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2009年8月 9日 (日)

四季「ウィキッド」見ろー花代様だァーッ!

千秋楽直前の「ウィキッド」東京公演に超弩級のサプライズ。

木村花代グリンダが、オズの国に降り立った。

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みんなで~♪ 祝いましょう~♪ と、花歌ならぬ鼻歌なんぞをノンキに歌ってる場合じゃない。発表は土曜の昼。さっそくその日のマチネに出演した。しかし自分はそのとき水戸黄門まつりに行っていたのでそんなこととはつゆ知らず、由美かおるの撮影に興じていた。帰りの特急ひたちの中でこのことを知り、慌てて予約センターに電話するもチケットは売り切れ。そりゃそうだろうさ。当日発売オンリーのS見切れ席25枚に賭けることにして、日曜の海劇場へ。ありがたいことにチケットを入手することができ、花代グリンダ2回目の舞台を鑑賞した。

「みんな私に会えて嬉しいのね?」

その第一声にじーんと来たのはマンチキンの国民だけではあるまい。会場を埋め尽くした木村花代ファン(誇張アリ)がいっせいに心の中でうなずいた瞬間だ。俺に至っては涙が出そうになった。2006年末、ブロードウェーでこの舞台を観て、木村花代グリンダなんて実現したらいいな、と思ってからというもの、何かにつけて「これはグリンダ役への布石か?」と考えるようになってしまった。クレイジー・フォー・ユーを見てもオペラ座の怪人を見ても、常に自分の頭にあったのはグリンダ役のことだ。マコにグリンダ、ジェリーロラム。自分の好きな四季の三大ヒロインを、ぜひ木村花代に制覇してほしかったのだ。

だからパンフレットでグリンダ役にその名前が掲載されたときは小躍りするほど嬉しかったが、出す出すといって出さないのが劇団四季クオリティー。まだ安心はできない。しかしこの1月ほどのキャストの動きを見ていると、花代グリンダのフラグが立ちまくっているので、あるいは、という期待もあった。そしてとうとうそれが現実のものとなった。

ルックスは最強。沼尾みゆきもかわいいんだが、正直に言うと初めて沼尾グリンダを見たとき、あーちょっと似合ってねえなあ、と感じた(もちろん今はそんなことはない)。しかし、花代グリンダはあの敷居の高そうなブロンド巻き巻きヘアーのウィッグがバッチリ決まっているではないか。

いきなり高音をのばさなくてはならないソロもそつなくクリア。そりゃ本職のオペラ歌手である沼尾みゆきに比べたら数歩譲るかもしれないし、頑張って声を出してる感があることも否めない。しかしそれは沼尾や苫田亜沙子を見ているからそう思うのであって、この役にとっては全く申し分がない。

そして、その表情には憂いがある。このオープニングは、ラストシーンからつながっている。ラストシーンでは、グリンダはエルファバへの強い思いから表情を曇らせるのだが、そうであればオープニングでも悲しい顔になっていなくてはおかしい。しかし、通常はこの時点では憂いを前面に出さない。ネタばれになってしまうからだろうか?だが花代グリンダはあえてそうしているのだ。他のグリンダとは少し違うな、と感じた。

もっとも、この作品は演じる人によって印象がだいぶ異なる、解釈の余地の大きい作品だ。違う感じがするのは当然といえば当然である。問題は、どう違うか、だ。

全体の印象としては、沼尾みゆきのおバカさがかわいいグリンダとも、苫田亜沙子のイケイケで計算高い感じのするちょい悪グリンダとも違う。なんというか、自然体なのだ。

エルファバに当てつけて言う「悪目立ちじゃない?」「グリーンピースが煮えくり返ってるわ」も、思いついたことをそのまま口にしちゃいました、ってな感じで、悪意があまり感じられない。グリーンピース発言の後など、そのセリフがクラスメートに大ウケしたことに、やや当惑気味になっていた。さらに、ディラモンド先生の「静粛に!」という言葉を受けて、周りに「ほら、静かになさいよ」と注意する仕草まで見せる。これは驚き。苫田グリンダが、周りと一緒になってエルファバをからかうのと正反対である。そしてその流れで、ディラモンド先生に「昔話はもうたくさん!」と抗議する場面も、他の役者だとグリンダがわがままを言っているように見えるが、花代グリンダは「クラスの代表として私が言います!」みたいな優等生キャラになっていた。

花代版グリンダは、そのピュアさが強く感じ取れる。これはグリンダファンで花代ファンの俺が言うことだから、あまり信憑性はないだろうが。

そしてピュアであると同時に、いや、ピュアだからこそなのかもしれないが、とっても乗せられやすい。その場の空気とか、他人の言葉とか、あるいは自分の感情に、すぐにノリノリになってしまう。

フィエロに一目ぼれしてからダンスホールのシーンあたりまで、ずっと出しまくりの好き好きビームは尋常なレベルじゃない。だから、ボックの注意をネッサローズに向けさせたのも、エルファバにクラッシックすぎる帽子をプレゼントするのも、計算や意地悪というより、フィエロに舞い上がっちゃってたもんでつい変なテンションでやっちまいました、という印象だ。

では、なぜオズの居城で、エルファバの「一緒に来て!」という言葉には乗せられなかったのか。これは、その直前にオズの巧みな言葉で十分に乗せられてしまっていたからだろう。

そうして、他人の言葉や自分の感情に左右されて生きてきたグリンダが、物語の最後にやっと自分の意思で行動し、新しい道を歩き始める。「ウィキッド」の物語は、そういうグリンダの成長譚という一面があることを、花代グリンダは再認識させてくれた。まあ、それもエルファバに乗せられているのだと考えることもできるあたりが、価値観の混乱を意図的に引き起こす「ウィキッド」らしい点でもある。

ピュアでお調子者、といえば、そう、この花代グリンダのキャラクターは「夢から醒めた夢」のピコを彷彿とさせる。ちょっと暴言気味かもしれないが、自分はそんな印象を持った。

それにしても、この数年で、木村花代は飛躍的に女優としてのレベルをアップさせたと思う。多くの役、特にオペラ座の怪人のクリスティーヌと、クレイジー・フォー・ユーのポリーを演じたことが大きかったのではないか。それをこのグリンダ役を見ているとひしひしと感じる。高音が実にきれいにのびているのを聴くと、やはりクリスティーヌ役はこのグリンダへの布石だったと思わずにはいられない。そして、花代グリンダは歴代グリンダの中で、もっとも笑いの取れるグリンダである。ああこれはポリーだな、という笑いの間の取りかたが何箇所かで見え隠れした。

グリンダ最大の見せ場である「Popular」では、その両方が堪能できる。美しい声で歌いながら、どっかんどっかん笑いを取りまくる。そうそう、これだよ俺が求めていたのは。四季のウィキッドが開幕して以来、どうしてもこの曲だけは満足しきれていなかった。Popularに関する限り、客観的に見ても花代グリンダがトップだと思う。

ファンとしては、次々衣装を変えてくれるグリンダ役は実にうれしい。制服姿も似合ってるし、ピンクのドレスも黄色の洋服も胸元ちょっとセクシーめなので、いやらしくにやけてしまうのは内緒だ。また、二幕のエルフィーとのタイマン勝負では、チャームポイントでもあるふくれっ面が拝めるぞ!

そしてアンコールでは満面の笑顔。クリスティーヌはキャラ的に、異国の丘では作品的に、ここまでの笑顔は出せないからね。あの炸裂する笑顔は、まさに「1億のスマイル」というにふさわしい。いや、これは時節柄不適当な表現でした。ダメ。ゼッタイ。

とにかく、木村花代ファンは言うまでもなく観るべき。グリンダファンも当然だ。そして俺のように花組でグリンダ信奉者という人は、女房子供を質に入れても、女房子供がいない場合には、いや、そういや俺もいないんだが、そこはモノの例えっつうか。とにかく、グレートなキャスティングだ。

東京公演にどれだけ出るか分からないが、大阪公演では相当な出演が期待できそうだ。今から大阪に行くのが楽しみになってきたぜ!

グリンダ 木村花代
エルファバ 江畑晶慧
ネッサローズ 山本貴永
マダム・モリブル 八重沢真美
フィエロ 北澤裕輔
ボック 伊藤綾祐
ディラモンド教授 前田貞一郎
オズの魔法使い 栗原英雄
男性アンサンブル 清川 晶、町田兼一、齊藤 翔、
松尾 篤、田井 啓、奈良坂潤紀、
賀山祐介、清原卓海、三宅克典
女性アンサンブル 服部ゆう、長島 祥、あべゆき、
孫田智恵、小野さや香、小澤真琴、
花田菜美子、荒木 舞、羽田三美

ウィキッドのホームページ
http://www.shiki.gr.jp/applause/wicked/index.html

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コメント

楽しく拝見しています。久々炸裂していてうれしかったです。
私も花ちゃん大好きで、作品問わずどんどん出演して欲しいのですが、まさかこのタイミングでウィキッドとは!? なんとしても観なければと思っています。
わくわくぞくぞくしそう♪ あーちゃんとの共演があるとまたちがいそうですね!

投稿: らいもん | 2009年8月10日 (月) 07時43分

こんにちは。
早速行かれたのですね。さすが!

李さんも戻って来られたので、私も前日予約がんばってみようかと思います。倍率高そうですけど(笑)

その分大阪は少々寂しいキャストになってますね。
芝さんがんばれ

投稿: 千尋 | 2009年8月10日 (月) 12時58分

師匠、お暑うございます。
暑いさなか、水戸から新橋へのトンボ帰り、花組隊長としての模範的行動、頭が下がります。

やっぱり、グリンダは花ちゃんですよね。

西には美味いものがあるといいますから、私も西方浄土で極楽にいけるよう、大阪詣出をマンマシリーズ以来で復活させます。

投稿: よしぼう | 2009年8月10日 (月) 21時40分

おー!観ましたか!
先日お邪魔しましたaです、こんばんは。
ウンウンとうなずきながら拝読させていただきました。
まったくもってその通りって感じです。
日本人顔にブロンドカツラの違和感も全く無く。

クリスティーヌ、マンマのソフィ、夢のピコ役の彼女を
見てきましたが、あんなに笑いもとれるとは思いません
でした。
ガ●股で「ごぉじゃすぅぅぅ!」を言い放ったときは
椅子からころげおちるかと
ポピュラーは僕も大好きです。

参りました、花代姐さん・・・。

投稿: a | 2009年8月10日 (月) 22時30分

らいもんさんこんにちは。こんなつまらないブログを読んでいただいて恐縮です。

そうですね、麻美&花代の同期対決をやはり見たいところです。大阪で実現するでしょうか?その前に東京で?期待は広がる一方です。うーむ、早くまた見たいです!

投稿: ヤボオ | 2009年8月11日 (火) 01時48分

千尋さんこんにちは。

大阪、ほとんど罰ゲームみたいなキャストになってますねえ。個人的にはぜひ見たい顔ぶれですが・・・

芝ファントムは、やはり幻のまま終わってしまうのか?でも今稽古で抜けたりしたら、ますます私好みの仰天キャストになってしまいそうで。

投稿: ヤボオ | 2009年8月11日 (火) 01時51分

よしぼうさんこんにちは。

そうです!西に行きましょう!Go Westです!ウルトラ警備隊西へです!

西の悪い魔女ならぬ、西の良い魔女ということですね。まあ「良い魔女とは悪い魔女である」とニラミンコも言ってますし。それ演目違うか。マジョリンも見たくなってきました。ひとつとせー

投稿: ヤボオ | 2009年8月11日 (火) 01時54分

aさんこんにちは。

エントリーではポリー役が笑いに生きている、って書きましたが、ポピュラーに関しては、ほんの数回しか実現しなかった、コーラスラインのヴァル役がいい経験になってるかもしれない、とも思います。

あのヴァル、また見たいです。ポリーも短期間でしたし、もう一度演じてほしい役が多いですね。見逃しているジリアンとイレーネもお願い!

投稿: ヤボオ | 2009年8月11日 (火) 01時56分

こんにちわ。ご覧になったのですね、花代グリンダ。私も、キャスト表をチェックして、観たいと思っていたのですが、売り切れ状態で、諦めていましたが、前・当日予約がありましたね~。ヤオボさんのコメントを読んだら、ますます観たくなってしまったので、トライしてみようかな。残念ながら江畑エルファバも観れてないんです。私が観た次の週とか、先週までは江畑さんだったのか~というようなことが多くて。この二人はぜひ、観てみたいですね。私は個人的には、樋口エルファバが好みなので、樋口・木村の同期対決も観てみたいところです。

投稿: ろん | 2009年8月13日 (木) 10時54分

ろんさんこんにちは。

千秋楽を前に、いろいろ動いてきましたねえ。やはり大阪公演への布石なんでしょうか?できれば私ももう2、3回観ておきたい気持ちです。まあ大阪が始まればそれはそれで行くんですが。そういえば新フィエロも出てきてほしいところですな。

投稿: ヤボオ | 2009年8月14日 (金) 01時08分

初めまして。

実は結構前から読んでいました。特に花代さんネタの時は、にやにやしながら読ましてもらいました。

その花代さんがついに結婚してしまいましたね。どうせまた嘘だろうと思いましたが、善太郎さんのブログに写真付きで載っていたので間違いないと思います。

お願いだから退団だけはしないでほしいですね。

投稿: 慶次 | 2009年9月 2日 (水) 23時57分

慶次さんこんにちは、はじめまして。こんなしょぼいブログを読んでいただき恐縮です。

ネット上で結婚の話題が飛び交っていますね。アルプの写真の指輪もわざと出したんでしょうか?新手のバズマーケティング?

退団してもしなくても、いい作品、いい舞台に出続けてほしいものです。吉沢梨絵の舞台復帰はいつの日か?

投稿: ヤボオ | 2009年9月 3日 (木) 01時35分

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