四季「春のめざめ」千秋楽公演
ベンドラ | 林 香純 |
マルタ | 撫佐仁美 |
テーア | 岸本美香 |
アンナ | 松田佑子 |
イルゼ | 金平真弥 |
メルヒオール | 柿澤勇人 |
モリッツ | 三雲 肇 |
ハンシェン | 一和洋輔 |
エルンスト | 竹内一樹 |
ゲオルグ | 白瀬英典 |
オットー | 加藤 迪 |
大人の女性 | 都築香弥子 |
大人の男性 | 田代隆秀 |
女性アンサンブル | 玉石まどか、勝間千明 |
男性アンサンブル | 玉井晴章、南 晶人 |
5月2日に開幕した「春のめざめ」がいよいよ千秋楽。長かったような短かったような、まるで自分の学生時代のような微妙な公演期間だった。千秋楽は抽選でなく一般発売で、それがAKB48「涙サプライズ」の発売記念大握手会とかぶっており、しかも電話がつながったのが篠田麻里子と握手する寸前で、予約番号の確認作業までしてそのまま携帯をポケットにしまい、何くわぬ顔で麻里子様と謁見した後に急いで予約番号を入力するという綱渡りだったが、ぶじチケットを確保することができた。千秋楽を見るのは「マンマ・ミーア!」大阪公演千秋楽以来か。初日も観たわけだが、初日も千秋楽も観た、というのは四季以外でも記憶にない。
四季としてはもっとロングランを目指していたのだろうが、やはりファミリー向けの作品が圧倒的な強さを誇る四季のファン層にはさほど響かなかったのか。この作品で新たなファン層の掘り起こしを図った面もあるのだろうが、それがどのぐらい効果を挙げたのかは知る由もない。
そこは観客が心配しなくてもいいだろう、と言われるかもしれないが、そうとばかりも言えない。
だって、俺はまたこの作品を観たいから。このままオクラ入りなんて勘弁だぜ。
自由劇場という空間の魅力を最大限に生かし、劇場に足を踏み入れた瞬間から世界観に入り込む感覚を再現。舞台上ではとことんカッコいい曲と演出を、四季の若い役者たちは十二分に生かしてそれぞれの持ち味を発揮してくれた。
ブロードウェーで初めて観たとき、四季での上演は、男優陣は大丈夫だろうけど女優陣が不安だなあ、と予感した。その予感は半分当たり、半分はずれた。はずれたのは男優陣のほう。「大丈夫」なんていうレベルをはるかに超えて、最高のパフォーマンスを見せてくれた。主演の柿澤勇人は完全にメルヒオールと一体化していたし、ゲオルグの白瀬英典とハンシェンの一和洋輔は出色の出来だった。
女優陣は、やはり厳しかった。ベンドラに輝きが薄く、大人と子供の境目にある女性が放つ独特のきらめきを描き出すことができなかった。そのため男性にとっての「春のめざめ」と女性にとっての「春のめざめ」のバランスが崩れ、全体的にオトコどもの頭の中はエロでいっぱい、という「パンツの穴」的な青春グラフィティーになってしまった。それはそれで好きなんだけどさ。金平真弥の情の深さを感じる歌声と、岸本美香のおばちゃんテーアは良かったが、やはりこの作品のカギはベンドラなのだ。
千秋楽は劇団の若手メンバーが大挙して見学していて、ロビーにはアンサンブルで見かけた人、初めて見るけど間違いなく女優さんだという人がごった返していた。みんなキレイで、これならベンドラ候補なんてざっくざくいそうな気がするが、難しいものである。
この作品、四季はキャストだけでなく制作面から若手中心で進めた。それを売りにした面もあり、発表記者会見で浅利慶太は喋らなかった(その場にはいたようである)。その結果を、内部ではどう評価するのか。守旧派は「ほうら言わんこっちゃない」と見るのだろうか?もしそう言われたとしても、この作品を支えた若手たちは、胸を張ってこう言ってやればいい。
「マジでFuck!」
千秋楽ということで、カーテンコールはえんえんと続き、ベテラン田代隆秀の簡単なあいさつもあった。柿澤勇人は何度も、まるでa-nationにサプライズ出演した小室哲哉のように深々とおじぎをしていた。すがすがしい姿ではあったが、そう行儀よくしなくてもいいんじゃないか。観客に向かって、そして後ろの客席で座っていた代表に向かって、中指を突き立てるぐらいの威勢の良さが欲しい。「春のめざめ」は劇団四季をぶっ壊すパワーのある作品だ。自民党は本当にぶっ壊れてしまったが、四季はそれを自己革新の推進力として生かすことができると信じてやまない。
さてこの中に劇団員が何人いるでしょう?
「春のめざめ」ウェブサイト
http://www.shiki.gr.jp/applause/springawakening/index.html
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コメント
はじめまして。
以前から拝見させて頂いていましたが、初めてコメントさせて頂きます。
「春のめざめ」千秋楽、私も行きました。
とっても良い舞台なのに終わってしまうのが残念ですね。
是非、再演をして欲しいです。
ゲオルグが大好きです。
投稿: ayu | 2009年9月 6日 (日) 14時50分
こんにちわ。私も大好きな作品でした。ステージシートも経験~若いエネルギーをビンビン感じました。すべてのナンバーが素晴しく,いつまでも頭の中をかけめぐりました。四季版のCDがほしい~英語版買ったけどパンチ不足というか、いまいちだった。ほとんど知らない若手ばかりでしたが、これから注目していこうとおもいます!(どうしても気になるのですが、ベンドラの上半身は生ですよね?)
投稿: かず | 2009年9月 6日 (日) 18時09分
コメントを送信してすぐに判明!!!春のめざめ四季版10月28日に発売らしいです。楽しみです。
投稿: かず | 2009年9月 6日 (日) 18時18分
私も初めまして、です。このブログで触発され7月に「春のめざめ」に行ったdreamerです。柿澤さん、谷口さん、白瀬さん、金平さんかっこよかったです!柿澤さんのシンバ楽しみです。谷口さんのソフィ?実現しないかなぁ。柿澤さんが高二からミュージカルにめざめたというのを知って、ウチの高一の娘は希望をつないでいました。これからもレポート期待しています!
投稿: dreamer | 2009年9月 6日 (日) 20時18分
先週に続き(笑)近隣のゆーこんです。
RENTで頭を埋めながら、3日に3度目の春のめざめでした。
四季は散々みたけど、今回の若手はすごくよかったですね。
少し気になったのは「お行儀よさ」かな?
もっとはじけて欲しい気もしたけど、ひたむきな姿は役にぴったりでした。
ゲオルグはほとんど驚きでした!
この一週間はほんと贅沢で、幸せでした。
投稿: ゆーこん | 2009年9月 6日 (日) 22時40分
ayuさんこんにちは、初めまして。こんな恥ずかしいブログを読んでいただき恐れ入ります。
本当に終わってしまうのが残念です。ぜひ京都や福岡あたりで再演して欲しい!またひとつ「ときどきムショウに観たくなる」作品が増えてしまいました。
あのゲオルグは語り草、というか伝説になりますな。
投稿: ヤボオ | 2009年9月 7日 (月) 01時02分
かずさんこんにちは。
いやああれはガチ生でしょう。ステージシートから観ても判別できない裸スーツを開発したのなら、それはそれですごい話だと思いますが。
四季版CD、情報錯そうしてますが、ちゃんと出て欲しいですね。白瀬ゲオルグの歌をCDで聞きたいのはもちろんですが、できればハンシェンのセリフ「子猫ちゃんだ」「クリームをね」も聞きたい!
投稿: ヤボオ | 2009年9月 7日 (月) 01時06分
dreamerさんこんにちは。こんな不真面目なブログを読んでいただき申し訳ありません。
谷口ソフィ、私も観たいです。客席にいるのを見ましたがすっげーキレイでした。柿澤タガーとか見たいっすね。
ご家族が俳優志望ですか!日本の演劇界をぜひ面白くしてください!期待してます。
投稿: ヤボオ | 2009年9月 7日 (月) 01時10分
ゆーこんさんこんにちは。
そうなんですよ。RENT観て確信したんですが、やっぱり四季の舞台ではハジけ方がどうしても足りない。
これが他の劇団だと、ハジけるのは期待できても実力が伴わない恐れがある。うーん、やはり日本の演劇界全体の問題であります。
投稿: ヤボオ | 2009年9月 7日 (月) 01時14分
今更で、かつ「春のめざめ」とは何の関係もありませんが…
それなりに、ショックな出来事でした。
http://plaza.rakuten.co.jp/zenspower/diary/200908260000/
投稿: 陣 | 2009年9月 8日 (火) 05時01分
こんにちわ。私は千秋楽前日に行ってきました。私も、観れば観るほど、「春のめざめ」にはまった一人なので、またいつか、再演してほしいですね。なんといっても音楽が素晴らしいですよね。「ブチ切れそう」とか「マジでファック」とか今すぐでも観たくなります。今回の公演で私が一番気になったのが、ハンシェン役の一和さん。なかなか、妖しい魅力で・・・。今度はどんな役を演じるのか観てみたいですね。
どなたかが、仰っていましたが、私もブロードウェイ版のCDは物足りないので、日本語版が欲しいですね~。
投稿: ろん | 2009年9月 8日 (火) 23時03分
ろんさんこんにちは。
久しぶりに、クセになる作品でしたね。ちゃんとレパートリーとして定着してくれることを願います。
ハンシェン最高でした。あの声を着ボイスにしたいぐらい。夢の配達人とかやってほしいですね。配達人のおじさんじゃなくておにいさんになってしまいますが。
投稿: ヤボオ | 2009年9月 9日 (水) 02時08分
陣さんこんにちは。
「ファンなら応援してあげるべき」「アイドルじゃなくて女優なんだから関係ない」とか、キレイごとを言うつもりは全くありませんが、高井麻巳子ショックを20年かけて超克し、恩讐の彼方で秋元康と和解した自分は、このぐらいのことではビクともしないのであります。
投稿: ヤボオ | 2009年9月 9日 (水) 02時11分