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2006年8月13日 (日)

宝塚×モーニング娘。「リボンの騎士 ザ・ミュージカル」
大絶賛しますよ

これは、歴史に残る公演になるかもしれない。日本発の、世界を相手に勝負できるステージエンターテイメントの誕生だ。

冒頭の天上界のシーンからフィナーレまで、ずっと圧倒されっぱなしだった。身震いもした。途中、本当に涙が出そうになった。

宝塚の手法とモーニング娘。とがこれほどまでに完璧に融和し、そして新たな価値を生み出せるとは。

日本のアイドル文化の源流は宝塚にある、とする人も多い。ならば、日本的アイドル文化の保守本流を行くモーニング娘。との相性がいいのも、当然といえば当然かもしれない。

しかし、これまでは、宝塚のメソッド-人材育成、公演形態、音楽と芝居、客席へのアピールなど-が積極的に外部に提供されるケースは多くなかった。だからその成果物としての「宝塚歌劇団」をもってしか、それの裏にある様々なノウハウを知り得ることはなかった。だが今回の公演により、宝塚メソッドと宝塚歌劇団とのアンバンドル化が可能であること、それが既存のアイドルの存在感とあいまったときに発するすさまじいエネルギーが、実証されたのだ。

新しい手法でスポットライトを当てられた娘。たちのなんと輝いていることか。最近オーラが落ち気味の石川梨華や藤本美貴、吉澤ひとみ、そして松浦亜弥が、実にいきいきとしている。宝塚には、アイドルの衰えたオーラを補充する命の泉でも沸いているのか?そういえば花總まりは10年以上娘役トップの座にいたが……。

その娘。たちの輝きが、決してスペクタクルな展開があるわけでも、派手な見せ場があるわけでもないこの舞台に高い満足度をもたらしている。正直、こんなに真剣に舞台を観たのは何年ぶりだろう?

日本独自のアイドル文化を生かした、強烈なエンターテインメント。さらにそこに、マンガ文化が加わる。この時に身を持って感じたように、マンガ文化は世界に乗り出すときのパスポートになる。もとより、マンガと舞台との親和性が高いことは、このエントリーを待つまでもなく、「セーラームーンミュージカル」が独立したファン層の形成に成功したことなどから、すでに実証ずみだ。

宝塚メソッド+アイドル+マンガ。この3つの組み合わせが、今後日本のステージエンターテイメントに新しい潮流をもたらし、業界全体の活性化を大いに進めてくれることを期待したい。その3つが最高の形で融合できた「リボンの騎士 ザ・ミュージカル」は、その記念碑として長く語り継がれることになるだろう。

さて、この日のキャストを紹介しよう。

大臣 吉澤 ひとみ
サファイア 高橋 愛
家臣ナイロン 小川 麻琴
ヌーヴォー・淑女 新垣 里沙
魔女ヘケート 藤本 美貴
トルテュ・淑女 亀井 絵里
リュー・淑女 道重 さゆみ
リジィエ・淑女 田中 れいな
大臣の息子 久住 小春
牢番ピエール・淑女 石川 梨華
牢番トロワ・淑女・近衛兵 三好 絵梨香
牢番コリン・淑女・近衛兵 岡田 唯
王妃 マルシア
王・神さま 箙 かおる(宝塚歌劇団)
フランツ王子 松浦 亜弥

この公演ではキャストが4パターンある。フランツ王子が石川梨華・松浦亜弥・安倍なつみのトリプルキャストなのと、牢番ピエールを辻希美が演じるときがあるからだ。石川梨華はフランツ王子を演じない日は牢番ピエールを演じる。

自分が観たときは上記のように、フランツ王子を松浦が演じた。3人の中で男役といったらやはり松浦だろうな、と思いこの日を押さえたのだ。その読みは当たり、その回が松浦にとっての初日ということでやや固さはあったものの、持ち前の芸達者ぶりを発揮し、凛々しく聡明なフランツ王子をパーフェクトに演じきっていた。

恐れ入ったのは石川の演技。フランツを松浦に譲って脇に周ったが、アンサンブル的な淑女たちの中にあっては常に最高の笑顔、梨華ちゃんスマイルを数倍にしたとびっきりの表情で際だっていた。そして2幕では、野心的な牢番のピエールになるが、これが1幕とはうって変わって、ギラギラした殺気を漂わせる見事な男役ぶりだ。その迫力たるや、すぐにでも「ベルサイユのばら」のアランや、「エリザベート」のルキーニでも演じられそうである。石川フランツも見たくなった。

また、これは演出側の勝利かもしれないが、藤本の使い方が絶妙である。藤本は娘。内では異分子、ヒールとしての役割を与えられているわけだが、その立ち位置をうまく生かし、物語の中盤に、展開の大きなアクセントとして登場した。これが、サッカーの試合でスーパーサブが投入された時のような効果をもたらしていた。

そして主役の高橋。宝塚のファンであることを加入当時から公言しており、今回の企画でも当然のごとく主役を射止めたが、不安視する声が多かったのも事実である。しかし高橋は、確かに「ハロー!モーニング」のクイズで「仲の悪い状態を現すときに用いる動物といえば、猿と何?」と聞かれ、自信満々で「カニー!」と答えるほどの馬鹿だが、常に計算して行動する如才なさも持ち合わせている。後藤真希卒業が決まった直後の記者会見では、最初しらっとした雰囲気だったのが、高橋が泣き出したのをきっかけにメンバー全員の大号泣になったのが印象深い。

舞台が始まると、まずまず無難にこなしている。まあ、こんなものかな、と思いながら眺めていたが、気になったのは自分のセリフがないときなど、ふっと表情が「女」になってしまうことだ。例えばフランツ王子とともに剣の試合を観戦しているシーン。隣の松浦が全く揺らぐことなく「男」の表情になっているため、それが目立つ。

だが、それが実は高橋の巧みな演技だったことが2幕で明らかになる。

サファイアは、「男の魂」と「女の魂」の、2つの魂を得てこの世に生まれてしまった。2幕で、魔女へケートにより「女の魂」のほうを奪われてしまうのだが、そのあとの演技はものの見事に「男」の顔になるのである。宝塚男役の特徴をデフォルメしたモノマネまで披露してみせた。つまり、1幕では、男と女がひとつの体に同居しているという状態を表現していたのである。これは男役でも娘役でもない微妙な役どころだ。高橋自身も、そしてその演技をつけた演出も、ブラボーな仕事ぶりだ。

ほかにも特筆すべき要素は数多くある。しかしその全てをここで書くのはやめておこう。終演後、千秋楽まであと数回観に来ることを決意したからだ。このエントリーを書きながら、1公演はオークションで落札した。ラスト公演以外、完売はしていないので席を選ばなければ当日券でも行ける。37歳の夏の思い出は「リボンの騎士」。いいのか俺の人生。

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迷わずCD「ソングセレクション」を購入。初回限定版にはB5版のシナリオが特典としてついてくる。なかなか気の利いたオマケだ。惜しむらくは、会場限定日替わりメッセージ入り生写真を買い逃したことだ。今日はれいなだったのに!

「リボンの騎士 ザ・ミュージカル」WEBサイト

http://www.ribbonnokishi.com/

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コメント

そんなに良かったですか!?ミュージカルヲタとしてノーマークだったので少々驚きです。
そもそも「リボンの騎士」自体詳しくストーリーを知らない私なのですが、舞台もストーリーに沿った感じなのですか?

投稿: fudoh | 2006年8月17日 (木) 23時23分

まあ、これはミュージカルとしてよく出来ているか、と言われれば?ですが。
とにかく人をかっこよく、かわいく見せるにはどうすればいいか、という宝塚秘伝のノウハウに圧倒されます。衣装やセリフ、照明だけでなく、音楽や、脚本にまで、その計算が緻密になされているのです。
そういう意味では歌舞伎に近いかもしれないですね。

投稿: ヤボオ | 2006年8月19日 (土) 01時01分

リポンの騎士ザ・ミュージカル台本お願いします

投稿: 石川梨華 | 2016年2月 7日 (日) 17時45分

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