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2008年10月25日 (土)

四季「ジーザス・クライスト=スーパースター」ひたちなか公演

ジーザス・クライスト 金田俊秀
イスカリオテのユダ 金森 勝
マグダラのマリア 高木美果
カヤパ 金本和起
アンナス 吉賀陶馬ワイス
司祭1 阿川建一郎
司祭2 手島章平
司祭3 飯田達郎
シモン 本城裕二
ペテロ 賀山祐介
ピラト 青井緑平
ヘロデ王 星野光一

昨年の東京・京都公演で評判の良かった金森 勝(キム スンラ)のユダ。当時は芝清道ジーザス降臨の可能性もあったので、それが出てきたときに一緒に観にいこうーーっ、と思っていたら結局出なかったため、スンラユダも結局観られずじまいだった。キムスンラといえば自分と同じ茨城の出身。ご当地キャストのこの公演をひとつ観てやろうじゃないか、というわけで急遽参戦決定。

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ひたちなか市、というのは勝田市と那珂湊市が合併してできた市であり、このひたちなか市文化会館ももとは勝田市文化会館だったはずだ。初めて来たけどずいぶん立派な施設である。勝田市といったら日立製作所。この建設を請け負ったのも日立グループらしい。なるほど、そういうことか。自分をはじめ、水戸の人間は勝田を下に見ていたきらいがあるが、日立をかかえる勝田のほうがよっぽど裕福だったわけだ。いまや水戸の財政状況は相当厳しいものになっており、茨城町から合併を拒否される始末。えらそうにしていてすまんかった。

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ロビーで時間をつぶしていると、よくありがちなさまざまな祭事のチラシを置いてあるカタログラックがあるが、その中にさりげなく茨城原子力協議会の広報誌「あす」が置いてあるあたりが実にこのエリアらしく、ほのぼのとしてくる。わけない。

ぜんぜん本題に入れない。来る途中も、車内で「少女隊ベスト」なんか聞いていたため、すっかり頭の中が80年代になっていて、本気でジーザスを観ようという気構えになれない。何しろ勝田といえば、高校のときに好きだった子が……いや、その話はやめとこう。

さて。今回の注目スンラユダ。なるほど、こりゃあ熱い。ジーザスに寄せる思いが、ひりひりするほど伝わってくる。この作品では最も重要なところだ。それが伝わらないと、なぜユダがジーザスを裏切ったか感覚的に理解できない。パワフルな歌で魅せる芝ユダに対し、こちらは情熱的な演技で魅せるユダだ。そのジーザスへの思いは一途であり、ひたむきであり、いじらしくもある。それだけに、終盤ユダのあわれさには涙を誘われる。「スーパースター」ではもっとはじけても良かった。そうしてくれないと、ユダがかわいそう過ぎて笑顔で劇場を後にできないじゃないか。

そしてそのジーザスを演じるのが、最近「エビータ」のチェや「キャッツ」のラム・タム・タガーなど重要な役への抜擢が続く金田俊秀。ぱっと見実にカッコいいジーザスだ。しかしそれ以上に歌がすばらしい。「ゲッセマネ」は、サビの部分でかつてロンドンで観たときの役者と同じぐらい声を伸ばしていた。伸びたからどうだ、というものではないが、やはりここは思わず客席から拍手が起きるぐらい伸ばしてほしいのが自分の本音だ。海外では途中休憩をはさむ形で上演されており、ここで1幕が終わる。それだけ大きな見せ場なのだ。

まだ演技は荒削りで、柳瀬大輔の繊細なジーザス像には遠く及ばない。だが、演技は荒いがパワーを感じさせる、という意味では、どこか山口祐一郎のジーザスをほうふつとさせるものがある。今後に期待だ。

ほかのキャストも、全体的にみな歌がうまく、この作品の音楽性の高さを改めて実感することができた。逆に演技力に関してはユダ以外全体的にもう少しだったが、歌の力でそれを十分に補い、大きな感動を生んでいたと思う。今さらながら、ミュージカルって歌なんだなあと感じた次第。また、この日は日本生まれの日本育ちであるキムスンラは別として、非常に外国人比率の多い陣容だった。しかし、それによるセリフの聞き取りずらさなどは全く感じなかった。自分は外国の俳優に日本風の名前を名乗らせることには今も反対だが(外国人の起用には反対しない)、この日四季を初めて、あるいはひさしぶりに観た人の多くは、外国人が出演していたことに気づかなかったと思う。

かなり満足度が高かったので、また別の地方にも足を伸ばしてみようと思う。ちょっと今回は地元だったので青春プレイバックになってしまいあまり集中できなかった。まあ青春と呼べるような時代はなかったけどな、俺の場合。

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ジーザス・クライスト=スーパースターのホームページ
http://www.shiki.gr.jp/applause/jesus/

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浜乃納屋で釜飯と味噌汁

急に「ジーザス・クライスト=スーパースター」ひたちなか公演を観る事ににした。四季発売分は売り切れというので、会場に連絡してみるととても丁寧に対応してくれて、自分好みの席を1枚確保できた。

自分の住んでいる柏からは、フレッシュひたちで1時間の乗り換えなしで行けるので、どう考えても電車で行ったほうがラクチンだが、愛車のバッテリー上がり対策もあり車で行くことに。もっともこちらも、柏インターから常磐高速→北関東自動車道→東水戸道路で空いていれば1時間半ほどで行ける。

ひたちなかICで降りるのが近いはずだが、その前に飯を食っていこうと思い水戸大洗で降り、2年ぶりぐらいに大洗の「浜乃納屋」へ。

ここは味噌汁と釜飯をメインにした店で、なかなかの人気店だ。昼時はとても混んでいる。

この日はいわしのつみれの味噌汁と、あわびの釜飯を選択。釜飯はできるまで30分ほどかかるので、それまでサイドメニュー(味噌汁はメインです)を食べて待つ。仲間と来たときには、冗談のように大きい「ジャンボかき揚げ」を頼むところだが、これは4人がかりでもきついという冗談にならないボリュームなので今回はパス。いつも頼んでいる刺身の盛り合わせをオーダーする。

刺身の盛り合わせ。量的にも値段的にも、2~3人で食べてちょうどいいぐらい。

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きっかり30分ほどで、釜飯と味噌汁が出てきた。

釜飯は、あわびそのものよりもご飯のほうがうまい。あわびの上品な味わいを、米が炊き上がるプロセスの中でしっかりと吸収しているからだ。何かと一緒に炊くことで、ご飯をうまくするのが釜飯という料理だという基本的なことを再認識させてくれる。つみれの味噌汁はいつもうまい。

窓の外には大洗の海。たいてサーファーたちの姿が見える。

浜乃納屋の情報(Yahoo!グルメ)

http://gourmet.yahoo.co.jp/0003560693/M0008000210/

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AKB商法とかとか

AKB48の新曲「大声ダイヤモンド」発売。当然のごとくおなじみの売り上げドーピング、握手会が催される。

今回はシングル1枚買うと好きなメンバーひとりと握手ができるというもので、「桜の花びらたち2008」のときのように、グループ全体と握手するパターンよりも人気があるという。多少は会話のできる余裕があるからだ。

しかし1人につき1枚。正式メンバー(直近の卒業生6人を含む)、研究生全員と握手するには67枚も買わなくてはならない。ましてSKEのメンバーまで手を伸ばしたら90枚に膨れ上がる。これはさすがにキツイ。

というわけで、ここは大人の分別を見せ6枚だけ購入。なんで同じシングル何枚も買わなきゃいかんのか、という疑問がさしはさまれる余地は俺の脳内にはありゃしない。

俺が誰と握手したか正解した人には、「大声ダイヤモンド」のCDを1枚プレゼント!今なら「桜の花びらたち」もつけちゃいます。

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2008年10月18日 (土)

劇団ゲキハロ第4回公演「携帯小説家」 前半は本年度ベストプレイ

片瀬真琴 梅田えりか(℃-ute)
浅丘清香 矢島舞美(℃-ute)
竹下広海 中島早貴(℃-ute)
栗原彩音 鈴木愛理(℃-ute)
秋吉久美 岡井千聖(℃-ute)
京 伊織 萩原 舞(℃-ute)
樫山小巻 有原栞菜(℃-ute)
吉原健三郎 あいざわ元気
吉原田ゆり 村上東奈
光本誠也 久保木秀直(大人の麦茶)
岸慶子 眞賀里知乃(大人の麦茶)
藤村俊平 谷中田善規(散歩道楽)
携帯小説の登場人物 郷志郎、椎名茸ノ介、植木まなぶ、
キムユス、ヒルタ街(すべて散歩道楽)

惜しい。実に惜しい。前半は今年のベスト・プレイになりそうな素晴らしいものだった。後半のやや凡庸な展開のために、全体的には佳作どまり、といった舞台である。

Hello! Projectと小劇場系劇団とのコラボレーション企画「ゲキハロ」の第4回公演。今回は℃-uteと「散歩道楽」がタッグを組む。作・演出は散歩道楽を立ち上げた太田善也が担当している。太田は高橋愛ほかが出演したネット配信ミニドラマ「おじぎ30度」の舞台化やメロン記念日主演の舞台化も手がけており、ハローとの縁は深い。

それにしても興行的にはさほどうまみがないと思われるこの地道な取り組みをハローはなぜ継続しているのか。その真意は不明だが、ともすればマニアックになりがちな演劇の世界を、ふだん芝居など観ない層が触れるきっかけになっていることは間違いなく、今後も大いに頑張ってほしいものだ。

今回の話は「ケータイ小説」の作者である7人の少女が主人公。7人が共同ペンネーム「夢野美鈴」を名乗り作り出した「サムライ☆ベイビー」は大ベストセラーとなった。その第二弾を出すことになり、これまでケータイサイト上でしか会ったことのなかった7人が始めて顔を合わせる。すると急に話がかみ合わなくなり、創作は行き詰まってしまう。中心人物である清香は何とか物語をまとめようと、かつてファンレターの返事をもらった文豪・吉原健三郎にアドバイスをもらうため、山奥にある彼の書斎を訪れる…。

文学や社会学の文脈でさかんに議論されている「ケータイ小説とは何なのか」という命題に正面から取り組んでいる。これはまた難しいテーマに足を突っ込んだものだ。だがちょうど仕事がらみで自分もこれを考え始めていたところだったので個人的には実にタイムリーでもあった。

冒険小説並に主人公を重大事件が次々と襲い、レイプ、援交、リストカットがお約束のように織りこめられるケータイ小説。それが「面白い」という理由でヒットするなら分かるが、興味深いのは多くの読者がそこに「リアリティー」を感じている、という点だ。なぜそんな荒唐無稽なものがリアルと感じられるのかについては、ジャーナリストの佐々木俊尚氏がいくつかのコラムで紹介している考察がよく知られているが(http://japan.cnet.com/blog/sasaki/2007/12/20/entry_25003250/)、それによればケータイ小説の支持層の多くは大都市圏よりも地方に住む若者たちであり、彼女らにとってはレイプも援交もリストカットも決して遠い世界の話ではないのだそうだ。それは確かに説得力があるのだが、どうもそれだけでは現象としてのケータイ小説を説明しきれないような気がする。そこにはやはりケータイというメディアの特性がより深くかかわっているのではないか。そういう視点では、かつて国際大学グローバル・コミュニケーションセンター(GLOCOM)の研究員だった濱野智史氏の考察(http://wiredvision.jp/blog/hamano/200809/200809121600.html)に共感を覚えた。残念ながらブログ上ではその考察が途中で終わってしまっているのだが、まもなく出版されるその著書に納められるというのでぜひ読んでみたい。

これ以上深く突っ込んでいくと自分の頭が追いつかないところに行ってしまうのでここで踏みとどまっておくが、この舞台は冒頭からこの「ケータイ小説のリアリティー」に疑問を投げかけ、それを読み解いていこうとするのである。「ケータイ小説は文学か」といった、比較的考えやすい切り口ではなく、一番深いところにいきなり切り込んでいくあたりに、作者の意欲を感じた。

そして、前半の設定と演劇的手法がまた面白い。

まず設定についてだが、7人が共同で1つの作品を書くというのは非現実的かもしれない。しかし、多くのケータイ小説は、読者の反応を受けて展開を変えていく。ある意味マッシュアップ的な要素を本質的に含んでいるのだ。だから、この「7人で1人」というのも、それを象徴的に示すものと考えれば、あながちウソとも言えないのである。そして序盤の、実際に会ったら突然そのマッシュアップが機能不全に陥る、というのが面白い。ネットがリアルの代替ではなく、ネットならではの協調促進作用があることを端的に示している。これがおそらく「ケータイ小説のリアリティー」にもかかわっているのだと思われる。

そして手法の部分。前半、彼女らが何とか物語をつむぎだそうと悪戦苦闘する様は、このように描かれる。まず、℃-uteメンバーの誰かが自分の考えた物語を語り始める。そうすると、そこに登場する人物(散歩道楽の役者たち)が舞台上に出現し、芝居を始める。さりげなくその語り手である℃-uteメンバーも芝居の中に混じっていく。この間、他の℃-uteメンバーはそれを遠巻きに眺めている。調子よく話が進み、盛り上がってくると、今までそれを眺めていたメンバーの一人が「その時だった」と割り込んできて、自分の好きな方向性にいきなり話をねじまげる。それをえんえんと繰り返していく。

これは素晴らしい。ネットの世界を舞台でどう表現するかには、かつて武田真治主演の舞台版「電車男」もチャンレンジしたが、あのときよりもぐっとスマートに、そしてごく自然にネット世界を3次元化している。さらに、ケータイ小説の「自分自身をベースにしたフィクション」「主人公の心象も含め、突然展開が大きく変わる」といった側面を、見事に伝えている。

しかも、ここは完全にコメディータッチになっており、テンポのよさと℃-uteメンバーの息の合った演技にも支えられ、会場は爆笑に包まれていた。それがえんえんと30分近く続くのだ。こんなに笑った舞台は久しぶりである。

だが後半、大御所の小説家のもとを訪ねるくだりに入ってからは、急激にテンションが下がる。前半の演出が見事すぎたために、普通のシーンが実につまらなく思えてしまう、ということもあるかもしれない。物語の展開が陳腐なうえ、結局「ケータイ小説は文学か」という分かりやすい議論、さらには「ネット上の誹ぼう・中傷」「ケータイ普及によるコミュニケーション不全」といったところにまで欲張って手を伸ばしてしまったために消化不良に陥ってしまった。

ただ、最終的にはそうしたいくつかのテーマを投げかけながら、ケータイ小説やネット社会を否定も肯定もせず、すべてをありのままに「よし!」と受け止めて前向きに終わる。これは個人的には好きな結論のつけ方だ。しかし、どうも観客の反応を見ると、その現状肯定的な姿勢はうまく伝わらなかったようで、「説教くさい作品」というイメージで受け止められていた感じだ。

できれば、前半の手法を最後まで突き通し、その中で徹底的に「ケータイ小説のリアリティー」について考えさせる内容にしてほしかった。若年層が多く劇場にいることを想定して、より分かりやすい方向へテーマも物語もシフトしたのかもしれない。そう考えると、ぜひ作者には、前半の展開を膨らませた形で、この作品を完成させてもらいたいものだ。そうしたら、ハローのメンバーが出ていなくたって自分は必ず観に行くだろう。太田善也という人は力ある劇作家だと思う。今後の活躍に期待だ。

後半が残念だったのは、℃-uteメンバーの出番が非常に少ないということにも起因している。恐らく、直前までツアーを行っており、練習時間があまり取れないことも考慮し、後半は劇団員中心の展開にしたのかもしれない。そう考えるとますます残念だ。

℃-uteメンバーの演技はどうだったか。主役である矢島舞美の演技は完璧だ。発声はプロの役者にはまだ及ばないが、セリフにも動きにも全くソツがなく、安定感が抜群である。しかし、それは観る前から分かりきっていたことだ。矢島はどんな仕事にも、常に全力で真摯に取り組む。その姿には尊敬すら覚える。AKB48で言えば、高橋みなみと完全にかぶるキャラクターだ。そして、梅田えりかが面白いのも、鈴木愛理が可愛いのも、萩原舞が落ち着いているのも、やはり分かりきったことである。今回、注目すべきはなんといっても岡井千聖であろう。

もともと面白い子だとは思っていたが、彼女がすごいと思ったのは、テレビ東京で3月から10月まで放送された「ベリキュー!」の6月26日(25日深夜)放送の回を見たときだ。そのときはBerryz工房が罰ゲームで肝試しに参加し、℃-uteは驚かす側に回っていた。岡井は犬の気ぐるみを着て突然現れてびっくりさせる、という役だったが、当初他の出演者はこんな気ぐるみで誰が驚くか、と思っていたそうだ。しかし、彼女はいきなり四つん這いで現れるという予想外の動きをして、Berryz工房のメンバーのみならず、視聴者まで恐怖に陥れたのだ。

だから今回は最初からその動きに注目していた。そして、その期待に十分に応えてくれた。彼女の存在感は実に大きく、舞台に登場するだけで独特の空気を作る。表情も豊かで飽きさせない。後半、岡井は重要な役割を演じるが、やはりその才能を評価された結果に違いない。

普段はやや影の薄い中島早貴や有原栞菜も大いに輝いていた。これは脚本の力もあるのだろうが、改めて℃-uteのポテンシャルの高さを思い知らされた気分だ。

とにかく、前半の展開は演劇ファンにとっても℃-uteファンにとっても、あるいはケータイ小説というメディアに興味のある人にも、実に刺激あふれる素晴らしいものだ。公演はすぐに終わってしまうが、DVDもいずれ発売になると思うので、ぜひ確認してほしい佳作である。

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ハロー!プロジェクト公式WEBサイト
http://www.helloproject.com/

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2008年10月13日 (月)

「CHICAGO」日本人キャスト公演 意外に・・・?

ヴェルマ・ケリー 和央ようか
ロキシー・ハート 米倉涼子
ビリー・フリン 河村隆一
ママ・モートン 田中利花
エイモス・ハート 金澤 博
メアリー・サンシャイン H.MASUYAMA
フレッド・ケイスリー 他 大澄賢也
フォガーティ巡査長 他 中尾和彦
リズ 他 森実友紀
アニー 他 原田 薫
ジェーン 他 濱中優美
ハニャック 他 白木原忍
モナ 他 宮菜穂子
キティ 他 杵鞭麻衣
ハリー 他 神谷直樹
ドクター、ハリソン 他 坂本 まさる
アーロン 他 大谷 健
判事 他 中尾和彦
廷吏 他 坂元宏旬
陪審員 他 黒須洋壬
スウィング

那須幸蔵、仙名立宗、鴨志田加奈、
石塚智子、ごんどうけん

「ロス疑惑」の主人公、三浦和義氏が自ら命を絶った翌日、殺人事件を踏み台にしてスターダムにのし上がっていく女たちを描いたハードでブラックでスタイリッシュなミュージカルの傑作「CHICAGO」を観る。

CHICAGOの日本人キャスト公演が発表されたとき、世間の反応は不安6割、期待4割ぐらいだったろうか。そして主演が米倉涼子と聞いて、おそらく8割ぐらいの人はズッコケたと思う。自分もそうだった。

とはいえ、この作品が1996年にリバイバルされて大ヒットとなってからは初めての日本人による上演だ。オリジナル版の日本人による上演(草笛光子や鳳蘭などが出演した)はもちろん見ていない。とりあえず、どんなことになるのか観てみたいと思い、赤坂の新・ACTシアターへ。

旧ACTシアターは「赤坂ミュージカル劇場」として誕生、劇団四季が「美女と野獣」「オペラ座の怪人」を上演したのち撤退し、その後ACTシアターと名前を変えた。そしてオフ・ブロードウェーに衝撃を与えたアルゼンチン出身の宙吊りパフォーマンス集団「デ・ラ・グアルダ」の公演を最後に取り壊され、このACTシアターは2代目となる。もともと大きな劇場だったが、縦にも横にも広い、これまたかなり大型の劇場である。造りも旧ACTシアターに比べればだいぶしっかりしている。客席の椅子の間隔などはまあ普通。ロビーは狭い。トイレの便器は最新機種が導入されているが、なぜか石鹸がない。

ここでパンフレットをぱらぱらとめくってびっくりした。実は、米倉涼子はてっきりヴェルマを演じるものだと思っていたから。なるほど、ロキシーならヴェルマほどの難易度はないからさほど心配はしなくていいかも。もっともそれはそれでキャラ違い、という気もするが、ヴェルマやロキシーは比較的自由度の高い役で、演じる人によって印象はだいぶ異なる。ブロードウェーで観たとき、ロンドンで観たとき、何度か来日したツアー版、みな異なるヴェルマ&ロキシーだった。だからそれもさほど気にする必要はない。そしてヴェルマを演じるのが和央ようかだ。彼女が「ファントム」に出演していたとき、評判を聞いてチケットを入手したのだが体調が悪くて行けなかった記憶があるが、やっとその姿を見ることができる。

幕が上がり、舞台中央にでんと構えるバンドマンたちが登場。そしてさっそく和央演じるヴェルマが登場すると、客席が大きな拍手が。この日の客のかなりの割合が宝塚ファンで占められていることは、開演前からなんとなく雰囲気で察していたところだ。男役で磨いた艶のある歌声としなやかな身のこなし。これまで観た中で、最も「凄味」のようなものを感じる迫力のあるヴェルマだ。これはいい。

そしてほどなく米倉のロキシーが出てくる。やや似合っていないカツラに、少々上滑りな演技で、あーこりゃ駄目かな、と直感した。しかし、その直感は外れた。舞台が進み、ロキシーがちやほやされて調子に乗ってくるにつれ演技もどんどん調子に乗ってきて、思わず手を差し伸べずにはいられない、ロキシーの特有存在感を強烈に発し始める。途中セリフを噛んだりもしたが、役に成りきっているからかあまり気にはならない。歌やダンスもなんとかこなしている。

そして出色の出来だったのが河村隆一のビリーだ。このキャストを聞いたときから、これは面白くなりそうだ、と期待していた。やることなすことすべてがインチキの悪徳弁護士。これまで観たビリーよりはちょっと若いけれど、河村隆一はその歌声も含め、非常にインチキなムードが漂っているからだ。そして、その期待に見事に応えてくれた。出てくるそばから華やかさとインチキなオーラ全開で、観客の目線を独り占めだ。そして、歌うときに歌詞をとても丁寧に発音する人だとは思っていたが、それはセリフも同じで、早口で大量の口上を述べ立てるときも非常にカツゼツが良く、とても聞き取りやすい。口八丁で新聞記者たちを手玉に取るビリーの見せ場「We both reached for the gun」は米倉のキュートなマリオネット演技もあり、最高に楽しい場面に仕上がった。

アンサンブルには森実友紀の名前が。彼女が出るならもっと前の席を確保するんだったと後悔。もう四季に戻ってアリを演じてはくれないだろうが、こういう注目作に出ることでどんどんステップアップしていってほしい。その友紀ちゃんを始め実力のある役者が集まったようで、ヴェルマたちが自分の悪行を自慢げに歌う「Cell Block Tango」は実に見応えがある。

全体として、自分にとっては大いに満足のできるものとなった。これなら大阪公演や凱旋公演も含めて、あと何回か観てみたいと感じた。歌やダンスといった技術に厳しい人なら、そこまでの評価はできないだろう。しかし、「CHICAGO」という作品の楽しさが十分に伝わってきたのが嬉しかった。ただ、その楽しさを支えるビターな味わいがもう少し加わると、全体としてもう少しコクが出てくるはずだ。

ブロードウェーやウエストエンドで観たものと比べたら、それはまだまだ比べ物にならない、と言うしかない。しかし、少なくとも、ひんぱんに来日するツアー版と比べたら、自分はだんぜんこの日本人キャスト公演を推す。ツアー版ももちろんいい。しかし、時として役者のやる気のなさが垣間見えることがある。最初にツアー版が来日した東京厚生年金会館での公演は自分にとっても思い出のあるものだが、そのあとしばらくして劇団四季の会報誌「ラ・アルプ」で当時四季の国際担当だった安部寧が「フォッシー・スタイルの何たるかを全く理解していない」と酷評していた。そこまで言わんでも、という気もしたが、専門家の目から見ればそういう面もあるのだろう。もちろん、この日本人公演でそれが出来ているとは言い切れないが、この作品の面白さ、魅力をキャストたちが十分に理解し、それを観客に伝えようという意気込みがはっきり伝わってきた。

ところで、この作品の主役は誰だろうか。映画版はロキシー視点で描かれていたから主役はロキシーだが、実は観たときの印象で、主役はヴェルマだったりロキシーだったりする。自分がこの作品を初めて観たのは、ロンドンで開幕した直後だった。ブロードウェーでの大ヒットを受け、鳴り物入りでスタートしたこのウエストエンド公演では、主役に歌手としても有名なウテ・レンパーを迎え、劇場には巨大な彼女の懸垂幕が掲げられた。そしてその期待に200%応えた彼女の演技はすさまじいもので、会場内は爆笑と拍手に包まれた。だから当然、自分はこの作品の主役はヴェルマだと思っていた。

しかし、同時期にこれをブロードウェーで観た友人に聞くと、主役はロキシーだという。そして来日ツアーを観るたび、主役はロキシーにもヴェルマにも見える。

つまり、この舞台では前に出たもの勝ちで主役になれるのだ。脇役も、あるいはバンドマン、指揮者までもが、とにかく前に前に出で視線を掠め取ろうとする。それがCHICAGOの魅力である。今回、ヴェルマとロキシーは見事に釣り合って、両方が主役に見えた。しかし、これは恐らく和央が米倉に合わせているのだ。ぜひ、和央ようかには周りを気にせず、全力でこの舞台を奪おうとしてほしい。今回見た限り、米倉涼子はそれをやすやすと許すタマではなさそうだ。その全力モードの和央を前に米倉が舞台女優として一段階カラを破ると、この公演はさらに充実したものになるに違いない。決して長い公演期間ではないが、その奇跡が起きることを心から願いたい。

「CHICAGO」のWEBサイト
http://www.chicago2008.jp/

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2008年10月11日 (土)

AKB48 チームA 4th Stageリバイバル「ただいま恋愛中」千秋楽公演 大江・駒谷・戸島・中西・成田卒業

<出演者>
板野友美、大江朝美、大島麻衣、川崎希、小嶋陽菜、駒谷仁美、佐藤亜美菜、篠田麻里子、高橋みなみ、戸島花、中西里菜、成田梨紗、藤江れいな、前田敦子、峯岸みなみ、中塚智実(研究生、佐藤由加理アンダー)

4月にスタートしたチームA 4th Stageリバイバル公演「ただいま恋愛中」が千秋楽を迎えた。

そして、AKB発足時からのメンバー5人がこの千秋楽でAKB48を卒業する。これだけの人数が同時に卒業するのはAKB史上初めてのことであり、ただでさえ激戦の千秋楽チケットの競争率はとんでもないことに。

事前のチケットメール抽選では、当選、キャンセル待ち、落選のいずれかになるが、幸い「キャンセル待ち」に入った。キャンセル待ちの場合、開場時に行われる入場順を決める抽選に参加できる「抽選対象内キャンセル待ち」と、当選者がすべて入場を終えた後に入場できる(必然的に立ち見になる)「抽選対象外キャンセル待ち」とに分かれる。整理番号の若い順から対象内をまず割り当て、その後対象外を割り当てていくのである。

自分の整理番号は、通常公演ならまず対象内で入れる番号。これならいける、と安心してインフォメーションに。

当選者のチケット購入列が終了し、さあキャンセル待ちの呼び出しだ、と思ったら「本日チケット完売しましたー」との声。なんと驚きの対象内キャンセル0だ。どうやら千秋楽&卒業公演ということで、関係者も非常に多かったのが影響したらしい。

油断していた自分が一気に緊張モードに。これは対象外でも入れないのではないか?そうしたら劇場外のモニターを見る「カフェ観戦」にならざるを得ない。しかし、聞けばきょうのカフェ観戦はキャンセル待ちの整理番号を持っている人に限られ、建物の外にはさらにそのキャンセルを待つ人々が300人以上も並んでいるのだという。カフェ観になったとしても相当な幸運なのだ。そう思ったら緊張が解けた。

大変ありがたいことに、対象外で劇場内に入ることができた。どうも自分のちょっと後ろで対象外入場も締め切られたらしい。本当に感謝だ。

さて、異様な熱気に包まれて幕が上がった「ただいま恋愛中」公演。オープニングの「ただいま恋愛中」は、メンバー全員が一列に並ぶフォーメーションがすさまじいインパクトを持っている。「くまのぬいぐるみ」「Only today」と続くこの3曲で一気に高まるボルテージ。AKBの公演は、どてもMC前の3~4曲は場内に火がつくよう緻密な計算に基づいて構成されており感心する。最初にインパクトを与える、というのはエンターテインメントの基本だ。

最初のMCでは、大江朝美が自作のテーマソング「チームA%」を歌うなど、卒業メンバーも涙より気合の入ったコメントで気力の充実ぶりがうかがえた。そして板野の締めのMCは、決まり文句にちょっとアレンジを加え「チームA、新たな気持ちで、そして新しい道への出発です」。

ユニット曲でも、それぞれ見納めになるのでばっちり目に焼き付けておこうと思ったファンが多かったと思うが、ある意味普段どおりの、しっかりとした歌とダンスで応えてくれていた。それは卒業生に限ったことではない。おそらくこのセットリストが使われるのは、あるとしてもかなり先のことになるだろうから、どのメンバーもその曲を歌っている姿は見納めになるのだ。

「帰郷」後のMCでは、しんみりした雰囲気の中でも、中西のいじられキャラが全開で楽しいものに。研究生ながらいつもキツイことを言う中塚も、中西との思い出を2つ3つ語ったうえで「でも本当に私にとってはいいお姉さんのような存在で……最高でした、篠田さん!」というオチをつけるし、篠田にいたっては「きょうは里菜にプレゼントがあるんだ」と何を取り出すかと思えば「ゴリラの鼻くそ」。篠田「これを里菜だと思って。ああ、おかしいか。これを里菜の形見だと思って」とひどい言い草である。

「軽蔑していた愛情」前の、2チームに分かれてのMCも、それぞれの思い出話をまじえながら比較的淡々と進んでいく。しかし、2チーム目が登場すると、下手側にいる峯岸の表情がおかしい。「ガラスの仮面」で北島マヤが人形を演じたときのように、目をがっと開いたまま固まっている。そしてしっかりと戸島の手を握って話さない。

戸島「あの~、とりあえず上手で話進めといてもらえます?」それを受けて川崎が成田に、以前自分が「きょう卒業するんだ」とウソをついて、それがもとでしばらく口をきかなかったエピソードを披露。「こうして自分が送る側になるなんて知ってたら、あんなウソつくんじゃなかった」といいながら泣き出してしまい、だんだん涙モードに。峯岸が戸島に「とりあえずマイクを口に当てようよ」と促され、たどたどしい口調で語り始める。「まだ公演が始まったばかりのころ、私がAKB入ったことで小学校からの友達と悪い雰囲気になっちゃって、落ち込んでたら花ちゃんに非常階段に呼び出されて。これからもっともっとつらいことがあるんだから、今泣くな、って」と涙ながらに語る。これに対し戸島は「年下のメンバーとどう付き合っていいか分からなかった。だから『泣いたら怒るからね』としか言えなかった」と明かす。それぞれ感動的な話だったが、どうにも重くなってしまった空気を嫌って戸島が「ここで、たかみながエアーチェンジしてよ」と高橋に水を向ける。そして期待どおりにエアーチェンジ失敗。非常にチームAらしい展開だ。しかし最後はさすがたかみな、泣きながらも「思い出は、これからもずっと続いていくと思いますよ。チームA、よろしくお願いします!」と元気に締める。

さて、アンコールの「LOVE CHASE」「制服が邪魔をする」も終わり、スクリーン登場。毎回流れていたインタビュー映像でも、「大声ダイヤモンド」のPVでもなく、A4公演(リバイバルでなく、前回公演)前のレッスン風景を、星野みちるの「ガンバレ!」に乗せて上映。最初騒いでいた客もだんだん静まりかえり、そして次第にみな一緒に歌いだす、というこれもAKB劇場らしい光景が繰り広げられた。

そして「なんて素敵な世界に生まれたのだろう」では、ほとんどのメンバーが涙を浮かべながらの熱唱となった。歌いながら抱き合ったり、手紙のようなものを交わしたり。まるで楽屋の光景を目の前で見ているような不思議な感覚だった。

歌のあと、卒業メンバーのあいさつ。これはせっかく入場できた者の義務としてこのブログに書かなくては、と、初めて劇場内でメモを取る。仕事でメモを取ることは多いが、要旨を書き留めることしかしないので、話をまるごとメモするのがこんなに大変なものだとは知らなかった。聞き逃し、聞き間違いも多々あると思うが、雰囲気だけでも感じ取っていただければ幸いである。途中涙で言葉がつまったりして間が空いた部分は……とした。

◆成田梨紗

私の高校3年間はシアターとともにあり、まさに青春そのものでした。明日からこのステージに…………明日からこのステージに立てないと思うと、すごくさびしいですが……

……自分の夢に向かって、いっぱいいっぱい頑張っていきます。

今日ここまで来れたのは、みなさんの応援のおかげです。本当に、本当に、本当に感謝しています。ありがとうございました。チームAのみんな、大好きです。本当にありがとうございました。

◆大江朝美

ええ、何を言ったらいいのか。2005年の12月8日に劇場がオープンしてから3年。チームA 4th「ただいま恋愛中」リバイバル公演が4月20日にスタートして半年。今日、この日が私にとっても千秋楽となりました。

(メンバーに向かって)みんな、ずっと一緒だったよね。何も分からないところから始まって、ダンスとか、いっぱい怒られたよね。

でも、みんなで頑張ってきたから、お客さんもたくさん来てくれるようになって……だから、みんながいなかったら…………みんないなかったんだよ!

AKB48にかかわっている、スタッフの皆さん、関係者の方々、お父さん、お母さん、友だち、ファンの皆さん、感謝しています。本当に本当に、皆さんがいなかったら、この劇場はなかったんですよ!

卒業はするけど、みんなにきっとまた会える、って信じてるから。

ここで私から発表があります。

私、大江朝美は、新しい事務所への移籍が決定しました!ニューゲートプロダクションという事務所です。

どんなときも、メンバーとかみんながメールや電話をくれたり、友達だって、お父さんお母さんだって、スタッフさんだって、支えてくれたから、事務所が決定したんです。チームのみんなを信じてきて、良かったと思いました。

私を信じてくれた事務所さんと一緒に、私の夢、女優さんに向かって頑張っていきたいと思います。

◆駒谷仁美

AKB48に入ってから、メンバーやスタッフさん、応援してくれるファンの皆さんに出会えて、本当に幸せです。3年間ほとんど毎日一緒にいたメンバー。家族みたいなメンバーのみんなに、なかなか会えなくなっちゃうのがさびしいけど、みんなのおかげでここまで頑張ってこれたと思います。

これからも、ひぃは、がんばっていきますので…………これからもよろしくお願いします。

◆中西里菜

AKB48に出会って約3年経ちます。大分から出てきて、最初は本当にさびしくて、お客さんも5人とかのときもあって、大分に帰りたくなったけど、初めてファンレターをもらったとき、声援をもらったときの嬉しさ…………もう話せない…………たくさんの人に応援してもらえて、幸せでした。

腰が痛くて卒業、という、悔しい形での卒業となりましたが、自分の夢に一歩近づく、ということで、明るく卒業しようと思います。

スタッフの方、家族、メンバー、ファンの皆さん、本当にありがとうございました。これからソロでやれるように、形になって皆さんの前へ出られるように頑張っていきますので、応援してください。

最後は笑顔で。中西里菜でした!

◆戸島 花

えー、えー、うーん、えーとですね、えー。

一応、11月23日のNHKホールまではAKBなんですけど、私の中では、ここから始まってここで終わりたい、とい気持ちがあるので、戸島花はきょう、ひとまず卒業します。

私は自分の気持ちをうまく言葉にできないところがあるので、女の子の集団生活で大丈夫かな、とか、合格してから考えちゃったりもしたんですが、応援してもらったり、支えてもらったりして、3年間、悔しいことに3年に届かないけど、やってこれました。

自分で卒業するって決めたんですけど、その後ここを離れたくない気持ちが出てきてしまって、新しい自分の道を歩くんだって、自分に言い聞かせてました。でも、今日この日を迎えて、残り時間もだんだん少なくなってきて、ひとつひとつがこれで最後なんだ、と思ったら、もうこの空間にはいられないんだ、という寂しさがあふれてきてしまって。

(メンバーに向かって)……みんな好きだった。あれ、過去形でごめん。

今度みんなにいつ会えるのか、新しい芸能活動を始めてみなさんの前にいつ立てるのか、どうしていいか分からないけれど、新しいスタートをして、みなさんの前に新しい形で立てるように、明日から頑張っていきます。

……言いたくない……ありがとうございました!

 

あいさつが終わり、ステージ上は涙で埋め尽くされている。そこで高橋みなみがひとこと。

「実はきょう、ある人が駆けつけてくれています」

卒業生でも来たのかな、それとも秋元康が?と思ったら、何と私服姿の佐藤由加理だ。仕事を終えて駆けつけたのだという。これで現役チームA勢ぞろいだ。

その手にはティッシュの箱が。メンバーたちにそれを差し出す。ちょっと空気が和んだ。佐藤もあいさつを始めるが、メンバーたちはそれぞれ卒業メンバーと話をしたりしているので、泣きながらも「ちょっと聞いてるー?」と中断して観客の笑いを誘う。さらには5人と順番に抱き合って、最後に成田とハグしたあとに、「いい感触」とささやくなど、少し重くなっていた雰囲気が、いい具合に緩んで、実にAKBの卒業らしい感じになった。これは佐藤だから許される、いや、ゆかりんでなくてはできない役どころだったかもしれない。実はこのためにわざわざ公演を欠席させた演出ではないか?と思えるほど、絶妙の登場だった。

最後に全員で「桜の花びらたち」を熱唱。みな涙で声が出ないなか、大泣きしながらも高橋の声だけは響き渡っていた。そしてここでもうひとつのサプライズ。卒業生である折井あゆみ、星野みちる、増山加弥乃が登場。ステージ上からメンバーをあたたかく見守っていた。その姿は、まるで「スター・ウォーズ エピソード6 ジェダイの帰還」のラストで、ルーク・スカイウォーカーらを暖かく見守るヨーダ、オビ・ワン・ケノービ、アナキン・スカイウォーカーのようだった。

いつもの手をつないでの「ありがとうございました!」が終わっても、場内に鳴り響くチームAコール。それに応えて、卒業メンバー5人が下手、上手、センターでそれぞれあいさつし、実に2時間半に及んだ千秋楽公演は幕を閉じた。

終了後、いつもは秋葉原駅からJRからつくばエクスプレスに乗車するが、少し頭を冷やそうと思い上野駅までつらつらと歩いた。これほどの熱気と感動を味わったのは、何年ぶりだろう?

そして帰宅してもなお、この公演の意義を客観的に考えることができない。とりあえず記録で精一杯というところだ。だから、AKBの歴史において大きな1ページとなるであろうこの公演をこの目で見ることができたことに心から感謝して、きょうのところはこのエントリーを終了したい。

AKB48のWEBサイト
http://www.akb48.co.jp/

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2008年10月 7日 (火)

映画版「マンマ・ミーア!」試写会

ドナ メリル・ストリープ
ソフィ アマンダ・セイフライド
ターニャ クリスティーン・バランスキー
ロージー ジュリー・ウォルターズ
サム ピアース・ブロスナン
ハリー コリン・ファース
ビル ステラン・スカルスガルド
スカイ ドミニク・クーパー
アリ アッシュリー・リリー
リサ レイチェル・マクドール
ペッパー フィリップ・マイケル

米国では7月に公開された映画版「マンマ・ミーア!」。その時点で日本公開は未定だったので、本気でグアムにでも観に行こうかと思っていたが、来年1月30日の全国公開が決定。まあゆっくり待つか、と思いつつも試写会の「ブロガー招待」(ニフティ)に応募したところ、ありがたいことに当選となった。人間、早まったことはしないが吉という教訓だ。

試写会といってもかなり多くの人を招待しており、会場の日劇1(マリオン11階)はほぼ満員。初日のような熱気の中での上映となった。

この映画の感想を記すにあたって、ひとつ断っておきたいのは、自分はどっぷり舞台のマンマ・ミーア!に浸かってしまっているので、舞台を観ずに映画を観ても楽しめるかどうか、という視線では評価できないということだ。あくまで、ミュージカルを観た経験のある人にとってどうか、を考えてみたい。

先に言ってしまおう。

舞台の印象を壊したくないから映画版は見ない、という人。安心して劇場に足を運んでください。あなたの思い出が壊れることは決してありません。保障はしないけど。

舞台に限らず、原作があってそれを映像化するのは本当に難しい。もともとメディアが異なれば表現が変わるのは当然なのに、原作のイメージを愛する人からは必ず反発をくらうからだ。

しかし今回の映画は違う。親父ギャグで申し訳ないけどそのまんまのマンマ・ミーアだ。

それもそのはず、この映画の監督・脚本・制作は、舞台版と同じ。フィリダ・ロイド、キャサリン・ジョンソン、ジュディ・クレーマーの女性トリオだ。

これは思い切った決断である。何しろ、この3人は舞台のプロフェッショナルで、映画については素人同然だったというのだから。だがその賭けはこの映画に関する限り、大成功を収めたと言えるだろう。作品の魅力と雰囲気をそのままにスクリーンに展開できた。

だからといって、この映画は舞台をそのまま映像化したようなものか、というとそれは全く違う。舞台をそのまま映像にしてもそれは「舞台中継」でしかない。また、スタジオに移して多少カメラワークを工夫したとしても、それが面白いものにならないことは「キャッツ」のビデオ版が証明している。

では、何がどう違うのか。この映画には、舞台にはない、強烈な要素が加わっている。

それは、絵画のように美しいエーゲ海と、輝く太陽が織り成す最高の背景だ。「太陽と海の教室」はきついドラマだったが(それでも全話見た)、この映画は「太陽と海のスタジオ」で繰り広げられるのだ。

この背景は圧倒的で、エーゲ海でロケをして「マンマ・ミーア!」の映画を作ったというよりも、「マンマ・ミーア!」とエーゲ海が競演を果たした、という雰囲気ですらある。ちょっと例えが分かりにくいかもしれないけれど、1973年制作の映画版「ジーザス・クライスト=スーパースター」における砂漠のような存在感である。

その結果、舞台版は、最初と最後に登場する「月」がそのまま作品のイメージにつながっているのに対し、映画版は「太陽」の物語になっている。月が起こした優しい奇跡から、太陽に愛された情熱的なドラマへと変貌を遂げた。しかし本質は何も変わることがない。

当然ながら、舞台にはあっても、映画では失われているものもある。それは、脚本の完成度だ。

マンマ・ミーア!の魅力は、ABBAの歌と、それを見事に物語に当てはめて、曲の世界観を再現しているところにあることは言うまでもない。しかし、自分はそれ以上に、この作品の脚本の完成度の高さを気に入っている。「母世代」3人(ドナ、ターニャ、ロージー)と、「父世代」3人(サム、ビル、ハリー)と、「娘世代」3人(ソフィ、アリ、リサ)と、「息子世代」3人(スカイ、エディ、ペッパー)という、きれいに4象限に分かれた3人ずつが、絶妙の間合いで交錯しているその構造が見事なのである。

しかし、この映画では、そのきれいな4象限は失われている。ペッパーは登場するが、セリフはぐっと少なめ(でも印象はかなり強烈)。エディに至ってはセリフすらない。なので、誰が演じていたのかすら分からない(アリやリサ、ペッパーも配布されたリーフレットには名前が出ていなかったが、Wikipediaに載っていたので確認できた)。

もっとも、映画は舞台に比べ、完成度よりも総合性を重んじる表現手法だと思う。だから、脚本の完成度をあえて低くしたことも納得だ。まして、同じ人間が書いている脚本である。文句を言う筋合いはない。

とにかく、観ていてつい舞台と同じ調子で手拍子をしそうになったりするほど、どこまでも「マンマ・ミーア!」である。エンドロールは期待通りの展開で、思わず立ち上がりたくなった。海外ならともかく、日本の映画館ではそれはやめておいたほうがいいだろうが、逆に「手拍子、スタンディングOK」の上映会があったら楽しいかもしれない。「ロッキー・ホラーショー」で、パフォーマンスOKの上映日を設けたりするのと同じである。ぜひ検討してくれると嬉しい。

以上が、あまり具体的なところに踏み込まない大雑把な感想である。

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ここからは、自分のメモとして、ややネタばれになる具体的なことを少しだけ書いておく。なので、映画の出来が気になって眠れないという人以外は、読まないほうがいいと思います。

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2008年10月 5日 (日)

SKE48「PARTYが始まるよ」初日公演

AKB48の横展開戦略がついに始まった。AKB48のモデルをそのままに、名古屋で現地オーディションを行い結成されたSKE48。その初日公演をこの目で見ようと名古屋へ向かう。

この入場券は前売りはせず、また現在のAKB48劇場のように事前のメール抽選もしない。当日抽選で販売する。つまり、行っても見られるかどうか分からない。しかし行かなければ絶対に見られない。ならば行くよりほかに選択肢はないだろう。

そんなわけでノコノコやってきたサンシャインサカエ。「ぱちんこ必殺仕事人」などで破竹の快進撃を続けるパチンコ機器メーカー、京楽産業がオーナーの商業施設だ。もちろん1階にはパチンコホールがある。そしてまるでどっかのドンキホーテのように、観覧車までくっついている。このビルの2階がSKEの拠点だ。

厳密にはこれはSKEの専用劇場というわけではなく、「SUNSHINE STUDIO」という共用ライブスペースである。ここで、当面は毎週末に公演を行う予定という。それ以外の曜日には、他のイベントに使われている。

さて、入場までにはいくつかの関門がある。まず10時から13時までの間にサンシャインサカエを訪れ、抽選用のリストバンドを手に巻いてもらう。これは、AKBが完全メール抽選に以降する前に使用していたもので、一人で複数毎のチケットを購入したり、並び要員を使って入場券を確保しようとする行為を防止するための本人確認IDだ。

とりあえず9時ごろ現地に到着。あちこちに電飾看板や懸垂幕が出ていて、SKEをこのモールの目玉にしようという意気込みがうかがえる。

すでにかなりの人が待機している。やはり初日だけあるな、と思ったらそれは1階のパチンコ屋の列だった。何しろKYORAKU直営ホールということで出玉がいいらしく、夜中から人が並ぶこともあるそうだ。SKEの列はというと、まだ30人程度。たとえ先着のメリットがなくても早く来るのがオタたるゆえんだと思うが(だから俺は早く来た)、さすがにまだ出足がにぶい。これならゆっくり来ても大丈夫だな、とすぐに並ぶのはやめる。

のんびりしすぎて、11時ごろふたたびサンシャインサカエへ。すでに列は解消され、地下1階のリストバンド配布所は持ってけ泥棒状態だった。リストバンドには6桁の番号が刻印されており、その下3桁で抽選をするという。ということは、運営側では1000人は来ない、と踏んでいるということか。自分の番号は230番台だった。

夏場の半そでだと極端に恥ずかしいリストバンド。なんだかジャン・バルジャンの胸の焼印のようであまり愉快ではない。

とりあえず、ここから夕方まで時間があるので、新名古屋ミュージカル劇場へ。このくだりについては別エントリーで。

「マンマ・ミーア!」が終わると15時40分。すでに抽選結果は発表になっているはずだ(15時発表)。当選している場合は16時30分までにチケットを購入しなければいけない。新名古屋ミュージカル劇場からサンシャインサカエまでは、ちょっとあるけど広小路通りをまっすぐなので歩いていく。

16時ちょっと前ぐらいに三たびサンシャインサカエへ。地下1階のモニターに結果を出すという案内だったが、すでに消えていたので、スタッフのお姉さんに結果を確認してもらう。緊張の瞬間だ。

ありがたいことに当選していた。

噂によればリストバンド登録をした人は600人弱とのことで、定員は300人と発表されているから単純に考えれば当選確率は50%だったわけだ。

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さっそく2階にあがってSUNSHINE STUDIOのロビーでチケットを購入。料金は1000円。

これが記念すべき初日のチケット。

さて、次のステップはというと、入場待機列に16時45分までに並ぶようにとのこと。このときまだ16時少しすぎだったので、まだ30分以上もある。そこでサンシャインサカエの中を少し歩く。

観覧車には、ひとつひとつにSKEメンバーの写真がプリントされており(透過シートのため写真に写りにくいが出口陽)、ゴンドラの中ではメンバー紹介も流れるという。乗ってみようかとも思ったが、1周何分かかるかわからないのでやめておく。

1階は大繁盛のホール。「ぱちんこアバンギャルド」でもプレーしてゆうこりんやハマショーのコスプレ姿でも見てやろうかと思ったが、うっかり大当たりしたら抜けられなくなるのでやめておく。

結局、栄の交差点で演説を始めた小池百合子を見物して時間をつぶす。

そんなことをしているうちに時間になったので列に並ぶ。これは入場順を決める抽選のための列である。しかし18時開演なのに16時45分から並ばせるとはいったいどういう了見だ。AKBでも同じように待機列を作るが、開演20前が基本である。どうも、劇場のある2階には待機列を作るスペースがないので1階に作っており、10人ごとの「入場可能者」を伝達するのに時間がかかることを考慮しているようだ。

さて入場順抽選は17時少し前から始まり、途中で中断はあったものの順調に進む。10人ずつ、入場可能なチケット番号が発表されていくが、なかなか自分の番代が呼ばれない。まあ今回は入れるだけで御の字なので、入場順までは期待してはいけない。結局、後ろから数えて何番目、というぐらいで劇場内へ。

実は、SUNSHINE STUDIO自体には立ち見スペースがなく、座席数はちらっと確認した感じ100席ぐらい。それ以外の人は、隣接するバーラウンジから見る形になる。しかしこの日は報道用のテレビカメラ台がその立ち見スペースのかなりの部分を占領しており、立ち見客はその横から見る形になった。このため立ち見列は7~8重になっており、段差のほとんどないステージは全く見えない状態である。自分の入場順では当然立ち見になったが、実際のところステージはほとんど見えなかった。ときどき、人の頭と頭の間からちょっとメンバーが垣間見える、という程度であり、あとは「桜の花びらたち」のサビで手を頭の上まで上げたときには指の先が見えたぐらい。ほとんどは場内モニターでの確認となった。もっともその映像はAKBカフェに流れる監視カメラ映像のようなものとは違い、地下1階の大画面でも流すとあってきちんと複数カメラできちんとしたカメラワークで撮影している。

この日はカメラ台のおかげでかかる事態となったが、おそらく次回からはカメラ台はぐっと縮小されるはずだ。そうなれば、同じ人数を入れても立ち見は3~4重ぐらいで済むのではないかと思う。立見席からステージまでの距離はAKB劇場同様非常に近いので、柱がないぶん、見やすいかもしれない。それにバーラウンジ自体は中央に巨大なバーカウンターはあるものの広々しているので、立ち見で、あまり見えなくてもいいからのびのびしながら楽しむ、というAKB劇場ではできない参加の仕方もできそうだ。オドリストにも快適な空間だろう。

結局入場完了は17時30分ごろだった模様。次回から入場抽選時間が繰り下がることを期待したい。待機から公演終了まで約三時間立ちっぱなしはちとキツい。

30分ほどモニターのメンバー紹介映像を眺めて過ごし、開演5分前に陰アナが。今日の担当は鈴木きらら。いつも思うんだけど、こういう名前つけてもし可愛く育たなかったら親はどう責任を取るんだろう。

18時きっかりに公演スタート。オーバーチュアのDJはたぶんAKBのコンサートでもおなじみのあのひと。曲も同じだがもちろん口上はSKEバージョンに変わっている。

そしてオープニングは標題曲の「PARTYが始まるよ」。公式には伝えられていないが、SKEの最初の公演がAKB48チームA1stステージ、チームK1stステージのセットリストである「PARTYが始まるよ」になることは、日比谷のコンサートでSKEがこれを歌ったことからほぼ自明だった。新参者の自分にとってはDVDでしか観たことのない公演だから、これをライブで観ることができて実に嬉しい。

実はSKEのメンバー構成については、AKB研究生だった中西優香の移籍や「ひまわり組」の1stステージに出演していた出口陽がSKEメンバーとして再出発したことぐらいしか予備知識がなかった。顔と名前が一致するどころか、そもそも情報が頭に入っていない。なので真っ白な状態で印象を脳内に焼き付けようと思ったが、1回見たぐらいではかなり老化している自分の頭ではそれもままならなかった。

今回は初日を祝うことができたことで十分満足であり、そしてチーム研究生を正規軍に匹敵するほどの集団に発展させた立役者の中西が新たなステージでのびのびと活躍しているのを見て感慨ひとしおだった。それぞれのメンバーについては次回ばっちり予習して検証したいと思う。

ただ、やはり秋元康の眼鏡にかない、SKEから唯一AKBの新曲「大声ダイヤモンド」に参加している11歳のスーパールーキー、松井珠理奈の存在感は圧倒的だ。どう見ても17~18歳ぐらいにしか見えない、下手すると20歳ぐらいにも見えるその立ち居振る舞いはチームAの古参メンバー並にサマになっている。自己紹介では「こう見えても11歳」と言い放つなど、自分がどう見られているかをきちんと把握してそれをギャグにするあたり、大器の片鱗を隠しきれない。まあ個人的には松井玲奈のほうが気になったが…。

終了後には抽選の結果入場できず、地下1階のモニターを見ていた人も参加できるハイタッチ会(握手会を高速化したもの)を実施。メンバーの人数多いな、と思ったらこの日公演に出ていた16人以外の7人も参加していたようだ。

すっかり満足したので、帰りにグッズ販売コーナーでこの日限定の写真セットを購入。5枚で1000円という価格、そしてその中身は何種類もありランダムに渡されるため、さっそく5セット、10セットと購入する人もいるなど、いわゆる「AKB商法」のビジネスモデルもきちっと伝わっているようだ。

それにしても、このSKE48という取り組みは本当に興味深い。これは言ってみれば「アイドルによる地域振興」の試みだ。沖縄プロレスが「プロレスによる地域振興」を目指しているのと同じで、常設の「場」をつくり、そこで毎日あるいは毎週公演を行うことで、地元の人にエンターテインメントを提供しつつ、観光客誘致にも一役買うものである。

AKBで培ったさまざまなノウハウをマニュアル化し、それを横展開していくことになるのだろう。曲はAKBが使ったものをそのまま使う。AKBモデルの賢いところは、コンサートのセットリストを「公演」と呼んで作品化し、まるごと使いまわせるようにしたことだ。衣装は作り直すにしてもデザインは流用できる。こうして、イニシャルコストをぐんと下げた形で、いずれはライセンス販売も行うだろう。何といってもこのモデルの強みは、一緒にファンも流れてくるという点だ。これは事業立ち上げの際になによりの武器になる。これで日本中のあちこちに、アイドルグループが誕生したら楽しい。ぜひそういう全国の劇場を訪ね歩いてみたいものだ。

そして秋元康は、単にモデル化してそれを広めるということだけでなく、地域密着色を出すことにも余念がない。それを象徴しているのが、今回の公演で歌われた「SKE48」である。そう、これはもともと「AKB48」だったのを、セルフ替え歌にしているのだ。「AKB48」は、秋葉原の有名な店や施設を並べ立てて歌詞にした曲だが、「会員番号の歌」でその技術を磨いた秋元はこの手の歌を作らせたら日本一である。その歌を、まんますべて栄エリアの店や名所、そして数々の名古屋名物に置き換えた。それがまた見事に自然にはまっており、非常に感心した。この歌に今後どのようなバリエーションが出来てくるのか想像するだけでわくわくする。

もっとも、その横展開を広げていくにあたり、最大のネックはコストの問題だ。ライブエンターテイメントを入場料収入だけで黒字化するためには、極端に単価を上げるか、巨大な会場でやるかの2つしかない。その2つとも難しい地方での興行では、やはり強力なパートナーが必要だ。沖縄プロレスは公共的なベンチャー育成事業のバックアップを受けている。そしてSKEは、現在日本のエンターテイメント・コンテンツ産業の巨大なタニマチと化しているパチンコマネーがバックにある。

役所だろうがギャンブルだろうが、使える金は使えばいい。そして多くの日本人に、あるいは日本に興味を持つ海外の人たちに、こうした身近なライブ・エンターテイメントの面白さに気づいてもらうことだ。独り立ちするためのビジネスモデルは、それから考えていけばいい。まずは行動するという姿勢を見せた、沖縄プロレスとSKE48を、今後大いに応援していきたいと思う。

SKE48のホームページ

http://www.ske48.co.jp/

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四季「マンマ・ミーア!」五東ドナやっと初見

ドナ・シェリダン 五東由衣
ソフィ・シェリダン 谷内 愛
ターニャ 増本 藍
ロージー 青山弥生
サム・カーマイケル 渡辺 正
ハリー・ブライト 明戸信吾
ビル・オースティン 坂本 剛
スカイ 玉城 任
アリ 孫田智恵
リサ 丸山れい
エディ 上田 亮
ペッパー 鎌滝健太

登場以来ずっと見たかった五東ドナ。名古屋に行く機会があったのでようやく確認することができた。

ついこないだまで美少女ベルをやっていたかと思ったら、ちょっとお姉さんのアムネリスを経て一足飛びに娘を嫁に出すドナだ。女優さんってすごい。演技全体の雰囲気も歌声も、やわらかで上品な感じが持ち味の五東由衣がいったいどういうドナになるのか、興味深いところだ。

見た目としては、井上智恵のドナが若さを隠し切れなかったのに対し、うまい具合に老けたムードを出しており、「さぞや昔はかわいかったであろう、でも今も十分チャーミングなおばさん」に仕上がっている。そして演技も歌も、自身の持ち味をそのまま生かし、優しさに満ち溢れたドナになっていた。

だから、どちらかというとドナのカッコよさ、強さが前面に出る一幕よりも、ドナの優しさ、弱さが印象的な二幕の方で存在感をアピールしていたように思う。「The Winner Takes It All」では、ソフィへの深い愛の奥底に秘めていたサムへの思いが歌っている間に少しずつ氷解してきて、やがてそれが激流のように流れ出して最後は絶叫になる。これは見応えがある。

一幕の井上」に対し「二幕の五東」といったところか。そしてホー・チミンからの帰還が待たれる鈴木ほのか。続々登場する強力な新ドナのおかげで、名古屋のマンマ・ミーア!は非常に充実している。なのに観客席が少しさびしかったのは残念だ。

さてこの日はほかにも初見キャストが。まずは増本ターニャ。ふつうに美人で、とても整形している(という設定の)ようには見えない。こちらもかなり上品な雰囲気で、かつあのナイスバディなので、「Does Your Mother Know」はドキドキしてしまった。ペッパーの気持ちが初めて分かったぜ。ヤッスー クックラーモウー!

前回見たときエディだった坂本剛がいっきに老け込んでビルに。でもそんなに老けきれてなくて、エディが島を出てスポーツ冒険家になって帰ってきました、てな雰囲気。坂本剛の演技は好きだけど、もうちょっと年輪を重ねる必要がありそう。

エディには上田亮。最近川口雄二や坂本剛など、半分オジサン化していたエディに慣れきっていたのでちょっと違和感があったが、別にエディはオジサン役じゃない。ちょっとスカイやペッパーより年下に見えたりするところもあるが、悪ガキな感じのエディも悪くない。

マンマ・ミーア!はどっちかというとクドい味付けの作品だが、今回のキャストの顔ぶれだと、全体的に薄味というか、上品な京風仕立てになっていた。こういうマンマ・ミーア!もオツなものだ。

新名古屋ミュージカル劇場では、ドリンクコーナーの隣に謎の空間がある。そこがエーゲ海仕様になっていた。

マンマ・ミーア!のホームページ
http://www.shiki.gr.jp/applause/mammamia/index.html

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2008年10月 4日 (土)

四季「ソング&ダンス~55ステップス~」開幕

ヴォーカルパート 芝 清道、高井 治、田中彰孝、井上智恵、早水小夜子、
花田えりか
ダンスパート 西尾健治、萩原隆匡、松島勇気、徳永義満、加藤敬二、
岩崎晋也、脇坂真人、神谷 凌、厂原時也、
加藤久美子、駅田郁美、室井 優、須田綾乃、柴田桃子、
恒川 愛、坂田加奈子、高倉恵美、斉藤美絵子、泉 春花

四季のエンターテイメント・ショウ、「ソング&ダンス」の最新作、「55ステップス」が開幕した。

「ソング&ダンス」はこれで4作目になるが、実は観るのは初めてだ。99年に初めて上演したときは、きら星のごとく並んだ役者を目当てにチケットを買ったのだが、体調が悪くて行けなかった。それ以来、なんだか足が遠のいてしまっていた。

特段期待していたわけでもないが、それなりに楽しいだろう、というぐらいの気持ちで初日の「秋」へ。

とりあえず観終わった後の感想としては、ほぼ予想通りの「それなりに楽しい舞台」という印象だ。もっともそれは年間5~6回ぐらい芝居を観て、そのうち1~2本は四季、という正常な観劇態度の人の目線での印象で、毎週のように女優さんウォッチにいそしんでいる自分のような正常ではない観劇態度の人には「それなり」どころではなく、あんなことやこんなこと、いろんな楽しみ方が用意されている。

基本的に、予備知識はなしで観たほうが楽しいと思う。だからここから先はもう観たよ、という人以外は読まれないほうがよろしいかと思います。

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