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2008年2月10日 (日)

映画「L change the World」

一昨年大ヒットを記録した、映画「デスノート」のスピンオフ作品がついに公開。キラ=夜神月の好敵手にして稀代の名探偵、Lの最後の23日間を描く。

いきなりばれるのでたたんでおきましょう。

うーむ、判断が難しい作品だ。

ただ、個人的な感想を言えば「惜しい!」といったところである。

こういったスピンオフ作品は、観客の「もっとこのキャラクターが観たい!」という希望によって生まれるものだ。だから、制作サイドがそのファンの熱意にきちんと応えれば血湧き肉躍るオモシロイ作品ができあがる。しかしその熱意にあぐらをかいてしまえば、吐き気を催すようなくだらない作品になってしまう。

成功例の代表としては、映画「逃亡者」のスピンオフ作品、「追跡者」(トミー・リー・ジョーンズ主演)などが挙げられる。失敗の例としては…まあ、やめておきましょう。でも失敗の確率のほうがだんぜん高いのは事実だ。

今回の「L change the World」は、そのどちらか、と言えば前者の姿勢で作られた映画だ。

原作のLが持っていた魅力を、松山ケンイチと金子修介が独自にアレンジしてつくりだしたLは、インパクトと深みの両方を備えた素晴らしい出来映えだった。このLをもっと観たい!という声が上がるのももっともであり、この作品が生まれたのはごく自然な成り行きだ。

そしてこの作品には、とりあえずデスノートの威を借りてなんか1本作っちゃえ、という安易な姿勢は微塵も感じられない。監督には「リング」の名匠、中田秀夫を起用。ハリウッドでの経験を生かし、大規模なロケも見かけ倒しにせず迫力満点のスペクタクルを演出してみせる。脇を固める俳優陣にも、工藤夕貴に高嶋政伸、鶴見辰吾、そして天才女優・福田麻由子といった、演技派で、ちょっと濃いめのメンバーがそろった。「マイク濱シリーズ」を思い出させる南原清隆の神出鬼没ぶりも効果的で、重い展開の中、いいタイミングで観客をほっとさせる。

とにかく制作者の真剣さは痛いほど伝わってくる上に、自分の好きな要素が満載だった。テンポも非常によく、眠くなるシーンなど一切ない。

そして、心配していた前作の映画デスノートとのかかわり方、Lの描き方も、まさに自分が期待していたものだった。前作との関係はつかず離れず、ところどころに関連性を織り込みながらも(その織り込み方が実に洒脱でいい)、基本的には独立した話になっている。自分はむしろ、西尾維新のノベライズ「ロサンゼルスBB殺人事件」のように、デスノートの前日譚として、名探偵・Lの活躍を描いてほしいと思っていたぐらいだから、この前作との距離感は願ったりだ。そして、前作では描ききれなかった、Lの行動派の一面や、人付き合いの不器用さなどを前面に押し出してLの人物像を掘り下げていこう、という意図がはっきりと現れていて、これもLファンには嬉しい限りである。

しかし。それにもかかわらず、この映画を見終わったあとの感触は、いまひとつだったのである。

一切手抜きはなく、そしてスタッフ・キャストの技が十分に生きた作品であり、方向性も間違ってはいない。にもかかわらず、どうも面白さが足りなかった。

特に明確な理由があるわけではない。映画は料理と同じで、技術のある人が正しい方法で作っても、うまくなるとは限らない。今回のケースはまさにそれだと思う。

あえて原因探しをすれば、次のような2点が挙げられると思う。

まず、メインとなる事件そのものが、大がかりではあるが比較的単純な犯罪のため、展開の面白みにかけた、という点。

そして、今回は前作とは違ったLの側面を見せよう、というところに力が入りすぎた結果、Lの真骨頂である頭脳戦をあまり描けなかったという点。これは犯人側の設定にも問題があり、主犯が犯罪者というより狂信者だったため、その行動は容易に予想できてしまい、Lの洞察を見せる場面が作れなかった、とも言える。

しかしそれらはアラ探しで、本質的なものではないとも感じる。いい作品だったが、傑作とまではいかなかった。それだけのことであり、よくあることだ。

だがこの映画が、技術的に優れた映画であることは間違いがない。だから、観ても決して損はないと思う。

L

パンフレット900円。高いよー。

「L change the World」のホームページ
http://wwws.warnerbros.co.jp/L-movie/

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