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2007年7月 7日 (土)

四季「エクウス(馬)」刮目して観よ!

マーティン・ダイサート 日下武史
アラン・ストラング 望月龍平
フランク・ストラング 維田修二
ドーラ・ストラング 木村不時子
へスター・ソロモン 中野今日子
ハリー・ダルトン 緒方愛香(劇団昴)
ジル・メイソン 田村 圭
ナジェット 田島康成(劇団昴)
看護婦 岡本結花
馬たち 岡本繁治  芹沢秀明  徳永義満  渡邊今人  森健太郎

「エクウス」である。四季のストレートプレイは久しぶりだ。

6頭の馬の眼から次々に光を奪った少年と、その「異常な」性格を「正常へ」と戻そうとする精神科医の苦悩と葛藤を描くという、現代風に言えばサイコ・サスペンス。「アマデウス」でお馴染みの人気作家、ピーター・シェーファーの作で日本初演は1975年。当時としては、こうした精神病棟を舞台にしたサスペンスというのは珍しかっただろうから、四季が「問題作」とうたうのも故無きことではない。

しかし最近ではこうしたテーマの作品は演劇に限らず映画やドラマ、小説などで大量に生産されており、京極夏彦の「京極堂」シリーズのような、精神の闇の奥底をぎりぎりまで掘り下げるようなすさまじいものまで登場している。それらに比べれば、そうした面での衝撃度は薄い。一幕は少年がなぜそうした犯罪に走ったのか、どのような状況で犯罪が行われたのかを追っていくことになるが、二幕が上がる前におおよその検討はついてしまう。

もっとも、この作品にとって、そうした精神分析的な文脈はメインディッシュではない。この作品の醍醐味は、精神科医・マーティン・ダイサートの内面の変化にある。その変化とは、「狂気」への恐れが、次第にあこがれに変わり、やがて嫉妬となり、最後には絶望になっていく、というものだ。特に狂気へのあこがれは、かつて筒井康隆がエッセイ「狂気の沙汰も金次第」の中で何度となく言及しており、小学生時代からそんないかがわしい本を読んでいた自分にとって、懐かしいフレーズでもある。

そうしたダイサートの内なる葛藤こそが見所である以上、これをサイコ・サスペンスと呼ぶのは適当ではないのかもしれない。しかし同時に、少年犯罪や精神病に対する偏見などを描いた社会派の演劇でもない。ダイサートの葛藤はあくまで主観的なものであり、別にこの精神科医は「ブラック・ジャックによろしく 精神科医編」に登場した伊勢谷先生のようにジャーナリストを巻き込んで世の中を変えていこうなどとは考えない。一瞬考えるのかもしれないが、最終的にそれは「絶望」によって打ち消され、単なる苦悩として終わる。

精神を病んだ少年の猟奇的犯罪、といういかにも劇的なモチーフを前面に出しながら、実はある中年男の心象風景を描いているにすぎない。これは「アマデウス」が、モーツァルト暗殺という衝撃的な素材を使いながら、最終的にはある男の「神への挑戦」というささやかな生き様を描いたのと同じ構造だ。そのあたりの手法が、ピーター・シェーファー作品の大きな魅力なのかもしれない。

精神科医を演じるのは日下武史。年齢的に、舞台俳優としては限界に来ているであろう日下だが、その存在感には鬼気迫るものがある。微妙な動きや声の変化だけで、舞台の空気を一変させてしまう圧倒的な演技力の前にはもはやひれ伏すしかない。ところどころ、セリフがつかえたり、手紙を落としてしまうようなこともあったが、そんなことは全く気にならないほどだ。もう多くは演じられないことを見据えた上で、一作一作、一公演一公演を大切に演じているのだろう。それが全身から発するオーラをさらに濃い光に変えている。

対する少年、アラン・ストラングには望月龍平。自分としては「マジョリン」のダビットのイメージが強いが、印象的な顔立ちで一度見たら忘れないタイプの役者だ。一度劇場で観客として来ているところを見かけたことがあるが、えらくカッコよかった。後輩らしい役者があいさつにさわやかな笑顔で応えていたのも好感度大で、すっかりファンになった。この役では少年の純粋さ、残酷さ、「内なる声」とさまざまな表情や声を次々に繰り出し、非凡な技量を示している。

少年の心に不安定さをもたらす女性、ジル・メイソンに田村圭。たぶんどこかで観ているのだと思うが明確な記憶がない。ちょっと木村花代似のかわいい感じの女優だ。演じることに抵抗があるかもしれないジル役に、文字通り体当たりで挑んだことで、今後大きな成長が期待できそう。

なかなかお目にかかれなかった、10代目ミニスカポリス特別鑑識班、岡本結花が看護婦役で登場。さすが端正な顔立ちとナイスバディで、いっそジルでも見たかったような。

この作品は、演出も独特だ。舞台上にも客席があり(ステージシート)、精神科医と少年の丁々発止のやりとりを見守っている。思い出すのは、北島マヤがアカデミー芸術祭で最優秀演技賞を受賞した「忘れられた荒野」だ。

これ

Kouya

また、そのシーンで出番のない役者も、ソデに引っ込むのではなく、やはりステージ上に腰を下ろして舞台の進行を見守っている。これは、ミュージカル「CHICAGO」でも採用されているが、「ハロー!プロジェクト」のコンサートでも同様の試みをしたことがある。

そして何といっても演出上の目玉は、クライマックスとなるアランとジルの厩舎でのデートシーンだ。二人は一糸まとわぬ姿での演技に臨む。

どうもこの作品では、この全裸シーンばかりが話題になりがちだ。しかしそれはあくまで全体の演出構成の中での一部にすぎない。そこだけを取り出して言及するのは、この素晴らしい作品を生み出したスタッフ、キャストに失礼というものだ。まして、それを目当てに劇場に足を運び、見えたとか見えなかったとか盛り上がるなど、演劇全体に対する冒涜と言わざるを得ない。嘆かわしい限りだ。

あくまで芸術的な視点から、以下にこの問題のシーンについて分析を試みたい。ただどうしてもきわどい言葉も使わざるを得ないため、大変恐縮ではあるがここから先は18歳以上の方のみが閲覧可能ということにしたい。

18歳未満の方はここから退出してください。

http://kids.goo.ne.jp/

18歳以上であり、かつ、どんな文章を読んでも不快にならない、大人の余裕を心に持った方のみ、続きをどうぞ。

本当に18歳以上ですね?
 
 
ちゃんと大人の余裕を持っていますね?
 
 
 
はい。
 
 
では、本題のチ○コの話である。

もうこのシーンだけが見たくて、いつも避けているストレートプレイにも足を運んだのだ。ちなみに席は前から2列目(!)の上手寄り。

しかし結論から言うと、あまりよく見えなかった。

まずこのシーンは非常に暗く、オペラグラスの代わりにSATが使うような暗視ゴーグルでも装備しないと全容が見えない。顔や、体の一部には照明が当たるが、本当に一部しか照らしてくれない。全く照明技術の発達を恨むばかりだ。

望月の引き締まった肉体はセクシーで、圭ちゃん(「ちゃん」かよ by リューク)もダイナマイトなボディではないがバランスのとれた美しいプロポーションなので、ふたりの抱き合うシーンはこちらも恍惚となるほど官能的だ。だからじゅうぶん眼福にはなったのだけれど、でももうちょっとくらい、いろいろなところを見たいと思うのは人の悲しい性だ。

下半身に関しては、法律もあることだし、何らかの処理がされているのだろう。ということすら確認できなかったのだから、いかに俺が歯がゆい思いをしながら見ていたか、ご想像いただけるのではないかと思う。かつて、下北沢のザ・スズナリで大川興業の公演を観たとき、俺の顔の前で江頭2:50が陰茎を露出したことがあったが、そのときも薄い前バリのようなものをしていた。

チ○コに関して言うと、その状態がどうなっていたか把握できるのは、ステージシートの、下手側だと思う。その方向に向かって望月がずっとうずくまっているからだ。照明は逆光になるが、あの距離なら何とか目視できるだろう。また、その位置からだと、圭ちゃんが背中を地面につけて仰向けに横たわっているとき、そちらの下半身も目に入るはずだ。

自分の席は圭ちゃんを中心にしてちょうどその対角線上にあたる。だから、頭ごしに連山のようなバストのフォームを眺めることができたが、ややもの足りないところではある。さらに悲しいことに、そのあとジルが体を起こして座った状態で語りかけるシーンが比較的長い時間繰り広げられるのだが、このとき、体は完全に客席側の下手を向いている。だから、下手前方の席は、かなりグッドビューで、まいっちんぐな状況だったはずだ。歯ぎしりするほど悔しい。

まとめると、チ○コ狙いならステージシートの下手側、バスト狙いなら通常客席の下手側前方、ということになる。この情報、間違っていても責任は持ちません。あと、ステージシートの座席指定はできません、と公式に書いてあるので悪しからず。

もう一回、別の席で検証してみたい気持ちはあるが、それだけのために観るにはやや重い舞台なので、どうしたものか思案中だ。

それにしても、なぜあそこで2人は全裸になる必要があるのだろう?

一幕で馬を愛撫するアランも設定上は全裸だったわけだが、舞台上では服を着たままだ。となると、やはりここで全裸にするには理由があるはず。

それは作者でなければ分からないことだが、想像はできる。

それまで観客席に大人しく座り、紳士・淑女としてきちんと観劇していた客が、突然目の前で繰り広げられる官能の世界に、思わず身を乗り出したり、身を乗り出さないまでも視線をクギづけにしたり、逆に目をそむけたり、と様々な反応をすることになる。つまり、アランのセリフを借りて言えば観客の「ペニスを持った動物に過ぎない」一面が、引き出されてしまうのだ。舞台上にも観客はいるから、その姿を通じて観客が自分の中にあるいやらしさに気付く。そこが、この作品を理解する上で非常に重要なポイントになっているのだ。

だから、あのシーンで何とかもっと見えないものかとあれこれ考えていた自分は、完璧に正しい見方をしている。そう信じて疑わないことをここに高らかに宣言したい。

ただ、もし今度「ブログ記者」の募集があっても、このブログは絶対選ばれないだろうな、ということを確信せざるを得ないのもまた事実である。

「エクウス(馬)」のホームページ
http://www.shiki.gr.jp/applause/equus/index.html

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コメント

こんばんは、初めまして☆
真鍋奈津美さんを検索していて辿り着きました。
でも・・・どこに記載されているのか・・・見つけられない阿呆です。

真鍋ランペルが好きだったのですが、退団されたと聞きました。
退団後は、一年間は活動できないとも聞きましたが・・・。
もしその後をご存知ならお教え頂きたいと思いまして・・・。

またちょこちょこ覗かせて頂きますね!

投稿: ありんこ | 2007年7月 9日 (月) 23時09分

こんにちは。

真鍋さん、また観たいですねえ。ランペルティーザでもマジョリンでも。かわいそうな子供たち時代から応援してたので、退団だったら淋しいです。

でも昨年、キャッツシアターで握手できたのは感動でした。

投稿: ヤボオ | 2007年7月10日 (火) 01時28分

偶然下手席を持っていましたが、残念ながら下手過ぎで半減でした。
あと一席隣りなだけでもかなり視野的には広がった気がします。。

今回キャスティングされた若手女優お二人、今後にかなり期待できると見てます。

投稿: fudoh | 2007年7月10日 (火) 07時29分

むう、そうでしたか。

観劇というのはなかなかムズカシイものです。

岡本ポリスともども、圭ちゃん応援していきましょう!

投稿: ヤボオ | 2007年7月10日 (火) 23時23分

こんにちは。
私も先日見に行って来ました。
例のシーン、先にこちらを読んでいたのであまり驚きませんでしたが、もし知らなかったまま見ていたら度肝を抜かれていたと思います。
楽までに行く機会があったらステージシートを試してみたいところです。

投稿: ほしよ | 2007年7月14日 (土) 09時58分

やや、ひょっとしてネタバレしてしまいましたか。すいません!

確かにちょっとサブな気持ちになるお尻でしたねえ。ステージシートは、「こだわり予約」ができるのならチャレンジしたいところです。

投稿: ヤボオ | 2007年7月14日 (土) 21時43分

はじめまして。フラリフラリしていたらたどりつきました。
あのシーンはでは多分田村さんの方は下に何かストッキングらしきものを着ている感じがしましたが。。。どーだろう。
田村さんみたいなら下手より上手の方が観やすそうな気もしますが、微妙ですかね?センターではばっちり見えますけどね。

投稿: たらこ | 2007年7月14日 (土) 21時44分

なるほど、センターブロックのほうが見やすいのか!って完全に観方を間違えてる自分であります。

重い舞台と思っていましたが、軽い気持ちで見ても味わいの深い作品ですね。

たらこさんのブログは読み応えがありますね!今後拝読させていただきます!

投稿: ヤボオ | 2007年7月15日 (日) 18時58分

センターはやっぱりベストでした。
でも一番は下手側のステージシートと見てます。
それも一列目はいわゆる柵が邪魔になるので二列目の方が良いかと。
整理番号的にはおおよそ20番台中盤から30番台初め程度。(前回参照。確信は持てませんが)
ここなら上演中はジル・看護婦さんお二人をすぐ真後ろからずっとウォッチできるおまけ付き。
機会があったらぜひ。

投稿: fudoh | 2007年7月20日 (金) 01時34分

センター良かったですか!ステージシートのギャンブルにもトライしたいですが、あの席で万一途中オナカ痛くなったりしたらどうなるんでしょう?

岡本ポリスには、次は何の役を期待しましょうかねえ。

投稿: ヤボオ | 2007年7月21日 (土) 01時07分

ステージシート、どうしても具合が悪くなったら係員の誘導で退席できるようです。もし客席から丸見えでなければ…あんないい席他にないです。近さに加え、S席と違って役者目線の高さが同じのがとても一体感を感じます。

ジルばかり見てた私が言うのもなんですが、岡本さんはほんとスタイル良くて清楚で顔小っちゃくて美人ですよねぇ。

和服もチャイナ服も(&ナース服も)いけることがわかったので、そうですねぇ、いつかは本格的なドレスを。究極はベルとか?ビーストに「アーサー王」を読んであげるシーン…似合いそう。。あ、その前にメイドチックなジリアン衣装も見てみたい気も(笑)…コスプレかい!?
でも、このままストレート路線なんですかね?

投稿: fudoh | 2007年7月21日 (土) 05時16分

そうか、岡本ポリスはコスプレ採用だったんですね。浅利センセイも分かってるじゃないですか!

四季に婦人警官が出てくる舞台ってなかったかなあ・・・

投稿: ヤボオ | 2007年7月22日 (日) 03時05分

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