ジャン・バルジャン |
今井清隆 |
ジャベール |
岡幸二郎 |
エポニーヌ |
新妻聖子 |
ファンテーヌ |
シルビア・グラブ |
コゼット |
菊地美香 |
マリウス |
泉見洋平 |
テナルディエ |
三谷六九 |
テナルディエの妻 |
森公美子 |
アンジョルラス |
坂元健児 |
今回の東京公演で4回目の観劇。今井バルジャン、岡ジャベール、シルビアファンテーヌ、森テナルディエ妻、坂元アンジョルラスと、ボーカル自慢のみなさん勢揃いの日。
しかしロングランの疲れか、今井の歌にいつもの迫力がなかった。演技でカバーしていたので不満はないが、高音がきれいに出ないのはバルジャンにはつらい(まあ、全く出ないバルジャンもいますが)。一方相手役の岡のほうも、高音はきれいに出るが、ジャベールらしい低音が響かない。いっそこの2人の役チェンジしてみたら面白いのに、と思ったりもした。
シルビアファンテーヌは、前回よりは声が出ていたが、どうも四季の「アイーダ」アムネリスとファンテーヌを同じ年に演じ、破竹の快進撃を続けた2005年に比べると、何か壁につきあたっている感じがある。実力のある人だし、すこし目先を変えて新たな役にも挑戦してほしいものだ。どうですか?福岡公演終わったらそのままエーゲ海の小島にでも・・・ってエーゲ海は9月一杯で打ち切りだった。
新妻聖子は相変わらずキレイで、歌もうまく、演技にもそつがない。すばらしいエポニーヌではあるがどうも印象が薄くなってしまうのはどうしてだろう?岡幸二郎と共演した2006年の「NARUTO」のときにも感じたが、何かもう1枚脱皮するきっかけがほしいところだ。この人には何の役が合うかな、と考えてみると、やはり「美女と野獣」のベルなんじゃないか?沼尾みゆきが当面グリンダ中心の生活になることを考えると、来年の広島公演ではベルが不足することですし。ぜひ!
森のアドリブ演技は、若いカンパニーを盛り上げていこうとますます過激になりつつある。これに対する批判もあるようだが、決して場を壊すようなことはせず、舞台の空気や共演者のキャパシティーを計算に入れてのことだから、多めに見てもいいのではないか。
坂元はだんだん迫力ある歌声に、クセのある歌い方が定着しつつあるようだ。そうなると、何かクセのある役を演じてほしい気もしてくる。具体的に何か、と聞かれてもどうもイメージがわかないのだが…。
泉見洋平は、前から思ってたんだが舞台上では山崎銀之丞に似ているように見える。
全体的に、粒ぞろいの役者が集まった非常にいい公演でだったものの、初見キャストがいなかったせいもあるのだろうが、「この人にはこの役じゃなくて別の役をやったら面白いのにな」というようなことを考えることが多かった。リピーターならではの勝手な要望かもしれないが、この役にはこの人しかいない!という説得力をもっと期待したいところだ。
さて、今回の東京公演は自分としてはこれにて終了。福岡公演は断念した(今のところ)なので、ここでまとめをしておこう。
まず、自分が観た4回のキャストを並べてみた。
バルジャン |
別所哲也 |
山口祐一郎 |
橋本さとし |
今井清隆 |
ジャベール |
鹿賀丈史 |
石川 禅 |
今 拓哉 |
岡幸二郎 |
エポニーヌ |
坂本真綾 |
笹本玲奈 |
島田歌穂 |
新妻聖子 |
ファンテーヌ |
渚あき |
岩崎宏美 |
シルビア・グラブ |
シルビア・グラブ |
コゼット |
菊地美香 |
菊地美香 |
菊地美香 |
菊地美香 |
マリウス |
藤岡正明 |
山崎育三郎 |
石川 禅 |
泉見洋平 |
テナルディエ |
斎藤晴彦 |
三谷六九 |
駒田 一 |
三谷六九 |
その妻 |
阿知波悟美 |
瀬戸内美八 |
田中利花 |
森公美子 |
アンジョルラス |
岡幸二郎 |
岸 祐二 |
岸 祐二 |
坂元健児 |
いかがだろう。なかなかの組み合わせではないか。
ご存知のようにレ・ミゼラブルのキャストは、何度も足を運ばないと見たいキャストをコンプリートできない仕組みになっている。これがあざといという見方もあるが、どこかの劇団のように「何度も足を運んでもコンプリートできない」のとどっちがいいかと聞かれると難しい問題だ。
今回、観劇日を決めるにあたって次のような条件を設定した。まず観劇回数を4回と設定した上で、
(1)バルジャンは4人とも観る。
(2)記念キャストは全部観る。
(3)コゼットは全部菊地美香。
(4)ほかはなるべくバランスよく。
(5)できれば土日で。
これでおすすめの日をリコメンドしてくれるシステムでもあればいいが、もちろんそんなものはないので(誰か作ってほしい)、丹念にキャスト表をにらめっこして考えた。
結果、(1)~(3)は条件をクリア、(4)についてはファンテーヌ、アンジョルラス、テナルディエがかぶってしまい、その一方でファンティーヌとアンジョルラスで未見2人を残してしまうなど、やや未遂。まあトータル4回では記念キャスト含め5人で回す役もあるから、コンプリートはどだい無理な話なんだけど。また(5)は、結局土日2回、平日夜2回という構成になった。
しかし総じてバランスよく、なおかつコゼットは全公演ウメコというだけで、自分としては満足だ。
今回の公演のMVPを自分が選ぶとすれば、何といっても石川禅だろう。初役のジャベールもすばらしかったし、記念キャストとして演じたマリウスも、年齢を感じさせない見事なものだった。この人のミュージカル界における存在感は、この東京公演で飛躍的に高まった。少なくとも俺の中では。
全体としても、若いキャストのパワーと、ベテランキャストの技というダブルタイフーンが主催者の意図した通りに回った公演だったと思う。記念キャストが集中して出るのではなく、分散して出演したことで、それがより明確になった(チケットの売上増に貢献したものも思惑どおりだったろうが)。そうした姿勢は「レ・ミゼラブル」が日本のミュージカルシーンを象徴する作品であることを考えれば、非常に大切なことだ。基本的に東宝の考えは支持したい。
だが、四季の外国人俳優起用にしても、東宝の若手俳優起用にしても、ショウビジネスである以上、一定のクオリティーを保っていることが大前提だ。百歩譲って、まだ日本のエンターテインメント産業が未成熟なことを考えれば、客としてもちょっとぐらいは我慢して、その発展に協力してもいい。しかし最近はその我慢の限界を超えることを強いられる舞台も少なくない。
そのあたりを解決するには、個別のキャストやスタッフが頑張ったところでどうなるものではなく、まして客に我慢を強いるのは本末転倒というものだ。業界全体の体質改善、優秀なプロデューサーの育成が求められている。
ともあれ、20周年記念に恥じない、いい公演だったと思う。福岡でも大いに盛り上げていってほしい。やっぱり行こうかな?まったく、その頃にはちょうどエーゲ海のプチホテルに新しい女主人が登場していると思ってたのに……

レ・ミゼラブルのホームページ
http://www.tohostage.com/lesmis/top.html
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