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2009年3月15日 (日)

残念映画「DRAGONBALL EVOLUTION」

とっても残念な映画、実写版ドラゴンボール。

でもそれは、世間で言われるように「原作と違いすぎ」「馬鹿映画を超えたトンデモ映画」といった理由ではない。

自分が感じているのは、この映画はうまく作れば大傑作、とはいかなくても、自分の大好きな映画にはなったのに――という残念さだ。

もともと自分は漫画や小説を映像化した場合、それは違う作品として見ることにしている。メディア・イズ・メッセージ。メディアが変わればコンテンツが変わるのは至極当たり前のことだ。

だからといって、原作に忠実たらんとする姿勢を否定するわけではない。同じ世界観を別のメディアで再現する、というのは、それはそれで新しい価値を作り出す行為だからだ。

本作は、事前に「別物として見るべき」という噂が先行していた。だが実際に見てみると、この映画は驚くほどドラゴンボールである。

原作初期の、ドラゴンボール争奪戦を面白おかしく描く、という雰囲気がとてもよく出ている。登場人物も、チョウ・ユンファ演じる武天老師は強さとスケベさが同居したハマリ役だし、ブルマやヤムチャも漫画のイメージをうまく実体化していたと思う。チチは原作の雰囲気とはずいぶん違うが、悟空に対し一歩も引かない強い女性、という面はまさしくチチだ。悟空はもっと原作の素朴な感じが欲しかった気もするが、米国人が吹き替え版で見たアニメ版の悟空は、意外とあんな雰囲気なのかもしれない。

時代錯誤の日本や中国のような街や人も出てくるが、もともとドラゴンボールの世界は無国籍的、無時代感覚的なのだから、違和感はない。悟空が高校に通っているのは変だろう、という人もいるだろうが、悟空の息子・悟飯はオレンジスターハイスクールに通っているから、学校がドラゴンボールの世界観と全く相容れないわけではない。

原作序盤の様々なエピソードを、87分という短い時間にまとめあげるためにだいぶ無理はしているが、破綻しているとまでは言い切れない。むしろ、そこはうまく構成したと言える。

なのに、この映画は面白くなかった。

コレといった明確な理由があるわけではない。映画は総合性の芸術だし、数百人、時には数千人という人が協力して作り上げるものだ。自然にうまくいく確率のほうが低い。あえて原因を探ろうとすると、脚本はエピソードを詰め込むことには成功したが、セリフ回しやシーンの展開にはかなり荒削りなところがあり、洗練されていない。演出は、ポストプロダクトのCGの使い方は非常にうまいが、肝心の本編でのやりとりが迫力に欠けている。スター・ウォーズのエピソード1~3のように、CGの中に人間の演技をはめこんだ映画ならまだしも、やはり生身の演技の出来の悪さをCGでごまかすことはできないのだと実感した。

一時、この映画はクオリティーが低いためお蔵入りになるのではないかと噂された。想像するに、メキシコで行われた本編ロケが、うまくいかなかったのではないか。脚本家も監督もその実力を十分に発揮することができずに終わってしまったように思う。狙いはいいのに、全てが中途半端に終わっているからだ。制作予算や期間も、現場で自由にできたのはかなり限られたものだったのではないだろうか。だとすれば、それはプロジェクトマネジメントの失敗だ。

もし、狙い通りのものになれば、原作の雰囲気を押えつつも意外性を持った、観終わったあとに何も残らない見事な馬鹿映画になったかもしれない。連載開始から最終回までジャンプで読み続けた原作ファンであり、馬鹿映画の大好きな自分にとって、これ以上の幸せはない。

だからこの映画の出来の悪さは本当に残念だ。日本人キャスト・スタッフで作り直せ、という声も上がっているようだが、自分はむしろ同じスタッフ、同じキャストで、失敗した点をリカバーしてもう一度作りなおして欲しいぐらいだ。

日本人が映画化すれば違うものになった、というのは確かにそうだろう。しかし、日本映画界はそのチャレンジをしなかった。だからハリウッドがやったのだ。文句を言える筋合いではない。残念というなら、その日本映画界の現状こそ残念というべきだ。自分たち観客ももっと積極的に日本映画に足を運び、意見を述べ、大いに盛り上げていかなくてはいけないだろう。

Dbe

この映画について「ベスト・キッド」っぽい、という意見があるが、同意だ。どうしてもドラゴンボールとして観ることに抵抗がある人は、ベスト・キッド5として鑑賞したらどうか。悟飯(初代)と悟空の修行はまさしくノリユキ・パット・モリタとラルフ・マッチオを思い出させるし、チチ役のジェイミー・チャンは「ベスト・キッド2」のタムリン・トミタを彷彿とさせる。まあこの映画に抵抗のある人は、ベスト・キッドシリーズにも抵抗あるだろうからダメか。

「DRAGONBALL EVOLUTION」公式サイト
http://movies.foxjapan.com/dragonball/

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