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2009年3月21日 (土)

映画「釣りキチ三平」

ドラゴンボールだ、ヤッターマンだと騒いでいるが、この春、「実写化」で何といっても注目なのはこの「釣りキチ三平」だろう。

原作が好きということもあるが、最大のポイントは一平じいさんを渡瀬恒彦が演じる、という点だ。

原作の三平一平は、その風貌から一見好々爺のようだが、実はなかなかダンディーで、ちょっとお茶目な側面もあるという魅力的な人物である。そして三平に向けるまなざしは優しいが、家族を次々に亡くした三平に対し、決して人の同情に甘えるなと諭す厳しさもある。そして全国の釣り師があこがれる和竿づくりの名人。とにかく、どこまでもカッコいいキャラクターなのだ。

そのイメージからすれば、渡瀬恒彦というキャスティングはばっちりだ。「タクシードライバーの推理日誌」の夜明日出夫も、最近はすっかりいいおじさんになってしまったが、シリーズ開始当初は、常に美女につきまとわれる色男だった。渡瀬なら、厳しさ、優しさ、チャーミングさを全て表現できるだろう。そう期待していた。

そしてスクリーンの三平一平は、全くもって期待どおりだった。冒頭から味のある表情と印象的なセリフで、見事に一平名人が実体化している。脚本、監督、俳優すべてがこの役に対しぶれのない共通認識を持っているからこそできた業だろう。

さて、この映画のテーマは原作と同じ、自然の中でのびやかに生きることの素晴らしさ。そして三平という決して幸福な星のもとに生まれたわけではないが、常に明るく前向きに生きる少年と、それを見守る一平という二人の人物の魅力に誘われてかかわってくる人物たちの人間模様を描くことだ。

全編の秋田ロケは、そのテーマの前半部分を理屈ぬきに実現した。そして後半については、やや原作よりも三平と一平、そして鮎川魚紳をやや子供っぽく描き、この「3人の子供」と、対極的な存在である愛子というオリジナルキャラクターによって、より鮮明に描き出していた。

ストーリーとしては、他愛のない、と言っていいほどシンプルなものだ。しかし、脚本、演出、俳優の演技が一体となって作り出した完成度の高さは、なんともいえない心地よさを観る者に与えてくれる。昨年「おくりびと」を観たときにも書いたが、滝田洋二郎という監督は特にお気に入りというわけではないのに、常にその作品を劇場で観てしまう、そしてそれなりに満足感を与えてくれる、フシギな縁のある監督さんである。

Sanpei

映画「釣りキチ三平」公式サイト

http://www.san-pei.com/

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