掛けることで、実に多くの人が新感線ワールドを体験することができるようになった。それはいいことだ。だが、昔の、もっと笑いもアクションも、ついでに下ネタも、より濃いめの味付けの新感線を、俺の舌が求めてやまないのだ。

例えて言うなら、今の新感線はカルピスウォーターだ。みんなに好かれる、ほどよい味。しかし、昭和40年代生まれとしては、子供のころに自分で作った、もっと濃い味のカルピスをまた飲んでみたいと思う。そんな感じ。

というわけで、やはり自分としてはこの秋に上演される久々の「ネタもの」、「鋼鉄番長」に大いに期待したい。規則正しく3年ごとに上演される、いのうえひでのり作・演出の「ネタもの」シリーズは、100%ばかばかしいギャグだけで構築され、それ以外には感動もカッコよさも何もない。3年前の「犬顔家の一族の陰謀~金田真一耕助之介の事件です。ノート」は、この10年ぐらいの新感線の中では最高傑作だった。あれ、DVDにしてくれないかな。みんなに見せたいんだけど。

201004031745002 桜と薔薇とサムライ

「薔薇とサムライ」公式ウェブサイト
http://www.bara-samu.com/

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上野公園

この週末は花見のピーク。てなわけで、ふらりと上野公園に立ち寄った。

素晴らしい桜と、素晴らしい人出。

201004031159001

雰囲気の良さと意外なリーズナブルさで気に入っている、上野公園内「韻松亭」はさすがに人がいっぱいで入れなかったので、その前に出ていた屋台でおでんをいただく。

201004031214000

うまかった。

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2010年4月 1日 (木)

もうすぐ4月2日

今年もネタ考えてなかった。4月2日になる2分前、ギリギリ更新。

http://kingdom.cocolog-nifty.com/dark_side_annex/

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