四季「ジーザス・クライスト=スーパースター」ひたちなか公演
ジーザス・クライスト | 金田俊秀 |
イスカリオテのユダ | 金森 勝 |
マグダラのマリア | 高木美果 |
カヤパ | 金本和起 |
アンナス | 吉賀陶馬ワイス |
司祭1 | 阿川建一郎 |
司祭2 | 手島章平 |
司祭3 | 飯田達郎 |
シモン | 本城裕二 |
ペテロ | 賀山祐介 |
ピラト | 青井緑平 |
ヘロデ王 | 星野光一 |
昨年の東京・京都公演で評判の良かった金森 勝(キム スンラ)のユダ。当時は芝清道ジーザス降臨の可能性もあったので、それが出てきたときに一緒に観にいこうーーっ、と思っていたら結局出なかったため、スンラユダも結局観られずじまいだった。キムスンラといえば自分と同じ茨城の出身。ご当地キャストのこの公演をひとつ観てやろうじゃないか、というわけで急遽参戦決定。
ひたちなか市、というのは勝田市と那珂湊市が合併してできた市であり、このひたちなか市文化会館ももとは勝田市文化会館だったはずだ。初めて来たけどずいぶん立派な施設である。勝田市といったら日立製作所。この建設を請け負ったのも日立グループらしい。なるほど、そういうことか。自分をはじめ、水戸の人間は勝田を下に見ていたきらいがあるが、日立をかかえる勝田のほうがよっぽど裕福だったわけだ。いまや水戸の財政状況は相当厳しいものになっており、茨城町から合併を拒否される始末。えらそうにしていてすまんかった。
ロビーで時間をつぶしていると、よくありがちなさまざまな祭事のチラシを置いてあるカタログラックがあるが、その中にさりげなく茨城原子力協議会の広報誌「あす」が置いてあるあたりが実にこのエリアらしく、ほのぼのとしてくる。わけない。
ぜんぜん本題に入れない。来る途中も、車内で「少女隊ベスト」なんか聞いていたため、すっかり頭の中が80年代になっていて、本気でジーザスを観ようという気構えになれない。何しろ勝田といえば、高校のときに好きだった子が……いや、その話はやめとこう。
さて。今回の注目スンラユダ。なるほど、こりゃあ熱い。ジーザスに寄せる思いが、ひりひりするほど伝わってくる。この作品では最も重要なところだ。それが伝わらないと、なぜユダがジーザスを裏切ったか感覚的に理解できない。パワフルな歌で魅せる芝ユダに対し、こちらは情熱的な演技で魅せるユダだ。そのジーザスへの思いは一途であり、ひたむきであり、いじらしくもある。それだけに、終盤ユダのあわれさには涙を誘われる。「スーパースター」ではもっとはじけても良かった。そうしてくれないと、ユダがかわいそう過ぎて笑顔で劇場を後にできないじゃないか。
そしてそのジーザスを演じるのが、最近「エビータ」のチェや「キャッツ」のラム・タム・タガーなど重要な役への抜擢が続く金田俊秀。ぱっと見実にカッコいいジーザスだ。しかしそれ以上に歌がすばらしい。「ゲッセマネ」は、サビの部分でかつてロンドンで観たときの役者と同じぐらい声を伸ばしていた。伸びたからどうだ、というものではないが、やはりここは思わず客席から拍手が起きるぐらい伸ばしてほしいのが自分の本音だ。海外では途中休憩をはさむ形で上演されており、ここで1幕が終わる。それだけ大きな見せ場なのだ。
まだ演技は荒削りで、柳瀬大輔の繊細なジーザス像には遠く及ばない。だが、演技は荒いがパワーを感じさせる、という意味では、どこか山口祐一郎のジーザスをほうふつとさせるものがある。今後に期待だ。
ほかのキャストも、全体的にみな歌がうまく、この作品の音楽性の高さを改めて実感することができた。逆に演技力に関してはユダ以外全体的にもう少しだったが、歌の力でそれを十分に補い、大きな感動を生んでいたと思う。今さらながら、ミュージカルって歌なんだなあと感じた次第。また、この日は日本生まれの日本育ちであるキムスンラは別として、非常に外国人比率の多い陣容だった。しかし、それによるセリフの聞き取りずらさなどは全く感じなかった。自分は外国の俳優に日本風の名前を名乗らせることには今も反対だが(外国人の起用には反対しない)、この日四季を初めて、あるいはひさしぶりに観た人の多くは、外国人が出演していたことに気づかなかったと思う。
かなり満足度が高かったので、また別の地方にも足を伸ばしてみようと思う。ちょっと今回は地元だったので青春プレイバックになってしまいあまり集中できなかった。まあ青春と呼べるような時代はなかったけどな、俺の場合。
ジーザス・クライスト=スーパースターのホームページ
http://www.shiki.gr.jp/applause/jesus/
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コメント
ひたちなかは昔から四季の誘致には熱心でしたね。
「なんでこの地に良キャストが揃うんだ?」と不思議に感じましたが、建物も管理もしっかりしてたかも。
職員にコアな四季ファンの方がいて、熱く語ってくれたのを思い出しました。青春時代の良き思い出です。
私は大阪で、新ラウルを観て来ました。というか、当たってしまいました。
投稿: らべたん | 2008年10月26日 (日) 09時18分
ヤボオさんのエントリーに触発されてジーザス見に行きたくなりました。
私の場合、地域的に横須賀ぐらいしか選択肢がありませんが。
水戸といえば10年ぐらい前に遊びに行きましたが、ラーメン屋さんで普通にのり巻きや団子も売っていて、意外と文化的な違いがあることを知りました(そのお店だけなのか?)。
ところで、昨日放送のNHKBSの「BS永遠の音楽 叙情歌大全集」に子供の友達がバックダンサー(?)で出るというので見てたら、堀内敬子さんのバックだったのでビックリ。
ソロで1曲、ペギー葉山・西田ひかると「ドレミの歌」を歌っていました。
関係ないコメントですいません(._.)
投稿: にょん | 2008年10月26日 (日) 10時00分
こんにちは。最近JCSはご無沙汰しています。四季に最初にはまったのは山口ジーザス&沢木ユダのJCSでしたので、金田さんのジーザス機会があれば拝見したいです。
芝さんがS&Dから抜けそうです。JCSに行かれるのでしょうか?
沢木ユダにはまったので、芝さんのユダは正直苦手でした。金森ユダは残念ながらまだ観ていません。
でも、今回芝さんの保科・ラダメスを観て、今の芝ユダやジーザスなら観てみたい気がします。
それにしても、あの芝さんオンステージ状態の後で、福井さんがどう演られるのか、楽しみなような心配なような
投稿: 千尋 | 2008年10月26日 (日) 11時27分
んぎゃっ!ヤボオさんもいらしてたんですね!!
ヤボオさん初見のユダがここでも好評で嬉しいです。私は有給休暇と仮病を駆使しながら初日の新百合、長野、宇都宮、前日の郡山そしてひたちなかと巡礼し前半戦を終えました。正直初日はガチガチの新キャストに観ているこちらがドキドキしてしまって感動どころではありませんでしたが、長野以降の進化には驚くばかりです。涙を流しながら「ゲッセマネ」を歌う金田ジーザスの今後が楽しみになりました。
「スーパースター」、全国公演はどこの会場も大きな振りをする度ゴンドラがぐらぐら揺れ、なんとなく常にどこかに掴まりながら歌っている感じのユダが可笑しかったのですが、郡山から直立になり動きが小さくなってました。。
それにしてもヤボオさん、美味しそうなランチ!!私はやたら濃い味のラーメンですませてしまいました。
投稿: サーディ | 2008年10月26日 (日) 14時06分
らべたんさんこんにちは。
ほう、ひたちなかの会館にはそんな人がいるんですか!興味深い話です。
新ラウル、観たくないような観たくないような。でもファントムやクリスティーヌが動いたら、いずれ観ることになるでしょう。
投稿: ヤボオ | 2008年10月26日 (日) 21時36分
にょんさんこんにちは。
えっ食堂で団子や稲荷寿司を売っているは茨城独自のビジネスモデルだったんですか!全国共通だと思っていました・・・。
そういえば、他の地方ではあまり見かけないような。
堀内敬子@サウンドオブミュージック、超観たいです。ぜひ四季に戻ってきてほしいです。なんならS&Dですぐにでも!
投稿: ヤボオ | 2008年10月26日 (日) 21時44分
千尋さんこんにちは。
沢木ユダ、良かったですねえ。私も沢木ユダが四季に、というよりミュージカルにはまったきっかけのひとつでした。
福井S&Dも観に行かなくては!個人的には、どちらかというと仙台に行ってビーストでもやってほしかったんですがね。
投稿: ヤボオ | 2008年10月26日 (日) 21時48分
サーディさんこんにちは。
関東甲信越制覇とはすばらしい。確かに新キャストはその変化を見る楽しみがありますね。
ひたちなか、つい行ってしまいました。先日このコメント欄に浜乃納屋のことを書いたら、ひさしぶりに行きたくなってきたので高速ひとつ手前で降りてみました。うまかったす。
投稿: ヤボオ | 2008年10月26日 (日) 21時51分