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2008年9月12日 (金)

沖縄プロレスを観戦

きょうの昼間、お店のうちなー娘と世間話をしていた。自分が台風のために予定を変更して那覇に来たというと、彼女はこともなげに「それはそういう運命だったんさあ。何か那覇でしなきゃいけないことがあるんですよ」と言った。慰めるという感じではなく、そういう発想が彼女にとって自然なのだと思えた。

では、俺は那覇で何をすればいいのだろう。誰かと出会うことになるのか?

そんなことを考えながら国際通りをつらつら歩いているとき、ある看板が目に入った。

沖縄プロレス。

国際通りに常設リングを作って、この7月から毎日のようにプロレスを行っている地元密着型プロレス団体だ。つい先日もどこかの局のニュース番組で、特集としてこの団体と社長のスペル・デルフィンの密着レポをしていた。それを見たとき、ああ、これは今度沖縄に行ったら寄ってみようか、とも思ったが、そのころは島のスケジュールづくりに余念がなかったので具体的に検討せず、そのうちに忘れてしまっていた。

これは見なくてはいけない。そう確信した。さっそく当日券を買いに会場へ。試合は20時開始だが、開場は19時15分ぐらいだからそのころまた来てください、と言われたので、少し時間をつぶしてから会場に赴く。

会場といっても、飲み屋なんかが入っている雑居ビルの5階である。そこに、小さなリングと、それを取り囲む形でパイプ椅子が100席ほど用意されている。

Pro1

自分が見た番組では、沖縄プロレスというのは大阪プロレスを立ち上げたスペル・デルフィンが、沖縄県のベンチャー育成事業に応募して採択された事業だとか言っていた。彼の奥さんが早坂好恵で、沖縄出身というのもあったんだろう。

番組の中でしきりにデルフィンは、家族で楽しめるプロレスを目指す、観光の目玉にする、と話していた。面白い発想だと思った。彼が昔在籍した「みちのくプロレス」の影響もあるかもしれないが、常設リングを作ってそこで毎日のようにファイトをする、というのがいい。そう、これはAKB48と同じモデルである。でもそれだけじゃない。地域振興にライブ・エンターテインメントはもっと貢献できるのではないか、とかねがね考えていたからだ。

しかし、そんな理屈はどうでもいいサプライズがあった。なんと、この日はウルティモ・ドラゴンが特別ゲストとして参戦するのだという。女性も含む若い世代から圧倒的な支持を集める新感覚プロレス「DRAGON GATE」の源流となった闘龍門の創始者である彼は、いまのプロレス界におけるキーマンのひとりだ。

今回、旅行の前半を何で埋めようか、と考えていたとき、そういえばまだ沖縄でこのブログの本分であるエンターテインメントを見ていないから、何かないかな、と考えていた。そこに突然現れた沖縄プロレスという魅力的なコンテンツ。そしてウルティモ・ドラゴンのおまけつき。これは運命を感じる。

そして8時すぎ、いよいよ開演。試合の前には必ず沖縄の伝統芸能が披露される決まりで、この日も三線を弾きながらの歌が場を盛り上げた。

その後試合が始まった。この日の試合は3試合。

まず、“ガジュマルの精霊”キジムナー vs キャプテン“美ら海パイレーツ”ザック。このように、沖縄プロレスのレスラーは、それぞれ沖縄のゆかりのものになっている。

Pro2

トリッキーな動きで相手を翻弄するキジムナーに、キャプテン・ザックは正統派プロレスの大技で挑む。両者のスピーディーな動きが小気味いい。

続いては“踊る沖縄名産”ゴーヤーマスク&“伝説の拳”カンムリワシ用高 vs “魅惑の果実”ゴールデン・パイン&“黒いゴムマリ”アグーのタッグマッチ。

Pro6

Pro5

Pro3

Pro4

ダンサブルな動きで敵をも魅了するゴーヤーマスクと、華麗なフットワークとムエタイ並みの鋭いキックが持ち味のカンムリワシ。かたや変態キャラでつかみどころのないパインと、猪突猛進の突破力が武器のアグー。4人が4人とも個性的なうえファイティングスタイルも全く異なるため、飽きることがない。小さな子供が「ぶたー」と声援していたのに会場が和んだ。

そしてメインイベントは3対3の6人タッグマッチだ。

社長のスペル・デルフィン、怪人ハブ男、“国際通りの変なおじさん”めんそ~れ親父、という3人と、ゲストのウルティモ・ドラゴン、ミル・マングース、そして“琉球の守り神”シーサー王という3人の対決。リングはもう満員だ。

Pro8

Pro7

Pro10

Pro9

デルフィンとドラゴンはそれぞれルチャ・リブレ型のスタイルだから技の応酬がきちんとしたハーモニーになる。ハブ男とシーサー王はどちらも重量級で、この2人が体をぶつけあう迫力は圧倒的だ。そして動物ならではの敏捷性を生かしたマングース、酔拳のようなくねくねした動きをしながら、意外に手ごわいめんそ~れ親父。こういう試合を見ていると、本当にプロレスというのは何とバリエーションの豊富なエンターテインメントなのだろう、とつくづく思う。その可能性は無限だ。

Pro11

Pro12

この試合、もちろんドラゴンのフォール勝ちで終わったが、その後デルフィンがマイクパフォーマンスでベルトを賭けた1対1の勝負をしよう、と提案。即答でOKするドラゴン。それぞれプロレスの未来を考えて自ら道を切り開こうとして奮闘してきた2人のこのやりとりには、胸が熱くなる。

Pro13

Pro14

本当にいいものを観た。地元に愛され、そして他県からの動員ができるものにしていこうという意欲がひしひしと感じられた。

エンターテイメントで地域活性化、というのは素晴らしい。そうした動きが全国に広がってくれば、さぞや日本は面白い国になるはずだ。だが、地代も人件費も高い日本では、常設スペースを維持していくだけでも大変である。AKB48だって、とても黒字が出ているようには見えない。だから、そこはこの沖縄プロレスがそうであるように、公共団体のバックアップがあってもいいと思う。あとは横展開だ。近隣の地域で、似たような取り組みをしている団体が積極的に連携していけば、コスト減のヒントも発見できるかもしれない。

さまざまなエンターテインメントが全国にあふれていて、それらを楽しむために各地をまわる――そんな自分に都合のいい時代が、果たして来るかどうか。いや、来てほしいなあ。

沖縄プロレスのWEBサイト
http://okinawa-prowres.jp/

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コメント

はじめまして。
エンターテイメント目線での観戦レポート、とても興味深く拝見しました。
リンク貼らせていただきましたが、よろしいでしょうか?

>地域振興にライブ・エンターテインメントはもっと貢献できるのではないか

私もよく同じことを考えたりします。当時のみちプロのコンセプトには深く頷いたし、工夫次第では大きな可能性があると思うんですよねー。
沖縄プロレスは地元密着かつ観光客も対象にしているところが斬新だと思ってます。

投稿: shu | 2008年9月14日 (日) 14時04分

shuさんこんにちは。

沖縄プロレス、最高でした!今後、那覇観光の目玉になってくれるといいですね。

今後、沖縄プロレスが見たくなったので週末ちょっと那覇へ、という感じでまた行きたいと思います。

投稿: ヤボオ | 2008年9月15日 (月) 11時23分

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