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2008年10月 4日 (土)

四季「ソング&ダンス~55ステップス~」開幕

ヴォーカルパート 芝 清道、高井 治、田中彰孝、井上智恵、早水小夜子、
花田えりか
ダンスパート 西尾健治、萩原隆匡、松島勇気、徳永義満、加藤敬二、
岩崎晋也、脇坂真人、神谷 凌、厂原時也、
加藤久美子、駅田郁美、室井 優、須田綾乃、柴田桃子、
恒川 愛、坂田加奈子、高倉恵美、斉藤美絵子、泉 春花

四季のエンターテイメント・ショウ、「ソング&ダンス」の最新作、「55ステップス」が開幕した。

「ソング&ダンス」はこれで4作目になるが、実は観るのは初めてだ。99年に初めて上演したときは、きら星のごとく並んだ役者を目当てにチケットを買ったのだが、体調が悪くて行けなかった。それ以来、なんだか足が遠のいてしまっていた。

特段期待していたわけでもないが、それなりに楽しいだろう、というぐらいの気持ちで初日の「秋」へ。

とりあえず観終わった後の感想としては、ほぼ予想通りの「それなりに楽しい舞台」という印象だ。もっともそれは年間5~6回ぐらい芝居を観て、そのうち1~2本は四季、という正常な観劇態度の人の目線での印象で、毎週のように女優さんウォッチにいそしんでいる自分のような正常ではない観劇態度の人には「それなり」どころではなく、あんなことやこんなこと、いろんな楽しみ方が用意されている。

基本的に、予備知識はなしで観たほうが楽しいと思う。だからここから先はもう観たよ、という人以外は読まれないほうがよろしいかと思います。

<一幕>

オーバーチュア

楽しげな曲に乗って幕が上がると舞台上にバンドマンたちが。これはショウですよ、というのを説明するのに、これ以上分かりやすく、スマートな方法はあるまい。これから始まるステージにぐんと期待が高まった。

『アプローズ』より「ようこそ劇場へ」「アプローズ」

続いて芝清道が登場、四季のかつてのレパートリー「アプローズ」から「ようこそ劇場へ」を歌う。エンターテイメントの光と影を描いたこの作品、自分は未見だが、曲といい歌詞といい、観客の気持ちをショウに引きずり込むにはぴったりだ。そして井上智恵がしっとりと聞かせる「アプローズ」。井上自身の舞台にかける意気込みが伝わってくるようだ。

『アイーダ』より「愛の物語」「勝利ほほえむ」「星のさだめ」

続いて東京ではまだ上演されていない「アイーダ」から続けて3曲。アムネリスのパートを歌うのはなんと早水小夜子だ。これはいい。公演ではありえない配役だけど、「愛の物語」の慈愛に満ちた声から、一転してパンチある声に変わるドラマチックな曲を、早水が抜群の歌唱力で歌い上げる。「星のさだめ」は井上アイーダに芝ラダメス。純粋な愛が心を打つ名曲だが、芝が歌うとちょっとアダルトなムード歌謡のようにも聞こえる。

『ライオンキング』より「シャドウランド」「早く王様になりたい」

ライオンキングから2曲。シャドウランドを花田えりかが熱唱。マコさえ演じなければ、自分も決してアンチえりかではないのだが、やっぱりえりかはえりかで、独特の歌い方は健在だ。好みの分かれるところだろう。「早く王様になりたい」は、いきなりムエタイのリングが出てきて、厂原時也が演じるちびっこボクサーが「早くチャンピオン(王様)になりたい」と歌うのを、ザズーではなくセコンドがたしなめるという小芝居を展開。歌詞はそのままで別のシチュエーションを当てはめるのは、最近ニコニコ動画などでもおなじみのマッドビデオを見ているようで楽しかった。代表様も怪しい視線を送っている厂原時也は本当にかわいい男の子、という雰囲気で、若衆好きの向きにはたまらないだろう。自分はあいにくその領域のたしなみがないので、ラウンドガールのセクシー衣装にクギづけだ。

『壁抜け男』より「最新ニュースのジャヴァ」

壁抜け男から1曲。パリの雰囲気を出すためだけに使われたような。

『ノートルダムの鐘』より「僕の願い」「トプシー・ターヴィー」「ゴッド・ヘルプ」

そして出来上がったパリの雰囲気で、「ノートルダムの鐘」から3曲。アニメ版は劇団四季が吹き替えを担当したので日本語版を観に行った記憶がある。石丸幹二に保坂知寿、芥川英司と、もう四季にいない人ばかり登場しているのでもう四季の歴史の教科書では塗りつぶされている項目だろう。この作品が舞台化されたことは、ブロードウェーで上演されていたないためかほとんど知られていない。当然俺も観たことがない。あっという間に終了してしまった「ターザン」を観た経験がある自分としては、リトル・マーメイドはいずれ観られるだろうという前提で考えると唯一観ていないディズニーミュージカルなので非常に興味がある。

『メリーポピンズ』より「チムチムチェリー」

高井治のバートとは意表を突かれた。ちょっと動きがぎこちないバートではあるが、重々しい声で歌うチム・チム・チェリーもまあこれはこれでありか。しかしせっかくメリーポピンズのナンバーを出すのだから、Step in Timeとか景気のいいところをお願いしたかったところだ。

『マンマ・ミーア!』より「夢があるから」「手をすり抜けて」

突然マンマ・ミーア!。アフリカからパリへ、そしてロンドンを経由してギリシャ、という世界旅めぐりだ。こういう趣向は嫌いじゃない。娘役をえりかが一手に引き受けているため、当然ソフィはえりかなわけで。

『サウンド・オブ・ミュージック』より「ドレミの歌」

いやー、いいですねえ智恵先生。これ、本気で四季にやってほしい。ここでは観客参加の仕掛けがあり、いっぺんに8人もの客がやおら舞台に引っ張り出される。こんなに多数の客を舞台に上げるのを観たのは、東京国際フォーラムでデビット・カッパーフィールドを見たとき以来だ。

『リトル・マーメイド』より「パート・オブ・ユア・ワールド」

そしてリトル・マーメイドの大好きな曲。これもメリーポピンズ同様、「アンダー・ザ・シー」が見たかったかな。

『美女と野獣』より「ビー アワ ゲスト(おもてなし)」

一幕の締めくくりはおなじみ「ビー・アワ・ゲスト」。曲自体を大胆にアレンジしていて、ブロードウェーの平均制作費を高騰させてしまったオリジナル演出とは対極的に、シックに決めている。

<二幕>

『夢から醒めた夢』より「夢を配る」

あっと驚く芝配達人の登場。くねくねと気持ち悪い踊りをしながら歌う。こんな配達人、ちょっと見たいぞ。

『ユタと不思議な仲間たち』より「夢をつづけて」「見果てぬ夢」

ユタのナンバーはこうしてじっくり聞くとなかなかいい曲が多い。「見果てぬ夢」をしんみり歌う高井治を見て、この人にはもっといろんな役をやってほしいと思えてきた。マシューやってよー。

『ミュージカル異国の丘』より「アレキサンダーズ・ラグタイムバンド」「名も知らぬ人」

異国の丘、次のボチは誰になるんだろうねえ。

『ミュージカル李香蘭』より「二つの祖国」

李香蘭、沼尾みゆきが継いだと思ったのになあ。

『ミュージカル南十字星』より「炎の祈り」「祖国」

記者会見だけに終わった幻の芝保科をこんなところで見られるとは!

『ジーザス・クライスト=スーパースター』より「ピラトの夢」

ここからアンドリュー・ロイド・ウェバーまつり。高井治のカヤパは本当に怖かったが、こうして聞いてみるとピラトも良さそうだ。

『キャッツ』より「ラム・タム・タガー~つっぱり猫」「メモリー」

田中彰孝は何やってもシンバに見えるんだけど、ここではオリジナルよりちょっと3枚目なタガーを頑張って演じていた。まあライオンもネコ科だしな。

メモリーではえりかの声が早水の声量すら凌駕していた。恐るべし。こんながぜん強めのシラバブ見たことない!けど面白い。

『オペラ座の怪人』より「ミュージック・オブ・ザ・ナイト」

仮面をつけないファントムっってのも味があっていい。なぜか歌よりもバレエの稽古に熱心なのがちょっとおかしい。

『エビータ』より「飛躍に向かって」「ブエノスアイレス」

エビータはアイーダと同様、曲の良さでリピートを獲得する作品だ。このように作品を離れると、いかにその曲の完成度が高いかよく分かる。

『スターライト・エクスプレス』より「スターライト・エクスプレス」

これは嬉しい。何をかくそう自分がアンドリュー・ロイド・ウェバー作品の中で一番好きなのはこのスターライト・エキスプレスなのだ。もうウエストエンドでは終了してしまったのだが、あまりに見たくなってイギリス国内のツアー版をエンジンバラまで観に行ったぐらいだ。ぜひ、四季で上演してほしいが、ランニングコストが無茶苦茶かかりそうだから無理だろう。

『ソング・アンド・ダンス』より「ヴァリエーションズ」

本家本元、ウェバー先生のソング&ダンス(ソング&バレエ?)から1曲。

『ジーザス・クライスト=スーパースター』より「スーパースター」

フィナーレはド派手な舞台装置で芝がキモチよさそうに歌う「スーパースター」。オレ様状態の芝がマツケンのように見えて、正直なところ笑いが止まらなかった。

<カーテンコール>

『クレイジー・フォー・ユー』より「アイ・ガット・リズム」

ヴォーカルパートの人たちも手に手に楽器を持って打ち鳴らす。これは本当に見ていて心が弾む。そういえば花ポリーもう1回見たいぞ。

<カーテンコール2>

これは毎回やるかどうかわからないが、この日は全員で「ウィキッド」の「The Wizard and I」を熱唱。もともとひとりぼっちのエルファバが初めて抱いた希望の歌だが、これを全員で抱く夢の歌になるようちょっとだけ歌詞を変えてあるところがぐっとくる。

 
 

ヴォーカルパートでは、完全に主役は芝&井上だ。この2人の印象があまりに強すぎて、今後キャストが変わったらどうなるのか心配になるほどだ。

そしてダンスパートでは、もともとあまりダンスに詳しくないこともあり、つい女優さんに目が向いてしまうが、やはりその中でもどうしても高倉恵美を見てしまう。あの笑顔が好きなんだよねえ。

歌もダンスも、想像していたほど「そろえよう」という意識が感じられず、むしろ基本線を押さえていればあとはそれぞれの個性で表現していたように感じた。芝も早水も、のっけからリミッター解禁状態で、思いっきり声を出していたのでそれは聴いていて実に気持ちよかった。もちろんえりかも同様だ。作品、特に夢から醒めた夢では舞台をぶちこわしにしてしまうのでそんなに声を張り上げないでくれー、と心の中で叫んでいたが、こういうバトルロイヤル状態の舞台ではそれが強みになる。それに比較的ナチュラルな衣装やメイクだと、ちょっとかわいいじゃん、と思ったのも事実だ。この舞台の演出家でもある加藤敬二のアニキも、舞台上ではあくまでいちダンサーとして、のびのびと好きなように踊っていたように見えた。

ちょっと元気のなかったのが高井治。芝、早水、井上、えりかと大声ダイヤモンドな人たちの中で、唯一遠慮がちに歌っていたように聞こえた。本公演でもかつての美声にややかげりが見えており、やはりコンディションが良くないのだろうか。もう声だけではやっていけない、と役者としての幅を広げようと様々な舞台にチャレンジしているのなら大いに結構だが、カーテンコールの「アイ・ガット・リズム」で小太鼓を叩く様子は、まるで夢から醒めた夢のロビーパフォーマンスのようで、ちょっと痛々しかった。高井部長、というのも見たい気はするが。

この日の公演自体は、舞台裏のばたばたぶりがかなり客席にも見えてしまって、やや精彩を欠いていたように思う。そのあたりは、ロングランでこなれていくのだろう。

ショウ全体としては、一幕はさまざまな趣向で大いに楽しませてくれるのに比べ、二幕の演出はやや平板で、正直ちょっとダレる。個人的にはスターライト・エクスプレスで一気に高まったが、そうでないとフィナーレまでなんとなくぼーっと見てしまうかもしれない。

まあ全体的に見れば率直に言って非常に楽しかったのだが、とりあえず発表されている4カ月も持つかな?とも感じる。かなり意欲的にさまざまなものを詰め込み、多くのことに挑戦している意気込みは買う。ものすごく買う。すばらしいと思う。しかし、やはり歌とダンスだけで2時間半も見せるには、さらに多くの刺激、驚き、感動が必要かもしれない。非常にぜいたくな要求であることは百も承知なのだが。加藤自身も、実はもっといろんなことをやりたかったのに違いない。マウンテンバイクを小道具として使うのを目玉にしたかったようだが、結局本編への導入は見送りになってしまった(幕間のアトラクションに使うという話もあったが、すいませんトイレに行ってて未確認)。ほかにも、妥協したことが数多くあったのに違いない。

逆に4カ月もやるのだから、その中でよりいいショウになっていく可能性は十分にある。キャスト変更も楽しみだ。でもキャスティングされている娘役っぽいのが秋夢子しか見当たらないんだよなー。いや、夢子も好きなんだけど、いるでしょうが、もっと他にも!

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「ソング&ダンス~55ステップス~」のホームページ

http://www.shiki.gr.jp/applause/songdance55/index.html

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コメント

私も初日観てきました!
いやー芝さんの「星のさだめ」と「祖国」が素晴らしかったです!
実際にはありえないキャスティングだからこそ、ここで観ることができて本当によかったです。
配達人もやってほしいです!

投稿: 凛 | 2008年10月 5日 (日) 16時10分

こんにちは。

今日観てきました。4作とも観ているので、いろいろ思うところもありましたが、楽しかったです。

確かにもう少し時間をかけて準備したかったのではと思います。それができないのが今の四季なんでしょうね。

加藤さんのザズが意外にはまっていて笑えました。いつまで出てくれるんでしょう?間に合ってよかったです

投稿: 千尋 | 2008年10月 5日 (日) 17時34分

凛さんこんにちは。

今回の公演は、芝ファンにはたまらない中身ですね。結局全国のジーザスは演じず、こちらに専念するのでしょうか?

1回観た感じでは、これ芝抜きだと成立しないようにも感じました。

投稿: ヤボオ | 2008年10月 6日 (月) 01時56分

千尋さんこんにちは。

確かに!加藤アニキいい味出してましたね。キャッツにもまた出て欲しいですが、ライオンキングで見てみたい気がします。

この形式だと、いつも以上に「誰が出るのか」が気になりますよね。こればかりは代表様も「役者ではなく作品を見ろ」とは言えないでしょう。

投稿: ヤボオ | 2008年10月 6日 (月) 01時59分

こんにちわ!ぼくも初日見に行ってました(金髪の方は見ませんでした)
芝さんの唄をどっぷり聞きたい派なので大満足でした。
あの派手なセットで唄う姿にボクも笑いました。が、またそれが芝さんらしいかと、、、
あと最近好きな斉藤美絵子さんのバレエ姿が見れてととても良かったです! 

投稿: kuffskuffs | 2008年10月 6日 (月) 23時11分

kuffskuffsさんこんにちは。

確かにあのバレエはよかった。私彼女のヴィクトリア見たことないんですが、ぜひ一度見たいものです。

あのマツケン芝は伝説になりますね。ぜひDVD出してほしいところです。買うと思います。たぶん。

投稿: ヤボオ | 2008年10月 7日 (火) 00時30分

こんにちは。残念ながら初日はGETならず日曜に観ました。
芝さんをマツケンに例えるとは…さすがです。

私は、高井センセの小太鼓を持つ姿が、食いだおれ太郎のようで一人ウケてました。
チムチムチェリーではコケるんじゃないかとヒヤヒヤでしたが(笑)

今度どのように変わっていくのか、いつまで続くか、関西へは行くのかなど、展開が楽しみですね。
DVD良いですね、早見さんの李香蘭(チャイナドレス)も入ってたら、私買います予約して。


投稿: らべたん | 2008年10月 9日 (木) 04時25分

らべたんさんこんにちは。

食いだおれ太郎、に…似てる…。動きがぎこちないところも含めて。

いつか等身大のカッコ悪いオジサンを演じて欲しいですね。きっと最高にカッコいいと思います。

55ステップス、どんどん変わっていって欲しいっす。ターザンも聞きたいし。

投稿: ヤボオ | 2008年10月10日 (金) 00時41分

なんか消化不良気味だ。55周年と名打ってるのなら、いっそのこと、主題歌集にしてほしかった(ミュージックフェアーのように)私はまだまだ四季ファンの修行が足りないのか・・?早見さんが天童よしみに、斉藤美絵子さんが村主文枝に見えた。あと、斉藤洋一郎さんが井上芳雄にそっくりで見とれてしまったぁ~。あっ、人間の福井さん初見でしたが彼のボチさんが観て見たい!

投稿: カズ | 2008年10月30日 (木) 18時09分

カズさんこんにちは。

確かに中途半端に作品の世界観を引きずるなら、いっそそのまんまやったほうが、という見方もできると思います。

そうか、芝outで福井ユダなんですね!それはJCS本公演で観たいなあ。もちろんジーザスは芝で。芝ジーザスに福井ユダだと、キリスト教は別の宗教になってしまう気もしますが。

投稿: ヤボオ | 2008年10月31日 (金) 00時40分

初演からずっと、全国行脚について回った私的には
…ただの焼き直しでした。
見ていて辛かった。
もう見たくないけど、もう1枚取ってる…辛い。

投稿: じょり | 2008年11月12日 (水) 19時26分

じょりさんこんにちは。

なるほど初演からあんまり変わってないんですか。
作品ではなく役者を見て楽しむレベルまで行っていればよいのですが。

つらいチケットは譲渡サイトで流通させては?

投稿: ヤボオ | 2008年11月12日 (水) 23時27分

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