四季夏休み公演「ふたりのロッテ」開幕
恒例になりつつある四季・自由劇場の夏休み公演が11日、開幕した。今年は「ふたりのロッテ」だ。四季のファミリーミュージカルは嫌いではないどころかだいぶ好きだが、まあスルーしてもいいかと思っていた。7月に入ってから体調悪く、にもかかわらず遊んでいたためかなり悪化してきており、さすがにこの週末は朝青龍のように謹慎でもしていようと考えていた。
しかし初日のキャストを見て驚いた。これ↓
ロッテ | 吉沢梨絵 |
ルイーゼ | 五十嵐可絵 |
パルフィー氏 | 勅使瓦武志 |
ケルナー夫人 | 武 木綿子 |
ムテジウス校長 | 服部幸子 |
ウルリーケ先生 | 奥田久美子 |
ペーター先生/ベルナウ編集長 | 井上隆司 |
アイペルダウワー/シュトローブル博士 | 川地啓友 |
イレーネ | 荒木美保 |
レージ | 大橋伸予 |
マーサ | 桑野東萌 |
オルガ | 服部ゆう |
メグ | 是澤麻伊子 |
ヒルデ | 梅崎友里絵 |
ローザ | 灰田明日佳 |
ブリギッテ | 齋藤 舞 |
シュテッフィ | 小澤真琴 |
クリスチーネ | 山本奈未 |
トルーデ/アンニー | 木内志奈 |
モニカ | 濱村圭子 |
ソフィ&リサとして息の合ったところを見せていた吉沢梨絵と五十嵐可絵の共演だ。そして自分は「夢から醒めた夢」の抜擢以来吉沢信者である。さらに、可絵ちゃんソフィをいちはやく評価していたことにかけては日本じゃあ二番目だ。
これは要するに、俺に来いということだな?
というわけで、朝青龍の帰国より早く謹慎を解除し、いそいそと前日予約で自由劇場へ。家族づれでにぎわう中を分け入って着席すると、かなりの至近距離で観られる特等席だった。家族みんなで前日予約、というのは考えにくいし、ひとりでファミリーミュージカルに来るのはすでに痛さを克服した勇者のみだから、前日予約の競争率は下がるのか?まあ、よくわかりませんが。しかし何となく世の中に謝りたい気持ちだ。どうもすいません。
四季の「ふたりのロッテ」は初見だが、ストーリーは昔むかーしどこかで読んでいたし、つい最近ディズニーがこれをベースに制作した映画「ファミリー・ゲーム」をディズニーチャンネルで観たばかりだったので、おおむね頭には入っている。フタゴの姉妹が親の離婚によって別々に育てられ、ある日偶然出会って両親のヨリを戻そうとする話だ。
前半の舞台がサマースクールなので、まさに夏休みの演目としてはうってつけだろう。
いきなりスクールガールな衣裳を着た女性アンサンブルが舞い踊る展開。まるでAKB48のようだ、とはちと言い過ぎで、よく見ると当然そんなに若くもないわけで、しかしその微妙さがまた萌えるわけで、どこかのコスプレショーを観ているようだ。正直に言おう。これは楽しい。女性アンサンブル系オタにはたまらないステージだ。自分はまだその境地には達していないが、去年の「リボンの騎士」のようにこの夏はこれをリピートしてその道に堕ちてしまいたい衝動に駆られた。ところで劇場で配られたキャストシートと、公式サイトのキャスト表、アンサンブルの役名と俳優名の組み合わせがほとんど違ってるんだけどこれなんで?
微妙といったら吉沢のスクールガールはかなり微妙。というか一般的な評価軸で考えると限りなくアウトに近い。しかし吉沢ファンならもちろん許容範囲だ。むしろそんな思い切ったコスプレをしてくれてお礼を言いたいぐらいだ。自分の吉沢ファン度が試される、シビアな舞台である。2幕の悪夢のシーンでマスカレードな人たちに囲まれたときの表情が、完全に「UNDER ATTACK」のときと同じになってて半笑い。
一方の可絵ちゃん。こちらはさほど無理はない。バレエっぽい振り付けが多いので、リサ役で一躍彼女を有名にしたシャープなダンスは見られないが、きりっとした動きは見ていて小気味いい。
ただこの二人、ぜんぜん似ていない。「どうしてこんなに似ているの?」「そっくり!」といったセリフが飛び交うたびに、おいおいと突っ込みたくなる。声質も違うからハモりもそんなにきれいじゃない。でもどっちも身長が低いので、そろいの髪型で手をつないで出てくると、なんとなくフタゴのオーラは発せられて、なかなかかわいらしく見えてくる。舞台ってこわい。
この舞台、おとなしいロッテよりもおてんば(死語)なルイーゼのほうがだんぜん見せ場は多い。「夢から醒めた夢」のピコ役のキャリアや、コメディエンヌとしての力量を考えれば、吉沢がルイーゼでもおかしくないし、むしろ自然だ。しかしあえてロッテ役に据えたところにキャスティングの妙がある。吉沢のコメディエンヌな雰囲気は強烈で、どう押さえこんでもあふれ出てしまう。それに対して、可絵ちゃんはダンスは一流、歌も演技もかなりのレベルだけれど、まだ主役級のキャリアがないせいか、内面からにじみ出てくるものは少ない。これによって、ふたりの放つオーラがバランスが取れているのだ。仮に、この役を逆転したとしよう。確実に、舞台のタイトルは「ふたりのルイーゼ」になってしまうはずだ。
脇を固めるのもなかなか豪華なキャスト。最近すっかりファラオ様なイメージの勅使瓦武志がいるわ、マダム・モリブルにもキャスティングされてる武木綿子がいるわ、なかなか部長でお会いできない川地啓友がいるわ、それになんっつったってグリザベラの奥田久美子が素顔で出演ですよ?これは貴重です。アルプの写真のまんまの風貌で劇場全体をなごませる一方で、突然圧倒的なボーカルで客席を黙らせる。こんな面白いキャスト誰が考えたんだ。ここに、今後坂本里咲とか栗原英雄とか本当に出てきたら、えらく豪華な舞台になりそうだ。
ファミリーミュージカルや、全国公演にも惜しみなく一線級のキャストを送り込む四季の姿勢は素晴らしいと思う。それが、四季が「劇団」を名乗る矜持になっていることも大いに共感する。個人的にも俳優たちの意外な側面が見れて楽しい。
が、今の四季はウィキッドが開いたこともあり、かなり人材のしわ寄せが来ている作品もある。マンマ・ミーア!の打ち切りはその象徴的な出来事ではあるが、問題はそれだけに止まらない。ウィキッドは開幕から2月ほど経つがメインキャストはずっと同じ。そしてキャスティングされている他の俳優はことごとく他の舞台に出演している。いつかあちらこちらで破綻が起きるのではないかと要らぬ心配もしたくなる。
ともあれ、観ておいて損のない真夏の昼の夢だ。子供や親戚をダシに使うもよし、痛さをこらえてひとりで出かけるもよし、ぜひ劇場に足を運んでほしい。リピートしようかなあ。
劇場前の記念撮影コーナー。どうせなら梨絵可絵コンビと一緒に撮影できるっていうファンサービスはどうだ。オタが殺到するからだめか。俺も確実に並ぶだろうしな。
「ふたりのロッテ」のホームページ
http://www.shiki.gr.jp/applause/lotte/index.html
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
こんばんは。以前、目玉のトップページが苦しい、とコメントさせていただきましたけど、変わったんですね!嬉しい!私の言うことを聞いてくださったんですね(冗談です。念のため)
これで安心してチェックできます。
ところでジーザス・クライスト=スーパースターについてはまだアップしてないのですか?観にいらしてないのでしょうか?是非ご感想伺いたいです。
見知らぬ方のブログにコメントはしないタイプですが、今日はJCSの
オフステで柳瀬さんジーザスを至近距離で拝むという神がかり的幸運のため
多少こわれていますのでお許しください。
JCSは主に男性メインの舞台で、女性はマリアしか目立つキャストはなく、クライマックスは芝ユダまたはスンラユダと、やなぴジーザスのほっぺちゅーという、男性には食指の動かないものかもしれません。
(私にはあのほっぺちゅーがたまらないのですが・・・)
でも観れば観るほど素晴らしい作品です。是非いつものノリでのご感想を!
期待してます!
投稿: ton | 2007年8月18日 (土) 00時59分
このキャスティング見てヤボオさんを思い出しました(笑)
前予ですか!…同じく。。
もしかして同日観劇だったかも?
にしても二卵性すぎやしませんか?
可絵ちゃんはなかなか関東方面に来ないので初めて拝見しました。
なるほど、かわいい。。
投稿: fudoh | 2007年8月18日 (土) 12時55分
tonさん、こんにちは。
このタイトルバナーには、サブリミナルでグロテスク画像が含まれていますのでご注意ください。
ジーザス・クライスト=スーパースターのことを教えていただきありがとうございます。私はバイセクシャルで、女優も好きですが男優も好きなのできっと楽しいのではないかと思います。
投稿: ヤボオ | 2007年8月18日 (土) 21時23分
fudohさんこんにちは。
私が観たのは朝の回(?)の11時半からでした!
そういえば可絵ちゃんはずっと大阪→福岡でした。リサ役が長いですが、大阪でソフィを演じたときを境に、メイクの感じが変わったんですよね。今はああいう目元きりっとした感じですが、昔は(ミュージックフェアのビデオとか見ると分かりますが)もっとナチュラルな感じでした。
可絵ちゃん圭ちゃん岡本ポリス、ついでに萌絵ちゃんあたりで、若手女優特別公演とかしてほしいです。
投稿: ヤボオ | 2007年8月18日 (土) 21時31分
お久しぶりです。毎回素晴らしい抱腹絶倒レポ、楽しませていただいてます。
私もtonさんと同じく是非ヤボオさんのJCSエルサの感想をお聞きしたいです!JCSは大好きな作品で今回ジャポとエルサ合わせて15回ほど観劇しましたが(怖くて数えられない。。そしてまだ行く気)、観るたび放心状態になるので、公平且つ鋭いヤボオさんのコメントを心待ちにしていたのです。
私は芝さんの大ファンですが、ユダは贔屓目なしでスンラさんの方が好きです。常にどこか冷静な自分がいて、レミゼでもオペ怪でも芝ユダのJCSでも泣いたことがない私ですが、柳瀬さんとスンラさんのコンビでは体が震え息苦しくなり涙が止まらなくなります。
東京公演の千秋楽まで後残りわずか。ヤボオさんの忙しい見学商売のスケジュールが許すのであれば、是非ご覧になって感想をお聞かせくださいね♪
投稿: サーディ | 2007年8月18日 (土) 23時21分
こんにちは。
今回は江戸版を開幕のとき2日連続で観たのでそれなりに満足しています。エルサレム版はキャスト次第で突発するつもりですが、このぶんだとスルーになりそうです。
スンラユダはそりゃ見たいですが、10月の京都に芝ジーザス&スンラユダが見られることを信じて、今は突発遠征のために力を貯めておこうかと・・・
投稿: ヤボオ | 2007年8月19日 (日) 02時01分