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2009年8月29日 (土)

「20世紀少年 -最終章-ぼくらの旗」

※ばれます。

前作は木南晴夏演じる小泉響子の印象が強すぎて、映画全体のことをよく覚えていないほどだったが、面白かったのは間違いない。そして最終章となる本作では、原作と異なる展開が用意されるという。指折り数えて初日を待ち望んでいた。

観終わってみると、確かに主要なエピソードの描き方など、原作と異なる部分は多い。しかし、大筋は同じである。そして、ラストシーンについても、ある意味で原作と同じ、と言ってよいのではないかと思う。

漫画のラストは、「21世紀最大の肩透かし」と言えるほど、意表を突いたものだった。それは計算されたもので、あのスッカスカの終わり方をしたがゆえに、読者は多くのことを考え、あるいは議論することができた。

だが、映画でそれができるか、といえば、まあ不可能ではないだろうが、やはり難しい。学校の教科書を引っ張り出すようで申し訳ないが、かつてマーシャル・マクルーハンは「メディア論」の中で、「冷たいメディア」と「熱いメディア」という表現を用いた。新聞のように、情報量が限定され、受け手の想像や考察の余地が大きいメディアは「冷たいメディア」であり、映画やテレビのように、情報の密度が濃く、受け手にそのまま伝わるメディアは「熱いメディア」であるとした。この軸を用いて考えれば、漫画は映画より確実に「冷たい」。もし、そのラストを映画でそのまま再現したとしたらどうだろう。観客は、ただガッカリして帰る結果に終わるのではないか。だから、堤幸彦監督は、あえてこの部分を温めて出すことにしたのだろう。熱い料理の味を壊さないように。

これによって、より映画らしい終わり方になった。なのに、観終わった後の印象は、原作を読み終えたときとほとんど変わらない。そしてそこには、ストーリーへの思いだけでなく、漫画同様、長い時間をかけてラストシーンにたどり着いた作品への、尊敬と、そして愛着が含まれている。3部作構成という壮大な計画も、原作の味わいを伝えるのに貢献したわけだ。

自分としては、ひょっとして映画「デスノート」のように、原作と全く異なる終わり方を迎えるのではないかと期待していたフシもあったが、その期待は裏切られた。でも全く失望感はない。この終わり方でいい。いや、この終わり方でよかった。心からそう感じている。

さて、自分にとってはもはやこの3部作の中心は小泉響子である。本来、この最終章をカバーする原作の中では、小泉響子の出番はほとんどない。だが監督もきっと木南晴夏を気に入ったのに違いなく、全編にわたりちょこちょこと顔を出してくれている。これは嬉しかった。そういえば、第二章の公開後、堤監督が演出した朗読劇にも木南は出演していた。白状すると、そのチケットを俺は買っていた。体調悪くなって行けなかったのをとても後悔している。舞台志向があるらしいので、いつかきっとステージで観たい女優さんだ。

女優、といえば、今回序盤でサナエを福田麻由子が演じている。これがまた、小泉響子並みに原作の雰囲気とソックリで驚いた。これは恐らく彼女の演技力のなせる技だと思う。いくつかの映画でその芸達者ぶりには感心していたが、その力量はすさまじいものがある。今後の活躍が楽しみだ。

この日、レイトショーにもかかわらず、劇場はほぼ満員だった。地方のシネコンでレイトショーが一杯になる、というのは非常に珍しい。日本映画の歴史に残る三部作になったことは間違いないだろう。とりあえず、俺は発売になったばかりの第二章のDVDを買って、小泉響子を堪能しようと思う。

「20世紀少年」公式サイト
http://www.20thboys.com/

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