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2008年12月28日 (日)

Spring Awakening(春のめざめ)

28日19時~21時15分
Eugene O'Neill Theatre

Spring

来年春、劇団四季による上演が決まっている「春のめざめ」。2007年トニー賞を総なめにした作品だが、前回ニューヨークに来たとき、話題が沸騰していたにもかかわらずスルーしてしまった。見る目がなかったこともあるが、英語も分からんだろうし、あまり食指の伸びる内容でもなさそうだったからだ。

その内容というのが、性に目覚める中学生の悩みを描いた19世紀末ドイツの問題作を、ロック・ミュージカルにした、というもの。うーん、やっぱりあんまり興味がわかない。でも来年四季でやるというのだから、ここは観とかんといかん。というわけで、今回はちゃんとチケットを確保した。

セリフは英語でよく分からないだろうから、せめてあらすじだけでも知っておこう、と原作本を探したが、日本でその翻訳本が出版されたのは昭和20年代。当然絶版。古本をネットで入手して読んでみたものの旧仮名づかいですこぶる読みにくい。しかしまあ、だいたいのところは分かった。そして、このミュージカル作品についていろいろ調べるうちに、音楽や演出がえらく出来がいいのだ、ということがわかってくる。そりゃトニー賞8部門だものな。ちょっと興味がわいてきた。さらに、あの「エクウス」以上のすごいアレなシーンがあるという。これは俄然観る気になってきた。意気揚々と劇場へ。

劇場に入ると、シンプルなステージが目に入る。レンガ塀のような壁が舞台を三方から囲んでいる以外は、舞台装置らしきものが見当たらない。演奏は最小限の編成で、舞台後方に楽器が並んでいる。そして演技をするであろう空間には、昔の学校で使っていたような木の椅子が1脚。それだけ。しかし、舞台の両脇に、客席がある。四季の「エクウス」でおなじみのステージシートだ。

だが、開演時刻になってもステージシートが埋まらない。キャンセルも出るんだな、と思っていたところ、俳優たちが舞台上にぞろぞろと現れて、その空席だったところに座った。なんと、エクウスでは俳優が座るところとステージシートは別になっていたが、それを融合させてしまったのだ。もうこの時点で、この作品の大胆さにうまく心を掴まれてしまった。

とにかく、この作品は音楽と演出の勝利である。もはや古典と言えるほどの作品を題材にしながら、徹底的にカッコイイ音楽と、スタイリッシュな演出で観客を虜にする。音楽は、まさに青年期の悩みを表現した、押え切れない衝動が噴き出すかのようなエッジの効いたロック。演出では、マイクの使い方が実に面白い。普通、ミュージカルのマイクといえば目立たないように顔面に装着するタイプだが、この作品ではあえてハンドマイクやスタンドマイクを使う。たとえば、生徒たちがユニゾンで歌いだすシーンでは、全員がいっせいに制服の内ポケットからマイクを取り出して歌う。ソロで熱唱する場面では、マイクスタンドを握り締めて絶唱だ。

このマイクの取り出し方や渡し方で、登場人物の内面をうまく表現もしている。それ以上に、マイクを使うということが、不思議な作用をもたらしていた。

昔、ミュージカルでこういうマイクの使い方をしていた時代もあった。「ジーザス・クライスト・スーパースター」の古い写真を見ると、マリアやユダがマイクを持って歌っている様子が記録されている。しかし、音響技術の進歩に伴い、もはやそんな光景は見られなくなった。マイクを持ってしまうと、いかにも「さあ、これから歌いますよ」という雰囲気になり、それが芝居の部分との「つなぎ目」を意識させてしまう。その違和感、つまり「何でいきなり歌いだすんだ?」という感覚が、ミュージカル嫌いを増殖させることになる。マイクの小型化は、その部分をシームレスにし、芝居から歌へ、自然と流すことが可能になったわけだ。

そこをあえて逆手に取り、マイクを渡す、もしくは取り出す動作を繰り返すことで、そのつなぎ目を意識させる。そのつなぎ目、境界線は、若者たちの感情が押え切れなくなり、外に噴き出してくる瞬間なのだ。こんな表現方法あったなんて、ミュージカルの懐は本当に深い。

作風としては、観る前は「エクウス」のような重い雰囲気を想像していたのだが(原作を読んだせいもある。かなり重い)、前半は意外にも軽いノリで進んでいく。日本で言うと「パンツの穴」とか「毎度お騒がせします」のようだ。もっともアメリカ映画には昔から「若者たちの性の目覚めをお馬鹿に描く青春映画」というジャンルが確立している。「ポーキーズ」とか「アメリカン・パイ」とか。あんな感じだ。

そして一幕最後の、問題のアレのシーンを境に雰囲気が一変。よりシリアスに、重苦しく展開していく。だがその重さも、音楽と演出の味付けが絶妙なので、決してのどにつかえるようなことはなく、自然と受け入れられるのが見事だ。そして観劇後は、実にさわやかな後味が残る。

問題のアレのシーンについては興味のある人が多いと思うので(俺だけか?)、勝手に詳しく説明しておこうと思ったが、あまりにリアルに書くのはさすがの俺も恥ずかしいので、「エクウス」(劇団四季版)との比較で説明しよう。まず、エクウスより照明が明るい。これ重要。女の子は、エクウス同様、胸をはだける。でもエクウスほど長時間は露出していないし、姿勢としては仰向け状態なのでそんなにハッキリ見えるわけではない。男の子は、パンツをおろすしぐさをするが、実際にはおろさない。だからチ○コが見えるとかはない。動作としては、結構モロの動きだ。でも時間は短い。若いからね。違うか。

しかし、問題なのはこの日その女の子、ヴェンドラを演じたAlexandra Sochaが、どう見ても本当の高校生ぐらいにしか見えない童顔で、しかも超絶美少女だったことだ。

まあ、ちょっとPlaybillのインタビュー記事でも見てくださいよ。
http://www.playbill.com/celebritybuzz/article/120862.html

この写真は少し大人っぽく写っているが、舞台ではメイクもスクールガールな感じなので、本当に高校生にしか見えない。…ってちょっと待て。リアルに18歳じゃねえかよ。ちょっとショック。俺にもまだ背徳心が残っていたとは!

なんでもこの舞台がブロードウェーデビューらしい。次の作品は何だろう。彼女目当てにまた来てしまいそうだ。2日連続で正常ではない観劇態度を刺激されてしまった。

この作品、1月にクローズしてしまう。もっと早く見ておけばよかった、と少し(ある意味で大いに)後悔した。

さて。いったいこれを劇団四季がどう上演するというのだろう?

四季は、すでに自由劇場を使うことを発表しているが、それは問題ない。何しろセットがほとんどないのだ。スタイリッシュな演出も、四季の実力なら十分に再現することができるだろう。日本の演出家が余計な手を加えなければだけど。

問題は俳優である。

このブロードウェー上演でも、別にティーンエイジャーばかりが出演しているわけではないし、多少年を食った役者が出てきても問題はないと思う。が、限度というものがあるだろう。「ユタと不思議な仲間たち」のような、生え際が気になるいじめっこのようなのが出てきても困る。

まあ男優陣は大丈夫だろう。厂原時也とか、童顔で演技のうまい奴が育っているし、もっと上の世代でも、さほど違和感なくいけるような気がする。

深刻なのが女優陣だ。どう考えても、ヴェンドラの適役がいない。見る前は、アレに抵抗がないということで田村圭ちゃんがいけるかな、と思っていたが、正直キャラ違いである。それより上の世代は、演じる側としても見る側としても、キツいと思う。役柄としては、「ウェストサイド物語」のマリアが近いのだけれど、マリア役を列挙してみると、いけそうかな、という人材がいない。そりゃ木村花代とか苫田亜沙子とか出てきたら、別の意味で嬉しいけど、たぶん通っちゃうけど、ヤフオクで良席落としたりしちゃうけど、それでブログで絶賛とかしちゃうけど、冷静に考えれば田村圭以上にキャラ違いの印象だ。今さら北井久美子とか村岡萌絵とかを懐かしんでも仕方がないが、最近の娘役不在の状況を考えれば、この問題は楽観視できない。個人的には真家瑠美子とか見たいけど、背が高いしなあ。

というわけで、キャストに大いに注目(やっぱり俺だけかい?)が集まる四季の「春のめざめ」。初日まで大いに妄想して楽しむことにしよう。でも、作品自体かなりハマる良作なので、女優がどうあれ(限度はあります)、まずは無事に初日を迎えてほしいものだ。

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コメント

なるほどなるほど。。

というかこんなところから、あけましておめでとうございます!
いややっぱりキャスティングされるんじゃないかと少々気になっているもので。不安の方で。
キャラ違いなんですね。WSSマリアに近い感じですか?
個人的にマリアはツンデレ(またはワガママ)キャラに思っていたのですが、
北井-村岡ラインのお名前が出て来るってことはもっと娘娘してるというか、
素朴な炉利風味が強いってことなんでしょうか?

いずみん(未見ですが)とか最近盛んにプッシュされてますがどうなんでしょう?
すみません、新年早々変なところで食いつきすぎです。今年もよろしくお願いします。
未知の話題や先取り情報をたくさん取り上げてくださいませ。楽しみにしてます。
ほんと見学商売万歳でございます。

投稿: Fudoh | 2009年1月 1日 (木) 04時01分

Fudohさんこんにちは。
あけましておめでとうございます。

食いつくところはそこで正解です!
ヴェンドラはなんというか、おぼこい感じですねえ。
現在の四季の一線級にはいないように思います。

なので、外部から引っ張るか、アンサンブルから抜擢するかしかないでしょうが、メインとアンサンブルの間にいるあたりから出してくる可能性もありますね。久居史子とか西田ゆりあとか・・・。

とりあえず「55ステップス」あたりから、アンサンブルチェックを始めようかと思います。

今年もこんなブログですが、どうぞよろしくお願いいたします。

投稿: ヤボオ | 2009年1月 2日 (金) 02時44分

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