「ファヌアン」で夕食
毎年期待を裏切らない、メインダイニング「ファヌアン」。ここは近年、徹底的なCRMを分かりやすくサービスに応用している。客がどのコースを注文し、何を飲み、どのテーブルに座り、誰がそのテーブルを担当したかすべてデータを残しておき、その客が再び来店したときにその情報をふまえてサービスするのだ。
席に着くと、「○○様、今年もファヌアンをご利用いただきありがとうございました。昨年に引き続きこちらのテーブルを担当させていただきます○○です」とくる。データベース検索してきました、というのがミエミエなあたり、かえってすがすがしく感じる。それに自分が前回何頼んだかなんて当然忘れてるから、それを言ってくれるのはちょっと面白い。もっとも、俺は1人だからいいが、前回と異なるご婦人を連れてきたなんていう場合はどうなるんだろう?まあそのあたりはちゃんと気をつけるのだろうが。
ひとしきり前回ネタで盛り上がったあと、コースの説明を受け、「ぜひ○○様にはこのコースをご賞味いただきたい」と通常コースよりちょびっと高い期間限定のコースを進められる。この時点で「自分は常連」という思いこみを刷り込まれているから、ついその誘いに乗ってしまう。うまいやり方だと感心する。
というわけで頼んだのは期間限定の「ヴェガ」コース。現在ファヌアンのコースは以前より増えて6種類あり、いずれも星にちなんだ名前が付けられている。ゼロノスとは関係ない。
フラッシュを使わずに撮り、データ補正したものなので写真が荒いのは勘弁を。
沖縄を醸し出すアミューズ達の饗宴
紅芋とか島らっきょうとか豆腐ようとか、沖縄の珍味を上品にセレクトしたものだ。
フォアグラ、県産地鶏の胸肉と県産きのこのテリーヌ サラダ添え 白ポート酒のジュレと共に
あっさりとした鳥やきのこの味と、濃厚なフォアグラの舌触り。絶妙のコンビネーションだ。
冷たい3色のヴィシソワーズ
赤いソースが目をひくが、味はほんのりとしかしない。どうも二十日大根か赤かぶか、そんなようなものを皮ごとすり下ろしたようだ。
名護漁港で水揚げされた魚と北海道産帆立貝のグリル キャベツのリゾットと共に アオサ海苔の煎餅添え 2種ソースで
2時間ドラマのタイトル並みに長い料理の名前だが、目を引くのは皿からはみ出しそうになっている、アオサ海苔をせんべい状にしたものだ。付け合わせがこんなに目立っていいものか、というぐらいのインパクトである。昔NHKホールで観たオペラ「ワルキューレ」の舞台装置みたいだ。
アセローラのシャーベット
これは見たまま、口直しのシャーベットだ。
今帰仁産アグー豚ロース、県産和牛ロース、県産和牛フィレ肉のポワレ 温野菜添え 3種ソース
うわ、出た。という感じの豪華三点盛り。濃厚なアグー豚に果物を使ったソースがぴったり。県産牛はフィレ、ロースともに腰が抜けるほどやわらかい。それぞれは小さいように見えるが、3つ食べるとかなりの満腹感だ。
本日のプティチーズ
チーズもコース内に盛り込まれている。よく「コースに入ってはおりませんが、チーズなどいかがですか」と聞かれると、「いくらですか」とも聞けず、でも断ったらケチだと思われるかなとかいらん緊張を強いられるが、そんな気遣いは無用ということだ。
県産パッションフルーツのムース うっちん風味のチョコレートアイス添え
チョコレートアイスに、何か漢方のような不思議な味が混じっているなとおもったらうっちんたったようだ。新しい発見だ。
コーヒーまたは紅茶
コーヒーをセレクト。コースは以上で終了だ。
ファヌアンは今年もうまかった。ここは、素材の味を本当に大事にして、その魅力を最大限に引き出すことに長けている。技術をひけらかすようなことはしない、質実剛健さが魅力だ。今回のコースはやや派手な演出もあったが、それもこれ見よがしないやらしさではなく、中学・高校のころ、勉強がよくできて性格もよく、派手さはないがよく見ると美人なので実は隠れファンが多いような女子生徒が、友達の誕生会にちょっと頑張っておしゃれしてきちゃいました、というぐらいの雰囲気だ。例えがわかりにくくてすまん。
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