四季「ブラックコメディ」素顔のめぐ様に会いに行こう
ブリンズリー・ミラー | 荒川 務 |
キャロル・メルケット | 濱田めぐみ |
ミス・ファーニヴァル | はにべあゆみ |
メルケット大佐 | 志村 要 |
ハロルド・ゴリンジ | 栗原英雄 |
シュパンツィッヒ | 高橋征郎(劇団民藝) |
クレア | 八重沢真美 |
ゲオルク・バンベルガー | 勅使瓦武志 |
ブラックコメディの2年ぶりの再演が始まった。評判が良かったのだろうが、こんなに短い間隔で再演するということは、やはり「石○が抜けたぐらいではビクともしないぞ」という意思表示なのだろうか。もっともそれなら「壁抜け男」をやるか。
この作品、実は初見である。もともとコテコテのエンターテインメントが好きな自分としてはストレートプレイとか積極的に観ておらず、今回もスルーかと思っていたが、めぐ様降臨のニュースが。その手にまんまと乗せられて自由劇場へ行ってきた。
今さら説明するまでもないが、この作品は停電で互いの姿も確認できないほど真っ暗な一室で、訳ありな複数の男女が織り成す喜劇だ。「アマデウス」「エクウス」のピーター・シェーファーの作で、一幕1時間30分の小編である。
演劇の基本を踏まえた上で、それをひっくり返してみせる手法はさすが当代随一の劇作家、シェーファー先生の作品である。上演時間のわりに意外と登場人物が多いが、いずれも全く無駄がない脚本はほれぼれするほどの完成度だ。そして「舞台上の人物は互いが見えていないが、観客には見えている」という大いなる矛盾を抱えつつ、それを驚きの手法で解決してしまう奇抜な演出は、演劇空間とはどんなフィクションでも可能にできるのだ、ということを改めて感じさせてくれる。
ただ、古典的演劇手法を踏まえたコメディ、となると日本には三谷幸喜がいる。その爆発力のある笑いに慣れてしまっている自分にとっては、どうしても笑いの面での物足りなさを感じてしまったのも事実だ。ただ、半笑いの状態がずーっと持続するのはなかなか快感でもある。
役者陣では、まず荒川務が、弱気で、やや女にだらしない彫刻家を熱演。「異国の丘」の誠実な演技もいいが、こういういい加減な男は荒川のはまり役だ。声のトーンや間の取り方で笑いを取るのもお手のもので、かえって石丸幹二がこの役をどう演じていたのか気になってしまった。
そして濱田めぐみ。最近アイーダとかエルファバとか、人生や国をしょいこんだ重い役が多かっただけに、ひさしぶりの「娘役」はファンにとって嬉しい限り。色を塗り替えない、ほぼ素顔に近いめぐ様はやはり最高だ。私服っぽいラフな衣装がまた萌える。
栗原英雄のゲイっぷりもお見事。ほかの役者もみなすばらしく役にはまっていて、飽きる暇もないこの作品をますます飽きさせないものにしている。
演劇の面白さ、荒川務のいいかげんさ、めぐ様のかわいらしさ。その3つのうち、どれかひとつでも味わってみたいと思うなら、劇場に足を運んでみるべきだろう。
例によって「前回の舞台写真」のないパンフレット。だが稽古着姿のめぐ様もまた・・・
「ブラックコメディ」のホームページ
http://www.shiki.gr.jp/applause/black/index.html
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