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2007年11月25日 (日)

四季「オペラ座の怪人」木村花代クリスティーヌ登場

オペラ座の怪人 佐野正幸
クリスティーヌ・ダーエ 木村花代
ラウル・シャニュイ子爵 北澤裕輔
カルロッタ・ジュディチェルリ 黒田あきつ
メグ・ジリー 宮内麻衣
マダム・ジリー 秋山知子
ムッシュー・アンドレ 寺田真実
ムッシュー・フィルマン 青木 朗
ウバルド・ピアンジ 石井健三
ジョセフ・ブケー 岡 智

四季のキャスティングにサプライズが相次いでいる。その極めつけがこの「木村花代クリスティーヌ」だ。ファンとしてはクリスティーヌ役への抜擢は嬉しいことは嬉しいけれど、この時期、ほかにやることがあるような気もする。また、正直キャラ違いのようにも感じる。果たしてあの髪型似合うんだろうか。それにクリスティーヌといえば声楽出身者の牙城ではないのか。大きなお世話かもしれないが、歌いきれるのか不安だ。

とかなんとか言いながら、とりあえず観ずにはいられないのが哀しい(痛い)ファンの性である。マンマ・ミーア!で通った大阪四季劇場へ久しぶりに足を向けた。

運良くかなりの好ポジションを確保。不安と期待が脳内で交錯する中、静かにオークションが始まった。

そして時代が遡り、「ハンニバル」の稽古風景。ほかのダンサー達と一緒に舞台に登場した花代クリスティーヌは……

極めて普通のクリスティーヌだった。あれ?キャラ違いというのは取り越し苦労だったか。

舞台が進んでいっても、ずっとクリスティーヌになりきっており(当たり前だが)、観ているこちらも自然にそれを受け入れている。観劇前に、さぞ違和感や驚きがあるのだろうな、と覚悟していたせいか、いささか拍子抜けでさえある。

ビジュアル的には、あのクリスティーヌの髪型も意外に似合っており、ちゃんとかわいい。マスカレードの衣裳もばっちりだ。スタイルがもろに出るハンニバルのダンサー衣裳のことは脇に置こう。

表情は少し硬い。これはまだこの役に慣れていないというより、クリスティーヌというもともとあまり感情表現の豊かでないキャラクターを、いつもどこか一点を見つめるような表情で演じていたからだろう。

その分、歌でその感情を表現しなくてはいけないわけだが、まだ花代クリスの歌はそこまでに達してないように思う。とはいえ、基本的には歌そのものに全く問題はない。「ウェストサイド物語」では高音が苦しそうな部分がいくつかあったので心配していたが、今回はそれもなく、安心してクリアな花代ボイスに浸るとができた。声量も音大卒のクリスティーヌに負けていない。表現力についても、場数を踏めば変わってくるだろう。

全体的な雰囲気としては、ファントムへの父性欲求が強いわけでも、ラウルとラブラブな感じでもなく、自分の世界を作ってそれを頑なに守っているというようなクリスティーヌだった。「いつも何かを夢見ている」といえば聞こえはいいが、何を考えているか解らない、ちょっと友達にはなりたくない不思議ちゃんタイプである。父に似て、変わり者の娘といったところか。そういえば「美女と野獣」のベルも変わり者と呼ばれてたな。

とにかく、普通にクリスティーヌであり、普通にかわいい。だから全国の花組諸君は、ためらわずに大阪に結集されたい。

さて、それにしてもなぜこのタイミングでクリスティーヌなのか。東でも西でも「マリア」が待っているというのに!その理由をちょっと考えてみよう。

(1)代表の気まぐれ
これが一番可能性が高い。木村花代がいったいいくつの役を経験できるか、面白がっているに違いない。

(2)大阪出身ということでご当地キャスト
これもないわけではないが、ご当地キャストは記者会見などへの出席については重視されているものの、実際に登場するかどうかは分からない。つまり、あまりキャスト選定において重要な要素ではないということだ。そもそも、ご当地キャストでいくなら「マンマ・ミーア!」にソフィ役で出演したはずだ。

(3)そのほかの理由
理由ったって、何の手がかりがあるわけでもないのでただ想像または妄想するしかない。なので、とびきり自分にとって都合のいい妄想をひとつ。

これは「グリンダ役への布石」ではないのか。

「ウィキッド」は、海外スタッフの発言力が強いようだ。キャスティングについても、例えばいちいちプロデューサーのオーディションを経ないと舞台に出してはいかん、というような強行な条件を突きつけているかもしれない。

それでは四季はたまったものではないから、当然、もう少し自由度の高い方法でキャスティングしようと考えるだろう。そのためには、オリジナルのカンパニーに対しこういう交渉をするはずだ。キャスティングする役者についての明確な基準を作成し、それを守るから自由にやらせてくれ、という。

そしてその基準の中には、「過去、○○の役を演じたことがある」という条項が含まれるだろう。当然、その役として最も可能性が高いはクリスティーヌ・ダーエだ。実際、現状でグリンダ役に名前が上がっている女優はみな同役経験者である。

だから、ここで無理にクリスティーヌを演じさせたのではないか……なんてことは、ないだろうなあ。

ところで、自分が観た回で、アクシデントというほどではないが、ひやりとしたシーンがあった。マスカレードのシーンで、華麗にキレのあるダンスを披露する花代クリスティーヌを、北澤ラウルがひょいっとリフトしようとしたところ、バランスをくずしてクリスティーヌが床に倒れてしまった。あっ、と思ったが、ラウルがガードしたこともあり衝撃はあまりなかったようで、その後無事に仮面舞踏会は進んでいった。落ちた直後は、北澤ラウルが「大丈夫?」、花代クリスティーヌが「ごめんなさい」と無声で互いを気遣っているように見えた。舞台中のキスシーンなどはさほどでもないが、このアイコンタクトにはちょっと北澤が羨ましくなった。ファンって馬鹿。というか痛いぞ俺。

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四季「オペラ座の怪人」のWEBサイト
http://www.shiki.gr.jp/applause/operaza/index.html

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2007年11月24日 (土)

四季「アイーダ」渡辺正ラダメス登場

アイーダ 秋 夢子
アムネリス 江寿多 知恵
ラダメス 渡辺 正
メレブ 有賀光一
ゾーザー 飯野 おさみ
アモナスロ 川原 洋一郎
ファラオ 前田 貞一郎
ネヘブカ 松本 昌子

新キャストのチェック、ということなら、この人のことを忘れるわけにはいくまい。「アイーダ」に登場した渡辺正のラダメス将軍である。

渡辺正はもと東宝ミュージカルの役者で、現在も四季の正式な団員ではなく、別の事務所に属しているが、マンマ・ミーア!大阪公演のほとんどの回でサムを演じ、一躍その名を知られることになった。

彼を初めてみたときには、何の冗談かと思った。どう見てもサムには思えない若さは別にして、表情は乏しいし、セリフは棒読みだし、歌は非常に苦しそうに歌う。何でわざわざこの人をサムに据えたのか全く意図が見えなかったからだ。しかし、繰り返しそのサムを見ているうちに、その存在感に何ともいえない味わいを感じるようになり、だんだんファンになってきてしまった。やっぱり劇団四季って麻薬の製造人じゃないか。

その渡辺が、これまで阿久津陽一郎や福井晶一といった濃いキャラクターが演じてきたラダメスに挑戦するという。やはり見ておきたい、と新名古屋ミュージカル劇場へやってきた。

博物館のシーンで、アイーダに続き現れた渡辺正。第一印象は「あれ、顔違うじゃん」。

どうやら薄味の顔なので、メイクによって全く印象が変わってしまうようだ。その風貌は、エジプトというより中南米な感じで、しかもなんだか使命手配っぽい。まるでサムが警察に追われ海外逃亡し、ベネズエラ国籍を偽装しているような雰囲気である。

だがセリフや歌になるとやっぱり渡辺正。声はこもり、苦しそうだ。表現力も極めて乏しい。しかし妙な存在感は健在で、つい目が行ってしまう。それに見ていてなんだか面白い。

ラダメスとしては、自信たっぷりな阿久津ラダメスとも、自分の職務と生き方に忠実な福井ラダメスとも異なり、何となくゾーザーの七光りで将軍になっちゃったよ、というぼんぼんラダメスだ。だから、「この父親にしてこの息子あり 」で父と子が対立する積木くずしな場面に説得力があった。

表現力が乏しい、と書いたが、最後の最後に、きらりと光る演技を見せている。アイーダと共に石棺に入り、アイーダに語りかけるときの暖かい笑顔はなかなか良かった。自分も死へのカウントダウンが始まっているのに、満面の笑みを浮かべている。この場面、設定上は真っ暗でアイーダからその表情は見えないのだから、その笑顔に嘘はない。ここでは渡辺の年上の余裕というか、サムで父親役を演じてきた影響がいい形に出たといえるだろう。

まあ、ほかのラダメスに比べ影が薄いのは確かで、あまりお奨めできるものではないが、阿久津や福井はもう飽きるほど観たよ、という人は一度ぐらい試してみてもいいかもしれない。

もっとも、個人的には、この「アイーダ」はアイーダとラダメスの物語というより、アイーダとアムネリスの「ふたりの王女」の物語だととらえている。だから、ラダメスは多少影が薄くてもあまり問題はない。

この日はそのアイーダ、アムネリスともに初見キャストだった。

秋夢子のアイーダは、ビジュアル的に最強である。もともと掘りの深い美人顔だが、そこにきりっとしたアイーダのメイクがぴたりとはまり、芸術的に美しい。力強く伸びのある歌声も存分に発揮し、「強く、美しいアイーダ」を創り上げていた。そこに、ふと見せる弱さ、可愛さが加わると、さらに深みのある人物像ができると思う。今後の成長に期待したい。なお、中国出身の秋夢子は、日本語の発音が不安視される向きもあるが、少なくとも歌に関してはほとんど違和感を覚えない。セリフになると、ときどき「あたし」が「あだし」に聞こえるなど、怪しいところもいくつかあるが、許容範囲と思う。

アムネリスの江寿多知恵は、アンサンブルで観たことがあるかもしれないが、これまでノーマークだった。こちらも力強いボーカルが魅力で、秋夢子の声楽的な歌唱に比べるとよりソウルフルな歌い方であり、アムネリスにはぴったりだ。ただ、演技はまだまだ未熟で、生まれながらの王女という高貴さが感じられなかったのは残念だった。

この作品はアイーダ、ラダメス、アムネリスのバランスが全てといっても過言ではないが、この日はまだ3人とも自分の役割をこなすのが精一杯で、そのバランスはあまりしっくり来ていなかった。だから、率直に言ってこの回の出来は良かったとは言い難い。新ラダメスを笑いに来た自分のような不埒な客はいいが、純粋にこのアイーダという作品を観に来た観客には、不満の残るものだったのではないかと懸念する。千秋楽は決まっているが、それまでに大いに奮起を期待したいところだ。

しかし、その「全てといっても過言ではない」部分以外のところで、飯野おさみがさすがの存在感を示し、大いに楽しませてくれた。飯野と渡辺は「マンマ・ミーア!」で同年代の役を演じていたが、ここでは親子。舞台って面白い。そして、有賀光一のメレブがぐっと進化していた。以前観たときは情けなさ全開のヘタレっぷりが良かったが、今回は芯の強さを感じさせ、アモナスロが言うところの「若い作戦参謀」に仕上がっていた。だけどケンカはからっきしだよ、という一休さんなところもきちんと残しており、「私!?」というこの作品最大の笑いを取るセリフでは、ばっちり爆笑を誘っていた。

また、ネヘブカの松本昌子もノーマークだったが、演技・歌とも光っていた。今後の成長が楽しみである。そういえば、以前ネヘブカを演じていた今井美範が現在アイーダも演じている。これも観たいところだ。

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四季「アイーダ」のWEBサイト
http://www.shiki.gr.jp/applause/aida/index.html

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2007年11月23日 (金)

四季「キャッツ」野中万寿夫マンカストラップ登場

グリザベラ 早水小夜子
ジェリーロラム=グリドルボーン 五東由衣
ジェニエニドッツ 高島田 薫
ランペルティーザ 磯谷美穂
ディミータ レベッカ ヤニック
ボンバルリーナ 遠藤瑠美子
シラバブ 紺野美咲
タントミール 高倉恵美
ジェミマ 王 クン
ヴィクトリア 千堂百慧
カッサンドラ 永木 藍
オールドデュトロノミー 青井緑平
アスパラガス=グロールタイガー/バストファージョーンズ 田島亨祐
マンカストラップ 野中万寿夫
ラム・タム・タガー 荒川 務
ミストフェリーズ 金子信弛
マンゴジェリー 武藤 寛
スキンブルシャンクス 石井雅登
コリコパット 入江航平
ランパスキャット 高城将一
カーバケッティ 花沢 翼
ギルバート 龍澤虎太郎
マキャヴィティ キム グヨル
タンブルブルータス 松永 隆志

先月終わりに荒川務マンカストラップで度肝を抜かれたばかりなのに、またまたびっくり仰天キャストがキャッツシアターに登場だ。今度は四季きっての名バイプレーヤー、野中万寿夫がマンカストラップを演じるという。

このキャストは初めてではない。おそらく、自分もかなり昔に見ているのだと思う。しかし、だいぶブランクがあることは間違いなく、もちろん今回の東京公演ではこれがお披露目となる。

野中といえば久しく「ライオンキング」のスカーも見ておらず、「夢から醒めた夢」のヤクザ&デビル、そしてマンマ・ミーア!のビルといったイメージが強い。それらの役からは、マンカストラップというのはかなり遠い。しかし野中が期待を裏切ることはまずあり得ないので、大いに期待してキャッツシアターへ。

連休の効果か、あるいは団体客が多いせいか、ひさしぶりに完売の盛況となったキャッツシアターに颯爽と登場したマンカストラップ。ヤクザやビルとはうってかわって、低く張りのある声で第一声「生まれたのか!?」。うーん、カッコいいぜ。思わずダンディーなおじさまマンカストラップを想像する。

でも違った。

基本的には、ジェリクル一家の「お父ちゃん」という雰囲気である。

ぐうたらママ(ジェニエニドッツ)をたたき起こしたり、グレた息子(ラム・タム・タガー)となんとかコミュニケーションをとろうとしたり、好奇心旺盛な娘(シラバブ)を危険から遠ざけたりと、ぶつぶつ言いながらも家族の面倒をよく見ている。

電車に乗ると明るく酔っ払って周りの人に迷惑をかけてしまうこともある(スキンブルシャンクスのナンバー)。

家族を脅かす存在(マキャビティ)には毅然として立ち向かう。お父ちゃんガンバレ!と思ったらあっさりやれれてしまう。

それでも、なんだかんだ言いながら、みんなに愛されている一家の大黒柱。あと、こう見えて昔はヤクザだったから、本気で怒らせたら怖い(かもしれない)。

そんなムードのマンカストラップだった。

最近は比較的若い俳優がマンカストラップを演じていたため、このおじさんパワー全開のマンカストラップは新鮮さを覚える。さわやかキャプテン、荒川務のときは、カンパニー全体が学校のクラブのように見えたが、今度はカンパニー全体が仲のいい家族に見えた。温かみのある、いいリーダー猫だと思う。皆さんに自信を持っておすすめしたい。

さてこの日はほかにも初見のキャスティングがあったので、感想をまとめておく。

まず五東由衣のジェリーロラム=グリドルボーン。これもぐっと大人のムードを漂わせている、熟女系ジェリーロラムだ。バストファージョーンズナンバーでは、ごちそうを欲しがるシラバブをけしかけるでも止めるでもなく、後ろでエマニエル夫人のようにけだるそうにしなだれている。大人の余裕だ。この二人、いつもは姉妹に見えるがこの日は親子に見えた。

この五東ジェリーロラム、アスパラガスナンバーのソロパートが実にいい。五東由衣は豊かな声量とクリアな声質を持った素晴らしいシンガーだが、ここではあえて「歌うように」歌うのではなく、「語るように」歌っていた。それが大いに心に響いた。決して似ているわけではないが、CDの保坂知寿ジェリーロラムをふと思い出した。

そしてグリドルボーンとしては、過剰なほどの大げさな演技で臨んでいた。ここは劇中劇、それも大衆演劇のようなものだから、これは正解と思う。

野中マンカストラップ、五東ジェリーロラム、そして荒川タガー。この日は全体的にアダルトタッチなキャッツだった。

そのアダルトな雰囲気の中で、逆にフレッシュさを際立たせていたのが、スキンブルシャンクスの石井雅登と、シラバブの紺野美咲だ。

石井は「ジョン万次郎の夢」で好演し、評判がよかったので一度見たいと思っていた役者だ。基本的には岸佳宏の演技に近いが、小柄で元気いっぱい、そして確かな歌唱力を持つ愛すべきスキンブルシャンクスが誕生した。今後かなりの人気を獲得するのではないか。

そして紺野シラバブ。ほしよさんのブログで推奨されていたので、これも楽しみにしていた。なるほど、これはかわいい。小柄に小顔、耳をくすぐる声と、三拍子そろったアイドル系のシラバブである。そのアイドルのオーラは強烈で、群舞の中でもつい目を奪われてしまう。ちょっと日本語がたどたどしいけど、だがそこがまたいい。前述のごちそうリレーでは、「食べたーい」と口をぱくぱくさせるのが反則技のかわいさである。

さらに、また別の意味で鮮烈な印象を残したのが、レベッカ・ヤニックのディミータ。これはないだろう。不自然な日本語で堂々と歌うその姿は、ただの「ヘンなガイジン」である。見た目が奇麗なだけに、なおのこと不自然さが際立つ。ひと昔前の芸人による金髪女性のモノマネのようだ。青木さやかが本当に登板してもこれほどヘンなことにはならないだろう。もし「恐れを知らぬ川上音二郎一座」を見た人がいるなら、ホイットモア夫人を想像してほしい。まさにあれだから。これはもう爆笑もので、個人的には嫌いではないが、初めてキャッツを観た人にはちょっと酷ではないかと思う。

安定したオトナの魅力と、フレッシュな男女アイドルの共演。さらにお笑い芸人まで登場。なんだか紅白歌合戦のようなぜいたくな気持ちになった公演だった。

四季「キャッツ」のWEBサイト
http://www.shiki.gr.jp/applause/cats/main.html

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2007年11月22日 (木)

四季「ウィキッド」樋口麻美エルファバ登場

グリンダ 沼尾みゆき
エルファバ 樋口麻美
ネッサローズ 山本貴永
マダム・モリブル 森 以鶴美
フィエロ 李  涛
ボック 金田 暢彦
ディラモンド教授 武見 龍磨
オズの魔法使い 松下 武史

開幕から5カ月、ついに第二のエルファバ登場だ。すでに発表されている樋口麻美であり、サプライズではない。しかし、濱田めぐみがあまりにも完璧すぎる演技を続けたために、すっかりエルファバ=濱田めぐみというイメージが出来上がってしまった。予想されたこととはいえ、そのバトンを受け取るのは相当なプレッシャーだろう。入団以来エリート街道をばく進してきた樋口の実力が試される時だ。これは観なくては、といそいそと海劇場へ。

樋口麻美をアンサンブル以外で最初に観たのは2000年の「夢から醒めた夢」福岡公演だろうか。幻の樋口マコである。この時は旅行を兼ねて数日滞在し、別の日にも観たのだが、もう1回はベテラン鈴木京子がマコだった。どうもそちらの印象が強すぎて樋口の記憶が定かでない。その後「夢から醒めた夢」のピコを始めいくつかの役で彼女を観ているが、特に「南十字星」のリナは印象的だった。牢の外でブンガワン・ソロを歌う樋口の姿に、いい女優に成長したなあ、と感動したのを覚えている。最近では、「ウェストサイド物語」のアニタで、これまでの娘役っぽい殻を破った演技を見せたのが記憶に新しい。また一段とレベルアップしたところをアピールしていた。

だから、いかに濱田の後といえど、樋口エルファバを見ることにに不安は感じない。むしろどんなエルファバだろうかとわくわくして開演を待つ。

グリンダ様のお姿を拝謁した後、回想シーンに入っていよいよエルファバ登場。観客の前に勢いよく樋口エルファバが飛び出してきた。

その第一印象は、なんだか赤塚不二夫のマンガに出てくるメガネくんみたいだった。かなりインパクトが強い。率直に言っておかしい。濱田に比べ樋口は丸顔だが、丸顔にあのメガネの組み合わせは非常に危険だということがよくわかった。

そしてこのエルファバ、非常に元気がいい。屈折している雰囲気はあまり感じさせず、威勢の良さで周囲の目をはねのけているような、なんだか江戸っ子のようなエルファバである。また、明るいというほどではないが、笑顔もよく見せる。ただ樋口は、表情を大きく変化させるときに笑顔のように見えることが多く、そのせいもあったかもしれないが。

もっとも容姿については「Popular」でメガネをはずすとぐっと変わる。濱田は緑でもキレイだが、樋口は緑でもかわいい。その落差は樋口のほうが上だ。

のっけから元気がいいため、「ネッサを返して!」など、感情を爆発させるときのインパクトがやや薄くなる、というようなこともあったが、基本的にこの元気ハツラツなエルファバは悪くない。学生時代のシーンであり、若さを表現していると考えればむしろ自然だ。

歌にも元気があふれている。もともと声量のある樋口だが、その力強いボーカルをいかんなく発揮している。一幕最後の見せ場「Defying Gravity」では、濱田に負けない圧巻の歌声を披露。この作品では、一幕が終わり休憩に入ると、客席が「すごいね」「面白いね」とざわつくのが、リピーターにとってちょっと嬉しい瞬間なのだが、それはこのDefying Gravityというナンバーの出来によるところが大きい。この日もちゃんとざわついていたので、第一段階はクリア、という感じだ。

しかし、一幕は学生時代だから元気いっぱいでいいが、果たして二幕はどうなるんだろう。あれこれ頭の中で予想しつつ休憩時間を過ごす。

基本的には、二幕に入っても、やはり元気のいいエルファバだった。ただ、その元気の蔭に不安や孤独が見え隠れしている。それによって「強がっている」というエルファバの側面を表現することに成功している。なるほど、これはこれで面白い。濱田のエルファバは、意志によって支えられ、凛とした印象なのに対し、樋口のエルファバは、根性によって支えられ、脆さを感じさせる。

そうした雰囲気で最後まで樋口が演じ抜いたエルファバは、個人的には十分満足のできるものだった。

濱田との比較で言えば、濱田が演技・歌ともに強弱のメリハリをつけたものであるのに対し、樋口は常にフォルテ気味。ここは好き嫌いの分かれるところだろう。ただ歌について言うと、他の役者とハモるところでは、いまいちしっくりこない。自分の声で相手の声を消してしまうのを恐れ、必要以上に声を小さくしてしまったり、ということがある。なので二幕の「For Good」はいまいちだったかもしれない。

ひょっとしたら、元気がいいのはまだ登場したばかりで、肩に力が入りすぎているためなのかもしれない。少し時間を置いて、また見に来ることにしよう。

トータルに考えれば、濱田にはまだまだ叶わないのは事実だ。しかし、エルファバとしての合格ラインはゆうにクリアしていると思う。「えーめぐじゃないのか」と言わず、ぜひ足を運んで新しい西の魔女を目撃してほしい。

そうそう、樋口エルファバが濱田に勝っているところもある。それは笑いの取り方だ。エルファバが笑いを取るシーンはそう多くはないが、いい間合いで確実に笑いのツボを押さえていた。ダンスホールのあのダンスでも、濱田は、おかしいんだけど笑っていいものかちょっと迷う、というぐらいだったが、樋口は容赦なく、MP総取りのふしぎなおどりで爆笑を誘っていた。まあここも好みはあると思うが。

濱田が、登場時からすでに自分の中に完成されたエルファバを持ち、それを少しずつ「濱田めぐみ」に馴染ませていくように役を作ってきたのに対し、樋口は「樋口麻美」をエルファバに全力でぶつけ、その衝撃によって樋口エルファバを抽出しようとしている。まだ荒削りだが、今後磨きがかかっていけばもっとよくなるという期待感はある。

濱田・樋口とも他に演じるべき重要な役を持っているので、ウィキッドばかりにしばられるわけにはいかないだろうが、これからもこの2人にはエルファバを演じ続けてほしいものだ。

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「ウィキッド」のWEBサイト
http://www.shiki.gr.jp/applause/wicked/index.html

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2007年11月18日 (日)

三谷幸喜「恐れを知らぬ川上音二郎一座」

少しばれます。おのおのご注意を。

三谷幸喜が商業演劇に初挑戦。これは、裏を返せば商業演劇の代表的存在である東宝が、三谷の抱えるファン層を取り込もうとしているということだ。

そのために東宝は、文字通り最高の檜舞台を美々しく用意した。伝統の「芸術座」を模様替えした「シアタークリエ」のこけら落とし公演、という形で。それに三谷が応え、「劇場」をテーマにした作品を提供したのがこの「恐れを知らぬ川上音二郎一座」である。川上音二郎の米国公演を題材に、全ての話が劇場で展開し、劇中劇もふんだんに盛り込まれるという三谷の最も得意とする手法で創り出された三谷版・商業演劇が誕生した。

出演陣は、斬新さと豪華さを同時に感じさせる実に贅沢なメンバーだ。

川上音二郎 ユースケ・サンタマリア
川上貞 常盤貴子
助川タエ 戸田恵子
伊達実 堺雅人
甲本与之助 堺正章
津田山蔵人 浅野和之
飯尾床音 今井朋彦
伊東カメ 堀内敬子
大野熊吉 阿南健治
小村寿太郎 小林隆
ホイットモア夫人 瀬戸カトリーヌ
野口精一 新納慎也
綿引哲人 小原雅人
ヘンリー・アーヴィング ベーカー・ウィリアム・ヒュー

ユースケ・サンタマリアに常盤貴子という舞台経験の浅い2人を堺正章や“三谷組”の実力者たちが支えるという構図だ。堺正章の偉大な芸を間近で観られただけでも感動なのに、戸田恵子は出てくる、堺雅人は出てくる、極め付けに堀内敬子も出てくる。2列目中央というナイスポジションを確保したこともあり、ついつい作品よりも役者に目が行ってしまう「異常な観劇姿勢」となってしまった。

しかしこの場合、それは異常とは言えない。何しろ商業演劇だ。役者目当てに、あるいは「お芝居を観に行く」というイベント自体が目的になってもいいのだ。三谷もそこを意識し「コンフィダント~絆」で見せたような、三谷の真骨頂とも言える緻密な計算に基づく完成度の高い作品ではなく、気軽に楽しみながらのんびり観られて、役者の魅力や実力が観客にストレートに伝わるような作品を作ってきた。「コンフィダント」のような研ぎ澄まされたものを期待した人は失望したかもしれないが、今回はジャンルが違うのだ。常に新しいことに挑戦するのも三谷の魅力ではあるし、常に三谷作品が傑作佳作というわけではない。三谷だから笑えるだろう、感動できるだろう、という先入観も「異常な観劇姿勢」につながるものだから注意したほうがいい。そのうち三谷幸喜も「私は麻薬の製造人ではありません」とか言い出すかもしれない。

というわけで、俺は十分面白かった。自分の好きな要素が詰め込まれていたということもあるかもしれない。川上音二郎にマダム貞奴、劇中劇に役者が客席に飛び出す参加型の演出、どうしようもない人間に惚れてしまう、どこか、つかこうへい作品を思わせる人物描写……。さらに、あまり三谷作品ではお目にかからない、他の演劇作品のベタなパロディーも入れてきた。まるで劇団☆新感線のように。これは舞台セットを観たとき、ひょっとしたらあるかな、でも三谷がそんなことするかなあ、と思ったらきっちりやってくれた(「犬顔家の一族」のときも同じようなことを書いた記憶がある)。商業演劇だからこういうのもありかな、というサービス精神の現れなのだろう。ヒントは5番ボックス。

川上音二郎の人物像は、大河ドラマ「春の波濤」で中村雅俊が演じてから大いに興味を持って、関連する本なども読んだが、破天荒なその人生はすこぶる面白い。中村雅俊はややお行儀のよい感じもしたが、ユースケ・サンタマリアはそのイメージにピッタリだ。音二郎の、抜群の行動力と不思議に人を引きつける魅力を十分に感じさせてくれる。声も非常に良く出ており、滑舌も全く問題がない。舞台俳優として十分な力を持っていると感じた。

貞奴の常盤貴子は本当に美人。その華やかでありながらきめの細かい女優オーラは、発声の弱さをカバーして余りある。

堺正章は「ちゅらさん」あたりからその芸が神の域に達してきたように思えるが、70年代のNHK「コメディー公園通り」以来、ずっとその笑いの才能は衰えることを知らない。その姿を生で見られて本当に良かった。“前説”でも本人が触れていたように、体力的にはきつい役のようだが、千秋楽まで元気に頑張ってほしい。

戸田恵子、堺雅人、小林隆(今井朋彦、小原雅人も)といったメンバーは、もはや三谷組というより「新選組!」である。堺雅人のあの衣裳は反則技だろう。これも商業演劇ならではのサービスか。

そしてそして、もうすっかり三谷組の堀内敬子だ。今回は、コメディエンヌとしてのハードルをさらに高くされた役に挑戦だ。セリフは全てハードな津軽弁。ほとんど意味が分からない。それでいて笑いを取り、感情を表現し、生き様を感じさせ、観客を納得させなくてはならないという難役だ。しかし堀内はそれをやってのけた。その実力はどうだ!と俺が威張る資格はないが、「美女と野獣」からずっと応援してきた身としては、その成長と評価がことのほか嬉しい。彼女のエッセイが間もなく発売になるらしい。楽しみだ。そして今年一杯で現在の事務所を離れるとのこと。引退ということではないようなのでひと安心だが、いったいどのような新展開になるのか。まさか四季への復帰、ということもあるのか。それはそれで嬉しいが。だってオズの国があなたを待っている!

ところで、この新劇場シアタークリエだが、正直いまひとつという感想である。600席というキャパシティーはほどよいが、後ろのほうの客席はかなり距離感があるし、列の間も狭く感じられ、ロビーは実際狭い。どうも東宝の、顧客サービス軽視の姿勢がにじみ出ているようで嫌だった。

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謎の劇場イメージキャラクター

「恐れを知らぬ川上音二郎一座」ホームページhttp://www.tohostage.com/theatre_crea/otojiro/index.html

「ほりうちけいこ センチメートル」
http://horiuchikeiko.cocolog-nifty.com/keiko/

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2007年11月12日 (月)

四季のWEBサイトが面白いことになっている件について

月曜から、また四季のWEBサイトが壮大なネタを投下してくれた。

まず、先週発売の「週刊新潮」が、9~10月のキャストボックス廃止騒動、石丸幹二の舞台降板、そしてマンマ・ミーア!福岡公演打ち切りなどについて取り上げたのに対し、「記事には明らかに間違いがある」との反論を掲載。だが読んでみると、事実誤認というより、こちらの回答をきちんと載せていないではないか、という抗議である。

正直、新潮の記事はいわゆる「ワイド」の最後のほうの扱いで、新聞で言えばベタ記事レベルだった。マスメディアに取り上げられたことはインパクトがあったかもしれないが、内容的にはネットで拾った情報に、電話で形だけ取材したようなものだった(実際にはFAXだったわけだが)。明らかに数合わせの埋め原稿である。だから、四季はスルーしてもよかったのだ。上場でもしていれば投資家への説明のために経緯と抗議をきちっとした形で公開することも必要だろうが、四季にそんな義務はない。過剰反応もいいところだ。

別にそれに文句を言う筋合いはないが、あまりに子供っぽい対応にファンのこちらまで恥ずかしくなる。四季の広報はプレス対応も非常に丁寧でオープンだと聞いたことがある。そのしっかりした広報がこんな恥ずかしい真似をするとも思えず、まあやはり代表様の怒りによって動かされたと見るべきだろう。

まあ、百歩譲ってそれは真面目な姿勢の現れ、と好意的にとらえることもできなくはない。問題は、同時に掲載された代表インタビュー「四季の話題3」。言わずと知れた、代表の自作自演インタビュー・浅利慶太オンステージである。

今回は保坂知寿・石丸幹二の退団について、未練たらたらで負け惜しみを言っている。相変わらずの独善ぶりには失笑どころか爆笑を禁じ得ず、突っ込みどころ満載というか突っ込めないところを探したほうが早いほどだ。こんな面白いネタを、四季はどうして月曜なんかに投下するのか。せめて金曜にしてくれたら、週末に十分な時間をかけて反応してあげるのに!

というわけで、横着して申し訳ないが軽くルー語変換だけしてみました。

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劇団四季『四季の会』会員向けに発行されている会報誌“ラ・アルプ”では、折々に、浅利慶太代表へのインタビュー『四季の話題』を掲載いたしております。『四季の話題3』は本来、同誌12月号に掲載されるものですが、雑誌『週刊新潮』に劇団四季の話題が取り上げられたこともあり、“ラ・アルプ”発行に先駆けて掲載させていただきました。

――韓国の『ライオンキング』は大盛況で千秋楽を迎えたそうですね。

浅利  Yes。

――最初は強い反対運動があったとか。劇団四季に対抗するため、韓国の演劇人によって「ミュージカル協会」が結成され、『ライオンキング』に出演した俳優は、彼らの主催する公演には出さないという声明が出たそうですね。

浅利  そういうプロブレムは霧散しました。1イヤービフォーこの組織が四季に対抗して立ちギブしたイベントが、ディスイヤーも実施されました。メインイベントは『ライオンキング』でした。

――最も強硬だった「ミュージカル協会」のユン・ホジン会長も、千秋楽の打ち上げパーティにいらしたとか。

浅利  来てくれました。フロムナウオンは提携してプロジェクトを興したり、ニューワークをメイクするときには協力してインニードオブなどと頼まれました。劇団四季をアクセプトしてくれたと思います。

――興行収支としては、赤字だったそうですね。

浅利  韓国でファーストのコマース公演です。ビギニングから覚悟していました。このワークは一つ一つ積み上げながら、ゲストをスプレッドしていくのです。ジャパンでの劇団のビギニングピリオドもセイムでした。原点から、粛々と韓国でのビジネスをコンティニューしていくということです。

(中略)

――石丸さんのような俳優がいないと困りませんか。

浅利  彼がいれば、劇団のインサイドでひとつのパートを担ってくれるとはシンクします。しかしヤングパースンのライズオブも著しい。だから居なくてウォリードするということはありません。ディスタイムの『ウェストサイドストーリー』がタイプマークな例でしょう。『ハムレット』も、田邊真也マスターがキャスティングされて頑張っている。また石丸マスターのように40ワールドミドルにアプローチすると、ステージアピアランスできる主役はそうメニーにない。そのこともヒーにとってはマインドマークなチャージになっていたのかもしれません。

――ということは、このまま石丸さんが退団すると言うこともありますか。

浅利  ヒー次第だとシンクします。退団したいなら、チェックするつもりはありません。ヒーは『鹿サウンドすハウス』のステージアピアランスも断ってきました。

――歌が無いのに?

浅利  Yes。

――でも契約中なのではありませんか。それでも断れるのですか。

浅利  ディッフィカルトなプロブレムに発展するポッシブルカスタムはあります。ヒーはもうバーンアウトしてしまったのかも知れませんね。

――そんな我儘が許されるのですか。本当の理由は?

浅利  それはわかりませんし、またノウしたくもないとフィールしています。ただ、ディスのアクターさんは先ずマイセルフのことをシンクアバウトします。日下マスターや僕の世代は、先ず劇団のことを第一にシンクアバウトしてライフしてきました。 マイセルフのコンディションや事情を劇団アクションより優先することはなかった。石丸マスターはウィーよりヤングが、同じシンキングを持ったカンパニーだとビリーブしていました。バッドラックです。

――頑張っている同じ世代の仲間たちを裏切ることにもなりませんか。

浅利  コンディションを優先するヒューマンたちだけになったら、ウィー第一ワールドが退いたシンスゼンは衰退のロードをウォークします。劇団アクションにボディーをリフトアップする信念を持ったアクターたちだけが、四季の未来を支えることが出来るのです。

――そういえば、保坂知寿さんが休団されてから、そろそろ1年ですね。

浅利  劇団四季はエブリイヤー10月インサイドに、参加アクターに対して次イヤーのステージアピアランス契約の継続パーパスを確認しています。更新しないという申し入れもこのタイミングです。四季は長期マークなトレーニングやヤングなアワーからのライフ保障を行なっているので、契約解除のオファーから1イヤーは、四季がリクエストしたワークをする契約アッパーパートのルールがあります。

――では1年経過すれば、外部の仕事も出来るようになりますね。

浅利  保坂マスターが辞めたいと言ってから、ちょうど1イヤー。彼女のケースはアクターを辞めたいのか、四季を辞めたいのか判りませんでしたから、一応スリープボディーというシェイプにして1イヤーゴーバイしました。ただ彼女が相当、疲労していた事はミステイクありません。

――何故ですか。『マンマ・ミーア!』のドナ役が長すぎたのですか。

浅利  そうです。彼女はドナに相応しいアクトレスなので、5イヤーに亘ってパフォームしコンティニューしました。もちろんオンザウェイでアザーのユーズにもステージアピアランスしましたが、ドナ中心のライフでした。

(中略)

――そんな恵まれた仕事でも辞めたいという人がいるのですか。

浅利  このワークをコンティニューする動機は収入だけではありません。そこがアクターのディッフィカルトなところです。ただウィーは、フォースに従って所得が増えるし又ヤングなアクターにも生活のアングザイエティーを感じさせないようなビジネス環境をオファーしています。

――こんなに安定した場所を簡単に放棄する俳優を見て、不愉快な気持ちになりませんか。

浅利  はじめは腹を立てていました。しかし57イヤーもこのワークをしていると、アクターのワンダーな性癖に慣れてくるものです。「ああまたか」というソウトです。

――浅利さんご自身は傷つかないのですか。

浅利  もちろん傷ついています。苦労してベリィハードレイズしたチャイルドたちですから。でもそのエネルギーを、新しいアクターをレイズするストレングスにチェンジします。

――ところで新人は育っていますか。

浅利  どんどん育っています。育っているのはニューフェイスだけではありません。ゲストで参加しているメンバーも、四季の水で洗われてグッドになっています。

(中略)

――浅利さんはこれまで、退団を希望する俳優を引き止めたことが無いそうですね。

浅利  もとは無名の若者から、僕がレイズしたヒューマンたちです。だから割り切って、ギブアップすることにしました。

――退団後に、もう一度面倒を見て欲しいと望まれたら。

浅利  ディス、四季に参加しているアクターにはラブを持って細かく目配りをしています。離れたヒューマンにはインタレストがシンになります。

――では退団者の出演する舞台はご覧にならない?

浅利  彼らへのインタレストは、辞めたモーメントで止まっています。四季に在籍しコンティニューしていたら、もっと伸びたヒューマンがメニーとシンクしますが。しかし四季にリメインするためには、人間マークな成長がネセサリーです。劇団と共にリブし、劇団のアイディアをビリーブする。プライベートパースンプレーではなく充実した舞台をつくるための祈りを持ってリブする。でないとアフターオール育たないのです。大パートのヒューマンは劇団をリーブしてアフターディス、アクターとしての成長が止まっているように見えます。

(中略)

――話題を変えます。そういえば先日、世界的な作詞家で、『ライオンキング』など数々の大ヒットミュージカルを手掛けているティム・ライスさんとお会いになったそうですね。

浅利  ヒーは僕のクローズフレンドです。アライバルインジャパンしていたヒーから、ぜひミートしたいと言われました。イーチアザービジーだったが、久しぶりにオールドフレンドシップを温めました。

――その『ライオンキング』もご覧になったそうですね。

浅利  ヒーのタイプ作の一つです。四季の『ライオンキング』が、世界のトップだと言ってくれたのはハッピーだったですね。

――そういえば、四季は彼の作品を5作も上演していますね。『ジーザス・クライスト=スーパースター』、『エビータ』、『美女と野獣』、『ライオンキング』、『アイーダ』。

浅利  どれも思い出深いワークばかりです。劇団四季ミュージカルの歩みは、ヒーとのアソシエイションワークのヒストリーそのものといえるでしょう。

――お話はそれだけですか。

浅利  もちろん、ニューワークや今後のプロジェクトのことなど、いろいろな話題がありました。

――新作? それはティムさんとのコラボレーションですか。

浅利  ここでは未だ言えません。トゥデイはこの辺でフィニッシュしにしておきましょう。

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おちょくるのすら不愉快な部分はカットしました。ほんと、言いたいことはいっぱいあるけど、今回は直接観客に向かって毒を吐いているわけではないので読み飛ばしておくことにします。

原文を読みたい方はこちらからどうぞー

劇団四季ホームページ「クローズアップ」
http://www.shiki.gr.jp/closeup/

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2007年11月11日 (日)

劇団ゲキハロ第3回公演「リバース! ~私の体どこですか?」

Hello! Projectと小劇場系の劇団とのコラボレーション企画「ゲキハロ」の第三回公演。旗揚げ公演は作:前川知大(イキウメ)、演出:岩井秀人(ハイバイ)、出演:Berryz工房ほかの「江戸から着信!?~タイムスリップto圏外!~」。第2回は作・演出:塩沢泰造(大人の麦茶)、出演:℃-uteほかの「寝る子は℃-ute」。そして今回が関西で快進撃を続ける「ファントマ」の伊藤えん魔の作・演出、Berryz工房ほか出演の「リバース! ~私の体どこですか?」だ。

ハロプロ好きの演劇好きにとってはたまらない企画である。第1回、第2回も観たかったものの見逃していたが、ようやく観る機会を得た。かつて劇団☆新感線も93年、乙女塾のribbonとのコラボレーションで「TIMESLIP 黄金丸」を上演した。自分が新感線を見始めたのは94年だからこれは未見。DVD化してくれないかな。ribbonといえば永作博美だが、昨年松野有里巳も芸能界復帰を果たし、ナイロン100℃の舞台に出演している。

アイドルのライブ+演劇というのは感覚的に新鮮だが、たぶん新宿コマ劇場で上演されている歌と芝居の特別ショーなんかと同じなのだろう。素直に楽しいし、演劇人口の拡大にもつながる。ぜひ演劇界はこうしたコラボレーションを積極的に進めてほしいものだ。そこから、日本のエンターテインメントの新たな領域が広がってくるかもしれない。2006年のベストプレイは、誰が何と言おうと宝塚+モーニング娘。の「リボンの騎士 ザ・ミュージカル」だった。あのような奇跡がまた起こることを願いたい。

さて、今回の出演は以下の通り。

清水佐紀(Berryz工房)、嗣永桃子(Berryz工房)、徳永千奈美(Berryz工房)、須藤茉麻(Berryz工房)、夏焼雅(Berryz工房)、熊井友理奈(Berryz工房)、菅谷梨沙子(Berryz工房)、美津乃あわ(ファントマ)、藤元英樹(ファントマ)、盛井雅司(ファントマ)、斉藤潤(ファントマ)、天野美帆(ファントマ)、田村K‐1(ファントマ)、倉増哲州(ファントマ)、伊藤えん魔(ファントマ)、西念未彩(ハロプロエッグ)、森 咲樹(ハロプロエッグ)、湯徳歩美(ハロプロエッグ)、古峰桃香(ハロプロエッグ)、和田彩花(ハロプロエッグ)

なぜいつものようにテーブルを組まないのかというと、役者の苗字がそのまま役名になっているからだ。

部活廃止を目論む生徒会と、部活存続を訴える各部の部員たちとが勝負することになったが、それぞれのリーダーが顧問の先生たちと精神だけ入れ替わってしまいさあ大変、という、非常にどこかで聞いたような要素を組み合わせた学園コメディーである。

正直なところ、ストーリーはBerryz工房の演技レベルを考慮しすぎてハードルを低くしすぎた感がありもの足りないが、終わり方だけはちょっと気に入っている。すべてハッピーエンドにしなかったのは、伊藤えん魔の作家としての矜持を示したところだろう。

Berryz工房の各メンバーも、もちろん演技は未熟ではあるが、それぞれの持ち味が演出でうまく引き出されており、終始ハラハラしながらもだらしなくにやけた顔で舞台を見守ることができた。

美津乃あわ、藤元英樹らファントマの劇団員はさすがの存在感。やはり関西の劇団はレベルが高い。これはファントマの公演も観に行かなくては。

Berryz工房をライブで観たのは昨年夏のハロプロ公演以来、Berryz工房単独イベントはその前の春のツアー以来だ。その春のコンサートでは、熊井友理奈の身長の伸びに目を見張ったが、あれから1年半、さらに伸びていて驚愕した。確実に俺よりでかい。180近いんじゃないのか。でもかわいいのがすごい。

それにしても、最近のハローはスキャンダル続き。「その噂っていったら、ちょースキャンダラスなのよお」とグリンダの言葉が聞こえてきそうだ。加護亜衣の復帰断念→芸能界追放、辻希美のできちゃった婚、藤本美貴のモーニング娘。リーダー辞任、安倍なつみの交通事故、そして後藤真希の身内の不祥事&本人の共犯者との関係などなど。ほとんど報道されることはなかったが、個人的には昨年秋の村上愛脱退騒動が痛かった。その真相はともかく、紆余曲折を経ながらなんとか形ができたばかりだった℃-uteはあれで一から再構成を余儀なくされてしまい、せっかくのメジャーデビューでスタートダッシュを得ることができなかった。村上脱退直前の℃-uteはBerryz工房をしのぐポテンシャルを秘めていただけに非常に残念だ。あのまま℃-uteが伸びてくれれば、Brerryz工房との相乗効果で、一気にキッズ世代がハローの中核になったものを。そしてそれがモーニング娘。にもいい影響を与えただろうに。今となっては全てが裏目に出てしまった。

つんくプロデューサーも、最近はハローより、田辺エージェンシーらと共同で進めている「NICE GIRL プロジェクト!」のほうにご執心のようだ。キッズ世代に続く、エッグ世代の「THE ポッシボー」はハロプロではなくこちらに所属することが発表された。

ハローはこのまま崩壊を遂げるのか。個人的には、もうちょっと人気が落ち着いたあたりで(Yahooオークションでチケットがあまり高騰しないレベルで)安定してくれるとありがたいのだが。

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我がホームタウンである柏の生んだトップアイドル、嗣永桃子のブロマイドをつい買っちまったのは内緒だ。

ハロー!プロジェクト公式サイト

http://www.helloproject.com/

劇団「ファントマ」公式サイト

http://www.fantoma.info/

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