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2006年12月30日 (土)

Les Miserables(レ・ミゼラブル)

Broad_1

29日14時~16時50分
Broadhurst Theatre

2003年に16年間のロングランを終えたLes Miserablesが、この11月からブロードウェイに復活した。これはスルーするわけにはいかない。当初、半年限りの公演ということだったが、すでに延長が決まっているもようだ。

劇場へ行ってみると、以前と比べだいぶ小ぶりの劇場を使っている。客席もさることながら、ロビーや通路が狭くて、開場時や休憩のときは大混乱が起きていた。

さて、この公演を観るにあたって大きな心配があった。それはネットや雑誌で「だいぶ短くされてしまったらしい」という指摘があったからだ。

結果的に、それは気にするほどのことでもなかった。ブロードウェイ終演の少し前に、20分ほどの短縮が行われたバージョン(日本での公演も2003年からは短縮版)とほとんど変わらない。20分の短縮は今でも不愉快だが、それをさらに、ということではなかった。一部で「ガブローシュの歌がカット」という情報もあったが、それはこういうことだ。ジャベールをスパイと見抜いて歌うシーンで、日本語訳で言うと「♪どんなもんだい!」のところまででカットされ、「♪チビ犬でも~」以下が省略になった。好きな歌だったのでちょっと残念だ。またこれに伴いガブローシュ絶命のときに口ずさむ歌が、彼が最初に登場するときに歌っている歌に変更されている。これは強い違和感がある。来年の日本公演では、追随することのないように祈るばかりだ。

音楽は、電子音の使用を控えたとスタッフがどこかで話していたが、それがはっきりと分かるのは下水道のシーン。それ以外は普通に使われていたように感じた。セットも以前のロングランのときと比べれば少し小さめなのかもしれないが、これは劇場自体が小さくなっているから気にならない。

というわけで、「あんなのレ・ミゼラブルじゃない!」というようなミゼラブルな状況にはなっていないので、安心して足を運んでいただきたい。

それどころか、現在のキャストはかなり充実しているので一見の価値がある。ジャン・バルジャンのAlexander Gemignaniは高音がきれいに伸びる美声の持ち主で、「Bring Him Home」はショーストップの大喝采だ。対するジャベールは黒人キャストで注目されるNorm Lewis。「強面、低音」のイメージが強いこの役を、やわらかな、深みのある演技で好演。冷徹さよりも、職務に対する忠実さが前面に出るジャベールは、初演の滝田栄ジャベールに少し通じるものがあるかもしれない。

マリウス、アンジョルラスもやはり高音がよく伸びる。コゼットはこれまで観た中で、最も優れた歌唱力のコゼットだった。テナルディエ夫妻も申し分のない演技。テナルディエはダミ声なのに張りのある声と、細かい演技で観客の人気をさらっていた。エポニーヌは島田歌穂や故・本田美奈子の歌声に親しんできた自分にとってはやや力不足にも感じたが、演技力で十分にカバーしていた。

問題はファンティーヌ役のDaphne Rubin-Vega。歌が決定的に駄目だった。歌が駄目、というのはファンティーヌ役には致命的である。ネットに流れていた評判もすこぶる悪く、実際に観た方からもネガティブなことを聞いていたので覚悟はしていたが、ほかのキャストが見事だっただけにいっそう浮いてしまっている。演技もさほどとは思えず、幸の薄そうな雰囲気だけでキャスティングされたとしか思えない。

しかし総じて、改めてこの作品の魅力に気付かせてくれる良い公演だった。6月から日本でも新キャストを迎えた公演が始まるが、このリバイバル公演から学ぶべき点も多いのではないか。特にジャベール役については、この役の幅の広さを一層感じさせる名演技だ。でも、ガブローシュの歌の扱いは参考にしないでください。

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