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2009年8月29日 (土)

「RENT」ブロードウェイ・ツアー

「ウェストサイド物語」「コーラスライン」に続き、今月3本目の来日公演。もはやツアー公演に対するネガティブなイメージはなくなった。そこへ来て、この「RENT」ツアーは、オリジナル・キャストであるアダム・パスカルとアンソニー・ラップが出演するという。これはまた期待が持てそうだ、と赤坂ACTシアターへ。

恥ずかしながら、「RENT」を観るのはこれが初めて。過去にも何度か来日ツアー公演はあり、さらには日本人キャストの公演も行われていたのにもかかわらず、である。それよりなにより、自分が初めてニューヨークを訪れたのが96年末。まさにRENTがブロードウェーで大旋風を巻き起こした時期だった。だけど観なかった。「エイズをテーマにしたミュージカルだ」という間違いではないが正しくもない中途半端な情報だけで、敬遠してしまっていた。もっとも、自分はだいたいその年のトニー賞をとるような作品はパスする傾向が強い。2006年末にニューヨークに行ったときは「春のめざめ」を観てないし、昨年末のときは「ビリー・エリオット」を観てない。

この「RENT」は、特にオリジナル・キャストへのファンの思い入れが強い作品だと聞いていた。なるほど映画版でもこの2人、そしてRENTに続き「ウィキッド」のエルファバ役でその名声を不動のものにしたイディーナ・メンゼルらが参加している。そのオリジナル・キャストが来日するというのだから、この機会に観ない手はない。

そして、観劇後の感想。

すごかった。

俺はこんなものを13年も見逃していたのか。

後悔はないが、改めて世の中には自分の知らない素晴らしいエンターテインメントの世界が無限に広がっていることをひしひしと思い知らされた。

ボヘミアンなアーティストたちが巣食うアパートを舞台に、ゲイ、ドラッグ、HIVといった、およそ伝統的なブロードウェーでは正面から描かれることの少ないモチーフをギュウギュウに詰め込んで、魂で絶叫するように歌い上げるこの作品は、衝撃度と破壊力において他のミュージカルの追随を許さない。そんなことは言われんでも分かっている、と言われても、これは言わずにいられない。

序盤は、ただただ圧倒されているばかりだったが、ミミのソロあたりから、この作品の魅力にずっぽりと嵌まり込んでいた。そして、モーリーンのアバンギャルドなパフォーマンスで脳天を吹き飛ばされ、完全に降伏した。ラ・ヴィー・ボエームのシーンでは、頭の中が完全に空白になっていて、呆けるように見入っていた。後半は、登場人物たちの不安と悲しみに涙し、ラストではそれを超えたところに何が見えるのか、懸命に目を凝らそうとする自分がいた。

作者であるジョナサン・ラーソンが、プレビュー直前に死去したことは前に読んだことがあった。それがこの作品を一層「伝説」にしている、ということも聞いていた。確かに、この作品には作者の悲痛なまでの叫びと、生きとし生ける者への大きな愛情が満ち溢れている。神の域に達した作品は、その作者までをも飲み込んでしまうのだろうか?そう感じさせるだけの迫力がある。

作品内の時代設定は80年代末だが、この作品が公開された96年といえば、アメリカはとんでもない好景気に浮かれ、ニュー・エコノミー論なんていう世迷言がまかり通っていたころだ。加えて、ニューヨークではジュリアーノ市長の治安回復策が効果をあげ、街全体が明るく楽しい雰囲気に包まれていた。自分が訪れたのがホリデーシーズンだったこともあるが、ニューヨークといったら危険、というイメージしかなかった田舎者の自分は、あまりにも街がホンワカしていたので拍子抜けした記憶がある。そんな中で、若者たちの不安と絶望、そしてその超克を描いたアンダーグラウンドな青春群像劇が大ヒットしていたのは、実に興味深い事実だ。

これは観てよかった。負け惜しみで言えば、もしニューヨークで初めて見ていたなら、自分の英語力では内容がサッパリ分からなかっただろうから、日本で見たのは正解だったかもしれない。つうかいい加減英語マスターしろよ俺。この「ブロードウェイ・ツアー」は、米国内でスタートし、日本のあとは韓国で上演し、また米国に戻るという。この機会に米地方都市に訪れてみるのも一興か?ま、金はないが。

そうそう、「コーラスライン」リバイバル上演でコニー役を射止め、その模様が映画「ブロードウェイ・ブロードウェイ」で描かれている、沖縄出身の高良結香が、コーラスラインの来日公演に出ていなかったので残念がっていたら、こっちに出演していた。想像以上に小さな体で、想像以上に大きな存在感のすばらしい俳優だった。彼女は今も沖縄と米国の両方に拠点を置いて活動している。いつか、そのライブにも足を運んでみたいものだ。

「RENT」ブロードウェイ・ツアー公式サイト

http://www.rent2009.jp/

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「20世紀少年 -最終章-ぼくらの旗」

※ばれます。

前作は木南晴夏演じる小泉響子の印象が強すぎて、映画全体のことをよく覚えていないほどだったが、面白かったのは間違いない。そして最終章となる本作では、原作と異なる展開が用意されるという。指折り数えて初日を待ち望んでいた。

観終わってみると、確かに主要なエピソードの描き方など、原作と異なる部分は多い。しかし、大筋は同じである。そして、ラストシーンについても、ある意味で原作と同じ、と言ってよいのではないかと思う。

漫画のラストは、「21世紀最大の肩透かし」と言えるほど、意表を突いたものだった。それは計算されたもので、あのスッカスカの終わり方をしたがゆえに、読者は多くのことを考え、あるいは議論することができた。

だが、映画でそれができるか、といえば、まあ不可能ではないだろうが、やはり難しい。学校の教科書を引っ張り出すようで申し訳ないが、かつてマーシャル・マクルーハンは「メディア論」の中で、「冷たいメディア」と「熱いメディア」という表現を用いた。新聞のように、情報量が限定され、受け手の想像や考察の余地が大きいメディアは「冷たいメディア」であり、映画やテレビのように、情報の密度が濃く、受け手にそのまま伝わるメディアは「熱いメディア」であるとした。この軸を用いて考えれば、漫画は映画より確実に「冷たい」。もし、そのラストを映画でそのまま再現したとしたらどうだろう。観客は、ただガッカリして帰る結果に終わるのではないか。だから、堤幸彦監督は、あえてこの部分を温めて出すことにしたのだろう。熱い料理の味を壊さないように。

これによって、より映画らしい終わり方になった。なのに、観終わった後の印象は、原作を読み終えたときとほとんど変わらない。そしてそこには、ストーリーへの思いだけでなく、漫画同様、長い時間をかけてラストシーンにたどり着いた作品への、尊敬と、そして愛着が含まれている。3部作構成という壮大な計画も、原作の味わいを伝えるのに貢献したわけだ。

自分としては、ひょっとして映画「デスノート」のように、原作と全く異なる終わり方を迎えるのではないかと期待していたフシもあったが、その期待は裏切られた。でも全く失望感はない。この終わり方でいい。いや、この終わり方でよかった。心からそう感じている。

さて、自分にとってはもはやこの3部作の中心は小泉響子である。本来、この最終章をカバーする原作の中では、小泉響子の出番はほとんどない。だが監督もきっと木南晴夏を気に入ったのに違いなく、全編にわたりちょこちょこと顔を出してくれている。これは嬉しかった。そういえば、第二章の公開後、堤監督が演出した朗読劇にも木南は出演していた。白状すると、そのチケットを俺は買っていた。体調悪くなって行けなかったのをとても後悔している。舞台志向があるらしいので、いつかきっとステージで観たい女優さんだ。

女優、といえば、今回序盤でサナエを福田麻由子が演じている。これがまた、小泉響子並みに原作の雰囲気とソックリで驚いた。これは恐らく彼女の演技力のなせる技だと思う。いくつかの映画でその芸達者ぶりには感心していたが、その力量はすさまじいものがある。今後の活躍が楽しみだ。

この日、レイトショーにもかかわらず、劇場はほぼ満員だった。地方のシネコンでレイトショーが一杯になる、というのは非常に珍しい。日本映画の歴史に残る三部作になったことは間違いないだろう。とりあえず、俺は発売になったばかりの第二章のDVDを買って、小泉響子を堪能しようと思う。

「20世紀少年」公式サイト
http://www.20thboys.com/

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2009年8月23日 (日)

A CHORUS LINE 来日ツアー公演

2006年からブロードウエーでリバイバル上演され、人気を呼んだ名作「コーラスライン」。そのツアー版が来日した。

先日の「ウェストサイド物語」ツアー版がなかなか良かったので、ツアーも悪くないな、と思い始めたところだ。そして、昨年ブロードウェー公演のオーディションの模様を映画にした作品を鑑賞し、また観たくなっていたところだった。多少の期待をかかえ、ウェストサイド物語のときと同じBunkamuraオーチャードホールへ。

ただ、考えてみると俺この舞台がそんなに好きじゃない。四季の公演を数回観た程度だ。最後に観たのはいつだっけ。と思ったらなんと2005年12月、伝説の木村花代ヴァルを見たときだった。役者たちの一人語りがえんえんと続く、途中休憩のない2時間の舞台。明るく楽しくばかばかしい舞台が好きな作品が好きな自分にはちとつらいのだ。

だが始まってみると、四季の舞台と比べ、見ていて何となく楽しいのである。

個性豊かなダンサーたちの姿が、四季と比べるとずっとデフォルメされているからだろうか。四季の場合、どうもひとつの型にはまってしまって、個性がつきぬけない印象がある。しかし米国からやってきた若い俳優たちは、演技もダンスも実に大きく、その様子を見ているだけでもわくわくしてくる。しかしその一方で、この作品のテーマである「不安」がひしひしと伝わってくる。言葉の壁を越えて。

特に女優陣がいい。ちょっと小柄なヴァルと、イメージぴったりのシーラとの掛け合いは最高だった。キャシーのザックへの、そして舞台への想いを乗せた歌、ダンスには圧倒される。鼻っ柱の強そうなディアナは、確かにカープ先生に疎まれそうだ。

この秋には、四季のコーラスラインも東京で再演される。若手俳優がずらりと並ぶことになるだろうが、ぜひ四季のカラに閉じこもることなく、自由な表現を期待したいところだ。

コーラスライン来日公演 Bunkamura特設サイト

http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/09_chorusline/index.html

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AKB48 初の武道館コンサート「AKB104 選抜メンバー組閣祭り」

AKB48の武道館コンサートがついに実現。22日に1回、23日に2回の計3回公演だ。自分は23日の2回に参戦することにした。前に武道館に来たのは、2000年のモーニング娘。コンサート(市井紗耶香卒業のとき)だった。そしてその前はといえば、1986年のおニャン子クラブコンサート(河合その子、中島美春卒業のとき)だ。いやあ、自分という人間が着実に成長しているのがよく分かる。

AKBのコンサートでは、同一会場で複数公演ある場合、異なるセットリストを用いる。だから3回あったら3回行きたくなる。まあこれもAKB商法ではあるが、それだけ手間をかけているのだからこれはいいAKB商法だ。

自分の行かなかった22日は、シャッフルユニット、つまりユニット曲は本来それを歌うメンバーではない人が歌う、という形で構成したようだ。高橋みなみの「虫のバラード」、小嶋陽菜と篠田麻里子の「わがままな流れ星」など、ヨダレの出そうなシーンがあったらしい。

対照的に、23日夜公演は、シャッフルせずにこれぞAKBの王道、というものを見せてくれた。昼公演は追加公演ということもあり、成瀬理沙と佐伯美香、そして高井つき奈の卒業式を中心に、イベント的な構成となった。

千秋楽ということで大いに盛り上がった夜公演。しかし、AKBにありがちなサプライズな展開がない。この夜公演では卒業イベントなどもないため、何かしらびっくり企画があるのではないか、とささやかれていた。「組閣祭り」という、先日の「AKB総選挙」に引っ掛けたタイトルにちなみ、ひょっとしたらチームの組み換えというビッグなサプライズもあるのでは、という噂もあった。少なくとも、研究生からの大量昇格はありそうだ、と言われており、自分もそのぐらいはあるかもな、と感じていた。

しかし、アンコール終了後、発表されたのはその両方だった。チームA、チームK、チームBのメンバーを大きく動かす、AKB始まって以来の大改革である。

秋元康は「AKBはネットアイドルだ」とNHKの討論番組で言った。その意味するものは、安定を求めず、常に変化し続けることで、ネット上で常に論議の対象になるような仕組みを作る、ということである。そのネット上でのやりとりが、AKBの企画にも反映される、というのが、AKBの発展をさせるエコシステムである。そういう意味では、この大改革もいずれやってもおかしくないことだった。しかし、多くのファン、そしてメンバー自身が相当に面食らったのも事実である。

発表された新チーム体制は下記のようなものだ。

赤字はチーム間移動、青字は研究生からの昇格、黒字は残留

<チームA>
岩佐美咲
多田愛佳(B)
大家志津香
片山陽加(B)
倉持明日香(K)
小嶋陽菜
指原莉乃(B)
篠田麻里子
鈴木まりや
高城亜樹
高橋みなみ(キャプテン)
仲川遥香(B)
中田ちさと
仲谷明香(B)
前田敦子
前田亜美
松原夏海(K)

<チームK>
秋元才加(キャプテン)
板野友美(A)
内田眞由美
梅田彩佳
大島優子
小野恵令奈
菊地あやか
小原春香(B)
田名部生来(B)
中塚智実(B)
仁藤萌乃(B)
野中美郷
藤江れいな(A)
松井咲子
峯岸みなみ(A)
宮澤佐江
米沢瑠美(B)

<チームB>
石田晴香
奥真奈美(K)
河西智美(K)
柏木由紀(キャプテン)
北原里英(A)
小林香菜(K)
小森美果
佐藤亜美菜(A)
佐藤すみれ
佐藤夏希(K)
鈴木紫帆里
近野莉菜(K)
平嶋夏海
増田有華(K)
宮崎美穂(A)
渡辺麻友

 

最初、各チームにキャプテン制が採用されることが告げられ、高橋、秋元、柏木がその任につく事が発表された。いずれも順当な人事で、そこまではさしてサプライズでもなかった。しかしそこから先はサプライズの域を越えていた。次々、各メンバーの所属が告げられると、拍手や歓声だけでなく、悲鳴のようなものも上がった。

ステージ上のメンバーたちも、そういうことがあることは知っていたようだが、自分の新しい所属は知らなかったらしく、極度に緊張していた。中には佐藤亜美菜のように、緊張に耐え切れず倒れてしまうものもいた。内田眞由美は、次々研究生が名前を呼ばれる中、自分の名前が出てこないので泣き出してしまい、結局昇格が告げられてもスタッフに付き添われて舞台袖に引っ込んだ。

キャプテンに加え、前田敦子や大島優子、渡辺麻友らのように、各チームの「顔」になっているメンバーはそのまま残留している。そのため、「残留=勝ち組」という印象がどうもあり、チームを変わったメンバー(ほとんどがそうなのだが)は、みな表情がさえず、泣き出す者もいた。

その象徴的な存在は、峯岸みなみだろう。

自らも常に「一期」であることの誇りを口にしていたみいちゃんがKに行く。しかも、仲のよい前田敦子やノースリーブスの高橋や小嶋陽菜はAに残っている。「自分だけ外された」という気になるのも、いたし方ないところではある。最初はこの現実をどう受け止めていいのか混乱している様子だったが、メンバー発表が進むにつれ、とうとう泣き出してしまった。

だが個人的には、峯岸K入りはナイス判断だと思う。AKBの中では群を抜く実力であり、キレと優美さを兼ね備えたあのダンスは、Kの楽曲で大いに生きるはずだ。そして本人にとっても、Aにいてはどうしても前田や小嶋、高橋らを引き立てるポジションに入ってしまう。彼女の発展のためには、Aを出たほうがいい。

全体的に見ても、面白くなりそうな顔ぶれだ。10月から行われるという新体制での公演が今から楽しみである。

なお、浦野一美(B)、大堀恵(K)、佐藤由加理(A)、野呂佳代(K)は、兼任していたSDN48に専念することになった。これは異論も多いだろう。自分も残念だ。

AKB48のWEBサイト

http://www.akb48.co.jp/

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2009年8月22日 (土)

水木しげるロード

巨匠・水木しげる氏の故郷ということで、地域全体で妖怪による街おこしを進めている鳥取県・境港市。一度訪れてみたいと思っていたが、隣の米子市に用事があったので、足を伸ばすことにした。

米子から単線ののどかすぎるJR境線に乗って境港へ。途中駅すべてに妖怪の名を通称としてつけており(例えば米子駅は「ねずみ男駅」、境港駅は「鬼太郎駅」)、さらに1両まるごと鬼太郎ラッピングの鬼太郎列車も走っている。

Dsc00819米子駅

境港駅を降り、水木しげる記念館までの道のりには妖怪の銅像がずらりと並んでいる。これが通称「水木しげるロード」だ。

Dsc00643 境港駅

とりあえず、目についた妖怪をことごとくカメラに納めてきた。物好きの方のみ、ご覧ください。

本当に物好きな方以外は、とてつもなく重いページなのでうかつに開かないほうがよいでしょう。

続きを読む "水木しげるロード"

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水木しげる記念館

水木しげるロードを写真を撮りつつのんびり歩いて15分ほど、水木しげる記念館に到着。入場料は大人700円。

Dsc00690

最初のほうはアトラクションっぽくなっていて、ここは写真撮影不可。「ウルトラマンフェスティバル」的な、演出を凝らした妖怪の展示が楽しい。

Dsc00691

妖怪の住む中庭を眺めながら、資料展示コーナーへ。ここは撮影可。

面白いのは、「東海道五十三次」を、1枚1枚水木しげるがパロディー化した絵を展示しているコーナーだ。

Dsc00692 Dsc00694

1枚1枚写真を撮る時間もなかったので、売店で画集を購入。2500円と高価だが、パロディー画集として秀逸なので、大満足である。

水木しげる記念館のWEBサイト

http://www.sakaiminato.net/site2/page/mizuki/

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食事処 日本海

境港に来たのだ、やはりうまい魚でも食べていきたいのが人情である。

全く土地勘がないので、情報誌などにも紹介されている「食事処 日本海」へ。境港というより、米子空港に近いエリアだ。

Dsc00760

店内には生簀が。

Dsc00761

刺身やてんぷらのついた定食もうまそうだが、ここは明らかに観光客向けの「じゃじゃくちゃ丼」(2100円)を注文。「じゃじゃくちゃ」というのはこの地方の方言で「めちゃくちゃ」という意味だそうだ。要するに豪華な海鮮丼である。

Dsc00764

Dsc00763

見た目は圧倒的。味は・・・

ウニやイクラはいまひとつだったが、写真ではほとんど隠れている刺身が、どれも大ぶりに切ったもので、生簀料理らしい歯ごたえのあるものだったので大いに満足した。ぜひ夜に来て、活けづくりなど堪能したいところ。

食事処「日本海」のホームページ

http://nihonkai2572.web.fc2.com/top.html

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皆生温泉 皆生シーサイドホテル

米子には皆生温泉という結構な温泉があると聞いて、この日の宿は「皆生シーサイドホテル」に。

それなりに年季の入ったホテルだが、和室中心の本館と異なり、自分の泊まった新館はビジネスホテル的なつくりで、新しくてキレイだった。

Seaside

この2階、大きなガラスの見えるフロアに展望大浴場がある。

その前には日本海が広がっている。

Seaside2

この写真は、3階の自分の部屋から撮ったもの。

自然塩泉ということで、皮膚のあまり強くない自分にはきついかな、と思ったがそんなことは全くなかった。とてもやわらかいお湯で、しばらくお肌つるつる状態になった。眼前の景色も手伝って、実に快適な風呂だ。

200908220656001

朝食はこんな感じ。シンプルだが干物など地のものが光る。

Arimoto2 

海岸沿いに、この皆生温泉開発の祖、有本松太郎翁の胸像が鎮座している。そこに添えられた説明によれば、皆生温泉は明治33年に発見されたが、当時の技術では海底温泉を地上に供給できなかったため、本格的な開発は大正9年になってから。このときに、温泉の供給システムや、交通整備を進めたのが有本翁だそうだ。

Arimoto_2 (クリックで拡大)

また来たいと思わせる、ステキな温泉と宿だった。

皆生シーサイドホテルのホームページ

http://www.sanin.com/seaside/

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2009年8月 9日 (日)

四季「ウィキッド」見ろー花代様だァーッ!

千秋楽直前の「ウィキッド」東京公演に超弩級のサプライズ。

木村花代グリンダが、オズの国に降り立った。

200908091231001

みんなで~♪ 祝いましょう~♪ と、花歌ならぬ鼻歌なんぞをノンキに歌ってる場合じゃない。発表は土曜の昼。さっそくその日のマチネに出演した。しかし自分はそのとき水戸黄門まつりに行っていたのでそんなこととはつゆ知らず、由美かおるの撮影に興じていた。帰りの特急ひたちの中でこのことを知り、慌てて予約センターに電話するもチケットは売り切れ。そりゃそうだろうさ。当日発売オンリーのS見切れ席25枚に賭けることにして、日曜の海劇場へ。ありがたいことにチケットを入手することができ、花代グリンダ2回目の舞台を鑑賞した。

「みんな私に会えて嬉しいのね?」

その第一声にじーんと来たのはマンチキンの国民だけではあるまい。会場を埋め尽くした木村花代ファン(誇張アリ)がいっせいに心の中でうなずいた瞬間だ。俺に至っては涙が出そうになった。2006年末、ブロードウェーでこの舞台を観て、木村花代グリンダなんて実現したらいいな、と思ってからというもの、何かにつけて「これはグリンダ役への布石か?」と考えるようになってしまった。クレイジー・フォー・ユーを見てもオペラ座の怪人を見ても、常に自分の頭にあったのはグリンダ役のことだ。マコにグリンダ、ジェリーロラム。自分の好きな四季の三大ヒロインを、ぜひ木村花代に制覇してほしかったのだ。

だからパンフレットでグリンダ役にその名前が掲載されたときは小躍りするほど嬉しかったが、出す出すといって出さないのが劇団四季クオリティー。まだ安心はできない。しかしこの1月ほどのキャストの動きを見ていると、花代グリンダのフラグが立ちまくっているので、あるいは、という期待もあった。そしてとうとうそれが現実のものとなった。

ルックスは最強。沼尾みゆきもかわいいんだが、正直に言うと初めて沼尾グリンダを見たとき、あーちょっと似合ってねえなあ、と感じた(もちろん今はそんなことはない)。しかし、花代グリンダはあの敷居の高そうなブロンド巻き巻きヘアーのウィッグがバッチリ決まっているではないか。

いきなり高音をのばさなくてはならないソロもそつなくクリア。そりゃ本職のオペラ歌手である沼尾みゆきに比べたら数歩譲るかもしれないし、頑張って声を出してる感があることも否めない。しかしそれは沼尾や苫田亜沙子を見ているからそう思うのであって、この役にとっては全く申し分がない。

そして、その表情には憂いがある。このオープニングは、ラストシーンからつながっている。ラストシーンでは、グリンダはエルファバへの強い思いから表情を曇らせるのだが、そうであればオープニングでも悲しい顔になっていなくてはおかしい。しかし、通常はこの時点では憂いを前面に出さない。ネタばれになってしまうからだろうか?だが花代グリンダはあえてそうしているのだ。他のグリンダとは少し違うな、と感じた。

もっとも、この作品は演じる人によって印象がだいぶ異なる、解釈の余地の大きい作品だ。違う感じがするのは当然といえば当然である。問題は、どう違うか、だ。

全体の印象としては、沼尾みゆきのおバカさがかわいいグリンダとも、苫田亜沙子のイケイケで計算高い感じのするちょい悪グリンダとも違う。なんというか、自然体なのだ。

エルファバに当てつけて言う「悪目立ちじゃない?」「グリーンピースが煮えくり返ってるわ」も、思いついたことをそのまま口にしちゃいました、ってな感じで、悪意があまり感じられない。グリーンピース発言の後など、そのセリフがクラスメートに大ウケしたことに、やや当惑気味になっていた。さらに、ディラモンド先生の「静粛に!」という言葉を受けて、周りに「ほら、静かになさいよ」と注意する仕草まで見せる。これは驚き。苫田グリンダが、周りと一緒になってエルファバをからかうのと正反対である。そしてその流れで、ディラモンド先生に「昔話はもうたくさん!」と抗議する場面も、他の役者だとグリンダがわがままを言っているように見えるが、花代グリンダは「クラスの代表として私が言います!」みたいな優等生キャラになっていた。

花代版グリンダは、そのピュアさが強く感じ取れる。これはグリンダファンで花代ファンの俺が言うことだから、あまり信憑性はないだろうが。

そしてピュアであると同時に、いや、ピュアだからこそなのかもしれないが、とっても乗せられやすい。その場の空気とか、他人の言葉とか、あるいは自分の感情に、すぐにノリノリになってしまう。

フィエロに一目ぼれしてからダンスホールのシーンあたりまで、ずっと出しまくりの好き好きビームは尋常なレベルじゃない。だから、ボックの注意をネッサローズに向けさせたのも、エルファバにクラッシックすぎる帽子をプレゼントするのも、計算や意地悪というより、フィエロに舞い上がっちゃってたもんでつい変なテンションでやっちまいました、という印象だ。

では、なぜオズの居城で、エルファバの「一緒に来て!」という言葉には乗せられなかったのか。これは、その直前にオズの巧みな言葉で十分に乗せられてしまっていたからだろう。

そうして、他人の言葉や自分の感情に左右されて生きてきたグリンダが、物語の最後にやっと自分の意思で行動し、新しい道を歩き始める。「ウィキッド」の物語は、そういうグリンダの成長譚という一面があることを、花代グリンダは再認識させてくれた。まあ、それもエルファバに乗せられているのだと考えることもできるあたりが、価値観の混乱を意図的に引き起こす「ウィキッド」らしい点でもある。

ピュアでお調子者、といえば、そう、この花代グリンダのキャラクターは「夢から醒めた夢」のピコを彷彿とさせる。ちょっと暴言気味かもしれないが、自分はそんな印象を持った。

それにしても、この数年で、木村花代は飛躍的に女優としてのレベルをアップさせたと思う。多くの役、特にオペラ座の怪人のクリスティーヌと、クレイジー・フォー・ユーのポリーを演じたことが大きかったのではないか。それをこのグリンダ役を見ているとひしひしと感じる。高音が実にきれいにのびているのを聴くと、やはりクリスティーヌ役はこのグリンダへの布石だったと思わずにはいられない。そして、花代グリンダは歴代グリンダの中で、もっとも笑いの取れるグリンダである。ああこれはポリーだな、という笑いの間の取りかたが何箇所かで見え隠れした。

グリンダ最大の見せ場である「Popular」では、その両方が堪能できる。美しい声で歌いながら、どっかんどっかん笑いを取りまくる。そうそう、これだよ俺が求めていたのは。四季のウィキッドが開幕して以来、どうしてもこの曲だけは満足しきれていなかった。Popularに関する限り、客観的に見ても花代グリンダがトップだと思う。

ファンとしては、次々衣装を変えてくれるグリンダ役は実にうれしい。制服姿も似合ってるし、ピンクのドレスも黄色の洋服も胸元ちょっとセクシーめなので、いやらしくにやけてしまうのは内緒だ。また、二幕のエルフィーとのタイマン勝負では、チャームポイントでもあるふくれっ面が拝めるぞ!

そしてアンコールでは満面の笑顔。クリスティーヌはキャラ的に、異国の丘では作品的に、ここまでの笑顔は出せないからね。あの炸裂する笑顔は、まさに「1億のスマイル」というにふさわしい。いや、これは時節柄不適当な表現でした。ダメ。ゼッタイ。

とにかく、木村花代ファンは言うまでもなく観るべき。グリンダファンも当然だ。そして俺のように花組でグリンダ信奉者という人は、女房子供を質に入れても、女房子供がいない場合には、いや、そういや俺もいないんだが、そこはモノの例えっつうか。とにかく、グレートなキャスティングだ。

東京公演にどれだけ出るか分からないが、大阪公演では相当な出演が期待できそうだ。今から大阪に行くのが楽しみになってきたぜ!

グリンダ 木村花代
エルファバ 江畑晶慧
ネッサローズ 山本貴永
マダム・モリブル 八重沢真美
フィエロ 北澤裕輔
ボック 伊藤綾祐
ディラモンド教授 前田貞一郎
オズの魔法使い 栗原英雄
男性アンサンブル 清川 晶、町田兼一、齊藤 翔、
松尾 篤、田井 啓、奈良坂潤紀、
賀山祐介、清原卓海、三宅克典
女性アンサンブル 服部ゆう、長島 祥、あべゆき、
孫田智恵、小野さや香、小澤真琴、
花田菜美子、荒木 舞、羽田三美

ウィキッドのホームページ
http://www.shiki.gr.jp/applause/wicked/index.html

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2009年8月 8日 (土)

第49回 水戸黄門まつり

水戸の夏まつりといえば黄門まつりだ。今年はTBS「水戸黄門」第40部が放送中ということもあり、由美かおる、助さん(原田龍二)・格さん(合田雅吏)、新風車の弥七(内藤剛志)、そしてちゃっかり八兵衛(林家三平)と、5人もゲストが来るという。こりゃあ見学に行かなきゃな、というわけで地元である水戸へ。

その模様を映像にまとめてみました。

なお、昨年の水戸黄門まつりはドラマ放送中ではなかったので、水戸黄門とは直接関係のない高橋由美子・真木蔵人という2人をゲストに迎えた。そのエントリーはこちら。映像を追加しておきました。

水戸黄門まつりのホームページ
http://www.mitokoumon.com/maturi/koumon/koumon.html

ドラマ「水戸黄門」ホームページ
http://www.tbs.co.jp/mito/

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2009年8月 6日 (木)

SDN48 旗揚げ公演「誘惑のガーター」

「おとなのAKB」であるSDN48が8月1日、デビューした。メンバーは20歳以上限定、観客は18歳以上限定。オトナの色気を全面に出したステージを展開するというふれこみである。

AKB現役メンバーからも、チームAの佐藤由加理、チームKの大堀恵・野呂佳代、チームBの浦野一美が参加。公演タイトルは「誘惑のガーター」といかにもなものだ。

初日公演は抽選で外れてしまったが、2回目で運よく当選。SDNの語源である「サタデーナイト」ではなかったが…

自分は、さんざん大人っぼいとか色っぽいとかいいながら、フタをあけてみたらAKB以上の元気一杯な歌ばかりで、大人メンバーが体力の限界に挑戦する、という意表をついた展開かと予想していたが、そうでもなかった。真正面から「大人のAKB」を追求している。

ただ、確かに落ち着いた感じの曲は多いものの、さほどエッチな曲や過激な衣装が連発するわけではない。また、アイドルっぽい曲もちゃんと用意されている。そういう意味ではびっくり仰天するというほどのものでもなかった。むしろチームK4th公演の「おしべとめしべと夜の蝶々」のほうが衝撃的だったし、B4th公演の「口移しのチョコレート」のほうがなまめかしい。

20歳から33歳まで、年齢もまちまちだが、プロのダンサーや本格的なボイストレーニングを受けた人まで、そのキャリアもさまざまだ。もちろん全くの素人からオーディションを受けた人もいる。そうした個性が演出にも反映されているので、AKBのような一体感のあるレビューショーというよりも、個人技を生かしたパフォーマンスという感覚で楽しむことができる。

センターポジションは、加藤雅美、畠山智妃が取ることが多い。この2人は確かにかわいい。秋元康がセンターに置こうとするのも納得だ。残念ながら秋元康と俺の趣味はかなり共通している。加藤はデビュー当時の中澤裕子のような顔だし、畠山は「タクシードライバーの推理日誌」で夜明日出夫の娘、あゆみを演じている林美穂に似ている。

もう一人、よく目立つのが中国出身のチェン・チューだ。すらりとした長身に漆黒の長い髪、パーフェクトに整った端正な顔立ちはいやがおうにも目に入る。すでにホリプロのタレントとしてテレビなどにも出ており、
志村けんのだいじょうぶだぁIIに、ラーメン屋さんのバイトの役で出演していたのを見たことがある。その時から「かわいい子だなあ」と思っていたので、こんな形で見ることができて嬉しい。

AKB兼任組の中では、野呂と佐藤が実にいい。もともとノンティーはKの公演でもキレのあるシャープな動きを見せているのだが、SDNの落ち着いた曲調が一層そのポテンシャルを引き出しているようだ。そしてゆかりんはA公演だと一歩引いたポジションが多いが、SDNではど表題曲「誘惑のガーター」のセンターを務めるなど、大いに目立っている。

なかなか楽しかったので、また見たいとは思うが、AKBの公演に比べると「また明日来よう!」と思いたくなるような強烈な常習性がまだ欠けているように思う。それをどう演出するか、その作戦はすでに秋元康の頭の中にあるはずだ。

Kabekake

壁かけ写真にもSDNが登場。これどう見てもキャバクラだろ。研究生の写真が壁の反対側に押しやられてしまったのがかわいそうだった。

SDN48のWEBサイト
http://www.sdn48.co.jp/

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2009年8月 2日 (日)

四季「エルコスの祈り」全国公演(小美玉市)

エルコス 五所真理子
ストーン博士 岡崎克哉
ジョン 鎌滝健太
ダニエラ 菅本烈子
パルタ 丹下博喜
ダーリー 川口雄二
理事長 高林幸兵
セールスマン 神保幸由

「エルコスの祈り」全国公演を、茨城県は小美玉市で鑑賞。自分は千葉県柏市に住んでいるが、もともとは水戸の育ちであり、現在も本家は水戸の少し南、鉾田市にある。小美玉市はその鉾田市の隣りにあるので、本家に顔を出しがてら足を向けたのだ。

会場の小美玉市四季文化館「みの~れ」は、名前に四季が入っているからでもないだろうが、四季のファミリーミュージカル全国公演では高確率でスケジュールに組み入れられる。主催事業に熱心なホールなので、誘致に積極的なのだろう。

豊かな緑に包まれたなかなか魅力的なホールは、内装も木材を中心にした瀟洒なものだ。キャパシティは500ほどで、ほどよく段差がついていてとても舞台がとても見やすい。演劇にはぴったりの会場である。

さて、「エルコス」は1998年の全国公演以来である。当時はまだタイトルが「エルリック・コスモスの239時間」だった。そして97年入団の木村花代がいきなり主役に抜擢された公演であり、同時に始めて自分が彼女を見た公演である。

ファミリーミュージカルだが、四季のファミリーミュージカルは佳作が多い。そして子供向けということもあって、楽曲の覚えやすいメロディーが強く印象に残る。エルコスの主題歌ともいえる「語りかけよう」は、「魔法をすてたマジョリン」の「心から心へ」、「人間になりたがった猫」の「すてきな友達」と並ぶ名曲だ。この3作品でCDとか出してくれないかなあ。

50年後の未来。落ちこぼれと判断された子供たちを徹底した管理教育によって矯正させようとする「ユートピア学園」に、一台のロボットが送り込まれる。「CPΣ・081-1型ESPアンドロイド・エスパー エルリック・コスモス」略称エルコスと名づけられたこの女性型ヒューマノイドは、あらゆる業務に対応できるだけでなく、超能力まで使いこなす。そしてその開発者、ストーン博士はエルコスに、子供たちの夢や希望を取り戻させようとする。エルコスは子供たちと一緒に生活をしながら、それぞれの長所や個性を見出し、着々と博士の思いを実現していく。しかし、それを快く思わない教師たちの反感を買い、エルコスの追放を画策しはじめて・・・という、ちょっと古めかしいSF的世界観でストーリーが進行していく。

この作品は、「マジョリン」や「人間になりたがった猫」と比べると、ラストがちょっぴり悲しい終わり方である。そのため、四季の公式携帯サイトでダウンロードできる「語りかけよう」の着メロを聴くだけで、うっすら涙が出てきそうになる。年のせいではない、断じて。小林よしのりの言葉を借りて言えば「涙管が塞がっている」のだ。

とはいえ、俺も四季の舞台をさんざん観てきた。だから今回は大丈夫だろう、と思っていたが――ダメだった。あのラストシーンは反則だと思う。

そして、その感動はエルコス役への思い入れが強いほど、大きなものとなる構造になっている。前回は木村花代にすっかり参っていたのでそれはもう強烈だったのだ。

今回、エルコスを演じたのは五所真理子。たぶん初見。五所エルコスが舞台に登場したときの感想は「かっ、可愛い…」。正直、メイクが濃すぎて顔はよくわからなかったが、小っちゃくて元気いっぱい、そこにあの真っ白なエルコスのコス、略してエルコスだから、これまた反則というものだ。そして、実はエルコスは学校の先生なので、どちらかというと歌のおねいさんなキャラ設定である。見た目・雰囲気と正反対なキャラに萌えまくりだ。「夢から醒めた夢」で娘役不在を嘆いたばかりだが、こんな隠し玉(別に隠しちゃいないが)がいたなんて!この五所エルコスにすっかり魂抜き取られ、まんまとラストシーンでまたもや必至に涙をこらえるはめになってしまった。

脇を固める中には、マジョリンのダビット役や、「マンマ・ミーア!」ペッパー役の鎌滝健太、そしてマンマのエディといったらこの人、の川口雄二など、おなじみの役者の顔も見え、実に楽しい舞台だった。

そして終演後には「ユタと不思議な仲間たち」で大人気の「お見送り」。ロビーで俳優たちと握手ができるという、AKB商法まがいのナイスなイベントだ。

迷わずエルコスのところに行こうと思ったが、人がいっぱいでなかなか近づけない。ふと横に、マジョリンのオカシラス様のイメージがいまだに強い実力派、この日セールスマンを演じた神保幸由がいるのに気づいた。ここでアイドルファンの自分と、四季ファンの自分との間で葛藤が生じる。「まずベテランの熱演に賛辞を述べるべきではないか?」四季ファンの自分が暴走するアイドルファンの自分をなだめる。そうだ、その通りだ。

俺「神保さん、応援してます!」神保「どうも、ありがとうございます。」うーむ、渋い。

さあ、エルコスのところに行こう。しかし、川口雄二が俺の前にたちはだかり、役の延長でおどけながら握手を求めてくる。川口雄二はいい意味で四季の雰囲気を変えるパワーを持った役者だ。彼も応援せねば。

俺「最高っス!」川口「ありがと~う(役の口調で)」さすがエンターテイナーだ。

いよいよエルコスだ!と思ったら、今度は鎌滝健太がいる。彼のペッパーは本当にハナについた。前途有望な、いい役者だと思う。

俺「がんばってください!」鎌滝「はい、がんばります」ナイスガイだ。

よし、心おきなくエルコスと握手だ!と思った瞬間、係りの人が「すいません、お時間ですので…」とロビーから俳優たちを引っ込めようとしている。ああ無情。アイドルファンの自分が急速に気化していく。

しかし去っていく五所ちゃんに(もうちゃん付け)、果敢に握手を求める人がいた。俺にあの積極性はないなあ。あったらもうちっとましな人生送ってるよ、と思いつつその様子を眺めていた。しかし転んでもタダで起きてはいかん、とその様子を撮ったのがこれ。

見よ、この腰の低さを。アイドルファンは実はこういう場面にものすごく弱いのである。先日も、東京ビッグサイトのAKB48大握手回で、休憩時間に控え室に入ろうとする高橋みなみと渡辺麻友を見かけたのだが、高橋みなみの方が人生でもAKBでも事務所でも先輩であるにもかかわらず、渡辺麻友に道を譲ろうとしていたのを見て、一生たかみなについて行こうと思ったぐらいだ。

そんなこんなで、たぶんこの全国公演、リピートしてしまいそうな気がしてきた。四季とAKB商法の強力タッグの前では、もはやなすすべもない。

「エルコスの祈り」ホームページ
http://www.shiki.gr.jp/applause/elcos/index.html

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2009年8月 1日 (土)

WEST SIDE STORY 50周年記念ツアー来日公演

今年は来日公演のラッシュである。年々増えてきているのは確かだが、今年は異常なほどだ。その中でもひとつの注目公演はやはりこの「WEST SIDE STROY」。四季が2007年に久しぶりに公演してから、日本でのファン層も再び広がり始めた。そしてその「ウェストサイド物語」は現在全国公演の最中であり、9月には福岡公演も始まる。

また、ブロードウェーでもブームが再燃している。今年に入ってリバイバル公演が始まり、先日発表された63回トニー賞のリバイバル作品賞候補にも上がった。自分が昨年末ニューヨークに行ったときはまだプレビューも始まっていなかったので、観ることができず残念だった。

そうした中のツアー来日。どうもツアーというと、いまだに4軍、5軍というイメージが自分の中で払拭できない。実際、良かったと思える機会は非常に少ない。「We Will Rock You」は良かったが、あれはオーストラリアでロングランしていたカンパニーがまるごと引っ越してきたので、厳密に言うとツアー公演ではない。

今回の「WEST SIDE STROY」はどうか。結論から言うと、なかなかのヒットである。

冒頭、実はがっかりした。まずはミュージカルの古き良き伝統である、指揮者が客席にむかって一礼するセレモニー。客席も拍手で答え、さあ舞台を観るぞ、という気持ちが大いに高まった。それなのに、いきなり幕が開いて、役者たちが踊り始めてしまったからだ。

つまり、オーバーチュアがなかったのだ。

映画でもきちんとこのオーバーチュアを再現している。その間、画面は単色の背景画面だけになってしまうので、テレビで放送するときは(前奏曲)などの字幕を出して放送事故でないことをアピールしているぐらいだ。この序曲を聴いているうちに、だんだんと気持ちがニューヨークになっていくのだ。それがカットされてしまうとは残念。向こうの上演ではそれがスタンダードなのだろうか?せっかくの生オケ、それも結構な編成だったので、ぜひオーバーチュアは聴きたかった。

そしてジェット団、シャーク団登場。リフやベルナルドの動きに、四季の松島勇気のような軽やかさや、加藤敬二のようなキレがない。うーん、こりゃ「しょせんツアーはこんなもの」レベルに終わるのか、と思っていた。

しかし、トニー登場から印象ががらっと変わる。このトニー、歌がうまいのだ。いや、ミュージカルに出るんだからそりゃ歌はうまいだろう、と言うかもしれないが(そうでもなかったりするのも事実なのはみなさんご承知のとおり)、「Something's Coming」をのびのある豊かな声で、実に情感たっぷりに歌い上げたのである。この曲は素人目(耳?)にも非常に難しい曲で、四季では阿久津陽一郎が歌ったのを聴いたとき、どんなメロディーなのかサッパリ分からなかったほどだ。その後福井晶一トニーで聴いたとき、ああこんな曲なのかと分かったが高音がきつそうだった。

そしてマリア。なんか見た事あるな、と思っていたら、見た事あった。2006年にブロードウェーで「レ・ミゼラブル」リバイバル公演を観た時のコゼットだ。そう、あのエントリーに俺は「今まで見たコゼットの中で、最も歌唱力が高い」と記載している。あの歌声に、また出会うことができるとは。しかも、コゼットのソロはキーが高くて歌いこなすのが難しいのだが、その数が非常に少ない。今度はマリアだ。存分にその美声を堪能できた。なんとも幸せな再会である。

最初はなんだかまとまりがないな、と思ったダンスにも、次第に引き込まれてきた。別にツアー役者は4流、5流というわけではなく、ブロードウェーに立ち続けている役者と、実力的にはさほど差はないのだと思う。ただ、ツアーだとどうしてもカンパニーとしてのまとまりに欠けてしまいがちなこと、そして口うるさい評論家やリピーターの目にさらされないこと、そのぐらいの違いが、公演の印象に跳ね返ってくるのだろう。

なので、さほどまとまりを必要としない場面、例えば体育館のダンスや、「America」などは、圧倒的な迫力が生まれるのだ。これは楽しい。

迫力といえば出色の出来なのがアニタ役で、全力投球な歌と演技で、独特の存在感を放っていた。アメリカへの思い、ベルナルドへの思い、マリアへの思い、それらがひしひしと伝わってくる。それだけに、ドックの店で辱められたときの激しい怒りは観客の脳髄を直撃してくる。カーテンコールでも彼女への拍手はひときわ大きかった。

そんなわけで、終わってみれば相当な満足感が残った。四季の舞台では、アクの強い役者が演じるからか、どうしてもリフとベルナルドの比重が高い印象があるが、やはりこの作品はトニーとマリアの話なのだと実感した。この2人が良ければ、この作品は成功するのだ。

帰りの電車でプログラムを読んでみると、この日トニーを演じたスコット・サスマンはやはり声楽出身の人のようだ。なるほどである。そしてリフを演じたアレックス・ストールはプログラムではディーゼル役として掲載されている。アンダーということだ。どうもリフの存在感が弱いな、と思ったのも気のせいではなかったわけだ。再会したマリア役は、アリ・エウォルト。彼女の名はよく覚えておこう。きっと二度あることは三度ある。なにかとてつもなく大きな役で三度目の邂逅を果たせそうな気がする。存在感バツグンのアニタ役はオネイカ・フィリップス。そしてリフと並んでどうも印象が薄かったベルナルドはエマニュエル・デ・ヘスース。実際にプエルトリコの生まれで、ばりばりのバレエダンサーだ。素人のくせに動きが悪いとか言っちゃいけなかったのだ。すいません。なんでもミスター・プエルトリコにも選ばれたそうで、確かにハンサムさんではあった。

ツアー公演だからなあ、とあまり期待せずにいたのだが、とても楽しい時間を過ごすことができて感謝。この日から、自分の中でも何か変化が起きる(Something's Coming)だろうか?

会場に、キャストが控えめに張り出されていた。下記ウェブサイトでも、前日ぐらいに発表されるようだ。そのウェブサイトを見ていてびっくり。なんとアリ・エウォルトは4年ほど前、東京ディズニーシーのブロードウェイ・ミュージックシアターの「アンコール!」に出演していたというのだ。見てるかもしれない。いや、絶対見てるだろう。4年前だと、2月に1度ぐらいのペースで「アンコール!」観に行ってたし。このときとか。次に出会うのはどんな形なのか。オラ、なんだかわくわくしてきたぞ!

WEST SIDE STORY 公演ウェブサイト
http://www.westsidestory.jp/

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