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2007年5月20日 (日)

「スパイダーマン3」レオパルドンさえあれば・・・

ゴールデンウイークは異様に元気だったが、会社が始まった瞬間体調が悪くなった。典型的な怠け者体質だ。

それはなんとか回復してきたものの、6月は例の魔女の物語やら、フランス革命のミュージカルやらがあり、遠征の計画もあったりして物入りになりそうだから、今月はじっと息を潜めていなくてはならない。おとなしく近所で映画でも観よう、と「スパイダーマン3」へ。

もう公開から3週間も経っているので今更問題ないでしょうが、一応ばれるのでここで宣言しておきます。

最初に観賞後の印象を言えば、とてもハッピーになれる映画だった。

物語は必ずしもハッピーエンドではないが、「ああ、映画って楽しいなあ」としみじみ感じさせてくれる快作である。

これぞエンターテイメントの手本、というべき作品。もっともそのぶん、一作目、二作目で色濃かった、B級ホラーの名匠としてならしたサム・ライミらしい悪趣味な演出がややなりを潜めた感じがあり、少し寂しいところではあるが。

公開前のマーケティングも含めて、このシリーズは「大作」然としていないところがいい。実際には空前の制作費が投入されている、頭に超をもうひとつつけたくなるような超大作なのに、である。あくまで、大味でいい加減なアメコミのテイストを守っているのだ。恐らくそれはシリーズ開始時から意識されていることであり、サム・ライミの起用もそのあたりを狙ってのことかもしれない。結果的にそれが大当たりしているのだから、凋落が激しいハリウッドも、その戦略レベルの構想力は健在ということだろう。例えハリウッドが消滅しても、そのノウハウはどこかに継承されるべきだ。

とにかく、土曜ワイド劇場並みに観ていて気楽である。今回は「復讐」がテーマであり、ピーター・パーカー(スパイダーマン)が、叔父を殺害した犯人への恨みを、ハリー・オズボーンが、父(グリーンゴブリン)を倒したスパイダーマンへの恨みを、それぞれどう乗り越えていくか、ということを描く、まるで菊池寛の「恩讐の彼方に」みたいな話なのであるが、あまり深刻な展開は見せず、比較的あっさりと乗り越えてしまう。またシリーズを通じて繰り広げられるピーターとメリージェーン、そしてハリーの恋の行方も、映画の中の人たちはえらく真剣に悩んでいるが、ほとんどビバリーヒルズ高校生白書(青春白書でなく)なみの他愛ない三角関係だ。しかも復讐劇も恋愛劇も、なんだかんだやっているうちにいつの間にか3人の友情の物語になってしまっている。この展開の安易さは、許せない人には許せないかも。俺は許すよ。むしろ、その安易な展開を派手なアクションで強引に説得させてしまう手腕は見事だと思うほどだ。

そして、さまざまなお約束を決して違えることなく、折り目正しく守るのもいい。都合よく起きる事件、意味もなく事件に巻き込まれる美女、悪の力を得て分かりやすく調子に乗る主人公、おおよその人間ドラマをきれいに片づけた上で後顧の憂いなく始まるクライマックス、絶対絶命のピンチに登場する助っ人……。もう土曜ワイド劇場どころか、水戸黄門なみの安定感だ。

その安心感があるからこそ、観客は心置きなくこの映画の世界に遊ぶことができる。これが、エンターテインメントの手本と表現したゆえんだ。

それにしても、クライマックスで助っ人が登場し、共に戦う場面は良かった。スパイダーマンの魅力は、ピンチになっても軽口を叩くことを忘れない、アメリカ人っぽいというより江戸っ子のような洒脱さにもあると思う。それが、前作ではどうも悩んでばかりであまり見られなかった。その軽口が今回、友と戦いながら交わされ、何とも「スパイダーマンらしさ」を醸し出していた。スパイダーマンのふざけた口の利き方は、ぜひユニバーサル・スタジオ・ジャパンの「アメージング・アドベンチャー・オブ・スパイダーマン・ザ・ライド」で体験してほしい。きっとスパイダーマンをもっと好きになる。

ところで、このシリーズは今後も続くのだろうか。自分としては、スタッフやキャストが変わってもいいから続けてほしいところだ。ぜひ次回は、メリージェーンがファイヤースターに、そしてハリーがアイスマンになって、「スパイダーマン&アメイジング・フレンズ」として3人で敵と戦う、というのを希望だ。

おまけ1
サンドマンが大量の砂で巨大化するのを見て「レオパルドンを出せ!」と心の中で叫んだのは俺だけではないはず。

おまけ2
今回のMVPは、フランス料理店のギャルソンと、エンドロールで「Girl with camera」と紹介された子役だと思う。

おまけ3
メリージェーンが出演したブロードウェイの劇場、内部はともかく劇場前のシーンは実際にニューヨークでロケされたものだろうか。だとすると向こうに「オペラ座の怪人」の看板が見えたので、Majestic Theaterの手前、つまり現在レ・ミゼラブルを上演中のBroadhurst Theaterということになる。向かい側で「プロデューサーズ」を上演しているのも、位置的には正しい。ただ、その隣に「ジャージーボーイズ」の看板が見えていた。あれが宣伝用の看板でないとすると、同作品を上演しているのはもっと北だから、つじつまが合わない。DVDが発売されたら、じっくり確認してみることにしよう。そのためにまた現地に行ったりして。

Venom

スパイダーマン3のWEBサイト
http://www.sonypictures.jp/movies/spider-man3/index.html

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