Massachusetts Institute of Technology(マサチューセッツ工科大学)
ホリデーシーズンの真っ只中、日本からノコノコやってきた迷惑な客人。しかし先生は親切にMITを案内してくださった。本当に感謝です。
MITといえばこの風景、とばかりに必ず写真などに登場するドーム状の屋根を持つ校舎。記念撮影をする人も多い。
この校舎を背にして、チャールズリバー、そして市街地を望む。
敷地内では次々に新しい校舎の建設が進む。日本とは資金を集める力が違うのだろうが、世界大恐慌の様相を呈する中、今後は厳しい経営を強いられるのかもしれない。
日本でも有名なメディアラボの建物。
エッシャーのトリックアートのような世界を三次元化しようとしたらしい、ヘンな形の建物。中に入ってみると、とんでもなく使いにくい、実用性ゼロのビルだ。まるで「こちら葛飾区亀有公園前派出所」で、有名デザイナーによるモックアップと幼稚園児がつくった粘土細工が取り違えられたために完成してしまったウサギ型の葛飾署のようだ。
リスが多いのはセントラルパークと一緒だ。
MITの敷地は広大だが、各校舎間を結ぶ巨大な地下通路がある。まるで東京ディズニーランドの地下のようだ(入ったことないけど)。中は迷路のようで、しかもあちこちに「DANGER」とかの張り紙があって、文字通りのダンジョンな雰囲気に心が躍る。
MITミュージアムでは、60年代に作られたロボットアームや、最新の研究成果を分かりやすく紹介した展示などを見ることができる。
その隣のビルには「ハッカー発祥の地」とされる、MIT鉄道クラブ(Tech Model Railroad Club)が入っている。1960年代、まだ貴重な存在だったコンピューターをMITが導入し、このクラブのメンバーがそれを遊びのために(おそらく勝手に)使っていたのがハッカーのはじまりのようである。
同時に、MITには「ハック文化」というものがあり、それが学生たちの手で脈々を受け継がれているという。これはコンピューターにアクセスして何かするのではなく、あっと言わせるような大規模なイタズラのことだ。これについてはMITスローンスクールを紹介する日本語サイトが詳しく説明してくれている。ドーム校舎の上にこつぜんとパトカーが出現したり、と、並の技術と覚悟ではとうていできないようなことを、学生たちが集団でやってのける。もちろん大学「非公認」だが、大学としてもこれを誇りとしているようだ。ある校舎に、このハック文化を紹介するコーナーがあり、そこには「ハッキング11カ条」とでもいうようなハッキングのルールが書かれていた。「Leave no damage」など、まるで「鬼平犯科帳」に出てくる「本格の盗人」が守る掟三箇条のようだ。(下記のサムネイルをクリックすると拡大で見られます)
ドーム校舎の内部には、建学の精神が刻まれている。それをぐるっと動画で納めてきたので紹介しよう。
"APPLICATION TO INDUSTRY THE ARTS AGRICULTURE AND COMMERCE"
これがまさしくMITの性格を言い表している。案内していただいた先生によれば、同じボストンにあるハーバード大が、真理の追究を旨としているのに対し、MITは徹底的にその利活用を考える、実学的なアプローチをする気風があるのだという。
MITというと、最高の知性とか、ギークたちの頂点とか、そういうイメージがあり、それは実際にその通りなのだと思うが、その底流にはこうした明確な姿勢がある。そして、ベースのスタンスが明確だからこそ、より自由な活動が展開できるのだ。大学のみならず、多くの組織がそこに学ぶことは多いだろう。
MITというと最新のコンピューターを駆使している印象があるが、地下迷宮の一室で、もくもくと釜を前にガラス状の何かを制作している材料工学系の学生の姿があった。それもMIT、ということはこの基本姿勢からすれば不思議でも何でもない。
今回は実にエキサイティングな見学となった。このブログもコンテンツが散漫にならないように、建学の精神ならぬ「見学の精神」を明確にしないといけないな、とくだらない駄洒落を思い付いたのは大きな収穫だ。
MITのWEBサイト
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