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2010年2月 6日 (土)

四季「クレイジー・フォー・ユー」花代ポリーの逆襲

ボビー・チャイルド 加藤敬二
ポリー・ベーカー 木村花代
ランク・ホーキンス 川原洋一郎
アイリーン・ロス 八重沢真美
ベラ・ザングラー 志村 要
エベレット・ベーカー 石波義人
ボビーの母 斉藤昭子
テス 恒川 愛
ユージーン・フォーダー 村澤智弘
パトリシア・フォーダー 西田有希
ムース 荒木 勝
サム 吉賀 陶馬 ワイス
ミンゴ 畠山典之
ビリー 厂原時也
バーキンス/カスタス 田中廣臣
ジュニア 大空卓鵬
ピート 大塚 俊
ジミー 田中宣宗
ワイアット 澤村明仁
ハリー 西門宇翔
パッツィー 長橋礼佳
シーラ 高橋佳織
ミッツィー 高倉恵美
スージー 徳江みさほ
ルイーズ 大石眞由
ベッツィー 村上 智
マギー 山崎菜摘
べラ 村上絵里子
エレイン 鈴木真理子

「クレイジー・フォー・ユー」東京公演の幕が開いた。1993年の初演から17年、実はこの作品を観るのはこれでまだ3回目だ。

1回目は1997年。会場は日生劇場だった。ボビーは加藤敬二、ポリーは保坂知寿という鉄板コンビ。2回目はそれから10年経過した2007年の京都劇場で、ボビーに田邊真也、ポリーが木村花代というそれぞれキャスティングされたばかりの2人だった。

そして3回目となる今回、ボビーに加藤敬二、ポリーに木村花代という時空を超えたなかなか面白い組み合わせが実現。演劇の世界はこういうことがあるから面白い。

12年ぶりに見た加藤ボビーは、最初は正直どうなんだろうな、と思ったが、そこはさすがプロの役者、見ているうちに違和感がなくなってくる。すぐにザングラーさんになってしまう、ということもある。さすがに声の張りの衰えとか、恐らく近くで見たら顔のシワとか、隠せないものもあるのだろうが、それを演技力でカバーしている。そしてダンスのキレなど、むしろ昔よりパワーアップしているんじゃないかと思うほどだ。

一方、京都では田邊ボビーと共にほんのわずかな期間しか客の前に姿を見せなかった花代ポリーはどうか。前回は、鼻っ柱は強いが、まっすぐで純粋なポリーを元気いっぱいに演じ、そのツンデレぶりがどえらくキュートだった。笑いも大阪出身の遺伝子だろうか、絶妙の間でこなしていた。それは確実に「ウィキッド」のグリンダ役にも受け継がれている。

その2年前に比べると、ちょっと落ち着いた感じのポリーになっていた。木村花代自身が、この数カ月でぐっと女らしく、しっとりとした色気が出てきていることに影響されているのだろう。なので、「ぶっころす」なんて物騒なセリフも、前回はおてんばの範疇に入るもので「かーわいー」と能天気に大喜びしていたものだが、今回の「ぶっころす」は、一瞬背中がゾクッとした。

個人的な趣味の問題だろうが、自分としては前のツンデレポリーのほうが好きだったかな。やっぱりポリーは、フルスロットルな言動が似合うと思う。

ところで、かねがね疑問だったのは、なぜこの「クレイジー・フォー・ユー」の上演時間は3時間に及ぶ長いものなのだろうか、ということだ。明るいミュージカル・コメディーという性格上、もっと短くてもいいのではないか。さらに、もうひとつ不思議なのは、過去2回とも、上演時間が長いのに、その長さをまったく意識しなかったことだ。

今回、観ていて気付いたのは、この作品の脚本の完成度の高さだ。どうしても、クレイジー・フォー・ユーというと、ブロードウェー全盛時を思わせる、最高に楽しい歌やダンスが凝縮されたショー的な要素に目が向く。それがまぶし過ぎるためにあまり意識しないでしまうが、登場人物どうしの絡み方を実に緻密に計算し、構成しているこの脚本は、実に「演劇的」だ。特に、2幕の序盤のドタバタ劇は、まるで三谷幸喜の作品を見ているようだ。

この「ミュージカル的」な部分と「演劇的」な部分とが、「マンマ・ミーア!」のように完全に融和して一体化しているのではなく、それぞれが形を残したまま共存しているのだ。だから、上演時間が長くなる。しかし決してそこに摩擦が発生しているわけではなく、きれいに連結している。だからその長さを感じないのだろう。

味がきれいに一体化した上質なシチューを味わうのもいいが、ウナ重と天プラそばを一緒に食べるのもまた楽しい。そこには、何かこう贅沢感がある。ミュージカルの醍醐味のひとつは、この贅沢感だと思う。どこもかしこも不景気な世の中、この贅沢な作品を楽しんで突破口を見つける元気を醸成したいものだ。

特に、今回はメインキャスト以外の、アンサンブル的な役どころに人気の俳優、芸達者な俳優がずらりと顔をそろえている。これがまた贅沢感を2倍、3倍にしてくれているのも見どころのひとつと言っていいだろう。変わらなければだけど。

クレイジー・フォー・ユーのホームページ
http://www.shiki.gr.jp/applause/cfy/index.html

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コメント

こんにちは。
花代ポリー観てきました!
麻美ポリーしか知らないものですから大分かわいらしいカンジでした。 麻美サンは西部の片田舎の鼻っ柱も腕っ節も男勝りなポリーでしたから、始めは違和感がありました。 でも歌ダンスはもちろん!表情やしぐさが芝居に生きていて確実にボビーよりヘッドロックされましたよ。
花チャンの語り表せない魅力を久々に堪能しました。

投稿: らいもん | 2010年2月14日 (日) 07時34分

らいもんさんこんにちは。

そうですね、ちょっと優しいポリーでした。ひょっとしてベテランボビーに遠慮してるのか?前のときは田邊ボビーでしたからね。

別の組み合わせでもぜひ見たいものです。

投稿: ヤボオ | 2010年2月14日 (日) 23時44分

こんばんは。
そうですか、あれから17年も経っているんですね。
この作品を観て、四季にのめり込んだんですよ。

ヤボオ師匠の仰る通り、上演時間3時間なんですよね。ずいぶん観ていたけど、感じたことがありませんでした。脚本の完成度…なるほどって納得です。

敬二さんには、老いてもなおボビーを演じ続けて欲しいものです。他のボビーも悪くはありませんが、ちょっと違うんですよね。
ポリーは(キャスティングされてませんが)金平さんとかも観てみたいなぁ。

投稿: らべたん | 2010年2月15日 (月) 00時33分

らべたんさんこんにちは。

キャッツやオペラ座ほどの大作ではないかもしれないけれど、こういう中規模のミュージカルをレパートリーとしてきちっとこなせるところが、四季の強みだと思います。がんばってほしいです。

金平さん大人気ですね!アムネリス見たかったですが、ソング&ダンスも気になります。

投稿: ヤボオ | 2010年2月16日 (火) 00時45分

ヤボオさん。久しぶりにソンダン見てきました。
私は二年前、これ見て四季にはまったので、
久しぶりに行って楽しめました。

そのときは知らなかった
アイーダ、ユタ、エビータ、を
その後知り
そちらも見てからソンダン見ると・・・・・
ナベダスも許せる気が


あのころ
昼 ソンダン
夜 キャッツなんて行ってたので
jRの遠距離恋愛みたいに浜松町へ通いましたっけ。

今更ながら贅沢メンバーだったんだなと思いました。

早水さんが歌い終わった後
アラフォー全速力で走る
ドキドキ感とか
昔懐かしいたてマキロールとか
旗頑張って振っているところとか。。。。

芝さんも主役より目立つスーパースタートとか。

随分今日のメンバーは若かったみたいです。
村さんがおじいちゃんに見えてしまいました。
ごめなんなさい。村さん。。。

あーまた初期のメンバーでも見てみたいです。

久しぶりにキャッツ見に行こうかしら。

エビータ
芝さんは非常にみたいのですが・・・・・

エビータで悩んでます。


 

投稿: もことんとん | 2010年2月21日 (日) 23時01分

もことんとんさんこんにちは。

そうかいまソング&ダンスは関東を回っているんですね。金平さん見たいです。泉ちゃんのバトンも復活したことだし。

投稿: ヤボオ | 2010年2月22日 (月) 00時29分

ごめんなさい。
昨日帰るなりヤボオさんに書き込みしたので
なんだかえらく熱い書き込みしてました。

ミラーボールが上に設置できなかったのか
舞台の上に木魚の用においてあって
なかなか笑えました。

会場が広いせいか
いつもみたいに泉さんの
バトンの技がすごいと思えなくなって
広すぎる会場も大変なんだなーと思いました。

クレージフォーユーも
花代ポリーの間に私も行かないとー。

加藤さんにちょっと遠慮しているのもわかります。
絡む相手で
力の入り方変わりますもんね。

昨日金平さんを囲む男性陣
タンゴの時なんだか嬉しそうでした。笑


投稿: もことんとん | 2010年2月22日 (月) 08時54分

もことんとんさんこんにちは。

そうですか、ますます金平さん見たくなりました!

投稿: ヤボオ | 2010年2月23日 (火) 01時13分

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