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2008年1月26日 (土)

映画「魁!! 男塾」舞台挨拶であるーっ!

※少しばれます。

実写版「魁!! 男塾」が初日を迎えた。ところが上映館数がえらく少ない。自分の住んでいる柏市はもとより、東葛地区、埼玉東部、茨城南部と拡大して考えてもひとつも見当たらない。仕方なく都心に出ることにしたのでどうせなら初日舞台挨拶を見学しようということに。

舞台挨拶が行われるのは新宿のシネマスクエアとうきゅうと渋谷のミニシアター、シアターN。ミニシアターのソフィスティケートされた雰囲気が苦手なので(大衆的な映画が好きなので)、新宿に行こうとしたが寝坊してしまい渋谷に変更。100席ちょっとしかないので座れるか微妙だな、と思ったがぎりぎり座席を確保できた。

上映開始前に行われた挨拶には、坂口拓(監督・剣桃太郎役)、照英(富樫源次役)、尾上寛之(極小路秀麿役)、山田親太朗(虎丸役)、麿赤兒(江田島平八役)のほか、「応援」として多数の出演者がかけつけにぎやかに進んだ。

インタビューは、くちぐちに「男の映画」「男くさい」「男ばっかり」「もう男は見たくない」と「男話」で盛り上がる。そのうち照英は「坂口、愛してるよ!」と叫び、麿は「男も磨き抜かれてくるとセクシーになってきて、尻のひとつも触りたくなってくる」と恐いことを口にし、だんだん妙な雰囲気に。男同士の友情と、ホモの世界の間には、そんなに明確な境界線はないのだろう。最後は麿の「上映開始であるーっ!」の号令で締めとなった。

それにしてもこの5人の組み合わせは絶妙で、照英がムードをつくり、山田が空気の読めない行動に出て周囲を不安にし、尾上が場をつなぎ、麿がおいしいところを持って行き、坂口がまとめる、といった分担。この役割が映画の中でもそのまんま演じられているから面白い。

この映画の物語は、原作の序盤となる男塾への入塾から「驚邏大四凶殺」までのエピソードを再構築している。自分は映画化されたものが必ずしも原作に忠実である必要はないと思うが、今回はその再構築作業を非常に丁寧に行っており、監督・脚本・主演の坂口がいかにこの原作マンガを愛し、敬意を表しているかがひしひしと感じ取れた。1本の映画にまとめるため、「四凶殺」を「三凶殺」にしたり、といったこともしているが、原作の精神をきっちりと理解して組み立てられていることで、あまり違和感も感じずに済んだ。

感心したのは、映画のクライマックスを、桃vs伊達臣人の戦いとオーバーラップさせる形ではあるが、一号生たちの大鐘音エール&秀麿の喝魂旗掲揚、つまり死地に赴いた同級生に向け、声も枯れよと塾生たちが応援するシーンに置いたことだ。男塾は基本格闘ギャグマンガだと思うが、そこには一種独特の魅力がある。その魅力を支えているのが、「男塾」という場であり、そこで暮らす馬鹿な生徒たちの熱い団結である。この映画では、格闘シーン以上に、そうした男塾の愛すべき面々を描くことに力を入れており、それによって「魁!! 男塾」の世界観を正しくスクリーン上で表現することに成功していた。

演技の面では、照英の富樫が出色の出来だった。最初このキャスティングを聞いたときは、ハマリ役だと思いながらも、実写版「魁!! クロマティ高校」のようなギャグ映画になるのかと思った。しかしそれは大きな見込み違いで、照英の演じる、熱さだけは誰にも負けない、そして誰にも愛される富樫は、この映画そのものと言っていいほど大きな存在感を示していた。正直、その表情には何度も涙を誘われた。本当の意味でのハマリ役だったのである。

本作のひとつの売りは、CGを使わない生身のアクションである。韓国映画の「火山高」やチャウ・シンチーの「カンフーハッスル」を観るたび、こういう手法で男塾を映画化したら面白いのになア、と感じていたが、最近そうした映画はやや食傷気味なので、今回のCGレスアクションは新鮮に感じられた。そして、若かりしジャッキー・チェンの「ヤングマスター」や「ドラゴンロード」などを思い出させる、懐かしい雰囲気もあった。

千葉繁のナレーションなど、男塾ファンならニヤニヤしながら楽しむことができる。また原作を知らない人にも、久々に登場した、男たちの馬鹿で熱い映画の傑作を存分に楽しんでもらいたいと思う。

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映画「魁!! 男塾」のWEBサイト
http://www.otokojuku-the-movie.com/

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AKB48 チームB公演「会いたかった」

おくめん【臆面】

気おくれした顔つき・様子。「――がない」遠慮した様子もなくずうずうしい。

(三省堂提供「大辞林 第二版」より)

 

 
えー。

 
正月にこんなエントリーを上げておいてなんですが。

誠に遺憾ながら。

行ってきちまいました。

 

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秋葉原48劇場。

つまり、

AKB48のホームグラウンド。

 
まあこのブログは、エンターテイメントを中心にさまざまなものを見聞きした記録であるわけで、そういった意味では秋葉原の小劇場で地道にファンを増やし続けた結果紅白歌合戦に出場するまでに成長したプロジェクトを見過ごすわけにもいかず、決してハロー!プロジェクトに対する裏切りとかそういったものではないことは明白であり、(以下言い訳が続くので省略します)。

ま、来ちまったものは仕方がない。紅白の場でハローを打ち破ったパワーがどのように醸成されてきたのか、敵情視察と洒落込もうじゃないか。

AKB48の現体制は「チームA(14名)」「チームK(14名)」「チームB(15名)」に分かれており、これが大雑把に言うとモーニング娘。で言うところの「一期メンバー」「二期メンバー」「三期メンバー」に当たる。彼女らはほぼ毎日、秋葉原48劇場で公演を行っているが、現在はチームAとチームKの混成部隊である「ひまわり組」の公演と、チームB単独公演を交互に行っている。ひまわり組は合計28名になるが、そのうちの20名弱が日替わりで舞台に立つ。3チームのほか、ハロプロエッグのような「研究生」という存在もおり、そのメンバーも何人か公演に参加している。

「ひまわり組」公演と「チームB」公演は、本公演と新人公演のようなものだ。板野友美、大島麻衣、篠田麻里子、高橋みなみ、前田敦子といった主力メンバーを擁するひまわり組の公演は、その日の出演メンバーにもよるがチームB公演よりずっと人気がある。入場料もひまわり組のほうが高い(一般男性の場合、ひまわり組は3000円、チームBは2000円)。

チケットの入手方法はメール抽選に申し込むか、当日並んで会場で買うかの2通りあるが、抽選はほとんど当たらないため、結局並んで買うことになる。ひまわり組の場合発売と同時に売り切れるから、かなり早朝から並ぶ必要がある。列をつくるのは早朝5時からという。

冗談じゃない。この爆弾低気圧直撃のさなか、朝5時から待っていたら確実に凍死してしまう。

というわけで、比較的チケットが入手しやすいチームB公演の観覧に的をしぼって首尾よくチケットを入手した。チケット購入時に、紙製のリストバンドを巻かれ、これがIDがわりになる。発売は10時(土日)や11時(平日)なので、開演時間までこれをつけておくわけにはいかない、という事情があるときは、代わりにディズニーランドの一時退出時に押してもらうようなスタンプを手に押してもらう(開場前の集合時にリストバンドを巻く)。

開演30分前に会場に集合。入場順は抽選だ。チケットの整理番号で10人ずつグループを作り、どのグループから入場するか抽選を行うのである。だから整理番号が若ければ早く入場できるわけではない。場内は自由席なので、会場に入ったら好きな席を確保する。

自分が属するグループは幸運にも6番目ぐらいに入場可能になり、センターブロックの通路側という上々のポジションを確保することができた。ベンチシートに小さいクッションが置いてあるという座席で、座り心地は悪く狭いが、これは仕方のないところだ。

定員250名の劇場は非常に狭く、どの席からもステージは至近。まさしく地下劇場という雰囲気で(といっても実際にはビルの8階だ)、天井は低い。おまけに座席内に大きな柱が2本もあって、上手・下手ブロックからの視界を大きくさえぎっている。しかしまあ、既存のビルの中に無理矢理作った劇場なんてだいたいこんなものだ。座席同様、予想の範囲内である。

ギュウギュウに人が詰まった状態で開演。さあ、お手並み拝見だ。

最初の曲は「嘆きのフィギュア」。4人が登場し、秋葉原を意識した歌詞と衣裳で、ロボットダンスのような振りで歌う。ダンスも歌も決してうまくはない。うまくはないが、それがこのチープな空間にマッチして、劇場全体が妙な、しかし何とも居心地のいい空気に包まれる。まさしく脳内補完の街・秋葉原にふさわしいエンターテインメントだ。

続いて別のメンバー、こんどは5人が登場し「涙の湘南」。次第に引き込まれていく自分を感じる。

やべえ…。楽しい……。

そして全員登場しての「会いたかった」。チームB15人と、研究生1名の総勢16人が狭いステージ上で歌い踊る。紅白歌合戦で、歌の途中にメンバーが上手、下手に走っていって手をふるアクションがあり、非常に印象に残っていたが、これはこの劇場の、前述の「柱」によって大幅に視界をさえぎられている観客へのサービスとして開発されたものだということがわかった。会場特性によって振りが決まるなんて、劇場発信型アイドルの呼び声は伊達じゃない。素晴らしいじゃないか。

そしてMC。毎日のように公演を重ねていても、きちんと全員が自己紹介をする。それぞれが独自のお決まりフレーズと、短いフリートークを繰り広げる。これが16人も続くのかと最初は当惑したが、場数を踏んでいることもあり、うまく笑いを取りながら軽快なテンポで進んでいくため長さは感じない。みな至近距離でファンの反応を見ながら、場内を盛り上げていく術に長けている。彼女らのデビューは2007年4月とのことだが、実に堂々としたものだ。劇場が、ファンがアイドルを育ててきたのだろう。こんなハッピーな関係があるだろうか?

そのあとは、MCでまったりした場内のボルテージを、曲の攻勢で一気に上げたかと思うと、絶妙のタイミングで多少の脱力感を伴うMCが入る、という繰り返し。完全に小娘達に支配された空間はまさしくパラダイス。そのキモチよさに身を任せているうちに、「えっ、もう?」というぐらいあっという間にフィナーレへ。至福の1時間40分。いやあ、最高だ。こんな面白いことが自分の職場からそう遠くない場所で毎日繰り広げられていたなんて!

それにしても「渚のCHERRY」のまゆゆは完璧じゃねえか。おいおい、スカひらセブンの衣裳着た、らぶたん可愛すぎだろ?えっアンコール衣裳の下はTシャツなのか?目の毒だー!

こりゃ何回でも通っちまいそうだ。もちろん「ひまわり組」公演にも参戦しなきゃあな。それには朝5時から並ぶ必要があるって?

楽勝じゃん。

 

これで人生の階段をまた一歩、というより蒲田行進曲のヤスのように転げ落ちた気がする。

でも楽しいから許す。自分をな。

AKB48公式WEBサイト
http://www.akb48.co.jp/

(この日の公演がどんなものかはこのページを観るとよくわかります)

http://www.akb48.co.jp/song/02b.html

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2008年1月20日 (日)

四季「ウィキッド」苫田グリンダきたああああああ

グリンダ 苫田亜沙子
エルファバ 濱田めぐみ
ネッサローズ 山本貴永
マダム・モリブル 武 木綿子
フィエロ 李  涛
ボック 伊藤綾祐
ディラモンド教授 武見 龍磨
オズの魔法使い 栗原英雄
男性アンサンブル

清川 晶、嶋崎孔明、永野亮彦、成田蔵人、脇坂真人、
白倉一成、品川芳晃、清原卓海、三宅克典

女性アンサンブル 有美ミシェール、間尾 茜、あべゆき、宇垣あかね、今井美範、
由水 南、石野寛子、柴田桃子、遠藤珠生

開幕から半年、ついに第二のグリンダ登場である。

当初の発表にあった佐渡寧子でも、開幕時にパンフレットに名を連ねた西珠美でもなく、クリスティーヌ役で知られる苫田亜沙子だ。2人を追い抜いてグリンダデビューしたのが、実力主義の結果なのか、大人の都合によるものなのかは知るよしもない。しかしこの3人の中でいちばん観たいのは誰かと聞かれれば、自分は間髪入れず苫田と答えるだろう。だから個人的にはこのキャスティングは嬉しい。

それにどうも自分はこのグリンダというキャラクターが心底好きらしく、最近は四季以外の作品を観ても「この女優さんはグリンダできそうだなあ」とかそんなことばかり考えている。だから新グリンダというのはとてつもなく大きな関心事だ。

この情報を知り、さっそく日曜の前日予約を狙うことにしたが、土曜の14時(会員向け前日予約の開始時刻)は、福岡でライオンキングを観ていた。第一幕が終わり、すでに14時25分。大急ぎでロビーから電話すると、幸運にも2階席に飛び込むことができた。

てなわけで福岡の予定を早めに切り上げて電通四季劇場「海」へ。苫田グリンダの出演する可能性は50%だったが、もし沼尾みゆきだったとしても、しばらくグリンダから離れることになるだろうから、それはそれで観ておきたいと思っていた。結果苫田グリンダに会うことができたわけだが、半年も交替なくこの難役を演じきった沼尾には本当にお疲れ様と言いたいところだ。もちろん、またすぐに戻ってきてほしいのも本音ではある。

さて、注目の苫田グリンダはどうだったか。

結論から言うと、申し分のないグリンダである。

歌については、沼尾と同様声楽の出身であり、その実力はオペラ座の怪人で十分すぎるほど立証済みだから心配もしていなかったが、堂々とした歌いっぷりにはベテランのような貫禄が感じられる。明るく、伸びのある声は聞いていて心地良い。

そして演技も、歌と同様に実に堂々としたものだ。沼尾が明らかに無理してキャピキャピしている(でもそこがいい)のに対し、苫田の場合はあの、普通の人より2~3度ぐらい体温が高いと思われるグリンダのテンションが、ごく自然に感じられる。これはやはり実年齢が若いからだろうか?

また、笑いの取り方もサマになっており、間の取り方が絶妙だ。これは大阪出身という遺伝子のなせる業だろうか。思ったことをずけずけと口にしてしまうものの、どこか憎めない、大阪のおばちゃんみたいな雰囲気もある。

見た目に関して言うと、沼尾が愛嬌あるタヌキ顔で実年齢より若く見えるため、あまり若返った感じがしない。むしろ落ち着き払っているために年上のようにも見える。

こう書いていると、歌も演技もいいが、見た目や雰囲気はおばさんっぽい、ということになり、さほど魅力的に思えないかもしれない。しかし実際には、舞台に登場しただけでついつい目が行ってしまい、終演後も、しばらくそのグリンダ姿が頭の中でぐるぐる回転するほど、好きにならずにはいられない素敵なグリンダなのだ。

一体その理由はどこにあるのだろう。

 

……やはり、アレか。

 

アレの力なのか?

 

そのアレについてだが、最大の注目ポイントとして、登場からずっとチェックしていた。久しぶりにオペラグラスも借りた。最低な客である。

冒頭、巨大なシャボン玉に乗って颯爽と登場した苫田グリンダ。ここではアレが強調されるような衣裳ではないので控えめだ。しかし、その後の衣裳チェンジに期待を感じさせるボリューム感である。

続いて入学式のスーツ姿。これもスーツだからアレに目がいくわけではないが、上着がちょっと上に持ち上がっているように見える。期待は高まる一方だ。

そして待ちに待ったダンスホールのシーンで、あのピンクのドレス姿を披露。

うわぁ…。

「後ろを留めてちょうだい!」のポーズが、まるでパイレーツだっちゅーの。いやあ、若いって素晴らしいですね。そこから「ポピュラー」まではグリンダにクギ付けだ。

ほか、アレが強調された衣裳としては、二幕でエルファバがオズのもとへ乗り込んできてはち合わせする時に来ている水色のドレスが、こりゃまたケッコーである。

というわけで、一部の男性ファンには非常にお勧めなのだが、全体的に見ると、もう少しバランスを調整したほうがいいと思えるところもある。グリンダは、自分に絶対の自信を持つ鼻持ちならない面を、間抜けな馬鹿っぷりの可愛さで中和しているようなキャラクターだ。その間抜けさが苫田グリンダからはあまり感じられない。その結果、如才なさが前面に出てしまっている。

そうなると、鼻持ちならなさが文字通りハナについてくるわけで、少し共感しにくいグリンダかもしれない。自分のような観客には、アレの攻撃によってその問題を吹き飛ばしてくれるのだが、その攻撃が一部の限られた嗜好のファンにしか通用しないことは言うまでもない。

もっとも、それは大きな問題ではない。そもそも、まだ四季に入って間もない、そしてこの役を得たばかり、の苫田が、ここまでグリンダを自分のものにしているのは、驚異的なことなのだ。今後、このグリンダがさらにどのような成長を遂げていくのか、興味と期待をこめて、エッチな視線で見守っていきたい。結局そこかよ。

さて、この日は初見キャストが何人か。簡単に感想をまとめておきたい。

・伊藤綾祐ボック

雰囲気は金田暢彦ボックを薄めたような感じだが、それもまたいい。ボックがいい奴なのか悪い奴なのかがあいまいになったことで、ウィキッドという作品が持つ「観客を惑わす」という仕掛けに貢献している。

・武 木綿子モリブル夫人

見た目の美人さが手伝って、より抜け目ない感じのモリブルになった。だが、モリブル夫人もボックと同じ「良い奴なのか悪い奴なのか分からない」キャラクターなので、どこか人の良さ、ちょっと抜けた部分も感じさせてほしいような気がする。

・栗原英雄オズ

これはいい。煙の中からぼわっと出てきたようなインチキおじさん。まさにオズだ。そして彼の武器である「人に愛される」オーラを存分に発揮している。このときにも感じたが、彼がこういう演技をすると、大泉洋に見える。考えればあのとき、すでにビルの中にオズ風味が混じっていたのかもしれない。

ほぼ固定だったキャストがだんだん動いてきた。次に出てくるのは第二のフィエロか、それとも第三のエルファバ、グリンダか。そういえば、マンチキン国の総統もそろそろ換えてあげたほうがいいのでは?

「ウィキッド」のWEBサイト
http://www.shiki.gr.jp/applause/wicked/index.html

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2008年1月19日 (土)

四季「ライオンキング」来たか村さん、待ってた芝

ライオンキング福岡公演が6日開幕した。福岡では再演となるためインパクトのある話題が必要と感じたか、マンマ・ミーア!早期終了にあせりを感じたか、いきなり飛び道具級のびっくりキャストが登場した。これは観なければ、と福岡シティ劇場へ。本当は開幕してすぐに飛んで行きたかったのだが、開幕週は正月、翌週は3連休で航空運賃に割引設定がなかったため、3週目でやっと観劇。幸運にもメインキャストの変動はない。

ラフィキ 青山弥生
ムファサ 芝 清道
ザズ 岡崎克哉
スカー 村 俊英
シェンジ 孫田智恵
バンザイ 江上健二
エド イ ギドン
ティモン 藤川和彦
プンバァ 川原洋一郎
シンバ 田中彰孝
ナラ 熊本亜記
サラビ 西村麗子
ヤングシンバ 竹内 將人
ヤングナラ 松下 由季

四季の一線級がきら星のごとく並んだ豪華なキャスト。そして、そのいずれもがかなり濃いめのキャラクターばかりだ。博多だけにこってり味で勝負しようということか。

まずは芝のムファサ。百獣の王の威厳を保ちつつ、ぎらぎらした武闘派のムファサになるんではと想像していたが、だいぶ違った。

優しさが前面に出た、実に温かみのあるムファサである。

シンバに向ける眼差しには子煩悩さがあふれ、プライドランドの住民を見渡す視線は慈愛に満ちている。

そういえば、キャッツシアターで芝と握手をしたとき、ごつごつした感触を予想していたら、とてもやわらかい、女性のような手で驚いたことがあった。今回のムファサは、「剛」のイメージの強い芝の、「柔」の部分を引き出すことに成功したのではないか。

まだ、どこか役作りに手探りな様子もうかがえるが、今後どのように確立していくのか楽しみだ。機会あればまた見たいものだ。

そしてそれに対するは村スカー。四季を代表するボーカルの力強さをいかんなく発揮し、これまでにないスカー像を作り上げている。芝もパワフルな歌声で知られるが、やはり村の前では1歩譲らざるを得ない。

演技よりも、歌声によってカリスマ性、それもダークサイドのカリスマオーラを舞台のみならず、劇場中に充満させていた。そして村の歌には、常に男の心を奮わせる不思議な魅力がある。村にはぜひこれからも悪役に取り組んでもらいたい。

「象の墓場」でスカーが歌い上げ、ハイエナが踊り狂うシーン。村の歌のパワーと、ハイエナたちのダンスのスピードとがぶつかり合い、非常に見ごたえのあるシーンになっていた。

ラフィキは開幕以来この役を演じている青山弥生。そういえば開幕してすぐ、初めてこの作品を見たときのラフィキは青山だった。マンマ・ミーア!のロージーを経て、コミカルな演技にますます磨きがかかっている。

ティモン&プンバァのコンビは藤川和彦と川原洋一郎。背の低さをむしろ武器にして、独特の存在感を出し観客に強烈な印象を与える藤川と、ごつい風貌と、その顔に似合わないオネエ言葉(「夢から醒めた夢」デビル)やキモカワイクナイ演技(「人間になりたがった猫」スワガード)を披露するベテラン川原という、「二人の怪優」対決だ。

おなじみのご当地言葉、今回は博多弁となるセリフでの掛け合いは絶妙で、この2人が出ている間はずっと笑いが耐えなかった。すばらしいコンビである。

それにしても、2人ともキャラクターが強烈すぎて、動物よりも「中の人」に目が行ってしまう。これもライオンキングという作品ならではの楽しみ方だろう。

田中・熊本の主役コンビは、脇を固めるあまりにも濃いメンバーの中に埋もれがちではあるが、長くこの役を演じてきた2人だけに安定感が抜群だった。この2役はそれでいいのだろうと思う。

実はこの「ライオンキング」は、四季のロングラン作品の中では、自分にとって極端に観劇回数の少ない演目だ。しかし、今回のびっくり仰天キャストによって、その魅力は無限大に広がる可能性があるのだと感じた。東京公演は前人未到の10年に届こうというウルトラロングランになっているが、それはファミリーで楽しめる、といった単純な理由だけでは達成できるものではない。この作品の持つ力をもっと知るためにも、四季劇場「春」にもときどき足を向けてみようと思う。

四季「ライオンキング」WEBサイト
http://www.shiki.gr.jp/applause/lionking/

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博多「相撲茶屋 大塚」のアラ料理

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上のコマは「美味しんぼ」第10巻、「横綱の好物」より。自分がこれを単行本で読んだのは1987年だから、高校を卒業したばかりのころだ。この話は、主人公・山岡士郎が勤める新聞社の社主が、自分が後援会の役員をしている横綱にごちそうしようとしたところ「アラの鍋物がいい」と言われ、勘違いして魚の臓物などのアラを鍋にして出そうとしたところを、山岡の実父にして最大のライバル・海原雄山にそれとなく教えられ、ぶじ博多名物「アラ」の鍋を用意して事なきを得る、というストーリーだ。現在は山岡妻となっている同僚・栗田ゆう子が海原を見直すきっかけになった、重要なエピソードである。

これを読んで、いつかは寒い季節に福岡に行ってアラという魚を食ってみたいものだ、と思っているうちに、20年が経過してしまった。

そしてついに、寒い季節に福岡へ来て、アラを賞味する機会を得た。

やってきたのは「相撲茶屋 大塚」。

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実は上に書いたエピソードに登場する店だ(マンガでは「相撲茶屋 白田山」となっている)。

せっかくだから自分にアラをいう魚を教えてくれた店で食べようじゃないか、という趣向である。

アラはハタ科の「クエ」の九州での名称で、大きいものは30Kg近くにもなるのだそうだ。この日も25kgの大きなアラが入荷し、カウンターごしに豪快にさばく様子を見ることができた。

店頭の水槽にも、数キロはありそうなアラが泳いでいる。

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店内は相撲一色だ。

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アラのコースはいくつかあるが、ここの名物は「アラのしゃぶしゃぶ」だという。きばってしゃぶしゃぶと鍋が両方食べられるコースを頼む。

まずは小鉢が出てきた。

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そしてアラの刺身。ふぐのように淡泊だが、味わいはより深く、うま味が多い。肝の部分がまた珍味だ。

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続いてアラの唐揚げ。アラのうま味が加熱によりさらに増す。

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いよいよアラのしゃぶしゃぶだ。

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湯気を立てる鍋で、おおぶりのアラの切り身をさっとくぐらせていただく。

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これはうまい。うますぎる。

余分な油が落とされ、アラの濃厚な味わいだけが純粋に味わえる。

もう一度言っておこう。うまい。これまでの人生で食べた魚の中でも、トップ級のうまさだ。

感動の余韻にひたりつつ、アラの鍋をいただく。

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鍋の底に敷いてあった大根が美味だった。

最後は雑炊。明太子をちょっと入れて食べるのがいかにも博多らしい。

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最後はデザートで、この日はメロンだったが撮り忘れた。

念願がついにかなったという達成感と、期待を上回るアラのうまさに、めいっぱい満足した博多の夜だった。

「相撲茶屋 大塚」のホームページ

http://www.chanko-ootsuka.jp/index.html

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2008年1月12日 (土)

鹿賀丈史&市村正親「ペテン師と詐欺師」

※最後まで読むとばれます。これから観る人は、適当なところで引き返してください。

ローレンス・ジェイムソン 鹿賀丈史
フレディ・ベンソン 市村正親
クリスティーン・コルゲート ソニン
ミュリエル・ユーバンクス 愛華みれ
ジョリーン・オークス 香寿たつき
アンドレ・チボー 鶴見辰吾

何か新年らしい明るく楽しい舞台でも、ということで日生劇場へやって来た。

この2人のベテラン俳優が火花を散らす「ペテン師と詐欺師」は一昨年に上演され、今回は再演だが、前回は行こう行こうと思いつつ結局見逃してしまった。なのでこれが初見。

入念な仕掛けと洗練された雰囲気で、金持ち女から次々と大金を巻き上げる凄腕詐欺師のローレンス(鹿賀)と、出たとこ勝負の一匹狼詐欺師・フレディ(市村)が繰り広げる、ドタバタのミュージカル・コメディ。音楽もギャグも軽めの味付けで、正月料理でもたれた胃にはもってこい、という作品だ。

作品の見どころは言うまでもなく、2人の演技合戦だ。特に2幕に入ってからのテンポのいい駆け引きと掛け合いは、コメディに浸る幸せを存分に感じさせてくれる。

鹿賀の声には、かつての張りはなく、セリフもだいぶ聞き取りづらくなっている。しかしその圧倒的な存在感は健在。ローレンスはたびたび指をならしてスポットライトを要求するが、照明などなくても常にその姿は観客の目を引く。そして、自身が非常に楽しそうに演じているのが伝わってくるのが心地良い。一幕最後、そして二幕最初のしてやったりな表情、心の底からわき上がってきたような笑顔は強く印象に残った。

一方の市村の役柄は、ローレンスの「静」の演技に対し「動」が求められるが、その動きに実にキレがある。若い奥さんをもらったからかもしれない。いやきっとそうだ。市村といえば「ハタチの恋人」というひどいドラマが記憶に新しいため、その本領を発揮した姿に、やっぱりこの人はすごいんだ、と安心した。あのドラマはひどかった。長澤まさみは好きだから見てたけどな。アドリブも絶好調で、観客に話しかける場面では「初観劇ですか?いい演目を選ばれましたね」と客席を和ませていた。

もし、10年前の彼らのコンビで観ていたなら、もっとパワフルでスピード感にあふれたやりとりを目撃できたかもしれない。だが、恐らく今の2人だからこそいい味が出たと思われるのが、ラストシーン近く、ビーチチェアに腰を下ろして語り合う場面だ。これまでの人生を振り返りながら、引退を考え始めるローレンスと、イタい目にあいながらもまだまだヤマを追いかける気まんまんのフレディ。長い役者人生で、数え切れないほどの役とさまざまな人生経験を積んだ二人だからこそ、この場面に深みが生まれる。俳優というのは、役の向こうに自分自身の人生を映し出す職業なのだと感じた。

脇を固めるのも個性的な面々だ。詐欺の一味にして警察官、フランス人なのに生真面目、という珍妙な役を絶妙の演技で形作るのは鶴見辰吾。舞台で見るのは初めてだが、「高校聖夫婦」や「ポニーテールはふり向かない」のころからちっとも変わらないその強烈な雰囲気は、舞台上でも全く色あせることがない。もっと多くの作品で彼の演技を見たいものだ。

そして前回奥菜恵が演じたヒロイン、クリスティーンを演じるのはソニン。そういえば奥菜恵の引退騒動はどうなったんだろう。そのソニンは、昨年、結局これも見逃してしまった「スウィーニー・トッド」での演技が高い評価を受けており、どんなものだろうと思って見たが、なるほどこれは逸材である。声に力があり、セリフも歌詞も実によく届く。正直なところ、今回の出演者の中で最もセリフが聞き取りやすかった。そして演技も、いかにも田舎から出てきた純朴なお嬢さん、という雰囲気が非常によく出ていた。ここはこの舞台の成否を分ける大きなポイントだ。しかし、持ち前のナイスバディは隠せない、というか衣裳によってはより強調されていて、いつも以上にしまらない顔で眺めていた。歌は以前から聴いていたから、そのクリアでよく伸びる声質は知っていたが、声量は思ったほどでもなかった。声帯は相当強そうなので、ミュージカルのボイストレーニング(そんなものがあるのか知らないけど)によって、いくらでも伸びていきそうな気がする。期待は大きい。今年の夏には「ミス・サイゴン」への出演も決まっている。ミス・サイゴンはもういいかな、と思っていたが、かなり彼女のキムを見たくなってきた。

パンフレットのソニンのプロフィールを見ると「2000年ユニットでデビューし」と書いてある。そのユニットとはご存知「EE JUMP」だ。このユニットは、当初3人だったのにデビュー前に一人抜け、デビュー後もユウキ(後藤祐樹、窃盗犯)の度重なる不祥事により振り回され続けた。でもそのころから自分を含むマニアの間ではナイスバディが話題になっており、そのへんを生かせばソロでもやっていけるよなあ、と不謹慎なことを言っていたらその通りになって(「カレーライスの女」でエッチな衣裳を披露)、こちらが慌てたものだ。だがそのあとは土佐犬と闘ったりして意味不明なキャラに育ってしまい、ちょっと興味が失せていたが、ここへ来てまた自分の興味範囲にずかっと入ってきた。

デビュー当時は後藤真希の弟ということで注目を浴びるユウキの影に隠れ、そのうえ不祥事にほんろうされ、踏み台にされてもじっとこらえるけなげな姿が印象的だったソニン。しかし今、ユウキは強盗グループのリーダーにまで転落した一方で、ソニンは着実にスターへの階段をのぼりつつある。こうして見ると、あの「堪え忍ぶ健気なキャラ」は全て計算で、踏み台にされていたのは実はユウキだったのか?

なーんて思いたくなるのは、きっと…。

 

Sagi

↑ちょっとキモチ悪いけど、ナイスなデザインのハンドタオルを購入。

「ペテン師と詐欺師」WEBサイト
http://hpot.jp/drs/

<おまけ>

アンサンブルに森実友紀がいた。お願いだからエーゲ海の小島に戻ってくれ!アリがいないんだよー!一緒に飯野めぐみを連れてきてもいいから。(ソフィやったりして)

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映画「劇場版BLEACH The DiamondDust Rebellion もう一つの氷輪丸」

昨年12月公開だが、時間が合わずに観ていなかった劇場版BLEACHを鑑賞。

今回は護廷十三隊十番隊隊長・日番谷冬獅郎をメインにしたオリジナルストーリーだ。日番谷の抱える重い過去を探る展開であり、BLEACHらしいポップな笑いは最小限にとどめられている。主役の黒崎一護もいつになく冷静だ。個人的には、もう少しお笑い要素が欲しかったような気がする。正月映画だし。

ストーリーはオリジナルだが、オリジナルのキャラクターは少なく、レギュラー陣の顔見世興行のような作品にもなっている。

といってもレギュラー陣の数が半端じゃなく多いので、かなり無理やり全員出した感が否めない。多くのキャラクターがセリフは一言、二言のみであり、十一番隊副隊長・草鹿やちるに至ってはセリフを発していない。

配役表を見ると、その少ない出番のために集まった人気声優・実力派声優・アイドル声優の名前がきら星のごとく並んでいる。この豪華絢爛さは正月映画にふさわしいと言えるかもしれない。

もともと、少年マンガはストーリーよりもキャラクターに依存しているものが多い。「ドカベン」しかり「キン肉マン」しかり。しかし、最近その傾向がますます強まっているような気もする。

これは東浩紀がかつて「動物化するポストモダン」で指摘した「データベース消費」、つまりマンガやアニメが、その物語や世界観よりも、脳内補完のための素材を提供するものになりつつある、という傾向に呼応したものなのだろう。その代表的な存在が「BLEACH」と「NARUTO」だと言える。

BLEACHの原作者である久保帯人は、絵が飛び抜けてうまいわけでも、ストーリーテラーとして卓越した技を持っているわけでもない。しかし、朽木ルキアに象徴されるように、実に魅力的なキャラクターを生み出す。そこに目をつけた編集者はさすがというべきか。最初はさして面白くなかったが、尸魂界編に入って、護廷十三隊という集団が登場したことにより、久保のキャラクター創造力が爆発して俄然面白くなる。何しろ13も隊があり、その隊長、副隊長だけで26人。平の隊士を入れるとその数は膨大だ。それらの人物をひとりひとり丁寧に描き出した結果、とてつもない面白さにつながった。ストーリーは別に血わき肉躍るようなものでもないのだが、個性的な死神による群衆劇は新鮮な刺激に満ちあふれていた。

同じことがNARUTOにも言える。NARUTOはキャラクターの動きはスピーディーだけど、物語の展開は結構もっさりしている。アニメーションになるとそのギャップがより明確になり、戦闘シーンは派手な画面展開で観るものを釘付けにするのに、話はなかなか進まない。三代目火影が大蛇丸に命をかけた大技をかけてから、その戦闘が終了するまでにいったい何週間かかったことか。

このキャラ全盛の流れが次に変わるのはいつになるだろう。その流れに真っ向逆らったことでヒットしたのが「DEATH NOTE」だったのだと思うが、結局これもLという稀代のキャラクターを生んだマンガ、ということで歴史に残ってしまいそうな勢いだ。そう簡単に時代は変わりそうにない。別に不満があるわけではないが、次のトレンドがどうなるのかは少し気になるところだ。

Gotei

↑この年齢で覚えるのはきつい。ミスター梅介のような記憶力が欲しいところだ。

「劇場版BLEACH」WEBサイト
http://www.bleach-movie.com/

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2008年1月 3日 (木)

引きこもり

Tokyobay

遠出はできないものの、近場で山、海、都会をいっぺんに見渡せるところに引きこもっている。

ドラマ「HOTEL」に、高嶋政伸が働いていた「東京プラトン」として登場していたホテルだ。

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2008年1月 2日 (水)

新年のごあいさつ、そして

新年あけましておめでとうございます。

今年もこの不定期かつ意味不明のブログを続けていく所存です。

Mitostation

さて、今年は遠出をする金もなく、自分の出身地である水戸の高校の同窓会に参加したりして、のどやかな正月をすごしている。上の写真は水戸駅前の水戸黄門像だ。

しかし、自分は年末にある重大な課題に直面した。そのために、めでたさも中ぐらい、といったところである。

なぜこのようなことになったのか。何がどこで間違っていたのか。考えることは多い。自分ひとりでどうすることもできないのは解っている。しかし、だからといってそこから目をそむけることは、いかに無責任な自分であろうとも到底できない相談だ。

あまりにも重い話なので、ここから先は読まないほうがいいだろう。だがもし、自分とこの問題意識を共有し、解決に向け知恵を貸してくださるという奇特な方がいらしたら、相応の覚悟を持って続きを読まれたい。

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