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2009年8月 2日 (日)

四季「エルコスの祈り」全国公演(小美玉市)

エルコス 五所真理子
ストーン博士 岡崎克哉
ジョン 鎌滝健太
ダニエラ 菅本烈子
パルタ 丹下博喜
ダーリー 川口雄二
理事長 高林幸兵
セールスマン 神保幸由

「エルコスの祈り」全国公演を、茨城県は小美玉市で鑑賞。自分は千葉県柏市に住んでいるが、もともとは水戸の育ちであり、現在も本家は水戸の少し南、鉾田市にある。小美玉市はその鉾田市の隣りにあるので、本家に顔を出しがてら足を向けたのだ。

会場の小美玉市四季文化館「みの~れ」は、名前に四季が入っているからでもないだろうが、四季のファミリーミュージカル全国公演では高確率でスケジュールに組み入れられる。主催事業に熱心なホールなので、誘致に積極的なのだろう。

豊かな緑に包まれたなかなか魅力的なホールは、内装も木材を中心にした瀟洒なものだ。キャパシティは500ほどで、ほどよく段差がついていてとても舞台がとても見やすい。演劇にはぴったりの会場である。

さて、「エルコス」は1998年の全国公演以来である。当時はまだタイトルが「エルリック・コスモスの239時間」だった。そして97年入団の木村花代がいきなり主役に抜擢された公演であり、同時に始めて自分が彼女を見た公演である。

ファミリーミュージカルだが、四季のファミリーミュージカルは佳作が多い。そして子供向けということもあって、楽曲の覚えやすいメロディーが強く印象に残る。エルコスの主題歌ともいえる「語りかけよう」は、「魔法をすてたマジョリン」の「心から心へ」、「人間になりたがった猫」の「すてきな友達」と並ぶ名曲だ。この3作品でCDとか出してくれないかなあ。

50年後の未来。落ちこぼれと判断された子供たちを徹底した管理教育によって矯正させようとする「ユートピア学園」に、一台のロボットが送り込まれる。「CPΣ・081-1型ESPアンドロイド・エスパー エルリック・コスモス」略称エルコスと名づけられたこの女性型ヒューマノイドは、あらゆる業務に対応できるだけでなく、超能力まで使いこなす。そしてその開発者、ストーン博士はエルコスに、子供たちの夢や希望を取り戻させようとする。エルコスは子供たちと一緒に生活をしながら、それぞれの長所や個性を見出し、着々と博士の思いを実現していく。しかし、それを快く思わない教師たちの反感を買い、エルコスの追放を画策しはじめて・・・という、ちょっと古めかしいSF的世界観でストーリーが進行していく。

この作品は、「マジョリン」や「人間になりたがった猫」と比べると、ラストがちょっぴり悲しい終わり方である。そのため、四季の公式携帯サイトでダウンロードできる「語りかけよう」の着メロを聴くだけで、うっすら涙が出てきそうになる。年のせいではない、断じて。小林よしのりの言葉を借りて言えば「涙管が塞がっている」のだ。

とはいえ、俺も四季の舞台をさんざん観てきた。だから今回は大丈夫だろう、と思っていたが――ダメだった。あのラストシーンは反則だと思う。

そして、その感動はエルコス役への思い入れが強いほど、大きなものとなる構造になっている。前回は木村花代にすっかり参っていたのでそれはもう強烈だったのだ。

今回、エルコスを演じたのは五所真理子。たぶん初見。五所エルコスが舞台に登場したときの感想は「かっ、可愛い…」。正直、メイクが濃すぎて顔はよくわからなかったが、小っちゃくて元気いっぱい、そこにあの真っ白なエルコスのコス、略してエルコスだから、これまた反則というものだ。そして、実はエルコスは学校の先生なので、どちらかというと歌のおねいさんなキャラ設定である。見た目・雰囲気と正反対なキャラに萌えまくりだ。「夢から醒めた夢」で娘役不在を嘆いたばかりだが、こんな隠し玉(別に隠しちゃいないが)がいたなんて!この五所エルコスにすっかり魂抜き取られ、まんまとラストシーンでまたもや必至に涙をこらえるはめになってしまった。

脇を固める中には、マジョリンのダビット役や、「マンマ・ミーア!」ペッパー役の鎌滝健太、そしてマンマのエディといったらこの人、の川口雄二など、おなじみの役者の顔も見え、実に楽しい舞台だった。

そして終演後には「ユタと不思議な仲間たち」で大人気の「お見送り」。ロビーで俳優たちと握手ができるという、AKB商法まがいのナイスなイベントだ。

迷わずエルコスのところに行こうと思ったが、人がいっぱいでなかなか近づけない。ふと横に、マジョリンのオカシラス様のイメージがいまだに強い実力派、この日セールスマンを演じた神保幸由がいるのに気づいた。ここでアイドルファンの自分と、四季ファンの自分との間で葛藤が生じる。「まずベテランの熱演に賛辞を述べるべきではないか?」四季ファンの自分が暴走するアイドルファンの自分をなだめる。そうだ、その通りだ。

俺「神保さん、応援してます!」神保「どうも、ありがとうございます。」うーむ、渋い。

さあ、エルコスのところに行こう。しかし、川口雄二が俺の前にたちはだかり、役の延長でおどけながら握手を求めてくる。川口雄二はいい意味で四季の雰囲気を変えるパワーを持った役者だ。彼も応援せねば。

俺「最高っス!」川口「ありがと~う(役の口調で)」さすがエンターテイナーだ。

いよいよエルコスだ!と思ったら、今度は鎌滝健太がいる。彼のペッパーは本当にハナについた。前途有望な、いい役者だと思う。

俺「がんばってください!」鎌滝「はい、がんばります」ナイスガイだ。

よし、心おきなくエルコスと握手だ!と思った瞬間、係りの人が「すいません、お時間ですので…」とロビーから俳優たちを引っ込めようとしている。ああ無情。アイドルファンの自分が急速に気化していく。

しかし去っていく五所ちゃんに(もうちゃん付け)、果敢に握手を求める人がいた。俺にあの積極性はないなあ。あったらもうちっとましな人生送ってるよ、と思いつつその様子を眺めていた。しかし転んでもタダで起きてはいかん、とその様子を撮ったのがこれ。

見よ、この腰の低さを。アイドルファンは実はこういう場面にものすごく弱いのである。先日も、東京ビッグサイトのAKB48大握手回で、休憩時間に控え室に入ろうとする高橋みなみと渡辺麻友を見かけたのだが、高橋みなみの方が人生でもAKBでも事務所でも先輩であるにもかかわらず、渡辺麻友に道を譲ろうとしていたのを見て、一生たかみなについて行こうと思ったぐらいだ。

そんなこんなで、たぶんこの全国公演、リピートしてしまいそうな気がしてきた。四季とAKB商法の強力タッグの前では、もはやなすすべもない。

「エルコスの祈り」ホームページ
http://www.shiki.gr.jp/applause/elcos/index.html

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コメント

ヤボオさんはじめまして。いつもブログ楽しく拝見しています。ついにお待ちかねの花代グリンダ登場ですね!。昨日からのようですが、実は自分一昨日見に行ったのです(苦笑)もう一日遅らせていればと今更ながら後悔してます。前売りは完売との事なので、もう見に行けないかな…

投稿: バルカン | 2009年8月 9日 (日) 09時50分

バルカンさんはじめまして。さほど楽しくもないブログで申し訳ありませんが、読んでいただきありがとうございます。

自分の観劇日と、役者交代のタイミングって、なかなか合わないのが常ですよね、とくにこの劇団の場合は。でもいざとなったら前日予約も見切れ席当日販売もあるので、機会あったらぜひ花代グリンダ見たってください!

投稿: ヤボオ | 2009年8月10日 (月) 00時43分

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