« AKB48 チームA 4th Stageリバイバル「ただいま恋愛中」千秋楽公演 大江・駒谷・戸島・中西・成田卒業 | トップページ | 劇団ゲキハロ第4回公演「携帯小説家」 前半は本年度ベストプレイ »

2008年10月13日 (月)

「CHICAGO」日本人キャスト公演 意外に・・・?

ヴェルマ・ケリー 和央ようか
ロキシー・ハート 米倉涼子
ビリー・フリン 河村隆一
ママ・モートン 田中利花
エイモス・ハート 金澤 博
メアリー・サンシャイン H.MASUYAMA
フレッド・ケイスリー 他 大澄賢也
フォガーティ巡査長 他 中尾和彦
リズ 他 森実友紀
アニー 他 原田 薫
ジェーン 他 濱中優美
ハニャック 他 白木原忍
モナ 他 宮菜穂子
キティ 他 杵鞭麻衣
ハリー 他 神谷直樹
ドクター、ハリソン 他 坂本 まさる
アーロン 他 大谷 健
判事 他 中尾和彦
廷吏 他 坂元宏旬
陪審員 他 黒須洋壬
スウィング

那須幸蔵、仙名立宗、鴨志田加奈、
石塚智子、ごんどうけん

「ロス疑惑」の主人公、三浦和義氏が自ら命を絶った翌日、殺人事件を踏み台にしてスターダムにのし上がっていく女たちを描いたハードでブラックでスタイリッシュなミュージカルの傑作「CHICAGO」を観る。

CHICAGOの日本人キャスト公演が発表されたとき、世間の反応は不安6割、期待4割ぐらいだったろうか。そして主演が米倉涼子と聞いて、おそらく8割ぐらいの人はズッコケたと思う。自分もそうだった。

とはいえ、この作品が1996年にリバイバルされて大ヒットとなってからは初めての日本人による上演だ。オリジナル版の日本人による上演(草笛光子や鳳蘭などが出演した)はもちろん見ていない。とりあえず、どんなことになるのか観てみたいと思い、赤坂の新・ACTシアターへ。

旧ACTシアターは「赤坂ミュージカル劇場」として誕生、劇団四季が「美女と野獣」「オペラ座の怪人」を上演したのち撤退し、その後ACTシアターと名前を変えた。そしてオフ・ブロードウェーに衝撃を与えたアルゼンチン出身の宙吊りパフォーマンス集団「デ・ラ・グアルダ」の公演を最後に取り壊され、このACTシアターは2代目となる。もともと大きな劇場だったが、縦にも横にも広い、これまたかなり大型の劇場である。造りも旧ACTシアターに比べればだいぶしっかりしている。客席の椅子の間隔などはまあ普通。ロビーは狭い。トイレの便器は最新機種が導入されているが、なぜか石鹸がない。

ここでパンフレットをぱらぱらとめくってびっくりした。実は、米倉涼子はてっきりヴェルマを演じるものだと思っていたから。なるほど、ロキシーならヴェルマほどの難易度はないからさほど心配はしなくていいかも。もっともそれはそれでキャラ違い、という気もするが、ヴェルマやロキシーは比較的自由度の高い役で、演じる人によって印象はだいぶ異なる。ブロードウェーで観たとき、ロンドンで観たとき、何度か来日したツアー版、みな異なるヴェルマ&ロキシーだった。だからそれもさほど気にする必要はない。そしてヴェルマを演じるのが和央ようかだ。彼女が「ファントム」に出演していたとき、評判を聞いてチケットを入手したのだが体調が悪くて行けなかった記憶があるが、やっとその姿を見ることができる。

幕が上がり、舞台中央にでんと構えるバンドマンたちが登場。そしてさっそく和央演じるヴェルマが登場すると、客席が大きな拍手が。この日の客のかなりの割合が宝塚ファンで占められていることは、開演前からなんとなく雰囲気で察していたところだ。男役で磨いた艶のある歌声としなやかな身のこなし。これまで観た中で、最も「凄味」のようなものを感じる迫力のあるヴェルマだ。これはいい。

そしてほどなく米倉のロキシーが出てくる。やや似合っていないカツラに、少々上滑りな演技で、あーこりゃ駄目かな、と直感した。しかし、その直感は外れた。舞台が進み、ロキシーがちやほやされて調子に乗ってくるにつれ演技もどんどん調子に乗ってきて、思わず手を差し伸べずにはいられない、ロキシーの特有存在感を強烈に発し始める。途中セリフを噛んだりもしたが、役に成りきっているからかあまり気にはならない。歌やダンスもなんとかこなしている。

そして出色の出来だったのが河村隆一のビリーだ。このキャストを聞いたときから、これは面白くなりそうだ、と期待していた。やることなすことすべてがインチキの悪徳弁護士。これまで観たビリーよりはちょっと若いけれど、河村隆一はその歌声も含め、非常にインチキなムードが漂っているからだ。そして、その期待に見事に応えてくれた。出てくるそばから華やかさとインチキなオーラ全開で、観客の目線を独り占めだ。そして、歌うときに歌詞をとても丁寧に発音する人だとは思っていたが、それはセリフも同じで、早口で大量の口上を述べ立てるときも非常にカツゼツが良く、とても聞き取りやすい。口八丁で新聞記者たちを手玉に取るビリーの見せ場「We both reached for the gun」は米倉のキュートなマリオネット演技もあり、最高に楽しい場面に仕上がった。

アンサンブルには森実友紀の名前が。彼女が出るならもっと前の席を確保するんだったと後悔。もう四季に戻ってアリを演じてはくれないだろうが、こういう注目作に出ることでどんどんステップアップしていってほしい。その友紀ちゃんを始め実力のある役者が集まったようで、ヴェルマたちが自分の悪行を自慢げに歌う「Cell Block Tango」は実に見応えがある。

全体として、自分にとっては大いに満足のできるものとなった。これなら大阪公演や凱旋公演も含めて、あと何回か観てみたいと感じた。歌やダンスといった技術に厳しい人なら、そこまでの評価はできないだろう。しかし、「CHICAGO」という作品の楽しさが十分に伝わってきたのが嬉しかった。ただ、その楽しさを支えるビターな味わいがもう少し加わると、全体としてもう少しコクが出てくるはずだ。

ブロードウェーやウエストエンドで観たものと比べたら、それはまだまだ比べ物にならない、と言うしかない。しかし、少なくとも、ひんぱんに来日するツアー版と比べたら、自分はだんぜんこの日本人キャスト公演を推す。ツアー版ももちろんいい。しかし、時として役者のやる気のなさが垣間見えることがある。最初にツアー版が来日した東京厚生年金会館での公演は自分にとっても思い出のあるものだが、そのあとしばらくして劇団四季の会報誌「ラ・アルプ」で当時四季の国際担当だった安部寧が「フォッシー・スタイルの何たるかを全く理解していない」と酷評していた。そこまで言わんでも、という気もしたが、専門家の目から見ればそういう面もあるのだろう。もちろん、この日本人公演でそれが出来ているとは言い切れないが、この作品の面白さ、魅力をキャストたちが十分に理解し、それを観客に伝えようという意気込みがはっきり伝わってきた。

ところで、この作品の主役は誰だろうか。映画版はロキシー視点で描かれていたから主役はロキシーだが、実は観たときの印象で、主役はヴェルマだったりロキシーだったりする。自分がこの作品を初めて観たのは、ロンドンで開幕した直後だった。ブロードウェーでの大ヒットを受け、鳴り物入りでスタートしたこのウエストエンド公演では、主役に歌手としても有名なウテ・レンパーを迎え、劇場には巨大な彼女の懸垂幕が掲げられた。そしてその期待に200%応えた彼女の演技はすさまじいもので、会場内は爆笑と拍手に包まれた。だから当然、自分はこの作品の主役はヴェルマだと思っていた。

しかし、同時期にこれをブロードウェーで観た友人に聞くと、主役はロキシーだという。そして来日ツアーを観るたび、主役はロキシーにもヴェルマにも見える。

つまり、この舞台では前に出たもの勝ちで主役になれるのだ。脇役も、あるいはバンドマン、指揮者までもが、とにかく前に前に出で視線を掠め取ろうとする。それがCHICAGOの魅力である。今回、ヴェルマとロキシーは見事に釣り合って、両方が主役に見えた。しかし、これは恐らく和央が米倉に合わせているのだ。ぜひ、和央ようかには周りを気にせず、全力でこの舞台を奪おうとしてほしい。今回見た限り、米倉涼子はそれをやすやすと許すタマではなさそうだ。その全力モードの和央を前に米倉が舞台女優として一段階カラを破ると、この公演はさらに充実したものになるに違いない。決して長い公演期間ではないが、その奇跡が起きることを心から願いたい。

「CHICAGO」のWEBサイト
http://www.chicago2008.jp/

|

« AKB48 チームA 4th Stageリバイバル「ただいま恋愛中」千秋楽公演 大江・駒谷・戸島・中西・成田卒業 | トップページ | 劇団ゲキハロ第4回公演「携帯小説家」 前半は本年度ベストプレイ »

コメント

是非あなたに「から騒ぎ」という公演を観ていただきたい。
男しか出ていませんが…

投稿: みな | 2008年10月15日 (水) 15時11分

みなさんこんにちは。

前に「お気に召すまま」のチケット持ってましたが体調悪くなっていけなくなったことがあります。男しか出ていなかったから拒否反応が出たのだと思います。

投稿: ヤボオ | 2008年10月15日 (水) 23時00分

草笛アルドンサ、50年位前に、帝劇初演、登場した草笛さん、この人、命張ってると思った凄まじいアルドンサで、浜木綿子さんも、負けじと、命張ってると思った凄まじいトリプルアルドンサで、30回はみました。50年は舞台見てきたが、初演アルあドンサの凄まじさ、私の舞台ナンバ-1です。月に5回は舞台観ますが、初演アルドンサを越える舞台はありません!

投稿: 宇治田敏昭 | 2019年6月 2日 (日) 23時01分

草笛アルドンサ、50年位前に、帝劇初演、登場した草笛さん、この人、命張ってると思った凄まじいアルドンサで、浜木綿子さんも、負けじと、命張ってると思った凄まじいトリプルアルドンサで、30回はみました。50年は舞台見てきたが、初演アルあドンサの凄まじさ、私の舞台ナンバ-1です。月に5回は舞台観ますが、初演アルドンサを越える舞台はありません!

投稿: 宇治田敏昭 | 2019年6月 2日 (日) 23時01分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「CHICAGO」日本人キャスト公演 意外に・・・?:

« AKB48 チームA 4th Stageリバイバル「ただいま恋愛中」千秋楽公演 大江・駒谷・戸島・中西・成田卒業 | トップページ | 劇団ゲキハロ第4回公演「携帯小説家」 前半は本年度ベストプレイ »