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2009年5月 9日 (土)

ミュージカル「ザナドゥ」来日公演開幕

2007年にブロードウェーで開幕し、これはちょっと観たいなと思っていたが2008年末にニューヨークを訪れたときにはもう終了してしまっていた「ザナドゥ」。その来日公演が早くも実現した。ミュージカルの来日公演は「CHICAGO」がけん引役になって固定した市場を形成しつつあり、招聘の動きも活発だ。今年はヘアスプレー(再)、コーラスライン、ウェストサイド物語と、立て続けに大型来日公演が予定されている。

「四季や東宝の翻訳は観たくないが、来日版なら観たい」という人も多いようだ。個人的には、来日公演は4軍、5軍メンバーの寄せ集めで、モチベーションも低いというイメージがあり、あまり期待していない。しかし、近年は日本市場が次第に重視されるようになってきたのか、昔よりはクオリティーも上がってきている感じがする。また、数年前の「ウィー・ウィル・ロック・ユー」のように、ツアーではなく、オーストラリアのカンパニーがまるごとやってくる、というケースも出てきた。一昨年の「ヘアスプレー」もなかなかの完成度だった。そろそろツアーへの偏見は捨てなくてはいけないのかもしれない。

さて、今回の「ザナドゥ」はどうか。

この作品は、1980年に公開された、オリビア・ニュートン=ジョン主演の映画をベースにしている。そういう意味ではこの数年顕著な、ブロードウェーとハリウッドとのもたれあいの産物である。だが、今回はちょっと毛色が違う。実は80年に公開された映画「ザナドゥ」は、サウンドトラックが世界的にヒットしたものの、映画そのものへの評価は最低最悪で、栄えある第一回ゴールデン・ラズベリー賞の監督部門を受賞している。

そういう糞映画を原作にしているとことがミソだ。舞台の中では、映画の評価が低いことをさんざんネタにするとともに、そこに描かれる80年代の風俗を徹底的に笑いものにする。映画は正統派のロマンチック・ファンタジーなのに、舞台はどちらかというとおバカ作品なのだ。つまり、映画を原作としていると同時に、そのパロディーにもなっているという構造である。ネタ不足が深刻化しているブロードウェーミュージカルではあるが、そのアプローチ手法の柔軟さは健在だ。

そんな、ある意味ゆるい笑いに包まれた作品なので、肩に力を入れず気軽に楽しむことができる。もともとこういうバカ作品は好きなので、わくわくしながら観ていた。上演時間も一幕90分限りと、腰が痛くなる前に終わってしまう手軽さである。

夢を抱く青年の描いた絵から飛び出てきた女神がその青年と恋に落ち、夢をかなえていくという単純極まりないストーリーは、たとえ字幕がなくても理解できる。

ただ悲しかったのは、この作品に満ち溢れたパロディー精神が、英語に苦手な自分にはいまいち理解できなかった点だ。字幕ではフォローしきれない洒落や内輪ネタが相当なボリュームで残されていたように思う。

そのもどかしさを感じながら観ていると、あっという間に終わってしまって「えっもう終わり?」となってしまう。この来日公演の正しい見方としては(特に英語のニガ手な人用)、この作品の真髄であるパロディー部分は字幕で分かる範囲で素直に楽しみ、キラキラした80年代の輝きを多少のほろ苦さとともに味わう、というものでいいのだろう。

そういうライトな楽しみ方に、12000円の価値があるかどうか、というのはまた別の問題だが・・・

ミュージカル「ザナドゥ」WEBサイト(音が出ます)
http://www.xanadu2009.com/

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