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2009年4月11日 (土)

四季「アンデルセン」20年ぶりの再会

※ばれます。ばれてもさほど問題のない作品とは思いますが、一応宣言しておきます。

ハンス・クリスチャン・アンデルセン 佐野正幸
マダム・ドーロ 斉藤美絵子
ペーター 有賀光一
ニールス 松島勇気

「アンデルセン」である。この作品を観るのは、1987年12月の青山劇場以来。実に21年半ぶりだ。当時はタイトルを「HANS」として、サブタイトル的に「ハンス・アンデルセン」と表記していた。ちなみに当時の自分は大学一年生。厚顔の、いや紅顔の美少年の面影を残していたさわやかな青年だった。とブログには書いておこう。そのころの生活レベルではミュージカルなんてとても手が出せない財政状況だったはずだが、公演期間を見る限り、おそらく自分の誕生日だから、とフンパツしたのではないかと思う。そのあたりはさすがにあいまいだが、大学生協のチケットぴあカウンターで発券する際、大金をはたくので緊張した記憶が残っている。

ちなみに当時のキャストも紹介しておこう。

ハンス・クリスチャン・アンデルセン 市村正親
マダム・ドーロ 八重沢真美
ペーター 佐藤秀樹
ニールス 加藤敬二

うひょー、すげえキャスト。ご存知のように市村・八重沢はこのとき夫婦だった。市村も、まさか自分が後に離婚してアイドル歌手と結婚するとは思わなかっただろう。八重沢だって20年後にまだ四季の舞台に立っていて、そこでABBAの曲を歌っているなんて想像もしなかっただろうし。俺もまさかこの年になるまでおんなじような生活を続けているとは……ちょっと予感はしてた。

さて久しぶりに観たHANSならぬ「アンデルセン」。おなじみ童話界の巨人・アンデルセンの若き日々を、「人魚姫」の劇中劇とバレエをふんだんに盛り込んでつづるミュージカルだ。

20年ぶりではあるが、ストーリー展開はだいたい頭に入っている。そしてその通りに舞台は繰り広げられた。

お話を作るのが大好きで、子供たちの人気者だったアンデルセン。しかしそれがもとで町を追い出され、大都会コペンハーゲンに一旗上げようとやってくる。そこで若気の至りから人妻であるプリマドンナに恋をして、舞い上がって「人魚姫」を書きプレゼント。思いは届かなかったが、これがバレエ化され大ヒットし、名声を手に入れて新しい人生を歩みだすという青春グラフィティ的な成功譚。

だが、どうも自分の中にあった印象と、何かが違う。それも大きく。

ストーリーは確かに同じである。しかし、自分はこの作品に、もっと暗いイメージを持っていた。

人魚姫の悲しい結末同様、ハンスの思いは叶うことなく、泡となって霧散してしまう。たとえ国王から勲章をもらったって、それが何だというのだ。やるせない気持ちを山ほど抱えたまま、栄光への道を「歩まざるを得なくなった」男、それがハンス・アンデルセンだった――そう記憶していたのだ。

なぜそんな思い違いをしていたのだろう?単に18歳の俺の理解力のなさがそうさせたのか。いや、当時の自分にはまだ純真な心が残っていて、金や名誉よりも好きになった人と添い遂げることのほうが価値がある、などと思っていたのか(まさか!)。それとも、単純に長い年月で記憶が勝手に書き換えられてしまったのか。あるいは……市村がそういう演技をしていたか。

今となっては確認する術はない。ただ、この舞台は単純なサクセスストーリーではなく、そういう悲しい要素が隠されているのは確かだ。ラストシーンで、国王からの勲章を使いとして持ってきたマダム・ドーロ。彼女が口にした「わが友、ハンス」という言葉に、何とも冷たく残酷な響きを感じたのは男性なら理解していただけるのではないかと思う。だって、ハンスはドーロと「友」なんかになりたくはなかっただろうから。

だから、佐野正幸演じるハンスが、嬉々としてその勲章を受け取り、わが青春に一点の悔いなし、という表情をしているのに強烈な違和感を覚えた。いや、佐野ハンスはそういう解釈なのだろうから、そこに文句をつけるつもりはない。実直でまっすぐないいハンスだとは思う。しかし、自分が抱いていたこの作品の悲しいイメージと、どうも相容れなかった。

その点、やはり市村は、ハンス・アンデルセンの「恋しさとせつなさと心強さと」を表現していたように思えてならない。

作品としては、派手な面白さはないものの心温まる良作だし、バレエが好きな人にはおすすめだろう。「人魚姫」の劇中劇は、昨年末にブロードウェーで観た「リトル・マーメイド」よりずっと水中の世界のように見えて、改めてバレエの力に感服した。でもまあ、バレエに興味ないとちょっと眠くなるかもしれない。眠気を感じたら松島勇気のもっこりタイツを刮目して目に焼き付けよう。あれを見るだけでも劇場に足を運ぶ価値があると思うぞ。

20年前の加藤・八重沢コンビ。真美さんあんまり変わってないね

「アンデルセン」のホームページ
http://www.shiki.gr.jp/applause/andersen/

      

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コメント

ヤポオさん、こんにちは。

加藤ニールス若いですね 私も市村さんハンスで一度観ています。オペラ座の後でした。
市村ハンスにはどこか寂しさがあった記憶があります。ファントムの後に観たからかもしれません。八重沢マダムドーロは華やかで、どこか残酷な優しさと美しさがはまっていたような?
市村さんお目当てだったので、加藤ニールスの記憶はほとんどありません 同じ頃加藤ユタも観てますが、やはり記憶なし。(こちらは野村さん目当て)
斉藤さんのマダムドーロと松島さんニールスのバレエは一度は観たいと思っています。

投稿: 千尋 | 2009年4月12日 (日) 11時31分

ヤボオさん、初めまして。

いつもおじゃましています。
真美様の写真があまりにも懐かしすぎてコメントさせていただきました
真美様が登場するとなんだかそこだけオーラが輝いているようで、ソリストってすごいんだな~っと感動したした覚えがあります。歌は微妙でしたが
私も当時は、しんみりして帰った記憶があります。

・・・そうですか、今回はまた違ったハンスになってるんですね。見に行こうかな・・・

投稿: かおる | 2009年4月12日 (日) 22時24分

千尋さんこんにちは。

そうそう、確かに背中でものすごく寂しさを語っているアンデルセンでした。


斉藤さんはキレイでしたねー、容姿もバレエも。いかつい顔の松島ニールスとの組み合わせがなんとも対称的でオモシロいです。

この2人を見る価値は十分あると思います!

投稿: ヤボオ | 2009年4月12日 (日) 23時29分

かおるさんこんにちは。こんなみっともないブログを読んでいただき恐縮です。

確かに四季をいったん離れる前の真美様はすさまじい華やかオーラがありましたねえ。それがあってこその、ターニャ役のはまりっぷりなんだと思います。現役ターニャでは一番好きですね。

佐野版ハンスは「甘酸っぱい青春の思い出」になってますが、まあこれはこれでアリなんじゃないかと。期間中もう一度見てみようかな、と考えています。

投稿: ヤボオ | 2009年4月12日 (日) 23時32分

こんばんは。
そうなんです、何か違和感があるんです佐野ハンス。
観ながら、顔のしわのせいかな?とか年齢的なものかな?とか。。。
いまひとつ集中できない時を過ごしつつ違和感の答えを探してました。

…そうか哀愁を感じなかったんだ!と妙に納得できました。決して悪くはないんですけどね、悪くは。

あ、松島ニールス良かったです。(タイツも込)
前回堀内元さんで観た際、彼らの歌と演技に『三拍子揃えるのは難しいんだな』としみじみ感じてしまったので、ちょっと救われた気分です。

平日マチネのせいでしょうか?客席の入りの悪さに驚きました。まるで劇団の先行きを示唆しているようで…。

投稿: らべたん | 2009年4月17日 (金) 23時37分

らべたんさんこんにちは。

今週から味方ハンスになりましたね。これはもう一回見ておいたほうがいいかなあ。

それにしても松島ニールスの強烈さは、完全に主役もヒロインも凌駕してしまいます。やっぱりもう一回見たいかも。

投稿: ヤボオ | 2009年4月18日 (土) 03時39分

ヤボオさま

ご無沙汰しています
私も20年ぶりに、この作品を観に行ってきました。

もしかしたらあの頃
大学生だったヤボオさんと、制服姿ですれ違っていたかも・・・と思うと
何だか楽しかったです
まさか、楽屋口にはいらっしゃらなかったですよね?

トラックバック、させて頂きました

投稿: 巻き髪 | 2009年4月28日 (火) 14時22分

巻き髪さんこんにちは。

そうですか、やっぱり20年ぶりですか。
制服姿に不審な視線を送っている貧乏な学生風の男がいたりしなかったでしょうか。心からお詫び申し上げます。

あの日「青山」というのがどこか分からなくて、道に迷った記憶があります。まあ今でもよく迷ってますがね。

投稿: ヤボオ | 2009年4月29日 (水) 01時38分

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